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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園 富士五湖

94件の記事があります。

2013年01月17日未公開施設内をご紹介します ~標本収蔵庫~

富士箱根伊豆国立公園 富士五湖 小西 美緒

14日の40cmほどの積雪でまだ道路には雪が多く残っており、
朝晩の通勤・通学時間に渋滞が起きている富士五湖よりお届けします。

本日はアクティブレンジャーの業務とは少し離れた話題をお届けします。

私が勤務をしている「富士五湖自然保護官事務所」は
富士北麓にある環境省「生物多様性センター」建物内にあります。


生物多様性センター(H25年1月15日撮影)


生物多様性センターは日本国内の生物多様性の保全を推進し、
世界の生物多様性の保全に貢献するための中核的拠点として
平成10年に設立されました。

その業務の一環として、トキやイリオモテヤマネコなどの
希少野生動植物種をはじめ、様々な動植物標本を収集し、
標本収蔵庫に保存しています。
それらの標本は、館内展示スペースでの標本展示や
博物館などへの貸出し、調査研究等、
生物多様性の保全に役立てられています。


残念ながら標本収蔵庫は通常一般の方には
公開されておりませんが、昨年末、収蔵庫内を
見学する事ができましたので、その様子をお伝えします。


収蔵庫には約65,000点(うち57,000点は昆虫)の標本が
収蔵されています。
収集する際は、種や個体群の保全に悪影響を
及ぼすことがないよう、交通事故など不慮の事故で
死んでしまった動物を標本化したり、
既に標本化されているものを収集したりして
種の保全を第一に考えた収集を行っているそうです。


標本収蔵庫では大切な標本を守るため、
様々な仕掛けがあります。
その一つが害虫トラップで、
収蔵庫各所には害虫の侵入を防ぐための粘着式の
トラップが設置されています


よく人間が引っ掛かるようです・・・。



また室内は急激な温湿度変化のないように
一定の範囲内に管理され、標本が傷まないように
してあるそうです。
何故かというと、温湿度の管理をきちんと行わないと
カビの発生や、害虫の大量発生が起きてしまう可能性
があるから、とのこと。なるほど!!


収蔵庫中には特定外来生物や
多様性を顕すような標本、そして希少生物種の標本等
が保存されています。



左上:南米原産ヌートリア。大食漢の為農作物等への被害があり特定外来生物
右上:マイマイカブリ。同じ種でも地域によって大きさ等が違うんです!
左下:ジュゴンの骨格標本
右下:天然記念物のツシマヤマネコ




こちらは人工飼育のために昭和56年に捕獲された
日本で最後の野生のトキ5羽のうちの1羽「キイロ」のはく製です。
とても貴重ですね。



上記のような標本は普段は見る事ができませんが、
生物多様性センターでは、展示スペースにて収蔵標本の一部を
見ることができるほか、年一回行われる「生物多様性まつり」では
収蔵庫ツアーが行われ、標本収蔵庫を一般公開しています。
これは貴重なチャンスですね!!


また、その他にも生物多様性についての展示室や映像シアター、
自然散策路などもございますので、富士五湖周辺へお越しの際は
ぜひ足を運んでみてください。


左:一般公開されている触れるはく製
右:展示ロビーの様子



<生物多様性センター>
http://www.biodic.go.jp/center/tenji.html
開館時間:9:00~17:00
休館日:冬季期間(12月~4月)の土・日・祝日、年末年始(12/29~1/3)
入館料:無料

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2013年01月08日多彩な魅力の山 「三ツ峠山」

富士箱根伊豆国立公園 富士五湖 小西 美緒

新年あけましておめでとうございます。
今年1年皆様に充実した情報をお届けできるように頑張ります。
どうぞよろしくお願いいたします。


着任より1か月が経ちました。
ここ数年、冬を避け南半球と北半球を行ったり
来たりしていたので、5年ぶりの冬になりますが、
12月よりさっそく富士五湖の寒さの洗礼を受けています。



今回は昨年仕事納めに巡視に行った「三ツ峠山」
についてお話したいと思います。

皆様、「三ツ峠山」をご存知でしょうか?
富士山のほぼ真北に位置し、富士河口湖町、西桂町、
都留市の境界にある日本二百名山・山梨百名山です。


厳密には「三ツ峠山」という山はなく、
「開運山(1785m)」「木無山(1732m)」「御巣鷹山(1775m」
という三山の総称です。


古くは奈良時代から修験道の霊山として知られていますが、
●富士山の大展望
●ロッククライミングのメッカ
●高山植物

と多彩な魅力を持った、山梨県でも1、2の人気を争う
ハイキングの名所です。
また、近くには太宰治が滞在し「富嶽百景」を執筆した
天下茶屋もあります。


山頂に至るルートは複数ありますが、
この日は富士河口湖町側からの最短ルートを登りました。
このルートですと駐車場より片道1時間半でした。


シーズンオフということもあり、
ほとんどハイカーはいませんでした。
登山道は数日前に降った雪が凍っていました。



山頂付近の山小屋付近では(晴れていれば)
富士山の大パノラマが望めます。


あいにく山頂は見えませんでした(H24年12月28日撮影)



