富士箱根伊豆国立公園 沼津
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2019年05月22日美しい花と新緑が眩しい『天城山』
富士箱根伊豆国立公園 山田優子
みなさま、こんにちは!! 沼津管理官事務所の山田です。
今回は、ベストシーズンの『天城山』を紹介したいと思います。
日本百名山の一つである天城山は、伊豆半島最高峰の万三郎岳(1,406m)をはじめ、万二郎岳(1,299m)、遠笠山(1,197m)など伊豆半島のほぼ中心を東西に貫く連山です。東西の山稜部は富士箱根伊豆国立公園に指定されています。ブナやヒメシャラなどの原生林に覆われ、新緑や紅葉の季節はとくに美しい山です。
周辺には川端康成の名作『伊豆の踊子』で有名な泉質のいい温泉(湯ヶ島温泉、古奈温泉、月ヶ瀬温泉、白岩温泉)、渓谷(滑沢渓谷)、滝(浄蓮の滝、萬城の滝、河津七滝)なども楽しめます。また、天城山の年間降水量は4,000㎜超える多雨地帯で、苔や樹木が育つ最適な環境です。天城山の「天城」は「雨木」という語が由来であるとする説があるほどです。
こんな見所いっぱいの天城山ですが、今回は5月中旬から6月初旬ぐらいまで開花ラッシュの花たちの美しさを伝えたいと思います。
【 アマギシャクナゲ 2019.5.17撮影 】
まずは伊豆の固有種である「天城の花の女王」アマギシャクナゲです。大変人気の花で、シーズン時はアマギシャクナゲを目当てにたくさんの登山者が天城山に訪れます。例年の見頃は5月下旬頃から6月中旬です。淡紅紫色~紅紫色の花が満開になるのはこれからですが、キレイに咲き始めています。
天城山にはアマギシャクナゲを堪能できる「シャクナゲコース」と言う登山ルートがあります。
【 天城高原駐車場 ー 万二郎岳 ー 万三郎岳 ー 涸沢分岐点 ー 菅引分岐 ー 四辻 ー 天城高原駐車場 】
所要時間:約5時間程(個人差があります)のコースにたくさんの植物が点在しています。この登山ルートはまた詳しくAR日記で紹介したいと思いますので。お楽しみに!!
※整備予定ですが、登山道が荒れて歩きにくい所がありますので足下に充分気をつけて余裕を持ったスケ ジュールを立てて下さい。
関東の山に多くその名が付いたと言われるトウゴクミツバツツジです。標高の高い山に見られ、開花時期は5月中旬から6月上旬頃ですので、タイミングが合えばアマギシャクナゲと一緒に見ることが出来ます。紅紫色の花は緑の中でとても映え遠くからでも見つける事が出来ます。天城の山を彩り登山の疲れを忘れさせてくれます。
【 アセビ 2019.5.17撮影 】
今回は花期を少し過ぎたはずのアセビも咲いていました。開花時期は2月下旬から5月初旬頃で、枝先に壺形の小花を下向きにたくさんつけます。漢字で書くと「馬酔木」と書き、馬が食べると酔ったようにフラフラとした足取りになることからこの名が付いたと言われています。葉や茎に有毒がありますが、白くて小さい花が風に揺れている姿を見ると可憐でかわいらしく思えてしまいます。
【 ブナの原生林 2019.5.17撮影 】
そして、「森の女王」とも呼ばれるブナの原生林です。新緑が美しく見上げると空一面が緑です。ブナの森を歩くとフカフカしています。豊かな土壌によって雨水をたっぷりと蓄える事が出来「緑のダム(天然のダム)」とも言われています。またブナの果実はリスや動物たちの大好物です。ブナは森を豊かにし、命を育み雄大で美しい姿から「森の女王」と呼ばれているのでしょうね。
木々のこずえに若葉がしげり、森を抜ける風は本当に心地よく、いい季節がやってきました。手つかずの自然と山の空気を肌で感じることが出来ます。ぜひ天城山の美しい花と新緑を見に来て下さい。
2019年05月09日子供より大人が夢中!?『田貫湖ふれあい自然塾』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは!! 沼津管理官事務所の山田です。
今回は、富士山のふもと静岡県富士宮市、田貫湖のほとりにある『田貫湖ふれあい自然塾』に行ってきました。
田貫湖ふれあい自然塾は富士箱根伊豆国立公園の中にあり、環境省の自然学校第1号として2000年にオープンしました。入場無料で、雨でも遊べる2階建ての広い自然体験ハウスを中心に、『自然と人、人と人とのふれあい』に重点を置き、自然体験を通じて、自然を楽しみ、学ぶことから環境保全への関心を高め、日常の行動に結びつけてもらうことを目的とした施設です。スタッフが皆様の遊びと学びをお手伝い。スタッフとのふれあいや自然解説展示、自然体験プログラムが楽しめます。
【 田貫湖ふれあい自然塾 】
施設内は裸足もしくは靴下で遊びます。床がぽかぽかです。屋根裏で太陽によって温められた空気を送風ダクトで床下や建物内に送っています。その他にも間伐材や木くずを固めた「ペレット」(木)を燃やし温めるペレットストーブが使われています。実際に「ペレット」を触ることもできます。そして夏場は、屋根裏の暑い熱を送風ダクトで外に出すことによって室温の上昇をおさえてくれます。
この他にも、田貫湖ふれあい自然塾では環境と共生する工夫がほどこされています。
【 施設正面からの富士山 】
施設を入った正面は一面ガラスの窓、そして『富士山』です!!
