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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園 沼津

231件の記事があります。

2020年06月17日城ケ崎海岸の『奇石』

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

沼津では梅雨入りしてジメジメした日が続いています。梅雨の蒸し暑さは得意ではないですが、この時期に見かける紫陽花はとても好きな花なので、巡視の途中で見かけるようになった紫陽花を楽しみながら梅雨を乗り切ろうと思っています。

今回は、静岡県伊東市の城ヶ崎海岸にある奇石を3つ紹介したいと思います。

城ヶ崎海岸は、およそ4000年前の大室山の噴火によって流れ出した溶岩が、海水で冷え固まりできた全長約9㎞にわたる溶岩岩石海岸です。

海岸沿いには、ハイキングコースが整備されていて、季節の花や、つり橋、灯台など見どころ満載なのですが、そちらはまた後日紹介したいと思います。

まず一つ目は「いがいが根」です。名前の通りいがいがした岩が続く岬です。見た目はテーブル状で歩きやすそうですが、実際歩いてみると足の裏に岩がチクチク刺さるような感じです。この岩はクリンカーと呼ばれ、噴火で先に流れた溶岩が冷えて固まり、その固まった溶岩の表面の殻が熱い溶岩におされバラバラに砕かれ出来るそうです。

溶岩が流れ出し、冷えては砕かれながらこの場所が出来たことを想像すると、4000年前の伊豆半島の成り立ちに少し触れられた気持ちになりました。

【 いがいが根 】

次は「ポットホール」です。ポットホール自体は他にも見られる場所がありますが、城ヶ崎海岸のポットホールの中には大きな球体の岩が残っています。

ポットホールとは、岸壁の亀裂に入った岩が、打ち寄せる波によって転がり、周りの岩が削られ円形の穴になります。城ヶ崎海岸のポットホールの中の岩は、とっても美しい球体で、自然と波が作り出した奇石(奇跡)です。

【 かんのん浜のポットホール 】

※ポットホールは波打ち際の崖の下にあり遊歩道などがありません。見学の際はガイドツアー等、安全な方法で見学してください。

▼伊豆半島ジオガイド協会

https://www.izugeoguide.org/model.html

最後は「柱状節理」です。城ヶ崎海岸沿いの遊歩道を歩いていると、断崖に見事な柱状節理を多く見かけますが、大淀・小淀と呼ばれるこの場所は、柱状節理の頭の部分です。

階段で海岸に降りると、亀甲模様の磯が見えてきて、その上を歩くことが出来ます。この場所にはいくつか汐溜りがあり、天然の海水プールとして親しまれているようです。

【大淀・小淀】

紹介した以外にも、「俎(まないた)岩」や、「クジラ岩」、他にも面白い形に見える岩があるので、巡視の際に何か見つけたらまたご紹介したいと思います。


【 城ヶ崎海岸の断崖 】

海岸にある岩からたくさんの歴史を知ることが出来ました。いつも行く身近な場所も見方を変えると、その場所の様々な歴史を知ることが出来るかもしれません。

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2020年05月20日富士山は何色?

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

沼津では連日夏日が続いています。先日、日の出直後に外に出ると冷たく澄んだ空気に包まれ、初夏の朝の空気を感じました。季節はいつの間にか夏に向かっていますね。

さて突然ですが、皆さんは山の絵を描くとき何色で書きますか?新緑の緑、紅葉の赤や黄色を使う方もいると思います。では、富士山はどうですか?青色で描く人が多いのではないでしょうか。

富士山富士宮口五合目から富士山を見てみましょう。

【 富士山富士宮口五合目からの富士山 】

少しも青くないですね。富士山は約1万年前に100回以上の噴火を繰り返して、今の富士山の形になったと言われています。登山道も、それ以外の場所も火山噴出物の一種である黒いスコリア(細かい穴の空いた軽石)に覆われています。ですから五合目から山頂を見上げると見渡す限り黒い山です。とは言っても、富士山の五合目より上にまったく植物がないわけではありません。写真を見ても分かる通り植物は生息していますが、山肌を緑に染めるほどの植物や木はありません。

では、富士山からの直線距離が約50キロ以上離れた恋人岬、達磨山から見た富士山はどうでしょうか?

