ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園 沼津

231件の記事があります。

2014年09月25日富士山夏山登山シーズン終了

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

今年も富士山の夏山登山シーズンが終了しました。
(静岡県側は9月10日、山梨県側は9月14日に登山道が閉鎖されました)
それに伴い、9月15日をもって富士山頂公衆トイレの供用も終了となりました。
今年も多くの方にご協力をいただき、無事にシーズンを過ごすことができました。ありがとうございました。


冬季養生をした富士山頂公衆トイレ

公衆トイレの他、夏山登山シーズン終了直後の施設状況を確認するため、9月17日に富士山頂まで行ってきましたが、山頂の火口内にはすでにつららができていました。


この日は比較的お天気が良かったのですが、日がかげると急激に体感温度が下がるため、フリースやレインコートを脱ぐことはできませんでした。
どうか、これからの季節の安易な富士山登山は控えていただきますようお願い致します。

登山道閉鎖期間に登山をされる方は、関係機関(行政機関、警察、山小屋等)から構成される「富士山における適正利用推進協議会」が策定した「富士登山における安全確保のためのガイドライン」をご確認いただき、以下の事項を守っていただくようお願いします。

・万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山「禁止」
・夏山期間以外については、公益社団法人日本山岳協会が推奨する「登山計画書」を必ず作成・提出すること
・山中のトイレが使用できない夏山期間以外において、万全な準備をした登山者が登山を行う場合、携帯トイレを持参して、自らの排泄物を回収し、持ち帰ること

ガイドラインの詳細は、下記URLを確認ください。
http://www.fujisan-climb.jp/basic/1_07basic_safetyclimbing_guideline.html

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2014年09月03日季節は秋へ・・・装備はしっかり準備!

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

9月になりました。
下界でも夕方になると涼しく感じたり、虫の声が聞かれるようになりました。
富士山もまた然り(しかり)。
御殿場口五合目からその少し上の場所では、フジアザミが満開です。

御殿場口五合目上にて撮影(2014年9月2日)

富士山は本格的な秋を迎えつつあります。
お天気の良い昼間は半袖でいられますが、ひとたび雲がかかると寒さを感じますし、
良いお天気でも夕方から夜になればフリースやダウンを始め、
暖かな帽子・手袋などしっかりした防寒着が必要になります。
(気象庁のデータによると、9月3日午前5:00の富士山頂の気温は1℃でした)
これから閉山までは「今は暑いから・・・」ではなく、寒くなることを考えた装備での登山をしましょう。


9月2日、御殿場口登山道で調査をした際、下山中にとても濃い霧に覆われました。
何度も歩いているため向かう方向がわかっているので不安はありませんでしたが、
この霧の壁はやはり怖いものを感じます。


御殿場口に出現した霧の壁(下り六合目にて撮影)

この霧の中は、一緒に歩く先頭の人が見えなくなるほどの濃さです。


御殿場口下山道の下り六合目(宝永山との分岐)から大砂走りの次郎坊までは、
下山道脇に白いロープが張られているため、簡単に迷うことはありません。
しかし、登山と下山の疲れや周りが見えないことによる距離感のなさなどから、
心理的な不安を感じることもあるようです。
そうならないためにも、しっかりとした事前の情報収集や現地での状況把握ができる心構えや準備を心がけましょう。

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2014年08月20日大砂走りと砂走り

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

富士山の静岡県側登山道のうち御殿場口と須走口には、それぞれ『下山道』が整備されています。
御殿場口は【大砂走り(おおすなばしり)】と言い、七合目から新五合目駐車場まで火山灰地の道を下ります。
傾斜は、七合目から宝永山分岐までは少々急ですが、宝永山分岐から新五合五勺の次郎坊までは比較的緩やかです。


(御殿場口:大砂走り)

須走口は【砂走り(すなばしり)】と言って、七合目から砂払五合目まで続く、大砂走りに負けず劣らずの道です。
傾斜は、七合目から六合目あたりまでが急ですが、樹木が周りに見られるようになると緩やかになります。


