富士箱根伊豆国立公園 沼津
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2019年09月30日伊豆山稜線歩道『金冠山』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
気がつけば9月も終わりです。今年の夏は富士山に始まり気がついたら、あっという間に秋が来てしまいました。
秋と言えば、食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋など楽しみなことが多いですね。また、ハイキングにもってこいのシーズンです。これから紅葉の始まる伊豆の山々を何回かに分けて紹介していきたいと思います。
今回紹介するのは伊豆山稜線歩道の北側にある「金冠山」です。標高は816mの山です。
富士箱根伊豆国立公園指定80周年記念として、2017年に「日本のシンボルである富士山の魅力を発信し、より多くの人々に富士箱根伊豆国立公園に親しみをもっていただく」ため、代表的な富士山の展望地を"富士山がある風景100選"として選定しました。
金冠山はこの100選に選ばれた場所の1つです。
【 冬の金冠山山頂から望む富士山 】
伊豆山稜線歩道は修善寺自然公園から天城峠までを結ぶ約42kmの自然歩道です。歩道は整備されていて、比較的なだらかです。途中登り応えがある場所もあるので、健脚な方も満足できるコースがあると思います。明るく開けた歩道が多く日よけが少ないので、夏の暑い時よりこれからの季節が歩きやすいと思います。コースの途中に富士山や南アルプスなどが望めるポイントがありますので、体力と時間を考えながら計画を立てて下さい。
金冠山の頂上へは、一番近くて戸田峠にある駐車場から整備された登山道を20分~30分歩けば到着します。戸田峠から気をつけて道路を渡り、整備された舗装路を歩いて行くと芝の歩道に変わります。「だるま山高原レストハウス行き」の分岐看板を「金冠山」方向に進むと、山らしい土と石の歩道になり木製階段を上がります。両脇に低木と歩きやすい芝の歩道になったら山頂は目前です。どうですか?あっという間です。
登山は苦労して何時間もかけないと絶景が見られないと思われがちですが、ここは少しがんばれば山頂から高山に負けないくらいの、駿河湾や富士山、南アルプスをはじめとした山々を見渡せる眺望が広がっています。ぜひご自身の目で確認してみて下さい。
【 金冠山山頂から望む駿河湾 】
山頂からは、写真の中央の山々が沼津アルプスで、その手前に沼津の街が見えます。駿河湾の右側の丸い島が淡島です。島全体が無人島水族館で、釣り堀や珍しいカエルを展示しています。
【 山頂から望む戸田港 その奥に見えるのは静岡市清水区・三保の松原周辺 】
【 山頂直下のクマザサに覆われた登山道 】
金冠山山頂から少し北西に下るとクマザサに囲まれた開けた場所があり、こちらも眺望がすばらしいです。山頂から5分くらいの場所なので、この辺りまで足を運んでみるのもいいかもしれません。気持ちいい風を感じることが出来ますよ。
コースも色々なパターンで組むことが出来ます。戸田峠から金冠山の短いコースなら、動きやすい服装(上着)と靴、十分な水分等があれば観光の途中に寄ったり、普段登山をしない人でも無理なくすばらしい景色を見ることが出来ます。
<コース例>
修善寺自然公園→だるま山高原レストハウス→戸田峠→金冠山 (所要時間:約3時間30分)
だるま山高原レストハウス→金冠山 (所要時間:約1時間)
戸田峠→金冠山 (所要時間:30分)
伊豆山稜線歩道は上記で説明した"100選"で選定された場所が4つもあります。また随時紹介していきたいと思いますので楽しみにしていて下さい。
縦走を計画の際は、稜線の開けた場所を歩き直接風を受ける場所が多いので、防寒対策などきちんとした装備でお出掛け下さい。
また、今回紹介しました金冠山ですが、西側の真城峠からも山頂を目指せる歩道があります。こちらの歩道は台風15号の影響で倒木が多く、一部歩道を歩けない場所があるので戸田峠からの入山をおすすめします。
▼富士箱根伊豆国立公園"富士山がある風景100選"
2019年09月05日8月末の富士山の様子
富士箱根伊豆国立公園 沼津 松岡宏明
皆さまこんにちは!