【 達磨山から積雪前の富士山 】

【 恋人岬から積雪後の富士山 】

 

どちらの写真も青く見えますね。

同じ富士山を見ているのに、黒色に見えたり、青色に見えたり、なぜこのような現象が起きるのでしょうか?秘密は距離にあるようです。

富士山と自分との距離が離れることで、その間にはたくさんの空気が存在していることになります。

空気中には、水蒸気やチリなどの粒子がたくさん含まれています。太陽光は、青く見える波長の短いものから、赤く見える波長の長いものが混じりあっていますが、この中の波長の短い光は、空気中の粒子とぶつかりやすく、ぶつかることで光が四方八方へ屈折する特徴があります。

これにより、空気中の粒子にぶつかった波長の短い光が散乱し空いっぱいに広がることで、自分と富士山との間に青色のカーテンのようなものが見えているのです。

今の時期の富士山は、まだ山頂付近が雪深く真っ白な富士山です。夏の朝日に照らされた「赤富士」、真冬の朝夕に白い山肌に光が照らされて紅色に染まる「紅富士」など、季節や時間、天気によって、さまざまな色の富士山を見る事が出来ます。雲のかかり方によっても色んな顔を見せてくれるので、ぜひ色々な場所から富士山を眺めて比べてみて下さい。皆さんのお気に入りの富士山が見つかるはずです。

【 田貫湖から逆さ富士 】

現在、田貫湖ふれあい自然塾は新型コロナウイルスの感染拡大防止の為、施設の休館をしております。イベントを楽しみにされていた方もたくさんいらっしゃると思いますが、安心して遊べる環境が整うまでもうしばらくお待ちください。詳しくは田貫湖ふれあい自然塾HPにてご確認下さい。

▼田貫湖ふれあい自然塾

http://www.tanuki-ko.gr.jp/

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2020年04月21日伊豆山稜線歩道に咲く『マメザクラ』

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。 沼津管理官事務所の山田です。

すっかり春ですね。少し前まで事務所の屋根のほうから聞こえていた鳥の雛の声も聞こえなくなり、無事に巣立ったようです。いい季節になりお出掛けしたいですが、もうしばらく我慢の日々が続きそうですね。沼津管理官事務所も先週からテレワークが始まり、交代で出勤、巡視は観光地以外の場所で行っています。初めてのことで慣れない事も多いですが、今は出来ることをやっていこうと努めています。

外出自粛で、今年はお花見ができなかった方が多いと思いますので、沼津管内でも見頃を迎えている「マメザクラ」を紹介したいと思います。暗い気持ちになりがちですが、枝一面に咲く桜を見て少しでも気持ちが晴れたら嬉しいです。そして来年のお出掛けの参考にしていただければと思います。

【 富士山とマメザクラ(金冠山山頂)】

伊豆半島の桜の開花は、以前日記で少し紹介しましたが、年明けすぐ始まります。

まず、日本で一番早く咲くといわれてる「土肥桜」から始まり、「河津桜」、「城ケ崎桜」などなど、次々に開花していきます。そして、ソメイヨシノが葉桜になった頃に、「マメザクラ」が開花します。

【 マメザクラの花とつぼみ 】

マメザクラは、名前の通り、他の桜に比べると樹高が低く、花弁も小さい桜です。花全体でも1㎝から2㎝くらいの大きさです。伊豆半島、富士山周辺や、箱根付近に多く自生していて、別名、「フジザクラ」や「ハコネザクラ」と呼ばれています。他の桜より非常に寒さに強いと言われています。雪深い、富士山麓や箱根に自生している理由が分かります。小ぶりの木に白い花を下向きに咲かせる姿は、雪が積もった木や、霧氷のようで、とても可憐で美しいです。「マメザクラ」の花言葉は、優れた美人だそうです。思わず目を奪われる姿に納得の花言葉です。


【 雪が積もった木のように見えるマメザクラ 】

      

そして、沼津管理官事務所と同じ富士箱根伊豆国立公園管内にある、伊豆諸島管理官事務所の竹下アクティブレンジャーが先日公開したで、『オオシマザクラ満開』の便りが届きました。まさに伊豆山稜線歩道でもマメザクラの木の隣で、オオシマザクラが満開を迎えていました。

