アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
伊豆半島のジオサイトを紹介します! 第3弾
2021年03月31日みなさん、こんにちは。お花見の席ではやたらとシャッターを頼まれる齋田です。
最近はお子さんを笑顔にさせる技術とペットをカメラ目線にさせる技術だけが向上しています。
さて、少々日が空いてしまいましたが、これまでの日記に引き続き、富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイトをご紹介します!
■伊豆の秘境「入間千畳敷」(静岡県南伊豆町)
伊豆半島のほぼ先端部「入間(いるま)」に位置する入間千畳敷へは、入間海岸から「南伊豆歩道(吉田~入間コース)」を50分程歩くと辿り着くことが出来ます。
ちなみに、コースの入口となる入間海岸へは、最寄り駅となる伊豆急下田駅からバスに揺られること45分。バス停「入間」にて下車後、入間集落へ通じる山道を40分程歩くと到着します。
そのアクセスの困難さが物語るように、入間はまさに伊豆の秘境。大自然に囲まれた海岸からトレッキングスタートです!
コース前半には薄暗い照葉樹の森を通過しますが、遊歩道には案内標識が設置されているため、道に迷う心配はありません。林内の一本道をひたすらにもくもくと進みます。
うっそうとした森を抜けると、しだいに視界が開けていき、崖沿いを這うように整備された道が現れます。
ここまで来ると千畳敷はもう目前です。眼下に広がる海の碧を楽しみながら複雑な海岸線を進みましょう。
道中では海底火山の噴出物によって形成された火山灰の地層を見ることが出来ます。
【海岸沿いの遊歩道】
海岸線の斜面をどんどん下り、波打ち際を抜けると、いよいよ千畳敷に到着です。
なんというスケールでしょう!海岸にせり出した広い台地は畳が千畳以上も敷ける程の広さがあります。
(例によって写真からサイズ感が伝わりづらくすみません...)
海底火山時代の後に隆起と浸食を繰り返し、長い年月を経てこのような平らな岩のテラスとなりました。
【入間千畳敷】
さて、千畳敷を観察すると、古代遺跡のように規則的な凸凹がいたるところに見受けられます。
これらは全て採石の跡です。海岸沿いに「石切場跡」が多く残る伊豆半島ですが、こちらの入間千畳敷も例に漏れず、やわらかく加工しやすい「伊豆石」が盛んに切り出されました。
採石された伊豆石は、城を築城する際の石垣や倉庫、建物の基礎として昭和の初め頃まで出荷され、入間地区の小学校の通学路を作るためにも使用されました。
【石切場跡】
足元に向けていた視線を東に見上げると、薄い層が幾重にも連なった大きな山のようなものがそびえ立ちます。
こちらは三ツ石岬です。断崖の中央部に走る白い地層と緑色の植生とのコントラストが印象的ですね。
写真をよく見ると、白い縞模様の地層を断ち切るように上下にのびる黒い箇所が確認できるかと思います。
これらは「岩脈」と呼ばれ、火山灰の地層をマグマが貫入して固まったものです。
【三ツ石岬】
富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト「入間千畳敷」では、伊豆半島南部を代表する様々な地層や地形を見ることが出来ます。
こちらの日記では紹介しきれない魅力もたくさんありますので、是非一度現地に足を運んでみて下さい。
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※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、都道府県内の移動においても、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。