沼津管理官事務所の松岡宏明でございます。
富士山閉山も間近に迫ってきました(閉山は9月10日です)。開山からあっという間に二ヶ月が過ぎ去っていった気がします。
さて、先週8月29日に富士山巡視へ行ってきました。富士宮口五合目に到着し、山頂を見上げてみると、その付近の雲がとても早く移動していて、猛烈な強風が山頂付近に吹き荒れていることを示唆していました。五合目から標高を上げるにつれて、風速もどんどん上がり、八合目に差し掛かる頃には立っているのがやっとなほどの強風に加えて、スコリアが飛ばされてバチバチと身体にめがけて飛んでくるような状況でした。さらに、上空には異様な形をした雲が現れていました。(どうやらこの雲は吊るし雲というものらしいです)
▲上空に現れた異様な形をした雲(吊るし雲)
状況をみて、身の危険を感じたので、山頂までは行かずに八合目で引き返して、下山しました。
皆さんもご存知だと思いますが、富士山は標高3776mの日本で一番高い山です。そして、独立峰なので遠方の気象状況の影響も受けやすいことから、非常に雲の動きや天候等が非常に読みづらい場所です。なので、事前準備や下調べはもちろん必要ですが、現場での咄嗟の判断も必要になってきます。
また、登山等で自然の中に入っていくことは、とても楽しいことですが、リスクがあるということも忘れてはいけません。リスクを感じたら、引き返す・下山するという選択肢もあることを認識しておいてください。
登山時には風に吹かれてしんどい思いをしましたが、下山時に通った宝永山の風景がとても綺麗で癒されました。
▲宝永山の風景
このように、富士山の側火山や山麓にも素晴らしい風景があるので、無理に登頂しようとはせずに、登山途中で身の危険を感じたら計画を変更してみてください。
閉山まであと少しとなりました。最後まで登山者の皆さまが無事に下山出来ることを願っております。
沼津管理官事務所 松岡宏明(まつおか・ひろあき)
2019年08月22日富士山の植物『富士宮ルート編』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは!!沼津管理官事務所の山田です。
毎日暑い日が続いていますが8月も終わりに近づいています。
早いもので富士山も後20日で閉山です。
山では植物も夏から秋へと徐々に変化しています。日もだんだん短くなっていますので、これから富士登山を計画されている方は、日の入りの時間を確認して行程を立てられる事をお勧めします。
今回は、富士宮ルートの植物を紹介したいと思います。
前回の須走ルートとは違い登山道入口から視界が開けていて同じ富士山でもイメージがかなり違います。岩場やスコリアに植物が点々と群生していますので、疲れて下を向きながら歩いている時、ふと岩場から顔をのぞかせている高山植物に元気をもらえるかもしれません。
~富士宮ルート~
富士宮ルートは全ての登山道の中で一番高い標高2,380mから登りはじめます。
登山道入口で標高2,000mを越えていますので、準備をしながら30分以上の高所順応をお勧めします。
登山道は岩場が多く、登りはじめは緩やかに登っていきますが、段々と急になっていきます。登山道と下山道が同じなので、すれ違いに気をつけて下さい。また、下山で足が疲れてくると不安定な岩場から足を滑らせたり、つまづきやすいので最後まで注意しながら下山して下さい。
【イワツメクサ】
高山の砂れき地や岩場の隙間に群生し、葉が細く曲がり尖っていて鳥の爪に似ていることから名前が付けられました。花は1㎝くらいの小さな白い花が咲きます。深く切り込まれた花びらが10枚に見えますが実は5枚です。開花時期は7月~9月上旬頃。
富士宮ルートの五合目から七合目付近でたくさん見ることが出来ます。岩の間から小さな白い花が揺れているので見つけやすいと思います。開花時期が長いので、開山期間中は登山道の至る所で見られると思いますので探してみて下さい。
【オンタデ】
標高1,400m~3,300mと広範囲の砂れき地に生息する高山植物で富士山に最も多く見られます。花は黄白色の小さな花の集まりです。開花時期は6月~9月。富士宮ルート五合目から八合目で見ることが出来きます。