以前も伊豆半島にある伊豆山稜線歩道と、海を隔てた伊豆大島で、同じ時期に同じ花が開花してすごく近くに感じましたが、今回も同じ管内の別の場所で、管内の仲間が同じ花を見ていると思うと、なんだかとても元気になり、私もがんばろう!という気持ちになりました。

【 伊豆山稜線歩道でも満開のオオシマザクラ 】

先が見えず不安な気持ちになることがありますが、一日も早く新型コロナウイルスが終息することを祈っています。そして、出来る範囲の中で、沼津管内の様子をお知らせしていきたいと思います。

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2020年03月13日期間限定!!黒い『大室山』

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

もう3月ですね。沼津管理官事務所に来て1年が過ぎようとしています。

今日は先日紹介した『小室山』に引き続き、旬な話題が豊富な『大室山』を紹介したいと思います。

大室山は静岡県伊東市にある標高580mの火山で、およそ4000年前の噴火によって作られた伊豆東部火山群の中で最も大きいスコリア丘です。山全体が国の天然記念物に指定されていて、山体を守るため、登山は禁止されており、山頂に行くにはリフトを使用します。

この景観を守るため、毎年2月の第2日曜日に行われている(今年は天候不良により3回延期され、2月24日に実施されました)伝統行事「大室山山焼き」が、先日催されました。この行事は700年以上の歴史があり、麓に点火された炎が勢いよく山頂に駆け上がり、山をまるごと焼き上げる光景は圧巻です。毎年この時期になると全国から多くの見物客が訪れて賑わいます。山焼きの後は、冬の枯草色の山体が、真っ黒になります。真っ黒の山体が見られるのはこの時期限定です。下の写真を比べると分かりますが、約2ヶ月後には新緑が山を覆い始めます。

【 山焼き後の大室山(3月9日撮影) 】  山焼きから約2ヶ月後  → 【 昨年の418日撮影 】

山頂の噴火口を周回する約1㎞30分程の遊歩道は、周りに遮る物もなく、まるで空に続く道のようです。遊歩道からは、火山が作った伊東の大地、真っ青な相模灘、伊豆七島、房総半島、そして富士山と360°の大パノラマを楽しめます。大室山山頂は"富士山がある風景100"に選定された場所の一つにもなっています。

火口跡へ続く遊歩道の中腹には「浅間神社」があります。全国各地にある浅間神社と、総本宮「富士山本宮浅間大社」のご祭神は、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)です。しかし、ここ大室山浅間神社のご祭神だけは、姉の磐長姫命(いわながひめのみこと)なのです。なぜ大室山のご祭神が他の浅間神社と異なるのか、それには悲しい神話がありました。

この姉妹はとても仲の良い姉妹でしたが、ある日、若い男の神様、瓊々杵尊(ににぎのみこと)が、容姿の美しい木花咲耶姫に一目惚れして姉妹の父親に結婚を願い出たそうです。父親は、姉妹2人一緒なら許すと、容姿の醜い磐長姫と一緒に嫁がせることになりました。ところが、瓊々杵尊は木花咲耶姫ばかり溺愛し、磐長姫は子を身籠もったものの、父親のもとへ返されてしまったそうです。磐長姫は嫉妬から、木花咲耶姫に恨みをもってしまったとか。

とても仲が良かった姉妹が恨み合うことになり、今も磐長姫(大室山)と木花咲耶姫 (富士山)は、にらみ合っていると言われています。そんな神話からか、大室山から富士山が美しく見えても褒めてはいけないという言い伝えが残っています。ちなみに、この神社は、安産、縁結び、不老長寿などのご利益があるそうです。


【 山頂遊歩道の様子 】

そして、先日発表されました、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」(第6版)では、大室山が1つ星を獲得しました!!覆面調査員が現地を訪れ、9つの選定基準を評価して選定されるそうです。その結果、豊かな自然や多彩な文化遺産に触れることが出来る場所として評価され紹介されています。この本を通して、たくさんの国の人が、お椀を伏せたような不思議な形をしている大室山を知るきっかけになってくれたら嬉しいです。