本当にキレイです。みなさんは笠雲の種類をいくつ知っていますか?展示の中に『富士山の笠雲』の紹介があります。笠雲でこの後の天気が分かったりして面白いですよ。
【 今日の笠雲・富士山かさ雲図鑑 】
そして、天井を見上げるとなにやら3つの籠がぶら下がっています。これは『竹とんぼ』を高く飛ばして籠の中に入れるゲームです。竹とんぼって奥が深いんです。前に飛ばすだけなら簡単のように見えますが、ちょっとした手の動かし方で後ろに飛んでいってしまいます。ちなみに沼津のアクティブ・レンジャーは2人とも何度も後ろに飛ばしてしまいました。高く飛ばすのも前に飛ばすのもなかなか難しくて夢中で練習しましたが、残念ながら籠に入れることが出来ませんでした。練習していつか『金』の籠に入れてみたいですね!
施設スタッフの『竹とんぼ飛ばしのプロ』が丁寧に飛ばし方を教えてくれるのでチャレンジしに行ってみて下さい。
『田貫湖ふれあい自然塾』では毎月たくさんのイベントが開催されています。子供はもちろん大人も夢中になれるプログラムがたくさんあります。普段出来ない貴重な体験やたくさんの自然とふれあうことが出来るのでぜひ体験してみて下さい。
毎月のスケジュールはHPに掲載されていますのでチェックしてみて下さいね。
2019年04月11日自然に親しむ、現代版『東海道五十三次』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
皆さま、はじめまして!!
4月1日より沼津管理官事務所にアクティブ・レンジャーとして着任しました山田優子です。
静岡県に生まれ富士山をはじめ山と海に囲まれながら生活してきました。
この度、アクティブ・レンジャーとして自然を守るお手伝いが出来ることになりうれしく思っています。
沼津管理官事務所の管轄はとても広く、富士箱根伊豆国立公園の富士山の山頂部とその静岡県側、伊豆半島北半分と箱根の静岡県側になります。これから四季折々の情報をたくさん発信していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします!
今回は、先日初めて巡視に行った東海自然歩道について紹介したいと思います。
「東海自然歩道」は、東京高尾山から大阪箕面を結ぶ全長約1,700kmの長距離歩道です。日本の美しい自然や貴重な文化財を守り、多くの人々が足で歩いて自然の魅力にふれる健全なレクリエーションと情操教育の場として、昭和45年から整備されてきました。
この歩道は、沿線の自然保護をはかりながら、ハイキングを楽しめるように整備されています。野鳥のさえずり、清らかな渓流、木漏れ日が射し込む緑の林、めずらしい動植物の生態、そして由緒ある寺社や古墳などの文化遺産があります。 現代版の 『東海道五十三次』 となっているそうです。
【 標識看板 】
今回はその中で、富士宮市北部にある朝霧高原周辺の、静岡県と山梨県の県境バス停から割石峠(県境)誘導標識を登り、標識看板を左へ、根原口バス停までを周り戻ってくる1時間30分程のルートです。
沼津管理官事務所が管理する看板、木橋や、ロープ手すりなどをチェックしたり、木や石が登山道を遮っていないかなど確認しながら、登山道を進んでいきます。
【 玉雪 】
途中、切り株の根元にまだ雪が残っていました。発砲スチロールのような小さな丸が集まったような雪で
『玉雪』と言って、比較的あたたかい時期に降る雪です。なんだかかわいいですね。
『バイケイソウ』の芽も出ていました。『バイケイソウ』は6月から8月に、梅の花に似た緑白色の花を房状に多数つけます。葉は長楕円形で先が尖っています。若芽は山菜のオオバギボウシやギョウジャニンニクの若芽に似ていますが、有毒で、誤食すると血管拡張作用があり血圧低下を引き起こし重篤な場合死に至るのでお気をつけください!