遠くから見ると花に見えませんが、とても可愛らしい小さな花です。オンタデは高所から雪崩などで低標高に運ばれたと言われていて、今では登山道入口より下でも見ることが出来ます。大きく目立つので、登山中に何度も見かけると思いますので覚えて行って下さい。
【コケモモ】
高山の日当たりのいい岩場や砂れき地に生息する樹木で、花は白や薄いピンク色の鐘形で下向きに咲きます。開花時期は6月~8月。花が終わると1㎝程の赤い果実をつけ、食べると酸味がありジャムなどに使われます。富士宮ルートの五合目から六合目の間で見ることが出来ます。夏から秋、花から実へと四季のうつろいを感じて下さい。
【ミヤマオトコヨモギ】
亜高山帯から高山帯の岩場や砂れき地に生息します。茎は斜めに伸びて、花は茎に対して少し大きめで下向きに咲きます。開花時期は7月~9月。
富士宮ルートの五合目から九合目まで見られます。登山道のたくさんの場所で見ることが出来ます。重たそうに花をぶら下げているので、観察してみて下さい。
【ムラサキモメンヅル】
亜高山帯の標高2,000~2,500m付近に地を這うように群生しています。薄紫色の花が咲きます。花が終わると上向きに袋状の実を付けます。開花時期は7月~8月。
富士宮ルート五合目から六合目で見ることが出来ます。春によく見かけるレンゲソウと似ているので、富士山で紫色のお花畑を楽しんで下さい。
【ヤマホタルブクロ】
山地から亜高山帯の砂れき地に群生する多年草です。大きな鐘形の白色やピンク色の花が下向きに咲きます。ガクが反り返っていないのが「ヤマホタルブクロ」で、ガクが反り返っているのが「ホタルブクロ」です。開花時期は7月~9月。
富士宮ルートの五合目から六合目付近で見ることが出来ます。名前の通り、昔この袋のような花の中に蛍を入れて遊んだと言われています。今が見頃でキレイに咲いています。
須走ルート、富士宮ルートと富士山の植物について書いてきましたが、どちらも下向きに咲く花が多いですね。この他にもたくさんの植物が富士山には群生しています。
富士登山は自然を楽しむ事より、御来光や登頂することを目的とされている方が多いと思いますが、足下には高山植物がたくさんあります。ぜひ高山植物を楽しむ余裕を持った行程で安全登山をお願いいたします。
▼富士登山オフィシャルサイト
2019年08月07日梅雨明け初の『富士山』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは!! 沼津管理官事務所の山田です。
8月1日(木)に富士山富士宮・御殿場(プリンス)ルートの巡視に行ってきました。
早いもので開山からもうすぐ1ヶ月です。山肌には雪がなくなり、すっかり夏の富士山になりました。
巡視の朝は快晴で梅雨明けを感じていましたが、標高が上がるにつれて薄曇りの中の登山になりました。
しかし、登山道脇の植物はここ1ヶ月で随分大きくなったのを感じました。
【6月26日:富士宮五合目から富士山様子】 【8月1日:富士宮口五合目から富士山様子】
※山頂付近にまだ雪が残っています ※緑が山頂付近まで増えました
気温も高く薄着で登山されている方も多くみられました。
登りはじめは薄着でも大丈夫ですが、標高が高くなると気温が下がり(標高差100m毎に-0.6℃)山頂では真夏でも真冬並みの気温になることもあります。休憩中などに、汗で体が冷えてしまうので防寒着は必ずお持ち下さい。
登山道はこの時期にしては比較的空いていました。
子供達の夏休みが始まり、小さなお子さんや、小学生・中学生をたくさん見かけ、すれ違う子供達の「こんにちは!!」にはたくさん元気をもらいました。
巡視の際、どこにいっても挨拶を交わしますが、国や年齢を越えて心が通い合えていいなと思います。
長い登山で下を向きがちですが、顔を上げて挨拶すると「がんばろう!」という気持ちになります。
また、小さな子供の下山の様子を見ていると、両親より先に元気よく降りてきていました。富士山のルートは迷いにくいですが、保護者の方は下山の際疲れていても足場は細かい溶岩や岩が多いので、小さなお子さんから目を離さないようにして下さい。