四季によって、山体の色を変える大室山は、どの季節に訪れてもその存在感に圧倒されるはずです。

【 満開の城ヶ崎桜と大室山 】

隣接するさくらの里では、40種類、3000本の桜がほぼ1年中(9月~5)咲いていると言われています。桜と大室山の共演を楽しめます。現在は城ヶ崎桜が満開になっていました。今月開催予定の夜桜鑑賞会は、伊東市の新型コロナウイルス感染症に係わるイベント等の開催指針に則り、残念ながら中止になりました。1日も早く終息することを願うばかりです。季節が進み、種類の違う桜の開花が楽しみです。

▼伊東市観光情報 

https://itospa.com/spot/detail_54003.html

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2020年02月27日噴火で出来た『小室山』の絶景

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

暖かい冬で過ごしやすいですね。家の庭先で春の花が次々と咲き始め、庭が明るくなりうれしい反面、日本ならではの四季の変化が崩れているようで複雑な気持ちになる今日この頃です。既に花粉もかなり飛散しているようなので、今年は長期間苦しみそうな予感です。

今日は先日巡視に行った『小室山』を紹介したいと思います。

小室山は静岡県伊東市にある、およそ1万5000年前の噴火によって作られた伊豆東部火山群に属する標高321mの火山です。お椀をひっくり返したような円すい状の形をしていて、スコリアと呼ばれる穴のあいたごつごつした軽石がつもって出来たスコリア丘です。標高の低い山なのに絶景なんて?と思われる方がいるかもしれませんが、侮るなかれ、中腹から山頂にかけてすばらしい景色が広がっています。山頂は"富士山がある風景100選"に選定された場所の一つです。

【 梅と小室山 】

小室山の山頂に行くには、リフトを使用するか、歩いて登るか選べます。リフトは一人乗り用ですが、小型犬(10㎏未満)は一緒に乗車することが出来ます。

歩いて登る場合は、歩道の途中に恐竜の遊具がある恐竜広場と、言葉通り展望がすばらしい展望広場を通りながら山頂まで30分程度で登ることが出来ます。展望広場はとても広く遊具のほかにも休憩スペースやベンチなどもありますので、お弁当を持参して訪れるのもおすすめです。巡視の際は見ごろを終えた早咲きの桜の花びらが風に舞っていました。この桜は1月の下旬頃咲き始めるので、新年早々、広場でお花見も楽しめそうです。

展望広場の眼下には相模灘が広がり、正面には伊豆大島、南西には三宅島をはじめとした伊豆七島を望むことが出来ます。真っ青な海に浮かぶ伊豆の島々を前に、つい時間を忘れてカメラのシャッターを切ってしまいました。

【 展望広場から見える伊豆大島 】

山頂には眺望デッキがあり、デッキの先端まで行くと目の前には見渡す限り海が広がっています。北に富士山や伊東の街を望め、少し東に目を向けると房総半島まで見渡すことが出来ます。写真では雲がかかっていて分かりにくいですが、肉眼では丹沢山地や箱根山を確認出来ました。また、南には小室山と同じスコリア丘の大室山や、天城山(万二郎岳)を眺められ360度自然の大パノラマに囲まれています。また、火山の歴史を知る、火山灰の地層のはぎ取り標本がリフト乗り場横に展示してあり、伊豆東部火山群4万年間の歴史に触れることが出来ます。


【 眺望デッキから見える相模灘 】


【 山頂から見える北東方面の眺望 】

麓のつばき園では、現在見ごろを迎えている1000種類ほどのつばきを楽しむことが出来ます。4月の下旬には、つつじ園で10万本のつつじが咲きほこり一面を真っ赤に彩ります。春の小室山には感動がいっぱいです。

▼伊東市観光情報 

https://itospa.com/spot/detail_54008.html

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2020年02月04日長者ヶ岳・田貫湖で富士山撮影!

富士箱根伊豆国立公園 松岡宏明

皆さまこんにちは!

まだまだ寒いですが、2月になってだんだんと日も長くなってきましたね。

沼津管理官事務所の松岡宏明でございます。

 先日の1月31日(金)に長者ヶ岳と天子ヶ岳を巡視してきました。長者ヶ岳と天子ヶ岳は、富士山の西側に位置していて、富士山を目の前に見ることが出来る場所です。また、田貫湖が近いことから「富士山と湖」という良い構図の写真を撮れるスポットです。今回は長者ヶ岳と田貫湖で撮影した写真を紹介しつつ、その魅力をPRしたいと思います!