木橋にクルミの殻が落ちていました。リスが上手に割って食べたのでしょうか?想像すると山歩きが楽しくなりますね。人々が足で歩いて自然と触れ合えるように整備されてきた自然歩道ですが、動物たちもこの歩道を使っているのでしょうか?
玉雪や植物の芽、動物の活動など、山の春を感じることが出来ました。
県が整備している新しく建設されたトイレです。
キレイで気持ちよく使えてトイレがあると女性は安心出来ますよね。
山から下りてくると正面に富士山が見えてきます。何十年も見てきましたがその存在に圧倒されますし、季節折々の顔があり見る場所によっても見え方が違い飽きませんね。
このコースは、普段登山をしない方でも短い時間で自然を感じながらいい運動になり、またこれから夏に向けて登山をしようと思っている方も準備運動におすすめです。
途中、登山道が狭くなっている場所が何ヶ所かあるので、しっかりと足下を確認しながら楽しんでいただけたらと思います。
これから沼津の広い管轄を生かし、いろんな顔の富士山も随時お届けできたらいいなと思っています。
たくさんの人の意識に自然を大切に思う心や、「自然っていいなー」と思ってもらえるような活動をしていけるように日々がんばっていこうと思っていますのでよろしくお願いします!!
沼津管理官事務所 山田優子
2019年03月13日越前岳・黒岳登山のおすすめスポット!
富士箱根伊豆国立公園 松岡宏明
皆さま、お久しぶりです!
沼津管理官事務所の松岡宏明でございます。
今回は、自分が先日巡視で行ってきた越前岳・黒岳について紹介したいと思います。
越前岳と黒岳は、いわゆる愛鷹山系の一部で、越前岳山頂付近が国立公園第二種特別地域、その周辺が普通地域に指定されています。
十里木高原駐車場からスタートすれば、越前岳山頂まで2時間ほどで登頂できますし、駐車場は無料で、トイレもあるので、初心者の方にもおすすめです!また、登山中に振り返ると富士山が目の前にどーーんと望むことが出来て、楽しく登山ができるのがこのコースの特徴です。駐車場から10分ほど登ったところにある十里木高原展望台は、富士山の景観を気軽に楽しむことができるスポットです。
△十里木高原展望台と富士山
いかがでしょう!目の前に富士山があって、それが気軽に楽しめるなんてすばらしいですね!
先述した通り、越前岳には2時間ほどで到達できるので、それだけでは少し物足りないと思う方には、黒岳にも足を伸ばしてみることをおススメします。というのも、越前岳山頂から黒岳へ向かう道中には、富士見台という場所があり、そこから望む富士山が「富士山の見える風景100選」(http://kanto.env.go.jp/to_2017/post_94.html)に選定されています。その選定地から見た風景が下の写真です!
△富士見台から望む富士山
ここから望む富士山は宝永火口がぱっくりと口を広げている様が目の前に見えるので、非常に印象深いと思います。さらに、この場所は富士山の撮影に一生を捧げた岡田紅陽が幾度となく撮影を行った場所で、今ではまったく馴染みがありませんが、昭和13年に発行された50銭紙幣の図案に採用された富士山は、この場所から撮影されたものになります。岡田紅陽の写真はどれも素晴らしいのでチェックしてみてください。
さてさて、肝心の黒岳山頂からの富士山も素晴らしいですよ!
△黒岳山頂と富士山
黒岳山頂にはベンチやテーブルがあって、越前岳山頂ほど人がいないので静かな時間を過ごすにはうってつけの穴場スポットです。富士山を眼前に望みながらぼーっとして、コーヒーでも飲めれば最高ですね!