(須走口:砂走り)

どちらも、晴れた日には写真のような素晴らしい景色を眼下に見ながら下山することができます。
また、一歩踏み出すと砂の中に足が埋まるくらいのやわらかさで、歩き方のコツをつかんで駆け下りる方もいるほどです。

しかしここで注意!
砂の中には小石や岩が潜んでいます。
砂の中の見えない小石や岩に足をのせて滑ったり、足が引っかかって転んで怪我をする恐れがあります。
富士登山を最後まで怪我なく楽しむためにも、一歩一歩確実に下りましょう。

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2014年08月06日富士山の花

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

富士山の夏山登山シーズンも、あっという間に1ヵ月が過ぎてしまいました。
これから富士登山を実行する方もたくさんいらっしゃることと思います。
目標は3,776mの山頂に立つこと、御来光を拝むこと・・・など様々でしょう。
そんな目標に、もうひとつ目的を加えてみるのはいかがでしょう?

富士登山と言うと五合目以上を連想して「花がない」イメージがあると思いますが、登山道を歩きながら少し目を移せば、岩の隙間から【イワツメクサ】が顔を覗かせていることが多々あります。


(イワツメクサ)

他にも【フジハタザオ】や【ミヤマオトコヨモギ】も見られます。
珍しいところでは、富士宮口登山道の六合目の少し上で【ヤナギラン】を見ることができます。(8月中旬頃)

(ヤナギラン)

そうは言っても、やはり五合目周辺の方が花はたくさん見られますので、下山時に余裕のある方や五合目周辺を散策される方は、ぜひいろいろな花を探してみて下さい。


(グンナイフウロ:富士宮口五合目付近にて撮影)

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2014年07月09日富士山の天候変化

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

富士山夏山登山シーズンが始まって明日で10日目。
いよいよ静岡県側登山道も開通します。
※10日に山頂まで開通するのは須走口登山道のみで、富士宮口と御殿場口は残雪状況を確認しながら順次山頂まで開通する予定です。
そんな状況の中、大型で強い勢力の台風8号が日本列島を縦断しています。
10日~11日にかけて富士山を通過するようなので、くれぐれも無茶な登山をなさらないようお願い致します。

そんな大型の台風8号が富士山からはまだ遠くにあった7月8日。
富士山頂公衆トイレ(富士宮口山頂)の開所とお鉢めぐり歩道開通について確認するため、富士山頂に行ってきました。
そしてめまぐるしく変化する天候を経験してきました。
富士山頂に到着し確認作業を始めた時は青空が広がっていました。

(2014年7月8日11:15撮影)

その30分後には風が吹き荒れ、富士山頂は雲の中に。


(2014年7月8日11:45撮影)

この後、時折雲が晴れることはありましたが、風は強まるばかりでした。
山頂での作業を終えて下山を開始し、9合目辺りまで降りてくると風は止み青空になりましたが、頂上だけは雲に覆われていました。
さらに下山して御殿場口下山道の名物『大砂走り(おおすなばしり)』に入ると、今度はすっかり霧の中です。

(2014年7月8日15:30撮影)

完全に下山した時には全身びっしょりになっていました。(もちろんレインコートは着用しています)

例え予報が「晴れ」でも、天気は変化します。
特に山の天気は変わりやすいものです。
登山の際には、急な天候の変化に対応できるよう、きちんと装備を整えましょう。

下記URLの「富士登山オフィシャルサイト」では、様々な情報を発信していますので、富士登山を計画されている方はぜひご確認下さい。
http://fujisan-climb.jp/

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2014年06月11日きれいにすることを心がけよう

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

いよいよ梅雨に入りました。この梅雨が明ければ夏本番!
海や山にでかけて楽しむ機会が多くなることでしょう。
伊豆半島にもそんな楽しめる場所がたくさんあります。
その中の1つ、大瀬崎(おせざき)は「ダイビングのメッカ」と言われるほど海がきれいな場所です。
※伊豆半島北西部の駿河湾に面している場所です。