 早速ですが、長者ヶ岳山頂へ至る登山道途中の休憩スペースと山頂から撮影した写真が下の2枚です。

▲登山道途中の休憩スペースから撮影した富士山と田貫湖(手前の湖)

▲長者ヶ岳山頂から撮影した富士山と田貫湖(手前の湖)

 今の時期は空気が澄んでいて、富士山の輪郭がくっきりと見える日が比較的多いので、撮影をしに行くなら、オススメの時期です。山を登って眼前に富士山が見える風景は圧巻で、いつもその風景に癒されています。普段の巡視でこのような風景に出会えるので、綺麗な富士山を現場でみると沼津管理官事務所で働けてよかったー!と心から思えます。

▲長者ヶ岳山頂付近の残雪状況(131日撮影)

 また、今の時期に気になるのは残雪状況だと思います。1月31日の段階では、雪は山頂付近や中腹の日陰の部分に少しあるぐらいで、登るのは難しくありませんでした。

 登るのは難しくないとはいえ、下山は用心が必要です。午前中に気温が上がり、雪が融けて冷たい空気に晒されれば、夕方から早朝にかけてはその部分が凍ってツルツルと滑ります。雪道に慣れていない方や心配な方はチェーンスパイクや軽アイゼンを持っておくと、転倒などの事故を防げると思います。自然の中に入ることは非常に楽しいことですが、常にリスクも伴っていることを認識して、より良い時間を過ごしてくださいね!

 加えて、田貫湖畔の展望デッキから見える富士山も非常に綺麗だったので、それも載せておこうと思います。

▲田貫湖展望デッキからの富士山

 この展望デッキは、田貫湖の南側にあり、富士山の有名な撮影スポットになっています。4月下旬か8月中旬ごろには、「ダブルダイヤモンド富士」(富士山頂から昇る朝日が光輝く様子が湖面にも映し出されることから、ダブルダイヤモンド富士と呼ばれている)が見られるので、その時期もオススメです。

 なお、撮影するために展望デッキ上に三脚等を放置し、場所取りをするような人も見受けられます。このような行為は他の方の迷惑になりますので、ご遠慮いただくようにお願いします。

 最後に、長者ヶ岳や田貫湖は富士山を撮影するには非常にいいスポットで、これらは「富士山がある風景100選」(http://kanto.env.go.jp/to_2017/post_94.html)に選定されている場所になります。他にも様々な場所が上記のWebサイトで紹介されているので、気になる方はチェックしてみるといいかもしれません!

皆さんが素敵な富士山の写真が撮れることを願っています!

沼津管理官事務所 松岡宏明(まつおか・ひろあき)

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2020年01月20日一足早い春を『恋人岬』で

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

2020年が始まりました。今年も富士箱根伊豆国立公園・沼津地域内の情報を伝えていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

今年の初巡視は、『恋人岬』に行ってきました。

晴天に恵まれとても暖かくいいスタートになりました。全国的にまだまだ寒さの厳しい1月ですが、日本で一番早く咲くとも言われている「土肥桜」が開花していました。

「土肥桜」は、伊豆でしか見ることの出来ない品種の桜で、有名な「河津桜」より早く咲きます。12月中旬頃からつぼみがほころびはじめ、1月中旬頃には開花します。今年は暖かいこともあり例年より早く開花しています。徐々に咲き始めた桜は2月中旬頃まで楽しむことができそうです。

木によって、濃いピンクと薄いピンクの花を下向きに咲かせ、咲き始めた桜はまるでピンクのサクランボがたれ下がっているようでとてもかわいく、満開になるととても華やかで美しいです。

雪が降るほど寒い日もありましたが、全体的に暖かい日が続いていますので、開花が進んでいます。

【 土肥桜 (1月9日撮影)