越前岳、黒岳のこのコースは初心者の方でも安心して登れるコースにはなりますが、リスク管理も忘れてはいけないポイントです。時期によっては雪が多く雪山の装備(ピッケルや10本爪以上のアイゼン)が必要な場合もあります。自分が登った時は越前岳、黒岳には多少雪が積もっている程度で、雪山装備までは必要ありませんでしたが、チェーンスパイクや軽アイゼンは必ず持っておくことを強く薦めます。そうすれば、下山の時の転倒やスリップのリスクが格段に少なくなり、怪我なく楽しく登山を出来る助けになります。防寒具はもちろんのこと足元の装備も揃えて登山に臨んでみてください。
上記の通り、気軽に楽しく登山ができるコースなので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
沼津管理官事務所 松岡宏明(まつおか・ひろあき)
2018年08月31日富士山は車両、自転車進入禁止!
富士箱根伊豆国立公園 松岡宏明
皆さまこんにちは!沼津管理官事務所の松岡宏明です!
8月も終わりに近づいて、もう明日から9月になってしまいますね!早い!
そして、富士山閉山まであと1週間ほどになりました。最後まで計画的で安全・安心な登山を心がけてくださいね!
さて、皆さまは富士山登山中に下の写真のような看板を見かけたことがありますか?
富士山はスコリアという砂礫で覆われていて、火山ならではの景観と貴重な植生(フジアザミ、オンタデ、コメツガ、シラビソ等)が広がっています。しかし、過去にオフロード四輪車やバイク、四輪バギー、自転車で貴重な植生がある場所に乗り入れてしまう人がいました。なので、この看板は、そのような人たちから国立公園の景観や植生を守る為に設置されたものです。
今回の巡視では、非常に重要な役割を担う看板の位置情報の再確認、損傷等がないかの確認を行ってきました。
上の写真のように、看板の位置情報をGPSに落として、手元の地形図を見ながら確認していきます。とても広い範囲に点在していることから、根気のいる作業でしたが、そんな我々を癒してくれるのは富士山の雄大な風景でした。
上の写真は須走口五合目から自然休養林道に入ったところにある小富士からの風景です。夏の富士山も雄大でかっこいいですね!とても静かで、のどかな場所なので、ピクニックを楽しんでいる利用者もいました。このような方々をみているとなんだか気持ちがほっこりします。
しかし、オフロード車等が公園内に入ってきてしまうと富士山の景観や植生だけではなく、人々が自然を楽しむ機会やのどかな時間も失われてしまいます。
富士山は自動車・バイク等は乗り入れ禁止です!絶対にやめてください!
沼津管理官事務所 松岡宏明(まつおか・ひろあき)
2018年08月28日お盆期間中の富士山について
富士箱根伊豆国立公園 松岡宏明
皆さまこんにちは!沼津管理官事務所の松岡宏明です!
閉山まであと二週間となりましたが、富士山は引き続き非常に賑わっています。
普段から登山者の多い富士山ですが、土曜日、日曜日、祝日の時期は特に混雑します。
そして、山が混雑すると問題になるのは、やはりゴミの問題です。
大変悲しいことに私たちが巡視の際に回収したゴミの量は、登山者数が多いと増える傾向にあります。
そして、富士山が最も賑わうお盆の時期もたくさんのゴミが捨てられていました。
その様子については環境省と山梨県、静岡県が共同運営する富士登山オフィシャルサイト(http://www.fujisan-climb.jp/index.html)の富士山日記で、どんな種類のゴミが多いかをご紹介しました。
▼富士山のゴミ、少しの気遣いで減らせます!
