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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園 沼津

231件の記事があります。

2020年12月03日アクティブ・レンジャー写真展in伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」<沼津・下田合同開催>

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

あっという間に12月ですね。ここ数日業務もプライベートも年末を感じる忙しさで慌ただしく充実した日々を送っています。ふと新年に立てた目標を思い出そうとしましたが、何も思い出せません、、、

一緒に目標を立てた管内の同僚に聞いてみようと思います。思い出せない時点で達成していない可能性が高いですよね。年末まで気を引き締めてがんばろうと思います。

今回は12月3日(木)より沼津・下田管理官事務所で合同開催している"環境省 アクティブ・レンジャー写真展in伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」"のご案内をしたいと思います。

関東地方環境事務所管内には、6つの国立公園、15の国指定鳥獣保護区があります。それらの地区に配置された環境省職員「アクティブ・レンジャー(以下、AR)」が日々の業務で撮影したひとコマをご紹介します。

会場には、各AR選りすぐりの一枚が展示してあります。写真以外にも「アクティブ・レンジャーとはどんな仕事をしているのか?」を紹介したパネルや、撮影したARの紹介などもありますので、併せて見ていただき国立公園の事やARについて少しでも知っていただければと思います。

【 展示の様子 】

会場の「ジオリア」では、ジオシアターによる伊豆半島の成り立ちや、プロジェクションマッピングを使った伊豆半島の地質や各地の魅力、温泉分布などを知ることが出来ます。ジオリアに立ち寄り伊豆半島の歴史や見どころを知ることで、より一層旅が楽しくなること間違いなしです。

【 ジオリアの展示を説明する専任研究員の朝日さん 】

開催場所/開催期間

<場 所>

伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」

静岡県伊豆市修善寺838-1 修善寺総合会館内

<期 間>

123日(木)~ 126日(火)9:3016:30

休館日:水曜日、年末年始(12月30日~13日)、11613時以降

開催事務所の沼津管理官事務所からは富士山の湧水が流れ落ちる白糸の滝と、伊豆山稜線歩道・猫越岳山頂の池で見つけたモリアオガエル、下田管理官事務所からは奥石廊に広がるユウスゲと、爪木崎の青い海の写真4点を展示しています。その中から2点紹介します。

【 また来年この場所で  撮影:山田(沼津)


【 楽園の冬  撮影:齋田(下田)

普段から頻繁に国立公園内の巡視をするアクティブ・レンジャーならではの珠玉の一枚をぜひ会場でご覧になって下さい。お待ちしております。

新型コロナウイルス感染拡大防止対策については施設の指示に従って下さい。

▼伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」

https://georia.izugeopark.org/

▼開催案内

http://kanto.env.go.jp/to_2020/2020_6.html

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2020年11月16日読めない!?『八丁池』紅葉のタイミング

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

今年は紅葉が早いと思っていましたが、先日発表された静岡県の今後1ヶ月予報によると、例年より気温が高く紅葉は全体的に遅くなる可能性が高いそうです。あっという間に冬の景色になるより長い時間秋の景色を楽しめていいですね。紅葉は深緑と違い、見頃の時期の木枯らしや雨の影響で落葉してしまいますのでタイミングが合うと感動もひとしおです。山々がパッチワークのように色づくのが楽しみです。

今回は紅葉の時期に天城山巡視が何度か重なり、八丁池周辺の紅葉のタイミングの難しさを痛感しましたので敢えて日記で紹介したいと思います。

日本百名山の一つである天城山は、東は遠笠山から万二郎岳(標高1,299m)、伊豆半島の最高峰の万三郎岳(標高1,406m)など伊豆半島のほぼ中心を東西に貫く連山です。年間を通して雨が多く、年間降水量は4,000㎜を超える多雨地帯で、苔や樹木が育つ最適な環境です。八丁池は標高1,173mにある池で、「天城の瞳」の愛称で呼ばれています。池の周囲が八丁(約870m)あることから名付けられたと言われていますが、実際は580mほどしかないそうです。

