アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
【小笠原】ハートロックで近自然工法
2021年02月03日みなさんこんにちは。
冬は山登りを楽しもうと意気込んでいましたが、結局毎週末海に入っています。
先日、父島のトレッキングスポットとして有名なハートロックで、近自然工法による整備を行いました。
作業をしたのは、矢印のあたりです。
(近自然工法については、過去のAR日記でご紹介しています。)
▲海上から見ると赤い岩肌の部分がハート型に見えることが名前の由来になっています。
ハートロックの頂上は植生が乏しく、赤土が露出しており、土壌流出が目立っています。
理由は色々考えられますが、多くの人がこの場所を訪れることが、土壌流出を加速させる一因となっていることは確かです。
そこで、少しでも流出を食い止め植生を回復させるために、合同会社北海道山岳整備の皆さまにご指導いただきながら、作業を行いました。
▲標石を見ると、かなりの赤土が流出していることが分かります。
この日は東京都レンジャー、小笠原村役場、林野庁、ツアーガイドさんなど、総勢15名が参加しました。
ヤシネットで石を海苔巻きのように包んだものをいたる所に置き、流れてきた土壌を受け止め、最終的にはそこに植生を回復させていく狙いです。
どこにどのように設置すればうまくいくか、水の通り道や地面の傾斜など、あらゆる角度から想像力を働かせて検討します。上手くいった場合に継ぎ足していけるように、将来も見据えた施工をしなければなりません。奥が深いです。
場所が決まったらいよいよ設置です。
▲ヤシネットの上に石を乗せます。石を集めて運ぶのはかなりの重労働です。
1月とはいえ日差しが強く照りつける中、力を合わせて完成させました。
▲Before
▲After
近自然工法を実際に行ってみて、愛着の湧く施工方法だなあと感じました。
上手く施工すれば時間が経つにつれて自然に馴染んでいくそうです。
人にも自然にも優しく景観も損なわない技術。
今回のように多くの人が作業に関わることで、技術を持った人が増え、広まっていくと良いと思います。