http://www.fujisan-climb.jp/todays/diary/20180817_fujisannogomi.html
ただ、今回お盆期間中に巡視をした際には少し様子が異なっていました。前回が意図せず落ちてしまったと思われる小さなゴミやウォーキングポールの先端キャップ、手袋などが多かったのに対し、明らかに意図的に投げ捨てたと思われるコンビニ袋に入ったゴミや、使わなくなったビニール合羽を沢山拾いました。
大多数の方がマナーを守ってくださっている中で、少数の心無い人の行為に本当に悲しくなります。
△登山道脇に投げ捨てられたゴミ(8月13日@須走ルート)
△回収したビニール合羽(8月14日回収分@吉田ルート)
一方で年々、海外からの登山者も増え、多国籍化しています。
国が違えば文化も違いますので、ゴミを捨ててはいけないというルールを知らない方もいるかもしれません。言葉も文化も違う方々にどのように国立公園のマナーを周知していくか、は今後の課題ですが、ゴミのない所にゴミは捨てづらいはずです。
また、富士山では「カントリーコード」という美しい富士山を後世に受け継いでいくためのルールが定められています。登山をする前に下記リンクから一読していただけると幸いです。
▼富士登山のルールとマナー
http://www.fujisan-climb.jp/manner/index.html
一人一人がゴミを拾い、持ち帰る、意識を持つことで富士山の景観が守られ、快適かつ安全に登山ができると思います。
みんなで美しい富士山を守っていきましょう!
沼津管理官事務所 松岡宏明(まつおか・ひろあき)
2018年08月16日天城山自然観察会―八丁池とブナの森を巡るコース―を開催しました!
富士箱根伊豆国立公園 松岡宏明
皆さま、こんにちは!沼津管理官事務所の松岡宏明です!
いきなりですが、8月11日(土)が何の日かご存知でしょうか?
この日は「山の日」という祝日で、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日として成立した日です。以前にも記事にしましたが、沼津管理官事務所でも自然観察会を開催していました。
今回は、伊豆半島にある天城山周辺の森や八丁池をめぐるコースを、天城自然ガイドクラブという、いわゆるプロのガイドの方々に、このコースの案内をしていただきました!
東京や神奈川といった県外にお住まいの方や伊豆半島に住んでいる地元の方など36名に参加していただき、環境省のスタッフとガイドたちを合わせて総勢50人を超える大所帯で、5つの班にそれぞれガイドが二人以上つくという非常に豪華で規模の大きい観察会になりました。
△開会式の様子
ガイドの方からは道中の樹木や植物、そこに暮らす生き物たちの生態について、天城山周辺の地形や地質について、国立公園の保護地域に関する話や鹿による食害の問題(鹿が森の木の若芽や樹皮、草などを食べすぎることで森林における次世代の更新がうまく行われなくなり、結果的に山の保水力などを引き起こしてしまう問題)、なぜこの森林が重要なのかという根本的な問いなど、基本的な部分から難しいことまで優しく丁寧な言葉で説明をしていただきました。
また、参加者が実際に木と触れ合う時間も取られていて、参加者は樹皮に触れてみたり、においをかいでみたり、抱き着いてみたりされていました。その中でも人気だったのは、ヒメシャラの木で、この木の特徴として外樹皮がツルツルしていて、水が通る導管と外樹皮が近いため、人が触れると冷たく感じます。観察会当日は少し蒸し暑かったので、ヒメシャラの木に抱き着いてクールダウンしている方もいました。
△ヒメシャラと天城山における鹿による食害の説明を受ける参加者
※木幹の左下部分が鹿に食べられてしまった箇所
△抱き着いてみるとひんやり冷たいヒメシャラ
さらに、なんといってもこのコースの目玉はブナの巨樹で、中には名前をつけられるほどの名木もあり、参加者は写真を撮ったり、周囲を歩いてみたり、触ってみたりと思い思いの楽しみ方をされていました。
△天城山周辺のブナの特徴について説明を受ける参加者
朝から夕方までどっぷりと天城山周辺の自然を堪能した参加者の皆さまに少しだけ観察会後に感想を伺いました。
地元の方々にお話を伺うと、「自分が住むすぐ近くにこのような素敵な場所があるなんて実感していなかった」、「魅力の再発見につながった」と語る方もいらっしゃいました。また、県外から来られた方からは、「自然との親しみ方を学ぶいい機会になった」、「幻想的なブナ林の風景に心癒されました」という話をされている方もいて、まさしく、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」を体感する日になったのではないでしょうか。
皆さまも伊豆半島や天城山周辺にお出かけしてみてはいかがでしょうか?
沼津管理官事務所 松岡宏明(まつおか・ひろあき)
2018年07月17日天城山自然観察会開催のお知らせ
富士箱根伊豆国立公園 松岡宏明
皆さまこんにちは!沼津管理官事務所の松岡宏明でございます。
突然ですが、8月11日は何の日かご存知でしょうか?」
はい!そうです!「山の日」です!!