八丁池へは一年に何度か訪れていますが、池の色は天気や季節によって毎回違う色に見えます。天然記念物の「モリアオガエル」産卵地としても知られていて、今年も梅雨頃にたくさんの卵を確認出来ました。池の周りは「モリアオガエル」の保護のため、半周ほどで通行止めになっています。

【 深緑の八丁池(見晴台から2020.6.15撮影)

1枚目の写真は、今年6月の八丁池です。深緑の八丁池は緑が眩しくパワーを感じます。この日はこの時期には珍しく富士山も見えています。


【秋の八丁池(見晴台から2020.10.26撮影)】

2枚目は10月26日巡視の際に撮影した1枚です。天気は曇りで少し暗いですが、まだ紅葉しているとは言えない感じですね。


【秋の八丁池(見晴台から2020.11.10撮影)】

そして、3枚目が1110日に撮影した八丁池です。

なんと言うことでしょう、、、八丁池奥の木々が落葉しています。2週間であっという間に景色が変わってしまいました。

八丁池は冬になると池が凍るほど気温が低くなります。そのため紅葉もあっという間に進み、この場所に来ないと確認出来ないので、この時期に何度か巡視をしていますが、紅葉の八丁池をまだ見たことがありません。今年は紅葉の時期に連続して巡視が重なったので、絶好のタイミングで美しい紅葉の八丁池を紹介しよう!!と意気込んでいましたが、残念ながらタイミングを逃してしまいました。八丁池の紅葉を楽しんだ方の話では、今年は台風の影響も少なく、朝晩と日中の寒暖差もあり葉が鮮やかに色づいていたそうです。改めて八丁池の紅葉のタイミングの難しさを実感しました。

【冬の八丁池(見晴台から2020.1.14撮影)】

そして、最後の写真はもう少し季節が進んだ冬の八丁池です。少しさみしい感じもしますが、冬は八丁池に空の濃い青が映り格別です。そして富士山周辺に比較的雲が少なく雪化粧した富士山がよく見えます。

八丁池は冬になると池の水が凍ります。私は一部凍っているところしか見たことがありませんが、今年はどうでしょうか?池が凍るタイミングで巡視に行くことが出来たら日記でご紹介出来ればと思います。

今回八丁池の美しい紅葉を見ることは出来ませんでしたが、自然の面白さを感じる数週間でしたし、来年の楽しみがまた1つ増えました。

天城山では標高の高い場所から紅葉が始まり、現在は、八丁池に向かう登山道でブナやカエデやもみじが色づいています。この時期限定の赤や黄色の森で秋を感じて見て下さい。

紅葉シーズンもあり少しずつ登山者が増えています。各自で新型コロナウイルス感染防止対策をお願いいたします。

▼静岡県伊豆市に来訪される方へのお願い

【新型コロナウイルス感染防止対策について(伊豆市)】

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?c1=12&c2=2&pid=5228

▼伊豆市観光情報サイト

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=5025

▼伊豆市紅葉情報

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?c1=12&c2=2&pid=5148

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2020年11月11日霊峰仰ぐ毛無山

富士箱根伊豆国立公園 義高樹

11月になりまして、冬の訪れをひしひしと感じます。

今回は静岡県と山梨県の間に聳える天子山塊、その最高峰である毛無山についてご紹介します。

標高2000m近い毛無山は、中々に登りごたえのある山です。

やや急坂で岩場もあり、時には設置されているロープを駆使して登らなければなりません。

ハァハァと息が上がり、じんわりと汗が滲みます。

しかし、つらいことばかりではありません。

富士宮市からのルートでは、途中に堂々たる不動の滝や、豊かな樹林帯を眺めながら登山することができます。


不動の滝

極めつけは、富士展望台から眺める見事な富士山です。


富士山

展望台といっても、階段やデッキが設置されているわけではありませんので、ワイルドに岩の上に登って見て下さいね。

同じように北アルプス展望台もあります。

北アルプス

富士山と北アルプスの両方を見ることができるなんて、とってもお得だと思いませんか。

山頂へ辿りつくと、これまでの急坂が嘘のようになだらかな草原があります。

のんびりとした景色が広がるその向こうに、下界と富士山の両方が見えますよ。

毛無山山頂より

毛無山はこの他にも隣の雨ヶ岳まで縦走するルートがありますが、クマザサのせいで道が分かり辛くなっているので、利用する際は十分注意して下さい。また、充分な装備と準備をもって臨みましょう!【※新型コロナウイルス対策(マスク、ソーシャルディスタンス等)も忘れずにお願いします。】

