アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
伊豆半島で出会える夏の昆虫たち -カワトンボ科編-
2021年08月13日みなさん、こんにちは。私が作った竹とんぼだけ上手く飛ばない齋田です。
さて、伊豆半島の夏も後半戦に差し掛かり、国立公園内では多くの動植物が観察できる季節となりました。
山や河川、草原や湿地、どこへ行っても生き物たちと出会うことのできる、自然観察にはもってこいの季節ではありますが、コロナ禍が続くなか泣く泣く外出を自粛している方も多いのではないでしょうか?
そんな生き物好きのみなさんに伊豆半島の夏の雰囲気をお伝えするべく、前回の日記に引き続き、巡視(国立公園を構成する施設の点検や利用状況の把握等を行う業務)の際に見かけた昆虫たちをご紹介します。
まずはこちら、河津七滝から浄蓮の滝を結ぶ踊子歩道で出会った「ミヤマカワトンボ」です。
【ミヤマカワトンボ】
写真ではとても小さく見えてしまいますが、腹長60mm前後と大きく(みなさんが都市部で見かけるハグロトンボは45mm前後)、カワトンボ科の中では世界でも屈指の大きさを誇るトンボです。
後翅の濃い褐色帯や体サイズ等の特徴から、遠目でも識別しやすく、比較的覚えやすい種類かと思います。
富士箱根伊豆国立公園では、山地の樹林に囲まれた渓流を中心に多くのエリアにて観察することができます。
初めて出会う方は、腹部を碧く光らせながら渓流沿いを優雅に飛ぶ姿に思わず見とれてしまうことでしょう。
続いて、こちらも同じく踊子歩道で出会った「アサヒナカワトンボ」です。
【アサヒナカワトンボ(伊豆個体群)】
写真を見て「ニホンカワトンボに見えるけど?アサヒナカワトンボの色とはちょっと違うよなあ」と思ったみなさんは流石です。そこそこのトンボ好きですね。
たしかにニホンカワトンボの橙色翅型に酷似していますが、残念ながら伊豆半島には生息していません。
ちなみに、アサヒナカワトンボとニホンカワトンボの間では両者の中間的特徴を持つ種間雑種が知られていますが、文献によると伊豆(単独生息域)個体群はニホンカワトンボとの雑種由来集団と考えられているようです。
さて、気になる見分け方ですが、アサヒナカワトンボの胸部はニホンカワトンボのそれよりもわずかに小さいらしく、一般的には「頭でっかち(頭部が相対的に大きく見える)がアサヒナ」と言われています。トンボ屋の友人に貰った様々な写真を見比べましたが、私はあまりピンときませんでした。
富士箱根伊豆国立公園では、踊子歩道や伊豆山稜線歩道等の渓流や細流にて観察することができます。
今回は、夏の季節に富士箱根伊豆国立公園にて観察できるカワトンボ科の昆虫のうち、代表的な2種について紹介しました。
先週よりまん延防止等重点措置の実施区域が拡大され、地域によっては一層の外出自粛が呼びかけられていますが、この日記を通じて少しでも伊豆半島の夏を感じて頂ければうれしく思います。
次回も伊豆半島で出会った昆虫たちを紹介します!虫好きの方もそうでない方もお楽しみに!
※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。