三ツ峠山には貴重な高山植物が数多く生育していますが、
近年シカの食害が見られるようになり、
それらの植物を守るために鹿よけの柵を設置しています。


中:柵の外側には柵に沿って鹿の足跡が・・・
右:鹿によって樹皮を剥がれた木
(H24年12月28日撮影)



今は柵の内外でそれほど違いは判りませんが、
新緑の時期になりますとおそらく違いが
はっきりと分かってくると思います。
またその時期になりましたら、比較できるような写真を
皆様にお届けしたいと思います。

冬場は登山道が凍結しているので、
お出かけの際は安全には十分にお気を付けください。

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2012年12月18日東海自然歩道② ~冬の紅一点~

富士箱根伊豆国立公園 富士五湖 小西 美緒

前回に引き続き「東海自然歩道」巡視の際のお話です。

先日、山中湖北側を通る「東海自然歩道」を
巡視のため歩きました。
登りはじめの石割神社駐車場からしばらくは針葉樹林でしたが、
尾根に出たあたりからは落葉樹林帯やススキの群落が
多くなります。

もうすっかり葉が落ちてしまっていますが、
そんな中、紅一点鮮やかな色を見せてくれている木が
あります。


赤い実がとても目立ちます(H24年12月10日撮影)


それが「マユミ」という植物です。


青空に映える「マユミ」(H24年12月10日撮影)


「マユミ」はニシキギ科の植物で、
ニシキギ科は世界中で約800種類、
日本には27種類あります。
(参照:「山渓ハンディ図鑑」シリーズ(山と渓谷社))


この科に属する、ニシキギ・マユミ・ツリバナなどは
実や紅葉がとても美しいので、庭木などにもよく使われます。


「マユミ」は枝が強い上とてもしなるので、
昔はこの枝から弓を作っていたことが名前の由来になっています。

実は最初堅い皮に覆われていて、
熟すと皮が割れてタネが顔を出します。
そのタネはさらに仮種皮という皮に包まれていますが、
それがこのように真っ赤な色をしています。

では、なぜ真っ赤なのでしょうか?


(H24年12月10日撮影)


それはこの色で鳥の目を引き丸ごと飲み込んで
タネを運んでもらうためだそうです。


鳥だけでなく、私たちの目も楽しませてくれる木です。


今年はすでに落葉してしまっていて、紅葉を楽しむことは
できませんでしたが、来年は是非みなさんに美しく色づいた
マユミの葉の写真をお届けしたいと思います。

5~6月にとても地味なお花を咲かせるようなので、
まずは半年後その写真を掲載します。お楽しみに。

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2012年12月13日東海自然歩道①

富士箱根伊豆国立公園 富士五湖 小西 美緒

今月より富士五湖自然保護官事務所の
アクティブレンジャーになりました小西美緒です。

アクティブレンジャーが一体どんな活動をしているのか、
そして富士五湖周辺の魅力についてなど、
楽しんでいただける日記になるよう
頑張りますので、時々覗きに来てください。


さて、「東海自然歩道」をご存じでしょうか?


「明治の森高尾国定公園」と大阪の「明治の森箕面国定公園」を結ぶ、
緑豊かな自然と貴重な歴史文化財を楽しむことのできる
総延長1,697.2kmの長距離自然歩道です。

国民共通の財産である美しい自然を
国民の誰もが心ゆくまで楽しむことができるように、
と昭和45年から整備をされています。

1都2府8県をつなぐ「現代版の東海道五十三次」とも言えます。



この富士五湖地域にもその東海自然歩道が通っています。
その一部を先日歩道調査で歩いてきましたのでご紹介します。


今回歩いたのは山中湖北側を通る東海自然歩道です。
「石割神社駐車場」に車を停め、展望の素晴らしい
「平尾山」や「大平山」などいくつかの山を経由し
「花の都公園」までを約3時間ほどかけて歩きました。


おすすめ展望スポットは大平山(1,295.5m)です。
頂上は広々としていて素晴らしい眺望です。
山中湖を前景として富士山、南アルプスの山々などの
大パノラマを堪能できます。
ベンチや東屋があり、休憩するのにぴったりの場所です。


大平山からの富士山&山中湖(12月10日撮影)



歩かれる際は石割山方面から花の都公園方面(東から西)に
進む事をおすすめします。
そうしますと、富士山を進行方向に望みながらの
ハイキングになります。


大平山までの往復でも充分楽しめると思います。


今の時期ハイカーも少ないので静かな中、
葉がすでに落ちているので
春から秋には葉で隠れて見えない景色を
木々を通して楽しむこともできます。


夏には見られない景色。木々の合間から見る
富士山もいいものです。(12月10日撮影)



ただこの時期、晴れていてもとても寒いです。
歩道も霜柱で覆われていました。

比較的暖かい日の午後だと霜が溶けてきて
歩道がぬかるんできてしまいますし、
日没も早いので早めの出発をお勧めします。


霜柱に覆われた歩道(12月10日午後撮影)



防寒対策は万全に、安全には十分にお気を付けください。

東海自然歩道の詳細については、こちらをご参照ください。
東海自然歩道連絡協会公式サイト http://www.tokai-walk.jp/

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