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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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日光国立公園 那須

31件の記事があります。

2021年01月20日【那須】 「箱庭山岳は絶景の嵐!」 付録(那須のネコ)

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

前回と前々回で、那須の最も基本的な登山ルートである、

ロープウェイ山頂駅発の茶臼岳・朝日岳登頂・茶臼岳周回線 を紹介しました。

今回はさらに、その周辺のある風景について、ディープな探索を紹介します。

なお、今回使用している写真はほとんど雪のない季節のものですが、

現在那須連山は積雪が有り、風がとても強いため、

冬山装備をしっかりした熟練した登山者でなければ登山はお勧めできません。

ロープウェイを使わずに、茶臼岳や朝日岳その他各登山コースを歩く場合、

ロープウェイ山麓駅からさらに登った先の、峠の茶屋登山口から登ります。

ここには駐車場が有り、車でここまで来て、登山を楽しむことができます。

登山道は茶臼岳の山肌を登りあげて、峰の茶屋跡避難小屋に続きます。

登山口付近は低木に覆われていますが、しだいに樹木の背丈は低くなり、

やがてまばらな草本類だけになって行きます。

森林が無くなるあたりで見上げると、茶臼岳の溶岩ドームが見えます。

ここからはこんな姿の山が見えます。

これは何でしょう?

猫耳です。

(私は最初にそう感じて、それ以外には見えなくなりました。)

向かって左側が、「ライトイヤー」。

向かって右側が、「レフトイヤー」。

(勝手に命名しました。この1年の間に、那須では「スナネコ」が人気になりました。

そのちょっと離れた左右の耳の位置関係に通じるところがある?)

さてこの猫耳、これまでに紹介してきた茶臼岳の溶岩ドームそのものなのですが、

全く形が違って見えています。

山は見る場所によって形が変わるものですが、この変わり様には驚きです。

「あの猫耳を近くで確認したい❤」と思い、

茶臼岳の巡視のたびにどの部分が猫耳なのかを探していました。

ところがこれが難物で、茶臼岳頂上を目指して登る途中では見当たりません。

茶臼岳頂上で見渡してもよく分かりません。

茶臼岳の頂上付近は少し移動するだけで風景が激変します。

10m先は別世界! 絶景の嵐なのです!!

それでも何とか猫耳を探します。

頂上からお釜(火口)を回って周回路に入ると、猫耳があるはずの直下を通りますが、

そこから見上げた光景はこうです。

これは確かにとんがっています。

ライトイヤーではないでしょうか。

しかしずいぶん荒々しいお耳です。

レフトイヤーはどこでしょうか?

・・・・・・・。

どうやら直下の歩道からはレフトイヤーは見えないようです。

では、他のピークから望むことができるでしょうか。

ありました!

隣の朝日岳から茶臼岳がよく見えます。

さらに拡大!

猫耳の位置が確認できました。

猫耳は溶岩ドームの中でも堅い溶岩の塊が残ったもののようです。

もっと近くで見たい!!

茶臼岳の頂上付近から見えないのか?

茶臼巡視のたびに気をつけて探していたところ、ようやく発見!!!

これがライトイヤーの先端です。

手前の山肌に隠れて、先端だけが見えています。

これは望遠レンズで撮影しています。

歩いていると他の溶岩と区別がつかず、気がつきません。

うーん、これだととても耳には見えません。

しかし、猫耳を近くで確認することができました。

残るはレフトイヤー。

これは来シーズンの宿題になりました。

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2021年01月15日【那須】センサーカメラが捉えた動物たちのすがた

日光国立公園 那須 菅野敬雅

こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

昨冬は少雪のため冬のアクティビティがほとんどできませんでしたが、今冬ようやくスノーシューデビューすることができてウキウキです。

▲冬のセンサーカメラのデータ回収はスノーシューで!

さて、今回は那須平成の森で実施している中型・大型哺乳類調査のお話の第4回目。

センサーカメラが捉えた、動物たちの興味深いすがたをご紹介します。

1.じゃれあうタヌキ

2匹のタヌキが向かい合ってフェイントのような動きを見せています。

遊んでいるところでしょうか?

2.キツネの帰り道

2019年の1月15日から7月18日まで、計26回も同じような経路をたどるキツネがいました。

5月5日の写真のように、ノウサギと思われる獲物を咥えていることも度々ありました!