(大瀬海水浴場とそこからの眺め。撮影時期:4月)

写真のように海だけでなく陸上の様子もとてもきれいな場所なので、ダイビング以外の目的で訪れる人も多いところですが、夏の時期には「ゴミ」が問題となります。
この場所を訪れた人が軽い気持ちで置いていったゴミ、台風など自然状況の変化によって海水浴場に流れ着く他地域からのゴミ・・・。



(6月9日巡視時の海岸の状態)

ペットボトルやプラスチックコップ、お弁当の空き箱などがありました。
このような状態を見ると悲しくなります。
私も巡視の際にゴミ拾いをしていますが、それ以上に地元の方々が定期的に清掃活動を行っているため、きれいな状態を保っているのが現状です。
国立公園などを訪れる人の1人1人が「ゴミを捨てない。きれいにする。」という心がけを持てば、状況はもっと良くなると思います。
自分が出したゴミは責任を持って自分で適切に処理することを心がけたいですね。

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2014年05月27日自然を感じる

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

もう5月も末、暑いと感じる日が少しずつ多くなってきました。
5月22日、伊豆半島東側に位置する城ヶ崎海岸(じょうがさきかいがん)の
遊歩道(ピクニカルコースと自然研究路)を巡視した際も、
木々の間を歩いているのにとても蒸し暑く感じ、夏が近いことを実感しました。
そんな木々の間を歩いていて、ふと甘い香りが漂っていることに気がつきました。
香りの正体はこちら。


トベラです。
海岸沿いを歩いているのに潮の香りではなく、
ほのかに甘いトベラの花の香りがしてくることに、少し驚きました。

さて、城ヶ崎海岸は植物も豊かですが、海岸の地形も見ごたえがあります。


左:柱状節理 右:ポットホール

この他にも、同じ柱状節理でもカーブしているものや、
溶岩がうねりながら流れてそのまま固まった様子など、
いろいろな岩の造形を間近に見ることができます。

伊豆半島にはあちらこちらに自然が作った地形を見られる場所【ジオサイト】があり、
2012年9月24日に「伊豆半島ジオパーク」として、日本ジオパークに認定されました。
そして、この城ヶ崎海岸も【ジオサイト】のひとつです。

今回紹介した岩の造形は、自然研究路にあるものです。
自然研究路は岩がゴツゴツして歩きにくかったり、
少し起伏があったりしますので、歩きやすい靴を履いてお出かけ下さい。
また、これからの時期は水分補給が重要になります。
しっかり準備をして、楽しく自然の中を歩きましょう。

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2014年05月14日天城山の自然

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

5月13日、天城自然ガイドクラブの方達と、万三郎岳(ばんざぶろうだけ)登山道の巡視を行いました。
万三郎岳は、伊豆半島最高峰(1406m※点検・補正調査の結果1m高くなりました)で日本百名山のひとつでもあります。
万三郎岳は、年間を通して登山できますが、5月中旬~6月上旬にかけてアマギシャクナゲが咲くことから、特に訪れる人が多くなります。
今回は、そのための登山道確認とアマギシャクナゲ等自然状況の確認を行いました。

まずはアマギシャクナゲです。

万三郎岳までの登山道脇に数カ所群生しているのを見られる場所があります。
今年は予想以上に花芽が多く、満開になるのがとても楽しみな状況です。
現在は写真のように、つぼみが膨らみ始めているところです。
木によってはすでに開花しているものもありましたが、
群生場所一帯が満開になるのは来週あたりからのようです。

また、登山道上にはブナの森を歩けるところもありますが、
今年のブナの森の地面にはブナの実生(みしょう)がたくさん顔を出しています。

左:実生  右:殻を付けたままの実生

実生は主に登山道脇に見られるので、登山道を歩いている分には踏みつけてしまうことはありません。
でも希に登山道にも実生が見られるので、できるだけ気をつけて下さい!