山の日は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨に、2016年から施行された祝日です。なので、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
そんな素晴らしい日に、伊豆半島の天城山にある八丁池とその周辺に広がるブナの森にて自然観察会を行います!
△イベントチラシ表面
※クリックで拡大可能
※クリックで拡大可能
2018年4月17日にユネスコ世界ジオパークにも認定された伊豆半島にある天城山の遊歩道を歩きながら、天城を代表するブナなどの原生的な自然とその成り立ちを、プロのガイド達が楽しく解説する観察会です。
ちなみに、当日は下の写真のような風景が観られますよ!
いかがでしょうか?この写真に写っているのはごくごく一部ですし、実物の樹はとーっても大きいですよ。
このような様ざまな形をしたブナの巨木やヒメシャラなどの豊かな広葉樹林を楽しむことができます!
これを機に登山を始めてみたいという初心者の方や天城山周辺は一度登ったことあるけど詳しくは知らないという方、自然に癒されたいというそこのあなたも大歓迎です。
奮ってご参加ください!どうぞよろしくお願いします!
なお、イベントの詳細は以下になります。ご確認ください。
【天城山自然観察会 -八丁池とブナの森をめぐるコース-】
▼日時
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平成30年8月11日(土・祝日)
※荒天時平成30年8月12日(日)に延期予定
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▼コース・歩行時間(休憩・ガイド時間は除く)
八丁池とブナの森をめぐるコース(静岡県 伊豆半島 天城山)・約4時間20分
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▼募集定員(先着順)・対象
40名・小学5年生以上
※小・中学生は要保護者同伴。
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▼応募締め切り
8月3日(金) 必着(定員になり次第締め切り)
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▼集合場所 ※いずれかにお集まりください。
・伊豆箱根鉄道 修善寺駅南口 バス乗り場(無料駐車場なし)
受付開始7時30分 8時出発
・道の駅「天城越え」昭和の森会館 バス停前(無料駐車場あり)
受付開始8時15分 8時45分出発
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▼解散
・道の駅「天城越え」昭和の森会館 バス停前 15時45分
・伊豆箱根鉄道 修善寺駅南口 バス乗り場 16時30分
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▼費用
無料
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▼持ち物
登山(散策)ができる服装・登山靴(運動靴)・帽子・雨合羽(上下に分かれたもの)・ザック・水筒(飲み物)・昼食など
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▼主催等
主催:環境省関東地方環境事務所
協力:伊豆市観光協会 天城支部 天城自然ガイドクラブ
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▼応募方法
メールまたはFAXで下記の内容を事務局までお送りください。
①氏名 ②性別 ③生年月日(小・中学生は学年も) ④住所
⑤電話番号(参加希望者全員)⑥集合場所(修善寺駅、道の駅「天城越え」)
【申し込み宛先】
伊豆市観光協会 天城支部内 天城自然ガイドクラブ事務局
メール:yamanohi@izu-angc.org FAX:0558-85-0766
【お問い合わせ先】
伊豆市観光協会 天城支部内 天城自然ガイドクラブ
電話:0558-85-1056 担当:杉本(月・水・金曜日のみ)
以上
2018年07月13日2018年富士登山夏山シーズンが始まりました!!
富士箱根伊豆国立公園 沼津 松岡宏明
皆さまこんにちは!沼津管理官事務所の松岡宏明でございます。
ついに、今年も富士山登山の夏山シーズンが始まりました!!
7月1日(日)に富士山の山梨県側(吉田口)、7月10日(火)に静岡県側(須走口・御殿場口・富士宮口)が開山となりました。
私自身は開山の準備のために9日から山頂に入り、10日の開山を迎えました。
山頂には御来光を目的とした方々がたくさんおり、非常に賑わっていました。
9日の夜は雨が降っていましたが、10日の早朝には快晴になり、見事な御来光を望むことができました。
光に包まれてなんだか思わず手を合わせてしまいそうな情景ですよね!