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2020年10月28日天城温泉郷『湯道』をめぐる

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

今年も残すところあと2ヶ月です。時間の流れの早さに驚きます。秋は毎年言っているような気がしますが、、、食べ物がおいしい季節ですよね。ついつい食べ過ぎてしまいます。

全国の山々で初冠雪のニュースを耳にしました。伊豆半島の紅葉はこれからですが、富士山は雪化粧をして美しいです。沼津管内も少しずつ冬に向かっています。

ところで皆さんは『湯道(ゆみち)』という言葉を聞いたことがありますか?湯道とは静岡県伊豆市湯ヶ島にある小道で、かつて河原の共同湯に通うために使っていた小道を、里の人達が「湯道」と呼ぶようになり、名前をそのままに散策路として整備された道です。この場所は、幼い頃この地で暮らしていた作家 井上靖の「しろばんば」の舞台になった場所や、川端康成が「伊豆の踊子」を執筆した場所でもあります。

苔むした小道を歩いていると、井上靖をはじめとする文人墨客たちもこの場所を歩き、執筆の創作意欲を高めたり、心を休めていたのかな?と想像が膨らみます。そんな景色を眺めていると感慨深い気持ちになりました。

小道の脇には小川が流れ、笹舟を作って流して遊んだ子供の頃を思い出しました。この場所を歩くとなんだか懐かしい気持ちになります。

カサカサっと何か落ちてきたと思ったら、どんぐりです。足下には秋が落ちていました。

こちらは、猫越川(ねっこがわ)にかかる「女橋」と、本谷川にかかる「男橋」です。この場所はこの二つの川が合流し狩野川として流れ出す場所であり、男女が巡り会い新しい人生をスタートする「出会い橋」と呼ばれていて、二つの橋の出会う場所にはハートのモニュメントがあり写真スポットになっています。5月下旬から7月上旬頃には、たくさんのホタルが飛び交い幻想的で、四季を通して美しい場所です。

11月中旬頃には湯道沿いの木々の紅葉が始まり、出会い橋ではライトアップも行われる予定です。秋色に染まった美しい渓流にかかる橋で素敵な出会いがあるかもしれませんよ。

おまけ、湯道の小川に咲いていた「ホトトギス」です。10月ももうすぐ終わりですがキレイに咲いていました。

湯道の紅葉はこれから見頃を迎えます。文人ゆかりの宿や史跡、歌碑などを巡りながら風情のある小道で紅葉と歴史に触れ思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

*湯道の中にある「わらべ橋」は老朽化により現在立入禁止になっていますのでご注意下さい。

▼静岡県伊豆市に来訪される方へのお願い

【新型コロナウイルス感染防止対策について(伊豆市)】

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?c1=12&c2=2&pid=5228

▼伊豆市観光情報サイト

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?c1=5&c2=4&aid=4&pid=2402

▼天城温泉郷 観光ガイド

https://amagigoe.jp/

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2020年10月23日東海自然歩道を歩こう!