この他にも、オオカメの木の白い花、ドウダンツツジの鮮やかなピンク色の花、
足元にはミヤマシキミの白い花と赤い実、そしてアセビの花が甘い匂いをさせていたりと、
五感を刺激される巡視となりました。

登山道の状態については、降雨後ということもあり登山道上に水たまりができていたり、
滑りやすくなっているところがありました。
また、木製階段の間の土が流れて少々歩きにくいところがありますので通行の際にはお気を付け下さい。
花を見ていると、つい足元の確認がおろそかになるので、
視線を上に向ける時は“登山道の端によって立ち止まる”など、
他の登山者への配慮と自分の身を守る動作を心がけましょう。

最後に、この日見られた富士山の写真です。

(万二郎岳(ばんじろうだけ)下の展望地より)
左端に見える山が万三郎岳です。

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2014年04月30日天子ヶ岳(てんしがたけ)

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

天子ヶ岳(てんしがたけ)は、富士山西側にある天子山系の最南端の山で、標高は1330m。
天子ヶ岳という名前は「少し離れたところから見ると、山の形が天守閣に似ているから」ということが由来のようです。

4月23日、この天子ヶ岳の巡視を行いました。
4月半ばとは言え比較的標高が高いこの場所は、まだ樹木の様子が寒々しかったです。
特に山頂は、まだまだ春が遠いように感じられました。


天子ヶ岳山頂の様子

それでも、山頂までの登山道脇には確かに春が訪れていました。


左:キクザキイチゲ 中:エイザンスミレ 右:ヤマルリソウ

この日は少し雲がありましたが、天子ヶ岳山頂の展望地からは富士山を見ることができました。


天子ヶ岳へは、田貫湖(たぬきこ)から長者ヶ岳(ちょうじゃがたけ)を経て天子ヶ岳に至る登山道と、白糸の滝方面からの登山道があります。
白糸の滝方面からは、天子ヶ岳山頂間近の傾斜がとても厳しい上、大きめの石によって足元の不安定なところがあるので、ご利用の際には充分お気を付け下さい。
田貫湖からの登山道は比較的登りやすくなっていますが、油断してはいけません。
楽しく登山できるように下調べをして、装備をきちんと整えてお出かけ下さい!

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2014年04月09日伊豆山稜線

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

新年度が始まり1週間が過ぎました。
今年度もアクティブ・レンジャー日記をよろしくお願い致します。

伊豆半島の付け根部分の沼津市にある沼津自然保護官事務所周辺では、満開だった桜の木がすっかり葉桜となっています。
では、伊豆半島の標高が高い場所はどうでしょうか?
昨日、伊豆半島の西側の稜線に整備されている「伊豆山稜線歩道」を巡視した際には、マメザクラが満開から散り始めという様子でした。


近くで見ると一つ一つの花がかわいらしく可憐ですが、山の中に立っているマメザクラが満開だと、少しゴージャスな印象を受けます。
マメザクラの他にはヒサカキやアブラチャンの花なども咲いていて、高い場所でも確実に春を迎えていることを感じられました。

また、伊豆山稜線歩道を歩いていると時折動物に出会うことがあるのですが、今回初めて出会った動物がいました。


アナグマです。
私の気配を感じたのかしばらくこの体勢でじっとしていたので、私も立ち止まって様子を見ていたら、のそっと笹の中へ入っていきました。

伊豆山稜線歩道はその名の通り稜線にある歩道で、所々に展望地点があります。
今回巡視した場所の中(船原峠から仁科峠間)で最もオススメの眺望はこちらです。


(宇久須峠から仁科峠方面を見た様子)
目の前に広がる雄大な景色の中に続く歩道が見える、とても眺めの良い場所です。

この伊豆山稜線歩道は距離が長くアップダウンもあります。
コースの下調べ・食料や水分(特に夏)を始めとした装備など、しっかりと準備した上でお出かけ下さい。

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