恋人の聖地と呼ばれている「恋人岬」にはいくつか鐘があり、巡視中も観光で来られた方が鳴らした鐘の音が響き渡っていました。伊豆市に語り継がれていた民話が元になり恋人同士で鐘を鳴らすと幸せになれると言われています。鐘の鳴らし方にルールがあるようで、皆さん熱心に説明文を読んでいました。グアムにも同じ名前の岬があるようで、伊豆とグアム、両方の鐘を鳴らすと大きな幸せが訪れるとも言われているそうです。

【 眺望デッキの鐘 】

鐘のある眺望デッキには、恋人岬駐車場から遊歩道と木製階段を15分程歩けば行く事が出来ます。現在、遊歩道脇には、スイセンや椿が咲いています。耳を澄ましてみると、カサカサと鳥が落ち葉をめくって土をつついている音や、木の上で鳴いているたくさんの鳥の声が聞こえてきます。

【 見頃のスイセン 】

眺望デッキからは駿河湾と富士山、愛鷹山、南アルプスの山々などを一望することが出来ます。デッキの脇の椿も咲き始めていました。ソメイヨシノの木もあるので、春は富士山とソメイヨシノの共演も見ることが出来ます。この日は眺望デッキの横の木にメジロがたくさん止まっていて、木から木へと飛び回っていました。

【 眺望デッキからの眺め 下に写っているのが椿 】

【 メジロ 】

また、恋人岬駐車場から眺望デッキの途中に、西伊豆歩道への入口があるので、岬に沿ってハイキングすることが出来ます。歩道は山道ですので、歩きやすい服装や靴がおすすめです。

年明け早々、伊豆半島では次々に花便りが届き半島を彩っています。土肥桜の開花に合わせてイベントも開催されます。菜の花も各地で見頃を迎えていますので、一足早い春を伊豆半島で感じてみてはいかがでしょうか?あまり雪の降らないイメージの伊豆半島ですが、天城周辺は雪が積もります。先週末も近隣では積雪により道路が通行止めになった所もありました。お車でお越しの際は道路状況をご確認下さい。

▼伊豆市観光情報

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2528

▼土肥桜開花情報

https://blog.goo.ne.jp/sasuke_9648001

▼道路状況

http://www.jartic.or.jp/

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2019年12月24日伊豆山稜線歩道『仁科峠~天城峠』

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

朝晩の気温が一桁の日が続いていますが、日中は20℃を越える日があったり、この辺りではまだキレイに紅葉している木が見られたり、お隣の山梨県では大雪が降ったり変な感じの年末です。

夏の終わりから数回に分けて伊豆山稜線歩道を紹介してきましたが、今回の日記では、まだ紹介していない仁科峠から天城峠のスポットなどを紹介したいと思います。

まず、仁科峠の標高は800mほどで展望台があります。"富士山がある風景100選"に選ばれた場所の1つです。

展望台から富士山の方に目を向けると、眼下に牧場があり、天気のいい日は放牧された牛が草をはむ姿や鳴き声を聞くことができます。力が抜けてゆったりとした気持ちになると思います。カメラの望遠や双眼鏡を使って見るのもオススメです。

「仁科峠の駐車場」から15分程度クマザサに覆われた歩道を歩くと展望台に行くことが出来ます。

【 仁科峠展望台より(10月31日撮影)

仁科峠から天城峠に向かう途中に、「(ねっ)()岳山頂の池」があります。この日は霧に包まれていて幻想的でした。「猫越」は「ねっこ」と読みます。なかなか読めませんよね。名前の由来は、この付近が根っこで覆われているからや、噴火の際に猫が驚いて越えたなど諸説あります。

猫好きな私は、「猫」の漢字なので、猫が関わる何かが由来になっているのではないかと勝手に思っています。

この池はかつて火口湖だと言われてきましたが、最近の調査で溶岩の上に出来た池だということが分かりました。池では水生植物のヒルムシロが生えていて、池をのぞき込むと見ることが出来ます。初夏の頃には、池の脇の樹木に天然記念物のモリアオガエルの産卵も見られます。

猫越岳を進み、猫越峠を越えるとブナの森になります。ブナの巨木が点在していて思わず目を奪われます。

【 猫越岳山頂の池 】

【 ヒルムシロ 】

【 ブナの巨木 】

天城峠の手前では、歩道から富士山を眺めることが出来ます。冬の山は植物も少なく咲いている花もあまりないので、登山をしない方が多いと思いますが、いいこともあるんですよ。