富士箱根伊豆国立公園 沼津 義高樹

今年も早いもので、もう10月です。

すっかり寒くなるかと思いきや、11日、12日はまさかの夏日でしたね。

浜松市では気温が27度にもなったとか。

去年まで山形にいた私は、10月ですとそれなりに寒い思いをしていましたので、未だに半袖でいられることが信じられません。

そんなお天気に恵まれた12日、東海自然歩道の巡視に行って参りました。

東海自然歩道・木橋の様子

最近、皆さんは外のアクティビティを楽しまれているでしょうか。

ステイホームと自粛も大事なことですが、たまには外に出かけて、自然の中でリフレッシュすることも良いかもしれません。

・軽く運動がしたい。

・アウトドアに興味があるが、何をしていいか分からない。

・昔は登山をしていたが、最近は足が遠のいている。

そんな方々にお勧めできるのが、こちらの東海自然歩道(ハイキング)です。

東海自然歩道といえば東京と大阪を結ぶ長距離歩道ですが、今回ご紹介するのはそのごく一部で、およそ1時間程度で一周できるコースになります。

国土地理院地図におけるコース概要

(【A沢貯水地】または【富士宮市立井之頭小学校根原分校跡】付近になります)

コースは起伏が少なく、なだらかです。

装備としては登山靴が望ましいですが、ハイカットのように本格的なものは必要ありません。

ちょっとしたお菓子などを持参して、気軽にハイキングに出掛けてみては如何でしょう。

天気が良ければ、このように富士山も展望できます。


東海自然歩道からの富士山(5月27日撮影)

付近には朝霧高原の他、白糸の滝(過去日記→【白糸の滝と富士山】)、田貫湖ふれあい自然塾(ホームページ→【環境省田貫ふれあい自然塾】)もありますので、時間があるようでしたら立ち寄ってみて下さい。

きっと、より自然を好きになれる筈ですよ!

※新型コロナウイルスへの対策(マスク、ソーシャルディスタンス等)を十分にして、お出かけ下さい。

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2020年09月30日2020年の富士山の楽しみ方③「富士山自然休養林ハイキング」

富士箱根伊豆国立公園 義高樹

初秋を迎え、記録的な猛暑に見舞われた静岡も、朝夕はめっきり涼しくなってきました。

今年の夏は暑いばかりでなく、コロナ渦の影響で自粛続きの異例な夏だったと思います。

世界文化遺産であり、日本のシンボルである富士山も、2020年度は残念ながら閉山となりました。

早朝の富士山

そのため「2020年の富士山の楽しみ方②」に引き続き、登らない富士山の楽しみ方をご紹介したいと思います。

ご紹介するのは「富士山自然休養林ハイキング」です。

例年、多くの方々が利用するのは、富士山の五合目から頂上に至る【富士宮】【御殿場】【須走】【吉田】といった主要登山道でしょう。こちらは未だに荒々しい火山噴火の痕跡を見ることができますし、日本一の高みへ到達できる非常に達成感のあるルートです。

しかし、富士山の魅力はそれだけではありません。五合目より下の広大な山麓には自然の宝庫と呼ぶべき原生林が広がっています。主要登山道が閉鎖中であるこの機会に、少し麓へ目を向けて見ませんか。きっと、富士山に対するイメージが変わると思いますよ。

富士山自然休養林のハイキングコースは多くありますが、今回は静岡県裾野市の水ヶ塚公園から御殿庭下までのコースをご紹介します。

下記のサイトではDコースとして紹介されています。

富士山自然休養林ハイキングマップ(富士山自然休養林ハイキングコースご案内)

このコースは、始めは起伏が少なくゆったりとハイキングを満喫することができます。

モコモコです

中盤を過ぎると、少し傾斜がきつくなって木々の密度が減り始めます。

綺麗な広場に出ました

道中ではブナやカラマツを初めとした原生林の豊かさに見入り、綺麗な空気の中で心身ともにリフレッシュすることができます。

まるで森と一体化したような静かな時間を過ごしてみては如何でしょう。

こんな所に可愛いホタルブクロが

これから秋も深まり、ハイキングには最適な季節となります。

なるべく少人数で、飛沫に注意するなどコロナ対策を行ったうえで、富士山が初めての方も、今年登れなくてがっかりしている方も、是非、富士山自然休養林を訪れてみて下さい。

