アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
【小笠原】妹島の巡視(前半・上陸と島の植物編)
2021年09月30日皆様こんにちは。
小笠原自然保護官事務所 母島支所の伊藤です。
突然ですが皆様は「妹島」についてご存知でしょうか。
急に妹島について知りたくなり、ネットで調べてみてもほとんど情報が出てこず、満たされぬ好奇心を抱えて眠れぬ夜を過ごしたことはありますでしょうか。
妹島は観光客や一般の方が簡単に訪れることができないため、その情報も簡単には手に入りません。
今回はそんな皆様のために、妹島にて動植物の巡視を行った際の記録を前編と後編に分けてお伝えしたいと思います。
妹島は、母島から南へ10キロほどに位置する無人島です。
海況の良い日に船で向かいます。
△母島の港を出てすぐの海。白い灯台の辺りは釣りスポットです。余談ですね。
妹島の上陸ポイントは岩礁が多く船を着けられないので、カヤックに乗り換えます。
それでも危険なので、気を引き締めていきましょう。
△妹島の岩礁地帯です。落ちたら痛そうですね。
妹島にまともな上陸ポイントはないため、波風が強くカヤックでも磯に近付けないとなれば、荷物を背負って泳いで上陸することもあります。
無事に上陸ができたなら、炎天下の崖を登って巡視開始です。
父島や母島では少なくなってしまった植物も、妹島ではたくさん見ることができます。
例えばこちら...
△花と綿毛をつけたツルワダンです。素敵ですね。
ツルワダンという名前の由来は「つる性のワダン(→海辺で見られるキク科の植物)」ということだそうです。わかりやすいですね。
小笠原の固有種では他にも、木本化したキク科のワダンノキという植物もあります。わかりやすいですね。
それからこちら...
△まだ小さいシマカコソウです。元気いっぱいですね。
シマカコソウは「島夏枯草」と書き、夏になると花穂が茶色くなり枯れたように見えることが名前の由来だそうです。
そんな希少なシマカコソウですが、実は父島の「小笠原世界遺産センター」の入口前でブロックの隙間から生えているのを見ることができます。(記事はこちら→http://kanto.env.go.jp/blog/2020/05/post-869.html)
たくましいですね。
前編では妹島への上陸と島の植物についてお伝えいたしました。
後編ではオガサワラカワラヒワという希少な鳥の捜索と、思いがけず出会えたある生き物の親子の様子をお伝えします。