しかし、大変悲しいことに軽装で登山してしまったせいで、御来光を待つ間寒さに体を震わせている方や疲労が溜まりすぎてうつむいたままの方も多く見受けられました。せっかくの綺麗な風景もそんなことでは台無しです。
「富士山」は皆がよく知っている場所ですが、登る山としての富士山は広く知られているとは言えません。富士山が日本一高い標高の山であること、その登山道は険しく時間がかかること、登山には一定以上のリスクが存在していることなどを再度認識していただきたく思います。
登山の前には、自分の体力に合った計画や山登りをする準備をきちんと行い、登山中も十分に注意して歩行してください。
以下のリンクから富士山についての情報等を集められるので、登山をする前に確認されるといいかもしれません。また、富士山山頂が混雑し、登山道が渋滞してしまうような問題もあります。混雑予想カレンダー等も参考にして、混雑を避けてスムーズな登山を心がけるようにしてください。
そして、富士山の美しい景観や文化を思いっきり楽しんでください。
それでは皆様良い登山を!
▼登山前に必ず知っておくべきこと(富士登山オフィシャルサイト)
http://www.fujisan-climb.jp/basic/index.html
▼富士山をより楽しむために(富士登山オフィシャルサイト)
http://www.fujisan-climb.jp/hospitality/index.html
▼混雑を避けて、安全・快適な富士山へ(富士登山オフィシャルサイト)
みなさま、こんにちは!! 沼津管理官事務所の山田です。
ついに関東も梅雨入りしましたね。しばらくは天気を読みながらの巡視になりそうです。
夏は得意ではありませんが、夏山には早く登りたいとワクワクしている今日この頃です。
先日、静岡県沼津市の大瀬崎海岸で行われた、環境省・日本財団共同の取組の1つである「海ごみゼロウィーク」 "これ以上海にごみを出さない"という社会全体の意識を高めるためのプロジェクトに登録の、海中・海岸の環境保護を目的とした清掃「フレッシュ大瀬ダイバーズデイ」にレンジャーと参加しました。
【 清掃参加受付 】
【 清掃の様子 】
参加者は関係者も含め約600名とたくさんの方が清掃に参加して下さいました。
ダイバーの方は海底を潜りながらゴミを集め、私たちは海岸周辺のゴミを拾いました。
レンジャーと二人で90ℓゴミ袋3つ、45ℓゴミ袋3つ分のゴミを回収しました。午前中の数時間でこのゴミの量です。特に多かった物は発泡スチロール、コンビニのお弁当の容器や、おにぎり・パンの袋、ペットボトルです。他にはボールや、縄、網、肥料袋、育苗ポットなども多く見られました。この中で劣化している発泡スチロールは、強く掴むとバラバラになるので慎重に回収しました。海岸の石の隙間に入ってしまったゴミはなかなか回収が難しく拾えない物もありました。
【 レンジャーと回収したゴミ 】 【 集められたゴミ 】
午後からは、大瀬フォトコンテスト等のイベントが行われて、大瀬の海をこよなく愛するダイバー達の、よりすぐりの写真がプロの写真家によって評価・表彰されました。どの写真も絶妙なタイミングで撮られていて、深さにもよりますが30分程の潜水時間で奇跡の瞬間に出会えた運と写真技術はすばらしいと思いました。コンテストで選ばれた写真は来年(2020年)の大瀬カレンダーに使われるそうです。
私も写真を見ていて、久しぶりに大瀬でダイビングがしたくなりました。
大瀬崎は、駿河湾に約1㎞突き出した半島で、珊瑚礁やカラフルな熱帯魚が見られ透明度も高いのでダイビングの名所として有名です。夏は海水浴でにぎわい、岬の先端にある「大瀬神社」や「神池」など観光スポットもあります。伊豆七不思議の1つ「神池」は海岸からほんの数十mしか離れておらず、標高も1mほどなのに海水は含まれておらず、鯉やナマズなど無数の淡水魚が生息しています。また、周辺は天然記念物のビャクシン樹林が群生しています。海越しに富士山を望むこともできます。
【 大瀬神社 】
【 神池 】
【 天然記念物ビャクシン 】
これから梅雨が明け本格的な夏が来ます。レジャーで海や山に行く機会も増えると思いますが、ぜひ自分のゴミは自分で持ち帰る、決まったゴミ捨て場に捨てるなど、少しでも意識してレジャーを楽しんでいただけたら嬉しいです。平地で捨てられたゴミが、川を流れ海流に乗って最終的に海に漂着することもあります。たくさんの人が、どこにいてもゴミを捨てない意識を持って生活出来たらいいですね。