【注意】

御殿庭下より先には宝永山へ至るルートがありますが、今年度は利用することができません。また、富士山の登山道は吉田口を除き麓から閉鎖(吉田口も五合目より先は閉鎖)しておりますので、ハイキングコースから当該地に立ち入ることはご遠慮下さい(主要登山道、宝永山、双子山等への道には注意書きとテープがあるので、指示に従うようにして下さい)。

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2020年09月07日『滑沢渓谷』で森林浴

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

最近は、夕暮れ時に吹く風の涼しさに少し秋を感じる日があります。とは言うものの、日中の暑さはまだまだ厳しい沼津です。

前回、夏でも涼しい「浄蓮の滝」を紹介しましたが、今回はどの季節に行っても森と清流の美しさに目を奪われ、癒し効果抜群の「滑沢渓谷」を紹介したいと思います。

滑沢渓谷は、天城峠の北側にある苔と樹木に包まれた渓谷です。谷を埋め立てた安山岩の上を流れる清流が、長い年月をかけて岩肌を削り滑らかで美しい一枚岩を作りました。渓谷沿いにはわさび田があり、スジグロシロチョウが舞っている姿を目にします。この場所は井上靖の「猟銃」のモチーフになった場所で、滑沢橋を渡ると林道の入口に井上靖文学碑があります。そして、渓谷沿いにある太郎杉歩道と林道を上流へ進んでいくと、天然記念物の樹齢推定450年の巨木「太郎杉」まで行く事ができます。(※歩道を進むと最終的に林道と合流するので、林道のみを進んでも太郎杉まで行く事ができます。)

【 滑沢渓谷 】

林道の途中には滑沢火山の噴火によって出来たバームクーヘンのような、火山性の土石流の地層を見ることが出来ます。渓谷だけでなくこの辺り一帯が溶岩台地の森だと感じられます。

【 バームクーヘンのような地層 】

林道をしばらく進むと右側に木製階段が見えてきます。階段の先にあるのが「太郎杉」です。昭和39年に静岡県の天然記念物に指定され、樹齢はおよそ450年、高さは53メートルと天城周辺では一番大きい杉です。枝ぶりも立派で、雨の多いこの場所に何百年も生き続けていると思うと感慨深いです。

【 太郎杉 】

下の写真は「竜姿(りゅうし)の滝」です。滑沢川と本谷川が合流した場所にあります。滝の左側の岩が、川に入った竜が体をひねり鼻先を滝の方へ向けているように見えるということで、この名前がついたそうです。渓谷の水の透明度を感じられ、春夏は新緑、秋は紅葉も美しい場所です。


【 竜姿の滝 】

新緑、紅葉、冬には年に数回見られる雪の滑沢渓谷も楽しむ事が出来ます。どの季節に行っても忘れられない景色が広がっています。水のせせらぎ、風の音、木漏れ日、森の空気をたくさん体に吸収し、暑い夏で少し疲れた体を森林浴で癒やして下さい。

▼静岡県伊豆市に来訪される方へのお願い

【新型コロナウイルス感染防止対策について(伊豆市)】

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?c1=12&c2=2&pid=5228

▼伊豆市観光情報サイト

http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2511

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2020年08月14日清涼を求め『浄蓮の滝』へ

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

ついに長かった梅雨が明けましたね。暑い夏は四季の中で得意ではない私も、今年の長すぎる梅雨の中、この時を待ちわびていましたが、梅雨明けした途端にこの暑さ、、、外に出るとサウナの中にいるようで体に堪えますね。それでも青い空と、夏らしい雲は見ていて気持ちがいいです。

今回は、歌手石川さゆりさんの「天城越え」の歌詞に登場する、『浄蓮の滝』を紹介したいと思います。

浄蓮の滝は、静岡県伊豆市湯ヶ島にある落差25m、幅7mの「日本の滝100選」に選定された伊豆最大級の名瀑です。伊豆東部火山群の鉢窪山と丸山から1万7千年前に噴火した溶岩が本谷川に流れ込み、溶岩台地と浄蓮の滝を作りました。昨年、駐車場の目の前に展望デッキが新設され、滝壺までの急な階段を降りずデッキから滝を眺めることが出来るようになりました。