また、団体の登山者も多く見られましたが、これから登山道が混み合ってきますので、基本登り優先ですが、登山道が狭いところもありますので、譲り合って楽しい登山にして下さい。
【混み合った登山道の様子】
登山道のゴミは少なかったですが、無意識に落としてしまった飴の袋や、休憩中に置き忘れた帽子・手袋、ペットボトル、飲料缶などが見られました。休憩後、出発する時は振り返り自分の居た場所に忘れ物がないか確認して下さい。
引き続きゴミの持ち帰りにご協力お願いいたします。
【山頂から見た剣ヶ峰の様子】 【宝永山山頂にいたツノアオカメムシ】
2019年07月30日富士山の植物『須走ルート編』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは!!沼津管理官事務所の山田です。
やっと梅雨が明けました。いよいよ夏本番です。
今回は、富士山の植物を登山ルート別に紹介したいと思います。まずは須走ルート編です。
富士山はどんなイメージですか?
以前、富士山のルールについて書いた時に少し触れましたが、五合目から七合目くらいまでルートによってばらつきはありますが、皆さんが思っている以上に高山植物が生息しています。
富士山は標高が高く気温が低いので、平地では見頃の過ぎた植物もこれから見頃を迎えたりします。
今年は梅雨が長かったこともあり、山小屋さんの話では高山植物の開花が遅れているそうです。
梅雨が明け、これからたくさんの高山植物が次々と咲き始め登山道を華やかにしてくれることでしょう。
日本一の山「富士山」ですから、どのルートも登頂に多くの時間を要します。
その登山の疲れを一瞬でも癒やしてくれる高山植物を紹介したいと思いますので、これから登山を計画している方は、お目当ての高山植物を決めて探してみたり、ルートによって見られる植物が違うので、ルート決めの参考にするのもいいかもしれません。
~須走ルート~
須走ルートは標高1,970mから登りはじめ、本八合目で吉田ルートと合流します。
五合目から六合目付近まで樹林帯の中を緩やかに登り、八合目から岩場になります。
富士宮ルートに比べて距離も基準登山時間も長いですが、少しずつ標高を上げていけるので、高所順応しやすいと思います。
五合目のスタートから樹林帯の中を登りますので、緑が多く他のルートとは一味違う楽しみ方が出来るルートです。
【ベニバナイチヤクソウ】
山地帯から亜高山帯の明るいところに群生し、茎は赤みを帯び蛇行して曲がっています。花は淡いピンク色で下向きに咲きます。開花時期は6月~8月上旬頃。
須走ルート五合目から六合目付近で見ることが出来ます。一面に広がって咲いている場所があるので、見つけやすいと思います。小さくて可愛らしい花で登山道の脇にあるので近くで観察してみて下さい。
【ツマトリソウ】
亜高山帯の草地に生える多年草で、葉は茎の上部に5枚以上輪生状につき細い楕円形で先端が尖っています。花は白く上向きに咲きます。開花時期は6月~7月。
須走ルート五合目から六合目の間で見ることが出来ます。白い花を1つ咲かせるだけなので見つけにくいかもしれませんが、とても美しい花なのでぜひ見つけてみて下さい。花びらは7枚ですが、時々8枚の花があるようなので花びらを数えてみるのも楽しいですよ。
【クルマユリ】
ダケカンバ林や草原に生える多年草で、花は赤橙色で花びらの内側に濃い赤褐色の斑点があり斜め下向きに咲きます。開花時期は7月~8月。葉が放射状についている姿を車輪にたとえて「クルマユリ」と名付けられたそうです。
須走ルート六合目から本六合目の間で見ることが出来ます。7月15日の巡視の際はまだ蕾で、7月24日には開花していました。つぼみは目立ちませんが咲き始めると鮮やかな赤橙色で存在感がありますので見つけやすいと思います。
【シロバナノヘビイチゴ】
山地帯から亜高山帯の林縁に生息します。つる性の茎を地面に伸ばして生えるので一面に白い花を咲かせます。葉は三枚ではっきりとした葉脈が見えます。実は食べることが出来ます。開花時期は5月~8月で長い間楽しむことが出来ます。