3.ニホンジカの決闘

2頭のオスのニホンジカが激しく押し合っています!

押し合いはカメラが捉えただけでも10分間以上続きました。

この決闘の撮影日は2月。一般にニホンジカの繁殖期は9月下旬から11月とされていますが、オスたちの縄張り争いは真冬になっても続くのでしょうか...?

4.うとうとするニホンジカ

春の朝の木漏れ日の中、座り込んでうとうとしているニホンジカの様子です。

人間と同じように頭を重たそうにしている様がほほえましいです。

◎過去の日記はこちら

第1回:平成の森に生息している哺乳類たち

第2回:何頭いるかな?

第3回:増えすぎて困っています。

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2020年12月11日【那須】 箱庭山岳は絶景の嵐 後編

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

前回は那須の最も基本的な登山ルート、

ロープウェイ山頂駅発の茶臼岳・朝日岳登頂 の、前半を紹介しました。

(ロープウェイ山頂駅 - 茶臼岳山頂 - 峰の茶屋避難小屋 - 恵比須大黒)

今回は、《 恵比須大黒 - 朝日岳山頂 - 峰の茶屋避難小屋

        - 無間地獄 - 牛ヶ首 - ロープウェイ山頂駅 》

の区間を紹介します。

※ 写真は様々な季節のものを使用しています。

峰の茶屋避難小屋から朝日岳山頂に向かう途中は岩場が多く、注意が必要です。鎖場もあって、慣れない人にはやや不安かもしれませんが、慌てずにゆっくり進めば大丈夫です。

両手が十分使えるように身支度し、足回りなど装備はきちんと調えてください。

いくつかの岩場を渡るとやがて「朝日の肩」に出ます。

朝日岳頂上はもうすぐです。

         【 朝日の肩から朝日岳を望む 】

◎ 朝日岳は見る場所によって様々に姿を変えます。

いよいよ朝日岳山頂。ここに立つと、

北は 那須連山を望み、

西は 裏那須の山々、

南から東に 那須野ヶ原が広がり、

そして南隣には、

        【 茶臼岳 那須の盟主です 】

左手には広大な那須野ヶ原が広がっています。

ここから茶臼岳を見ると、溶岩ドームであることがよく分かります。

さて朝日岳を後にして、峰の茶屋避難小屋に戻り、そこから再び茶臼岳周回線に入って茶臼岳を一周します。

          【 茶臼岳の西側はトラバース道 】

茶臼岳の西側はとても崩れやすく、大雨の後は登山道のどこか数カ所様子が変わってしまいます。細かなメンテナンスの必要な歩道ですが、多くのボランティアの方々のお力で支えられています。

そんな厳しい環境の中でも、ガンコウランやウラジロタデ、ミヤマニンジンなどが生育し、季節ごとに彩り豊かな装飾をしてくれます。

        【 ミヤマニンジン 9月中旬 】

岩場に白い花が咲き、同時に果実が赤く色づいて、とても目を引きます。

※那須も含めた日光地域ではシラネニンジンが有名だと思いますが、茶臼岳周辺には、シラネニンジンによく似たミヤマニンジンもあります。ミヤマニンジンは花の白と果実の赤のコントラストが特徴のようで、私はとても気に入っています。是非、逢いに来てください。

トラバース道を進んで行くと、何やら白い煙が上がっているのが見えてきます。1881年(明治14年)の小噴火で形成された無間火口から上がる噴気です。

           【 無間(むげん)地獄(無間(むげん)火口) 】

火口形成以来、耐えることなく噴気をあげていて、その後も降灰を伴う微噴火を繰り返しています。(1963年の微噴火以降は、噴火は観測されていません。)

無間地獄に近づくと、ゴー、ゴッゴーという音が聞こえてきます。強い硫黄の臭いもしてきます。まさに自分が活火山の上に身を置いていることを実感します。噴気は、茶臼岳のあちこちで見られます。

無間地獄を過ぎると、右手下に平らな所が広がっているのが見えてきます。姥ヶ(うばが)(だいら)です。ここは紅葉の名所として有名です。

           【 姥ヶ平 10月初旬 】

紅葉の時期には人の渋滞が発生します。ロープウェイの駐車場への道も渋滞しますので、ご注意ください。

姥ヶ坂の入り口を過ぎるとすぐに牛ヶ首に着きます。ここはミネザクラの群落のある日の出平への分岐になりますが、今回はそちらへは行かず、ロープウェイ山頂駅方向に向かいます。