【 展望デッキ 】

滝の近くまで行くと、滝のしぶきが自然のミストシャワーのようにひんやりしていて気持ちがいいです。岩肌に見える六角形の石は柱状節理です。噴火によって流れてきた溶岩がゆっくりと冷え固まって規則正しい割れ目を作りました。この辺りが溶岩台地だということを実感できる美しい自然の芸術です。

そして、滝横の崖には、静岡県天然記念物の「ハイコモチシダ」が自生しています。九州の南部と伊豆半島のみ分布していて、国内で初めてこの場所で発見されたことから、別名「ジョウレンシダ」とも呼ばれているそうです。

【 浄蓮の滝(8月4日撮影) 】

滝の水量は、雨量で大きく変わります。先月巡視に行った際は、長梅雨の影響を受けて、水量が普段の倍以上になっていました。滝壺の目の前の展望スペースまで、小雨のような滝のしぶきが飛んできてすごい迫力でした。

【 浄蓮の滝(7月15日撮影) 】

滝の下流沿いにはわさび田があり、黄緑色の絨毯が美しいです。栽培方法の「静岡水わさび伝統栽培」は世界農業遺産に認定されています。この辺りの主要道路脇にもわさび田があり、この土地で開発された畳石式わさび田を見ることもできます。わさびは食欲増進作用や、多くのビタミンが含まれていると言われていますので、夏にピッタリの食べ物ですね。

【 渓流沿いのわさび田 】

暑い夏も滝の周辺は涼しく、滝から流れてくるひんやりと湿った空気と川のせせらぎ、わさびやシダの緑が心と体を癒やしてくれます。暑さが厳しい夏ですが、日記を読んで清涼な空気を少しでも感じてもらえたら嬉しいです。

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2020年08月03日白糸の滝と富士山

富士箱根伊豆国立公園 義高樹

皆様はじめまして。5月より沼津管理官事務所に着任しました、義高と申します。山形より富士箱根伊豆国立公園にやって参りました。着任よりはや三ヶ月。静岡の暖かな気候と、雄大な富士山のおかげでとても充実した日々を過ごしています。

私がこの度取り上げさせて頂くのは、マイナスイオンの降り注ぐ夏に涼しげなスポット、白糸の滝です。静岡県富士宮市にある白糸の滝は富士山の世界文化遺産の構成資産のひとつとなっています。

白糸の滝はその殆どが富士山の湧水であるという驚きの特徴を持っています。実は富士宮市や富士山麓エリアは湧水がとても豊富なのです。それは富士山の溶岩地層が雨水を吸収し、長い時間をかけて濾過するためです。いわば富士山が大きなスポンジとフィルターの役割を果たしているわけですね。白糸の滝はそんな富士山のメカニズムによって生み出された自然現象の一つです。実際に目にすれば、信じられないほど透き通った湧水に思わず息を飲む筈ですよ!

白糸の滝、正面

お鬢水

見ているだけで涼しい気分になってきますね。

さて、白糸の滝はその美しさから多くの人に親しまれています。しかし、美しさだけでなく、富士信仰に纏わる由緒正しい歴史も持っているのです。

富士山は霊山として古くから崇められてきました。だからこそ数々の富士信仰が発展し、浅間大社を代表とする神社などが設けられました。確かに、遠くに富士山が見えたら有り難い気持ちになりますものね。そんな富士信仰の中でも、江戸時代より一大ムーブメントを起こした富士講。白糸の滝はその修行場としても利用されました。富士講の開祖である長谷川角行をはじめ、様々な人々がこの地で修行を行い、富士山への信仰をより強固なものにしました。そんな経緯を知っていると、滝を見る目が少し変わってくると思います。

さらに近年、白糸の滝は景観や利便性といった側面で進歩がありました。静岡県が推進する無電柱化計画により、周辺地域では電線が地中に埋設され、すっきりとした青空と富士山を眺望できるようになりました。観光案内所や公衆トイレ、お店もリニューアル&バリアフリー化したことにより、美しく、多くの人にとって利用し易い園地となっています。

