関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

みんなで見てみよう!ゆっくり開くオレンジの花 (伊豆諸島地域)

2023年07月27日
伊豆諸島 小野可蓮
みなさんおひさしぶりです。
鳥と花が好きな小野可蓮です。
伊豆諸島に来てからは虫を見ることも増えました。
特に「ガ」が熱いです(多種多様過ぎて!)。
代替テキスト
△ 車の上で休む?アシブトチズモンアオシャク

海辺の花園・再生プロジェクト


今年も大島サンセットパームライン沿いでは「海辺の花園・再生プロジェクト」のイベントが開催されました。
7/8は第10弾目!
ここ2年間は、花の受粉を担っている蝶類の観察と、結実率の調査を行いました。
今年は一味違った企画を、長年伊豆諸島の生物の研究をされている長谷川雅美先生(東邦大学名誉教授)と、伊豆大島ジオパーク推進委員会のみなさんとで考えてくださいました。
それは早朝にハマカンゾウの花が開く瞬間を観察するというもの!

 
代替テキスト
ハマカンゾウは季節になると1日1花ずつ咲いていきます。
そのため英語ではdaylilyと呼ばれています。
毎朝順番に開花していき、夕方には閉じていく、というのを主に6月から7月にかけて(場所によっては9月頃まで)毎日見られます。
が、実際に開花の様子を確認するとなると、日が昇り切る前には観察の準備をしなくてはなりません、、、
 

ということで、今年のイベントは朝の5時から8時にかけての観察会になりました!!
私自身も夏場はサンセットパームラインに散歩に行くことが多いのですが、開花の瞬間は見たことがありませんでした。
カメラを持って心を躍らせながら当日に挑みました。

観察会イベント当日

 
わくわくどきどき。
5時集合だったのにもかかわらず、30名以上でのスタートとなりました。
天気は曇りで風が強め。赤禿周辺で観察を始めます。
 
代替テキスト
△ 5時頃ハマカンゾウ生育エリア内の様子 
代替テキスト
△ 既に開きかけている花
花びらの動き方に注目!
花の種類によって開き方が違いますよね。
 

みなさんは
同時に開くのと、一枚ずつ開くのと
ぱっくり開くのと、ねじれながら順番に開くのと
下から膨らんで開くのと、上からバナナがむけるように開くのと
どんな風になると思いますか~?
 

正解はこちら。
代替テキスト
△ 5時過ぎの時点の様子 天気によっても開く時間が異なるそうです
代替テキスト
△ 花びらが上から開き、おしべやめしべが見えてきました
代替テキスト
△ おしべの葯(やく:花粉が入っている袋状の部分)が袋を裏返すように徐々に開いていっているのが伝わるでしょうか?
わお!ですね。
予想していたのとはちょっと違ったかもしれません(笑)
でもゆっくり開いていく様子は神秘的で心が癒やされました。
じーーっと見ていないと見られない瞬間です。
花によって少しずつ色や形が違うのも楽しめる要素です。
ハマカンゾウの場合は花が赤っぽいものから黄色っぽいものまで、花びらの先が丸っこいものから尖っているものまで、様々な変化があります。
何かの生存戦略なのか、単なる突然変異なのか、自然は不思議だらけですね。
 
代替テキスト
代替テキスト

ハマカンゾウの他にも


こんな風にして、みなさんにもハマカンゾウや海浜植物、地域の自然と繋がりを感じてもらうことができたらいいなと続けられているプロジェクトです。
ハマカンゾウだけでなく、他の海浜植物もいずれこのようにして大事にしていければ良いですよね。
夏(6~8月)は他にもこんな海浜植物を観察することができます。
代替テキスト
△ シマホタルブクロ:伊豆諸島の固有変種で、三宅島では大島より受粉を担う虫が小さいため、花も小さいです
代替テキスト
△ ハマゴウ:花・葉・実など軽く揉むだけでさわやかな香りがします
代替テキスト
△ ラセイタソウ:葉の裏は毛に覆われており、葉脈も飛び出たような形をしているため特徴的です
代替テキスト
△ ソナレムグラ:多肉植物のようにぷっくりとした葉を持ち、潮風から身を守るため地べたに低く生えていることが多いです
代替テキスト
△ 他にもボタンボウフウの花やハマナデシコの種などの観察もしました
代替テキスト
△ ハマナデシコの種 蒴果は風によって少しずつ種が散布されるような形状をしています

身近なところから冒険してみよう!


みなさんの回りでは、今どんな植物が見られますか?
近付いてじっくり見てみたり(花だけでなく葉や生え方も)、匂いを嗅いでみたり、表面を触ってみたり。
どんな虫が集まってきているか観察したり。
なぜその場所に生えているのか考えてみたり。
生き物と触れ合うことは、このようにわたしたちの感性に直接響くことで、豊かな感受性を育んでくれます。
身近なところから少し冒険してみると、新しい発見の数々に毎日が楽しくなるのではと思っています。
 
伊豆諸島でも、どの島でも海浜植物が多く見られる訳ではなく、近年噴火が起こり、島の形状的に海岸線がなだらかな大島や三宅島で沢山見られます。
(大島や三宅島の海浜植物についての過去記事:海と陸と空の間にある花畑 (伊豆諸島地域) | 関東地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp) )
島に住んでいると当たり前に感じてしまうかもしれませんが、すぐ見に行ける距離にあること自体、特別なんです!
 
これからも海辺の花園・再生プロジェクトの経過について発信していきますので、また楽しみにしていてください~!
 
代替テキスト