下の①の写真のように落葉した木の枝の隙間から頻繁に富士山を眺めながら歩く事が出来ます。草木が芽吹く頃は②の写真ように木の切れ間から時々見えるくらいです。利用者も少なく歩きやすいですし、冬の空は空気が澄んでいて遠くまでよく見ます。

【 古峠~天城峠で見える富士山① 】※落葉後に富士山が見えるポイント

【 古峠~天城峠で見える富士山② 】※一年中富士山が見えるポイント

今年は一度天城山で積雪がありましたが、現在は伊豆山稜線歩道、天城山の全ての歩道に積雪はありません。気温も例年より高めです。ただ、朝晩と日中の寒暖差が大きいので脱ぎ着出来る服装がおすすめです。霜が降りた歩道が日中の温かさで溶け滑りやすくなっている場所もありますので、橋や階段等気をつけて通って下さい。冬は富士山が見えるポイントが多いので、歩きながら富士山を見ていると滑落の危険があります。写真撮影等は立ち止まって行うようにお願いします。

今日まで3回にわたって伊豆山稜線歩道を紹介してきましたが、全体的に歩きやすい場所が多く、明るく開けた稜線と、天城山に近づくにつれて山らしい森の中を通るので、登山初心者の方でも、登山経験者でも満足できると思います。稜線上に"富士山がある風景100選"に選ばれた眺望ポイントがあったり、季節の花々を見られる場所もありますので一年を通して何度も訪れたくなる場所です。

ここ数日、読みにくい気候が続いていますので積雪があった場合は、しっかりとした雪山装備で無理のない登山をお願いします。

▼富士箱根伊豆国立公園"富士山がある風景100選"

http://kanto.env.go.jp/to_2017/post_94.html

▼伊豆山稜線歩道ガイドマップ

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2406

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2019年11月25日アクティブ・レンジャー写真展inキラメッセぬまづ<沼津エリア>

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

今朝の富士山は麓の方まで雪化粧をしていましたが、日中は暖かく積もった雪が溶けそうです。寒暖差が激しいですね。冬の富士山は夏より大きく見え、存在感があります。何度見ても美しいです。

今回は11月20日(水)より沼津エリアにて開催しました"環境省 アクティブ・レンジャー写真展inキラメッセぬまづ"のご案内をしたいと思います。

関東地方環境事務所管内には、6つの国立公園、14の国指定鳥獣保護区があります。それらの地区に配置された環境省職員「アクティブ・レンジャー」が日々の業務で撮影した一枚をご紹介します。

会場には、各アクティブ・レンジャーの選りすぐり一枚が展示してあります。写真以外にも「アクティブ・レンジャーとはどんな仕事をしているのか?」紹介したパネルや、写真を撮影したアクティブ・レンジャーの紹介などもありますので、併せて見ていただき、国立公園の事やアクティブ・レンジャーについて少しでも知っていただければと思います。

【 プラザヴェルデ外観 ガラス越しに外から見ることも出来ます 】

今回の会場は、沼津駅の北口から直結していますので、駅利用の際や、会場内でのイベントや映画鑑賞のお帰りの際に立ち寄っていただけると嬉しいです。

展示スペースのエントランスギャラリーは、ガラス張りで外からも見えます。開放的な空間は美術館を思わせる雰囲気があり素敵です。会場5階には屋上庭園とテラス席があり、天気が良ければ富士山を見ることも出来て気持ちいいですよ。

開催場所/開催期間

<場 所>

キラメッセぬまづ(プラザヴェルデ内)1階 エントランスギャラリー(静岡県沼津市大手町1-1-4)

<期 間>

11月20日(水) ~ 12月18日(水)午前9時~午後10時

(休館日11月28日(木)、12月5日(木)、12月9日(月))