やや起伏のあるトラバース道を進みます。左手には茶臼岳の溶岩ドームが様々な様相に変化し、右手には那須野ヶ原が次第に広がって見えてきます。

この道の途中で仰ぎ見る茶臼岳のドーム、この姿に私は畏怖の念を感じます。

山の、自然の経歴の前にあって、人の知識・経験の至らなさ感じる場です。

トラバース道はやがて茶臼岳山頂に向かう歩道に合流して周回路一周が終わります。ここからロープウェイ山頂駅に戻っておよそ半日の登山終了です。

どうでしょう。絶景でお腹いっぱいになりましたか?

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2020年12月03日【那須】那須高原におけるオオハンゴンソウ駆除活動結果報告

日光国立公園 菅野敬雅

 こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

 令和2年度に那須管理官事務所で実施しましたオオハンゴンソウ駆除活動の結果についてご報告いたします。

■活動の背景

 那須高原地域では、過年度より特定外来生物であるオオハンゴンソウの侵入・生育が確認されてきました。オオハンゴンソウの侵入による影響として在来植生との競合が危惧されています。

 那須管理官事務所では、平成21年度より那須高原地域においてオオハンゴンソウの駆除活動を地元ボランティアの協力のもとで実施しています。

 

▲特定外来生物オオハンゴンソウ         ▲大丸浄水施設における駆除活動の様子(R2/6/4撮影)

■令和2年度活動結果

①定期活動(地元ボランティアの協力のもと行う駆除活動)

 今年度の定期活動は計5回(6/4、6/18、7/16、8/20、9/10)実施し、合計参加者数49名、合計駆除数4183本でした。活動場所と経年駆除実績は以下のとおりです。

▲主な駆除活動場所

▼経年駆除実績

②三斗小屋宿跡での駆除活動(那須塩原市環境課と共同で実施)

 平成27年度より那須塩原市指定の史跡である三斗小屋宿跡において、オオハンゴンソウの駆除活動を実施しています。今年度は感染症対策のため規模を縮小して8/7に実施しました。

 この場所ではオオハンゴンソウが大群落を形成しており、抜き取りによる駆除が難しいことから、刈払機を用いて刈り取りを行っています。刈り取りは草丈や種子生産を抑制する効果がある一方、個体数の減少には繋がりづらいため、今後どのように駆除を行っていくかが課題となっています。

▲三斗小屋宿跡における駆除活動の様子(R2/8/7撮影)

③他団体への活動協力

 8/2に実施された那須高原ビジターセンター主催の「那須染めワークショップ~オオハンゴンソウでトートバックを染めよう~」に協力し、外来生物についてのレクチャーを行いました。

 8/6に県立那須高等学校による八幡つつじ園地における駆除活動に参加しました。また、7/21には高校生に外来生物についての事前レクチャーを行いました。

 

▲オオハンゴンソウを用いた那須染め       ▲高校生への事前レクチャーの様子

 今後も粘り強く活動を継続し、那須高原の生態系保全に努めていきたいと思います。

 那須管理官事務所では、令和3年度のオオハンゴンソウ駆除活動にご協力いただける地元ボランティアを随時募集しております。お気軽に那須管理官事務所(0287-76-7512)担当菅野までお問合せください。

○令和2年度活動計画についてはこちら

◎特定外来生物についてはこちら

◎オオハンゴンソウについてはこちら

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2020年11月10日【那須】 箱庭山岳は絶景の嵐 前編

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

今回は、那須の最も基本的な登山ルートをご紹介します。

まだ那須の山に登ったことがない方、

那須ロープウェイには乗ったけど山頂駅周辺しか行っていないかた、

はたまた茶臼岳の山頂で満足して、そこから引き返してしまった方には、

重要な情報です。

那須といえば茶臼岳(那須岳とも呼ばれますが、周辺の山々全体をさして那須岳と呼ぶこともあります)。茶臼岳は山頂の真下までロープウェイで行けるので、とてもお手軽に登山ができる山と言えるでしょう。とはいえ、山頂は1915m、風が出ればかなりの強風になることもしばしばです。そして歩道は石が多くて大変崩れやすく転びやすいので、登山をする場合は、登山に適した靴、雨具や防寒具などの準備はしっかりしてください。