 

観光案内所とお土産店

新型コロナウイルスが依然として流行している昨今。白糸の滝を訪れる際は、感染予防をしっかりされた上でお楽しみ頂きますようお願いします。

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2020年07月03日森に住む『モリアオガエル』の産卵

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

最近、近所の田んぼの周辺では小さな二ホンアマガエルをよく見かけます。小さな体で元気よく跳ねています。7月に入りそろそろ梅雨明けでしょうか。暑い夏が始まりますね。

今回は、ニホンアマガエルではなく、猫越(ねっこ)岳山頂の池で見つけた『モリアオガエル』の産卵を紹介したいと思います。

猫越岳山頂の池は、伊豆山稜線歩道沿いの仁科峠から天城峠へ向かった途中にある池です。

池の近くまで行くと、聞きなれない音(声)が聞こえてきました。

猫が喉を鳴らす音のような、、、さまざまな音階のコロコロコロ、、、コロコロコロ、、、普段聞いたことのない音、モリアオガエルの鳴き声です。一般的なカエルの合唱とは違い何とも不思議な大合唱です。

しばらく聞いていると、急に静まり返り、指揮者が指揮棒を振ったかのように再び大合唱が始まります。どんなタイミングで鳴いているのでしょうか。しばらく聞き入ってしまいました。

おもに森林に生息するモリアオガエルですが、産卵の時期(4月~7月)は水辺に集まってきます。成体の体長はオスが4㎝~6㎝、メスは6㎝~8㎝で、メスはとても大きいです。夜行性なので、昼間はあまり活動していませんが、鳴き声の先にオスのモリアオガエルの姿を確認出来るかもしれません。

【 モリアオガエル 】

皆さんはカエルの卵というと、田んぼの水の中にあるカエルの卵を想像するのではないでしょうか。ほとんどのカエルが水中で産卵しますが、モリアオガエルは水面の上にせり出した木の枝や、草の上などで産卵します。写真の樹上にある白い繭のようなものが卵塊です。

【 樹上のモリアオガエルの卵 】

樹上の卵はオタマジャクシを狙う鳥や動物から身を守るためと言われています。また産卵の時期は梅雨で雨が多いため、水のない樹上でも卵塊の乾燥を防ぐことが出来ます。卵塊の中で孵化したオタマジャクシは、水面に落下し1ヶ月程でカエルの姿に成長し森へ帰っていきます。

卵塊の位置を見て分かる通り、何メートルも木登りをして産卵しています。1枚目のモリアオガエル写真の長い脚と大きな手の吸盤を見るとなんだか納得出来ます。


【 モリアオガエルの卵 】

上の卵塊の写真は、伊豆半島の別の場所で撮影したものですが、水辺のない場所に産卵していて近くで撮影することが出来ました。もしかすると、産卵時は卵塊の下に水たまりがあったのかもしれません。触ってみると粘着質で弾力のあるメレンゲのような泡でした。

モリアオガエルはどうやって水辺の上にある枝を選んでいるのでしょうか?カエルは動くものを捕らえる能力が高いので、風に波立つ水面の動きを見て、水辺の上だと判断していたとしたら面白いですね。想像が膨らみます。

突然ですがここで、『モリアオガエルを探せ!!』です。下の写真の中にモリアオガエルがいます。どこにいるでしょうか?

【 モリアオガエルを探せ!! 】※クリックすると写真が大きくなります。

ヒント、真ん中の辺り、、、目を凝らしてよく見て下さい!!

見つけられましたか?

【 枝の上のモリアオガエル 】

正解は、写真中央の枝のくぼみにいました。かわいいです。

雨の多いこの時期に出会えるモリアオガエルは不思議がいっぱいでした。

この日は日中でしたが、池の上の枝で産卵を始めたペアがいて、近づく事は出来ないので遠くから少し観察させてもらいました。モリアオガエルは一度の産卵で300~600個ほどの卵を産むと言われています。たくさんのモリアオガエルが無事に森に帰れることを願いたいです。

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