【 会場の様子 】

沼津管理官事務所からは、天城山のブナと、富士山の御来光の写真の2点を展示しています。


【 雨木の森の双子 撮影:松岡AR 】


【 拝む人、来たる光 撮影:松岡AR 】

普段から頻繁に国立公園内の巡視をするアクティブ・レンジャーならではの珠玉の一枚をぜひ会場でご覧になって下さい。お待ちしております。

▼キラメッセぬまづアクセス方法

https://www.plazaverde.jp/access.html

▼開催案内

http://kanto.env.go.jp/to_2019/2019_12.html

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2019年11月19日紅葉の『天城山』

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは!沼津管理官事務所の山田です。

朝晩だいぶ冷え込むようになり秋らしくなってきましたが、それでも日中は20℃以上ある温かい沼津です。寒暖差で体調を崩さないように気をつけましょう。

今回は、巡視に行った天城山の紅葉がまさに見頃だったのでご紹介したいと思います。

日本百名山の一つである天城山は、伊豆半島最高峰の万三郎岳(1,406m)をはじめ、万二郎岳(1,299m)、遠笠山(1,197m)など伊豆半島のほぼ中心を東西に貫く連山です。東西の山稜部が富士箱根伊豆国立公園に指定されています。ブナやヒメシャラなどの原生林に覆われ、新緑や紅葉の季節はとくに美しい場所です。

春に、アクティブレンジャー日記で伊豆の固有種である「アマギシャクナゲ」の紹介しましたが、今回は前回とは別のコースで紅葉の天城山を紹介したいと思います。

何度か日記で紹介している伊豆山稜線歩道より続く、旧天城トンネル(天城山隧道)をスタートとした「八丁池コース」を紹介します。

今回は、旧天城トンネルをスタートし"上り御幸歩道"で八丁池を目指し、"下り八丁池歩道"、"下り御幸歩道"を通り戻ってくるコースで歩きましたが、八丁池周辺には登山道が色々ありますので、時間や行ってみたいポイントなどを踏まえてコース決めをするといいと思います。

どのコースも休憩を入れずに、所要時間が5時間以上かかります。この時期の天城山は16時を過ぎると暗くなってきます。17時には真っ暗になるので、余裕を持った行程で計画して下さい。

▼天城山ハイキングマップ

【 旧天城トンネル(天城山隧道) 】

明治38年に開通した旧天城トンネルは、川端康成の小説「伊豆の踊子」に登場します。石造りのトンネルは445.5mで日本の石造りトンネルでは一番長く、道路トンネルとして初めて国の重要文化財に指定されています。苔むして趣のあるトンネルの中に入ると薄らと電気が灯り冷たい空気が流れています。何百年もの歴史がここにあるのかと思うと感慨深い場所です。このトンネルの脇が登山道の入口になっています。


【 落ち葉の絨毯(11月12日撮影)

登山道は、所々色とりどりの落ち葉の絨毯で彩られています。歩いているとフカフカして気持ちいいですが、湿っていたり落ち葉が積もりすぎていると滑りやすく、歩道が狭い場所もありますので景色を楽しみながらも足下の確認はお忘れなく!!

【 八丁池と富士山(11月12日撮影)

写真のタイトルを見て富士山?と思われた方がいるかもしれませんが、池の中央付近の山の稜線が高くなり始めた辺りに白く雪化粧をした富士山が顔を出しています。天城山は眺望のある場所が少ないですが、天気のいい日は見晴台から、八丁池、富士山を望むことが出来ます。

八丁池は標高1,173mにある池で、「天城の瞳」の愛称で呼ばれています。池の周囲が八丁(870)あることから名付けられたと言われていますが、実際は580mほどしかないそうです。

何度か訪れていますが、池の色は天気や季節によって毎回違う色に見えます。天然記念物の「モリアオガエル」産卵地としても知られています。「モリアオガエル」の保護のため、池の周りは半周ほどで通行止めになっています。

【 カエデとブナの紅葉(11月12日撮影)


【 紅葉の天城山(11月12日撮影)

森の至る所で、写真のような紅葉を見ることが出来ます。例年より一週間以上遅い紅葉になりましたが台風にも負けず見事に紅葉しています。ブナの巨木やヒメシャラの原生林に覆われた森を歩き、秋の美しい天城山の紅葉をぜひ見に来て下さい。

現在、台風15号、19号の影響で路線バス(八丁池線)が運休しておりますので、お出掛けの際は交通手段等の確認をお願い致します。

▼伊豆市観光情報サイト(天城山を歩く2019)

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=5025

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