茶臼岳には、山頂へ登る歩道の他に、山をほぼ平行に一周する周回線があります。茶臼岳の隣には朝日岳があり、この二つの山への登山が、那須での基本中の基本と言えるでしょう。この二座はほぼ半日で回れるルートですが、ここは非常に変化に富んだ地形で、少し歩くと風景が次々と変わります。コンパクトに様々な絶景が詰め込まれていて、絶景の箱庭と言えるでしょう。

ロープウェイ山頂駅を降りると、目の前には茶臼岳の溶岩ドームが立ちはだかります。

植生がほとんど無い荒々しい山頂をもつ活火山です(昭和28年にも小噴火がありました)。少しでも火山に興味がある人なら、すぐにこれが溶岩ドームであることが分かるでしょう。頂上を目指して登って行くと、溶岩ドームから崩れ落ちたとみられる大岩がそこここに見られます。

            ちょっとアルプスっぽい?

そんな岩の中には・・・、

              【 岩の恋 】

山頂までは急坂ですが、ゆっくりでも40分ほどで到着できます。

山頂からは、南東に広がる広大な扇状地、那須野が一望できますが、

雲海の日もしばしばあります。

遠く日光や尾瀬の山々が、雲海に浮かぶ島のようです。

山頂の脇には火口があります。

火口と思われる地形は数多く有り、那須連山が様々に姿を変えてきたことが分かります。

次に、火口を一周して、周回路に降りて行きましょう。

周回路に降りると、やがて峰の茶屋跡避難小屋が見えてきます。

            【ナスのマチュピチュ❤】

以前は同じ場所に茶屋が営業していましたが、今は建てかえられて避難小屋になっています。

やっぱり マチュピチュ?

ここから隣の朝日岳に向かってみます。

急峻で荒々しい山で、見る方向によって様々異なる姿を見せてくれます。

緑と岩肌のコントラストが目を引きます。

朝日岳に向かう途中には、

誰が名付けたか、【恵比須大黒!!】

こうした荒々しい岩の絶景が次々と現れます。

恵比須大黒は、現在2本の奇岩から成り立っていますが、以前は3本だったそうです。

絶えず姿を変える、それが那須連山です。

 

今回はここまで。

次回は朝日岳に登頂し、その後茶臼岳の周回路に戻って茶臼岳の裏側(北側)を回ります。

まだまだ絶景は続く・・・。

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2020年10月09日【那須】那須連山・姥ヶ平の紅葉

日光国立公園 菅野敬雅

 こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

 肌寒い日が増えてきましたね。私は早くもひざ掛けともこもこの上履きを引っ張り出して勤務しています。

●那須連山の紅葉情報

 さて、秋といえば紅葉。

 那須地域の紅葉シーズンは那須連山から始まります!

 去る10月7日、茶臼岳や朝日岳周辺の登山道を巡視してきましたので、見頃を迎えた紅葉や混雑具合の様子をご紹介したいと思います。

 残念ながら巡視日は霧が深く、特に朝は視界が真っ白でした。

 ただ、霧の晴れ間から時折覗く景色に期待が高まっていきます。

▲霧の晴れ間から...

 そして、霧が流れた一瞬の隙に見えた景色がこちらです。

▲熊見曽根から茶臼岳・姥ヶ平方面

 お昼頃になると、上空に分厚い雲が残るものの、周りの霧は大分晴れてきました。

 この日の最終目的地として、有名な紅葉スポットの姥ヶ平を訪れました。

▲茶臼岳側から姥ヶ平方面

▲姥ヶ平から茶臼岳方面

 シャッターを押す指が止まりません。

 帰りの時間が迫り、名残惜しさを感じながら姥ヶ平を後にしました。

 今週末の台風14号で葉があまり落ちないといいのですが...

 なお、紅葉の時期は駐車場・登山道ともに混雑しますので、登山の際は余裕のある計画をお願いします。

▲狭い岩場の道が多く、渋滞になることも。

 

▲(左図)那須ロープウェイは8:00時点(始発30分前)で建物の外まで列が伸びていました。

 (右図)峠の茶屋駐車場は8:15時点で満車。満車の際は大丸の駐車場をご利用ください。

●山の紅葉が終わっても...