須走ルート五合目から本六合目付近でよく見られます。登山道で一番多く見られる花です。一面がシロバナノヘビイチゴの花畑になっている所がいくつもあるので、小さな白い花を見て疲れを癒やして下さい。
【イワヒゲ】
標高2,800~3,000m付近の風当たりが強い溶岩の割れ目を這うように密生する小型の低木です。高山の特殊な環境に生える植物群で、鱗片状の葉で下に向かって伸びます。花は鐘形のすずらんのような白い花で下向きに咲きます。開花時期は7月頃。
須走ルート七合目から本七合目の間で見ることが出来ますので、岩の間を探してみて下さい。岩を這って伸びる姿には生命力を感じます。
【ハクサンシャクナゲ】
高さ1~3mの常緑低木で、枝先に白色から紅色を帯びた花を咲かせ、花びらの内側に淡緑の斑点があります。
須走ルート五合目から七合目の間で見ることが出来ます。須走口六合目山小屋付近に多く生息していて、開花時期は7月~8月。今年は花芽が少ないようですが、7月15日の巡視中に花芽のついた木も見られました。
▼富士登山オフィシャルサイト
http://www.fujisan-climb.jp/
2019年07月19日富士山のルール知っていますか?
富士箱根伊豆国立公園 山田優子
みなさま、こんにちは!! 沼津管理官事務所の山田です。
雨の日が続いていますね。梅雨明けはいつになるのでしょうか?
富士山の巡視も雲の中が多く、時おり見える青空がごほうびになっています。
今回は富士山のルールについて書きたいと思います。
富士山が国立公園だと言うことをご存じですか?世界文化遺産になったのは2013年(平成25年)ですが、富士箱根伊豆国立公園に指定されたのは1936年(昭和11年)です。80年以上前になります。
国立公園とは「次の世代にも今と同じ感動を味わい楽しむ事が出来るように、優れた自然を守り後世に伝えていくために国が指定して、保護・管理していく」ということです。
登山者が多く訪れる五合目より上はおおむね特別保護地区で、たくさんの規制の中自然が守られています。特に富士山頂は特別保護地区と言って最も厳しい規制になっています。
【 動植物の採取禁止 】
富士山は溶岩に覆われて植物が少ないイメージの方が多いと思いますが高山植物が生息しています。そんな富士山の植物や実、昆虫を採ることは出来ません。疲れた体を支える為に、落ちている木を杖代わりに使うこともやめて下さい。
※動植物を採取しなくても、写真撮影等で登山道を外れて歩くと危険ですし、生態系に悪影響を及ぼす事があるので、登山道以外は入らないようにして下さい。
△フジハタザオ
△コケモモ
【 落書き禁止 】
石、岩、建造物等への落書きは禁止です。看板にシールを貼るなどの行為も禁止です。
【 溶岩の持ち出し禁止 】
富士山にある全ての石を持ち帰ることは禁止です。むやみに石を移動させたり、ケルンのように積むことやロックアートも禁じられています。
富士宮ルートの途中の岸壁に、自然に開いた無数の穴があります。その中にたくさんの石が詰められています。取り出しますが、次に巡視に行くとまた詰まっています。こういった行為も禁止ですので、ご協力お願いいたします。
△岸壁の穴に詰められた石
【 動物の放し飼い禁止 】
特別保護地区内で動物を放すことは禁止されています。富士山の登山道は溶岩とスコリア(ごつごつした細かい石)が多くペットの足にダメージを与える可能性がありますのでご遠慮下さい。
△溶岩とスコリア
【 テントの設営、たき火の禁止 】
富士山にはテントサイトがありませんので、ご宿泊は山小屋にお願いします。(※要予約)たき火は禁止です。バーナー等は、山小屋付近や人が集まる場所、ゴミの近くを避け、周囲に注意して使って下さい。
登頂記念に、山頂に持ってきた物を置いたり立てたりすることも出来ません。法律で禁止されていないことでも、ゴミは捨てない、軽装登山・夜間登山はしないなどマナー守って登山を楽しんで下さい。あるものは持って帰らず、ないものは置いていかないです。
美しい富士山を守るためのご協力お願いいたします!!
