関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

グリーンアノール対策の最前線 大丸山囲い込み柵完成

2025年03月21日
小笠原 河村雅史
小笠原自然保護官事務所の河村です。

私が小笠原事務所に着任して以来、このAR日記でこれまでに3回紹介してきた、兄島の大丸山囲い込み柵工事が無事に終わり、柵が完成しました。

大丸山囲い込み柵は、兄島に生息する固有昆虫を守るために設置が進められているグリーンアノール侵入防止柵です。兄島では特定外来種のグリーンアノールが生息域を広げており、希少な固有昆虫の減少・絶滅が懸念されています。昆虫調査の結果、兄島の中でも大丸山は昆虫の多様性が特に高く、保全の優先度が高いエリアであると判断されました。そのため、このエリアを柵で囲い、グリーンアノールの侵入を防ぐことで、昆虫の生息環境を守る取り組みが進められています。

今回の日記では2024年12月から2025年3月に、大丸山囲い込み柵の支柱を建て始めてから完成に至るまでの作業日に同行し、撮影した現場写真を中心にお伝えします。
 
工事作業の様子
柵の工事は、鉄筋支柱を建てる所から始まりました(2024年12月撮影)

支柱が立っている様子
鉄筋支柱が柵一周(1km)完成したころの写真

支柱とポールがついたようす
繊維強化プラスチック製のポールを鉄筋支柱に取り付ける

ネットが付いた様子
ポールを付けた後にネット、防草シートを取り付ける。傾斜が急な場所では足場や仮設階段も設置

ネットの上にパネルがついた様子
ネットの上には、グリーンアノールが乗り越えられないようにするための素材のパネル(ネズミ返しのような構造)を設置

大丸山山頂付近の柵
大丸山山頂付近の様子

大丸山
大丸山保全地域の北側からの写真(写真中央のピークが大丸山です)

大丸山保全地域全体
囲い込み柵が完成した、大丸山保全地域の全景(2025年3月撮影)

海上から見た瘤山
番外編 兄島の東側から大丸山に向かった際に見た風景(矢印の岩が突き出している山が瘤山)

作業日は毎回、父島から船に乗って無人島の兄島に渡り、そこから大丸山までの山道を歩いて現場に向かいました。船から兄島の浜に上陸後、急な坂道や岩場を越えて山を登り、ようやく工事現場にたどり着くという流れです。海況や天候が悪い日には船が出せず、そもそも兄島に渡ることすらできません。車で手軽にアクセスできる現場ではないため、資材や工具は事前にヘリコプターで搬入しており、追加で必要な物は人力で山まで運ぶ必要がありました。
また、兄島の生態系への影響を抑えるための環境配慮も毎回実施して島に渡ることになります。
無人島での工事ならではの苦労も多くありましたが、関係者の尽力により、無事に完成を迎えることができました。

3月後半も、小笠原事務所のアクティブ・レンジャーは大丸山に何度も足を運び、大丸山囲い込み柵を管理していくための、柵の番号の設置や資機材の整理などの作業を行う予定です。

今回は、大丸山囲い込み柵工事の完成に至るまでの工事の様子をお伝えしました。

過去の大丸山囲い込み柵関係の記事

過去にアクティブ・レンジャー日記の中で大丸山囲い込み柵について取り上げた記事は、下記リンクからもご覧頂けます。
 
「兄島 大丸山の囲い込み柵について」 2023年7月投稿
大丸山囲い込み柵設置の背景を、伐採・剪定する樹木の調査が始まったタイミングで書きました。
 
「兄島の大丸山囲い込み柵の工事が始まりました」 2024年4月投稿
大丸山で柵を作るための樹木の伐採、露岩部の岩の整地作業が始まった内容です。
兄島 大丸山の囲い込み柵の工事が始まりました | 関東地方環境事務所 | 環境省
 
「空輸で進める、兄島のグリーンアノール柵管理」 2024年5月投稿
柵の工事で必要となる資材を父島から兄島大丸山までヘリコプターを使った運搬を行った際の記事です。

小笠原遺産センター公式Instagramの紹介

最後に、今回の記事本文の内容とは直接は関係ないのですが、環境省が運営する小笠原世界遺産センターのInstagramをご紹介します。

「世界自然遺産 小笠原諸島」の最新情報や季節の見どころ、イベント情報をお届け!
ここにしかない貴重な自然の魅力を、写真や動画で発信しています。
ぜひご覧ください!
小笠原世界遺産センター(@ogasawara_whc) • Instagram

月別一覧

月別リンク一覧表
2025年
  • 1月
  • 2月
  • 3月
  • 4月
  • 5月
  • 6月
  • 7月
  • 8月
  • 9月
  • 10月
  • 11月
  • 12月
2024年
2023年