 那須地域の紅葉シーズンはまだまだ続きます。

 紅葉前線が那須連山から麓に向かって下りてくると、那須平成の森でも紅葉が楽しめます!

 オススメは駒止の滝。

 那須平成の森のスタッフによると、今年の駒止の滝の紅葉のピークは10月20日以降になるのではないかとのこと。待ち遠しいですね。

▲駒止の滝の紅葉(2019年10月27日撮影、那須平成の森提供)

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2020年09月03日【花の名、改めて命名】

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺です。

以前から山野草の観察をして、できるだけ多くの植物の名を覚え、見分けられるようになりたいと思っています。これまでは決まったシーズンにしか時間がとれず、それぞれの植物の決まった時期の様子ばかりを見てきました。今回アクティブレンジャーになって、1つのフィールドでシーズンを通して過ごすことになりました。すると、1つの植物の季節的な変化を追って観察できるようになり、それぞれの植物について、より深い理解ができるようになりました。今回は、今までやや疑問を持っていた、「植物の名」に納得がいったことについて紹介します。扱う花の季節は過ぎていますが、来期に確認していただければ有り難いと思います。

その①【イワカガミ】

名前に漢字を当てれば「岩鏡」で良いと思われます。その名の由来は、「岩場に咲く鏡のように輝く葉を持つ植物」。といったところでしょう。

しかし、私が今まで出会ってきたイワカガミは、まあこんなもの。

まあ葉に光沢はあるけど・・・。

「鏡」?・・・。

もっと鏡っぽい葉は他の植物にも多いけど・・・。

まあいいか。

と、思っていました。

しかし、那須連山を歩く中で、鏡のように輝く葉に出会いました

本当はもっと光る葉なのですが、

光りすぎて上手な写真にならなかったので、

この写真にしています。

「鏡、と言ってよし。」と感じました。

ここで改めて私が命名します。 「岩鏡」 と。

その2【ショウジョウバカマ】

「ショウジョウバカマ」、初めてこの名を聞く人は、

思わず、「え、 なんと言いました?」と聞き直してしまうかもしれません。

漢字では「猩々袴」。

なおさらわからない。

猩々は、「髪や顔が赤い想像上の生き物」、「オランウータンや類人猿」、「酒好きな人」など様々に使われるようですが、まあ赤い顔ということで、赤~ピンクの花と理解できます。

では「袴」は?

おそらく葉が袴状ということなのでしょうが。

うーん、袴というか・・・。

もちろん現代的な衣類はない時代の命名なのでしょうから、

現代の感覚で計ってはいけないのですが・・・。

などと、ずっと悩んでいました。

ところが那須の岩場で、しっかり袴をはいた猩々に出会いました。

改めて私が命名します。 「猩々袴」 と。

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2020年09月02日【那須】増えすぎて困っています。

日光国立公園 那須 菅野敬雅

こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

8月は暑い日が続きましたが、那須連山では既に秋の花々が見頃を迎えようとしています。

  

 ▲光を浴びるカリヤスモドキと茶臼岳   ▲道端に咲くオヤマリンドウ

  (いずれも8月28日撮影)

さて、今回は那須平成の森で実施している中型・大型哺乳類調査のお話の第3回目です。

 第1回:平成の森に生息している哺乳類たち

 第2回:何頭いるかな?

1. ○○○○○と○○○○が急増中!

 まずは下の折れ線グラフをご覧ください。

 

   ▲那須平成の森で確認された哺乳類の出現数の経年変化

 ニホンジカとイノシシの急激な増加が一目瞭然です!

 那須平成の森ではニホンジカがH27~H30にかけて毎年約1.5倍ずつ増加、なんとH30~R1にかけては約1.8倍も増加しています。イノシシはおおよそ2年ごとに倍増する傾向がみられています。

2. ニホンジカが増えると。。。

 樹皮剥ぎによって樹木が枯死してしまったり、林床植生が食べ尽くされてしまったりする恐れがあります。

 右下の写真は、那須平成の森から直線距離で25km南西に位置する塩原地域の林床の様子です。塩原地区ではここ10年間で林床植生が激変してしまったそうです。那須地域でもこのままニホンジカが増加していけば、林床から植生が失われてしまうかもしれません。

   

 ▲樹皮剥ぎ(那須平成の森)       ▲林床植生の衰退(塩原地域)