下記のリンクに富士山に関する最新詳細が載っていますので、これから富士登山を計画されている方も、観光で来られる方も参考にして下さい。
▼ 富士登山オフィシャルサイト
2019年07月13日富士山の全登山道が開通になりました!!
富士箱根伊豆国立公園 松岡宏明
皆さまこんにちは!
沼津管理官事務所の松岡宏明でございます。
7月9日に吉田ルート、7月10日に須走・御殿場・富士宮ルートの登山道と山頂周回線歩道(通称:お鉢巡り)がそれぞれ全線開通となりました!
私は昨年に引き続き開山に合わせてお鉢巡りの巡視を行っていました。
今年も御来光を待つ登山者が大勢おり、日の出をみて歓喜の声を上げていました。
この日の早朝は霧がかかったようになっており、御来光も綺麗でしたが富士山麓の山々にシルクをかけたように雲が覆い、幻想的な風景を作り出していました。
▲山頂から見た御来光
ほとんどの登山者は御来光を見た後にお鉢巡りをしますが、その際に注意する必要のあることについてお知らせします。
山頂歩道に限らず全般的に言えることですが、今の時期は歩道上にほとんど雪がない時期です。そこで注意が必要なのが落石です。岩や石との間に雪があったものが融けて支えが無くなってしまい、少しの衝撃で落石を引き起こし、事故につながることがあります。自身の足元や頭上をよく確認して歩行するようにし、ヘルメットを着用するようにしてください。
また、先日富士登山オフィシャルサイト(http://www.fujisan-climb.jp)の「お知らせ」(http://www.fujisan-climb.jp/info/20190703_ohachi.html)でも情報共有しましたが、成就岳付近の登山道の脇にある土留め柵が一部損傷しているため、歩行には十分注意してください。
▲成就岳付近の登山道の様子
富士山は御来光や山麓の風景などの美しい景観を楽しめる場所ですが、その中に一定のリスクがあることを再認識し、安全かつ楽しい富士登山にしてください!
下記のリンクからは富士山の基本情報や富士登山を豊かにするための情報がたくさん載っています。富士登山をする前の情報収集にぜひとも使ってください。
皆さまの富士登山がより良いものになることを願っております。
引き続きよろしくお願いします!!
▼富士登山の前に必ず知っておくべきこと
http://www.fujisan-climb.jp/basic/index.html
▼富士登山をより楽しむために
2019年07月01日苔の天城山『皮子平』
富士箱根伊豆国立公園 山田優子
みなさま、こんにちは!! 沼津管理官事務所の山田です。
突然ですが、8月11日は何の日かご存じですか?『山の日』です。
2014年に国民の祝日として制定されました。今年で5年とまだ制定されて間もない祝日です。
環境省では、山に親しむ機会を提供し、山の恩恵への気づきを促すための「山の日環境教育プログラム」を開催しています。
沼津管理官事務所は下田管理官事務所と合同で、天城ガイドクラブの皆様と9月15日(日)・予備日9月16日(月)の開催予定で着々と準備を進めている所です。
今回は、この山の日の環境プログラムの開催予定地へ現地確認に行ってきたので、少しだけ見どころを先に紹介したいと思います。とっても素敵な場所で、天城山に何度か訪れていても行ったことがない人が多い場所だと思います。そんな場所に入れるチャンスなので楽しみにしていて下さい。
【 霧に包まれた森 】
【 光が射した森 】
この場所のおすすめはなんと言っても『苔』です。本当に美しくずっと見ていられる程の緑が広がっている場所があります。天城山は以前AR日記で年間雨量が4,000㎜を超える多雨地帯とお話ししましたが、この日も雨上がりで、霧に包まれていました。青空と緑もいいですが、霧の森も幻想的で本当に美しいです。
【 いろんな種類の木の葉 】
そして、森はたくさんの木々が生い茂り暑い季節でも木陰が出来て涼しく感じます。空を見上げると一面緑です。自然のグリーンカーテンですね。葉もよく見ると色々な形の葉が重なっています。葉の形を見て何の木かな?と考えるのも楽しいですよ。開催日は9月とはいえまだ暑さが厳しいでしょうからとても気持ちがいいと思います。
【 精英樹のスギの木 】 【 後ろ側 】
巨大な杉の木です。皆さんは「精英樹」と言う言葉を知っていますか?森で一番成長が良く、幹も通直で、枝が細いなど様々な条件をクリアした優れた木を精英樹として選抜し植林したそうです。ガイドクラブの土屋さんに横に立ってもらいましたが、幹の太さがよく分かりますよね。
パワーをもらえそうな迫力なので、幹に触らせてもらいました。
この他にも背の高い巨木からねじれた巨木、中に入れる?巨木などたくさんの巨木に出会えます。
当日は、天城山を知り尽くした天城自然ガイドクラブの皆さんが、登山道を歩きながらたくさんの事を教えて下さいます。本当に知識が豊富で、一緒に歩いていて気になったことを質問すると、パッと答えて下さいます。すごいです。私もこんな風にならなければと日々勉強中です。
今回はネタバレにならない程度に紹介しましたが、まだまだ見どころ満載です。小学生から大人まで幅広い年齢の方が無理なく歩くことが出来るコースで、天城の山を楽しむことが出来るプログラムになっていると思います。
また、詳細を日記に載せますので楽しみにしていて下さいね!!
2019年06月21日壮大な景色!宝永山登山!
富士箱根伊豆国立公園 松岡宏明
皆さまこんにちは!
沼津管理官事務所の松岡宏明です。
富士山開山予定日まで1ヶ月を切りましたね。登山の準備は出来ましたか?
6月13日(木)9時に富士宮口5合目から6合目までの登山道が開通となり、宝永山への登山道も開通になりました。それに合わせて宝永山へ巡視に行ってきました。
▲富士宮口六合目にあるバリケード
上の写真にある通り、六合目以上の登山道はまだ開通していません。
この先へ登れるのは7月10日(予定)以降なので、ぐっとこらえて、宝永山への道に向かってください。
宝永山への登山道をしばらく歩くと、眼前に荒涼とした壮大な風景が現れます!