3. イノシシが増えると。。。

 地下茎を食べるために掘り起こすので、地面の荒廃が目立っていきます。

 

 ▲イノシシによる掘り起こしの様子(左図は那須平成の森、右図は那須平成の森近くにある八幡園地)

森林の生態系を守るために私たちに何ができるのか、考えさせられます。

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2020年07月02日【那須】 雲上の桜庭園

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺です。

春先の那須の大風には驚かされましたが、割合に天気に恵まれて、ここまで巡視を数多くこなしてきました。今回は報告が少々遅れましたが、528日に巡視した日の出平について紹介します。

那須のシンボル「茶臼岳」(1915m)から南につながる頂上を日の出平(1786m)と言います。この日はミネザクラの開花にあわせて巡視しました。那須の山々の登りは、「つづら折り」と言うよりは直線的に登りあげる登山道が多く、意外にキツイところがあります。しかしキツイ坂の途中にも、癒やしはあります。

<癒やし①> 咲き始めたアズマシャクナゲ



 

        <癒やし②> クロサンショウウオの卵塊と成体

 

                <癒やし③> 咲き始めたミネザクラと尾瀬の山々


頂上が近くなると坂は緩やかになるとともに、植生が変わります。樹木はなくなり、笹原となります。

冬場の雪と強風のため、また火山性ガスのため、森林が成り立たないのだと理解されます。

ところが、

いよいよ頂上に出ると、なんと樹林帯になっているのです。

           頂上が平らな日の出平は、まばらな森林が成立している。

冬は雪に覆われ、強風が吹き抜ける頂上になぜ樹林が成立するのか? 不思議です。

むしろ頂上の手前では森林が成立していないのに・・・

地形などからくるわずかな違いが、植物の生活に大きな影響を与えているのだろうと思います。

そして、この森の代表が、ミネザクラ。

なんとこの環境の中に桜の庭園があるのです。

             これがミネザクラです。

             桜?

             梅じゃないの?

             なにこの枝振り!!

過酷な環境に耐える桜の姿がここにありました。

あれ、でも・・・

大丈夫!    花も咲いています。

                     花つきが悪い?

                     そんなこと言わないでください。

                     この環境で頑張って咲いているのですから!

                     今年は花が少ないそうです。

                     また、木によって花つきが異なり、

                     今年はほとんど咲かないものがあるそうです。

                     花芽がほとんどない木もあります。

おわかりいただけますでしょうか? この枝振り



                風の吹き抜ける方向をしっかりと指し示しています。

こんな中、今年花をつける木と花をつけない木があるのです。

ふと、足下を見ると、

                  コミヤマカタバミ

頑張っているのは、桜だけではありませんでした。

最後に、ツーショット!

                 「ミネザクラ と 茶臼岳」

                 これぞ、那須のシンボル!!

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2020年06月23日【那須】那須高原におけるオオハンゴンソウ駆除活動計画

日光国立公園 那須 菅野敬雅

 こんにちは、日光国立公園 那須管理官事務所の菅野です。

 令和2年度の那須管理官事務所で実施するオオハンゴンソウ駆除活動計画についてお知らせします。

活動の背景

 那須高原地域では、過年度より特定外来生物であるオオハンゴンソウの侵入・生育が確認されてきました。オオハンゴンソウの侵入による影響として在来植生との競合が危惧されています。

 那須管理官事務所では、平成21年度より那須高原地域におけるオオハンゴンソウの駆除活動を地元ボランティアのご協力の元で実施しています。

▲特定外来生物オオハンゴンソウ

▲昨年の活動の様子

▲これまでの主な駆除活動場所(クリックで拡大)

令和2年度活動予定

■定期活動(地元ボランティアの協力の元行う駆除活動)

  6/4(木)、6/18(木)、7/16(木)、8/20(木)、9/10(木)※予備日は翌日

■その他活動

  次の活動を予定しています。

  ・三斗小屋宿跡での駆除活動

  ・他団体主催の駆除活動に講師として参加(昨年度の様子

  ・那須高原地域における生育状況調査

 実施結果については今年度の活動終了後にご報告できればと思います。

 長年の駆除活動により、場所によっては根絶が視野に入ってきたところもあります。粘り強く活動を継続し、那須高原の生態系保全に努めていきたいと思います。

◎特定外来生物についてはコチラ

◎オオハンゴンソウについてはコチラ

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