▲宝永山への道
宝永山は、江戸時代中期(宝永4年)に形成されたもので、富士山においては最大で最新の側火山です。火口の大きさから噴火の規模がどれだけ大きかったかを想像させます。実際に、宝永火口が形成された噴火は「宝永大噴火」と言われており、その噴煙は東京まで達したそうです。
▲宝永火口と残雪
宝永山山頂には、富士宮口五合目から約2時間で到達できます。登山道は崩れやすく足を取られやすいので注意が必要です。また、山頂の標高は2693mで酸素が少なくなっていて思うように身体が動かないのでゆっくり休みながら登山することをおススメします。富士山開山前のトレーニングと思って登るのもいいかもしれません。
▲宝永山山頂からみえる富士山
ちなみに、宝永山は富士山の一部なので、山頂からは富士山の山体を望むことができます。晴れていれば富士山の山頂も確認できます。街から見た富士山とは印象が異なると思いますが、日本最高峰の山を間近に楽しめるのも宝永山の魅力の一つです。
ぜひとも宝永山に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
沼津管理官事務所 松岡宏明(まつおか・ひろあき)
みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。
10月の初め頃の気温は30℃を越えていた沼津も、ここ最近は気温が下がり寒く感じる日があります。山の紅葉が進みそうです。
先日の台風19号では、被害の範囲が広く沼津管轄内でも多くの場所で影響が出ております。被害を受けた皆さまには心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧を願っております。
台風の影響で、伊豆半島の道路は通行止めや通行規制がかかっている場所がありますので、登山や観光を計画されている方は事前に交通情報の確認をお願いいたします。
▼静岡県道路通行規制情報システム
http://douro.pref.shizuoka.jp/kisei/program/
▼静岡県道路公社
http://siz-road.or.jp/sz/regulate/
今回は、前回紹介した「金冠山」に引き続き、台風直前に巡視に行った伊豆山稜線歩道の「達磨山」と「古稀山」を紹介したいと思います。標高は達磨山が982m、古稀山が920mと大きな山ではありませんが、達磨山の開けた山頂では360℃のパノラマが広がっています。古稀山は"富士山がある風景100選"として選ばれた場所の1つです。
【 達磨山中腹から望む富士山( 10月10日撮影) 】
この時期の富士山は青く、海と空と一体化しているように見えます。10/17に静岡側で初冠雪したので、この先雪化粧の富士山が見られると思います。(※富士山の初冠雪は山梨県甲府地方気象台から富士山の一部が白くなった状態が初めて見られたときなので、正式発表はこれからになります。)
写真を見ると分かりますが、伊豆山稜線歩道は伊豆スカイラインに沿っています。今回紹介する「達磨山」と「古稀山」も歩道を縦走しなくても、伊豆スカイライン上にそれぞれ登山道への駐車スペースがあるので、そちらを利用して山頂の景色を楽しむことが出来ます。登山道は風当たりが強く日陰もないので距離は短いですが、最低限の装備は整えて登山することをおすすめします。
また縦走コースも伊豆スカイラインの脇を歩く場所がありますので、走行している車やバイク等にお気を付け下さい。
【 リンドウ (達磨山10月10日撮影) 】
【 センブリ (達磨山10月10日撮影) 】
登山道では、リンドウやセンブリ、ノコンギク、アキノキリンソウなどが咲き始めていました。稜線上はクマザサにおおわれていて植物が少ないので、色とりどりの花は目につきやすく発見しやすいと思います。
先日、伊豆諸島管理官事務所 竹下さんのアクティブ・レンジャー日記で、「秋の三原山」の紹介がありました。伊豆諸島管理官事務所は大島にあり、沼津管理官事務所と同じ富士箱根伊豆国立公園内の事務所ですがなかなか会うことがありません。でも日記で紹介している見頃の植物が海の向こうの大島と一緒でとても近く感じました。
【 古稀山山頂から望む富士山 (10月10日撮影) 】
【 古稀山山頂から望む富士山 (1月撮影) 】
今回のコースも色々なパターンで組むことが出来ます。戸田峠から古稀山や、稜線の天城峠側から達磨山を目指すことも出来ます。体温調整できる動きやすい服装(上着)と靴、コースに合った十分な水分等を準備してご自身に合ったコースを計画して、これから紅葉の進む伊豆半島の山々や雪化粧の富士山をぜひ見に来て下さい。
<コース例:片道>
戸田峠駐車場→小達磨山→達磨山→古稀山 (所要時間:約1時間30分)
土肥峠駐車場→伽藍山→古稀山→達磨山 (所要時間:約1時間10分)
達磨山 (所要時間:約30分)
古稀山 (所要時間:約20分)
▼富士箱根伊豆国立公園"富士山がある風景100選"
http://kanto.env.go.jp/to_2017/post_94.html