関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
1件の記事があります。
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
佐渡では田植えの最盛期を迎えています。
この時期のトキたちは子育て真っ最中!
トキのエサとなる生きものが豊富な時期でもあるので、ヒナを育てるには好都合なんです。
<モリアオガエルとサドガエルの2匹を同時に捕まえたNo.251>
そのような中、今期初となる「トキのヒナへの足環(あしわ)装着」を本日行いました。
野生下で誕生したトキのヒナに足環を装着することで、個体ごとの生存や繁殖の状況を追跡調査できるようになります。こうした調査で得られた情報はトキの野生復帰に活用されます。
それにしても、いったいどうやって野生下のトキのヒナに足環を装着するのでしょうか。
答えは、
「トキの巣がある木に登り、巣にいるトキのヒナを捕獲して足環を装着し、ヒナを再び巣に戻す」
です。
請負業者の方にトキの営巣木に登ってもらい、ヒナを捕獲して地上へ降ろします。
地上では、獣医師を含む職員が足環装着作業を行います。
<トキのヒナと装着された足環>
足環装着作業が終了したら、ヒナを再び巣に戻し、速やかに林を出ます。
<巣内のヒナ>
足環装着作業は2班に分かれて行います。
1班は林内で足環装着作業をする班、2班は林外の離れた位置から親鳥と巣の様子を広角で観察する班です。
親鳥は、オス・メス交替で巣にいてヒナを守っていますが、作業が始まると人が木に登って巣に近付くため、驚いて飛び立ってしまいます。
2班は作業後、この飛び立ってしまった親鳥が巣に戻り、ヒナの世話を始めるまで観察を続けます。親鳥が普段通りヒナの世話を始めたら、作業終了です。
(※野生下トキのヒナへの足環装着は2013年から行っていますが、親鳥が戻って来なかった事例はありません)
私たち佐渡のアクティブ・レンジャーは、ヒナが誕生する前の親鳥の動向から追跡し、ヒナ誕生から巣立ちまで見届けます。そして、ヒナが巣立って2年後、成鳥となり繁殖を始める様子を観察することがあります。
誕生したヒナは、巣立つ前に天敵に襲われたり、親鳥が何らかの理由で死亡し、ヒナまでも死んでしまったりと、巣立ちへの道のりは決して平坦ではありません。
<メスに羽繕いされるNo.136。2017年撮影(左)、No.136の死体回収現場。2019年撮影(右)>
(※No.136は2019年4月、天敵に襲われ、ペアの抱卵中止が確認されました。)
また、巣立って間もないトキは、上手く飛べなかったり、エサを見つけられなかったり、逃げ足が遅かったりするので、成鳥よりも生存率が下がります。
そうした困難をいくつも乗り越え、ヒナだったトキが親になり、新たに命をつなぐ様子は、観察する私たちに感動と励ましを与えてくれます。
佐渡の人たちの100年以上におよぶ熱心な保護により、約400羽のトキが佐渡の野生下で暮らしています。
来年の今頃は何羽のトキが佐渡の大空を飛んでいるのでしょうか。
引き続き、見守っていきたいと思います。
<トキのヒナ>
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、日光、尾瀬、秩父多摩甲斐、小笠原、富士箱根伊豆、南アルプス国立公園があります。
皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
佐渡では田植えの最盛期を迎えています。
この時期のトキたちは子育て真っ最中!
トキのエサとなる生きものが豊富な時期でもあるので、ヒナを育てるには好都合なんです。
<モリアオガエルとサドガエルの2匹を同時に捕まえたNo.251>
そのような中、今期初となる「トキのヒナへの足環(あしわ)装着」を本日行いました。
野生下で誕生したトキのヒナに足環を装着することで、個体ごとの生存や繁殖の状況を追跡調査できるようになります。こうした調査で得られた情報はトキの野生復帰に活用されます。
それにしても、いったいどうやって野生下のトキのヒナに足環を装着するのでしょうか。
答えは、
「トキの巣がある木に登り、巣にいるトキのヒナを捕獲して足環を装着し、ヒナを再び巣に戻す」
です。
請負業者の方にトキの営巣木に登ってもらい、ヒナを捕獲して地上へ降ろします。
地上では、獣医師を含む職員が足環装着作業を行います。
<トキのヒナと装着された足環>
足環装着作業が終了したら、ヒナを再び巣に戻し、速やかに林を出ます。
<巣内のヒナ>
足環装着作業は2班に分かれて行います。
1班は林内で足環装着作業をする班、2班は林外の離れた位置から親鳥と巣の様子を広角で観察する班です。
親鳥は、オス・メス交替で巣にいてヒナを守っていますが、作業が始まると人が木に登って巣に近付くため、驚いて飛び立ってしまいます。
2班は作業後、この飛び立ってしまった親鳥が巣に戻り、ヒナの世話を始めるまで観察を続けます。親鳥が普段通りヒナの世話を始めたら、作業終了です。
(※野生下トキのヒナへの足環装着は2013年から行っていますが、親鳥が戻って来なかった事例はありません)
私たち佐渡のアクティブ・レンジャーは、ヒナが誕生する前の親鳥の動向から追跡し、ヒナ誕生から巣立ちまで見届けます。そして、ヒナが巣立って2年後、成鳥となり繁殖を始める様子を観察することがあります。
誕生したヒナは、巣立つ前に天敵に襲われたり、親鳥が何らかの理由で死亡し、ヒナまでも死んでしまったりと、巣立ちへの道のりは決して平坦ではありません。
<メスに羽繕いされるNo.136。2017年撮影(左)、No.136の死体回収現場。2019年撮影(右)>
(※No.136は2019年4月、天敵に襲われ、ペアの抱卵中止が確認されました。)
また、巣立って間もないトキは、上手く飛べなかったり、エサを見つけられなかったり、逃げ足が遅かったりするので、成鳥よりも生存率が下がります。
そうした困難をいくつも乗り越え、ヒナだったトキが親になり、新たに命をつなぐ様子は、観察する私たちに感動と励ましを与えてくれます。
佐渡の人たちの100年以上におよぶ熱心な保護により、約400羽のトキが佐渡の野生下で暮らしています。
来年の今頃は何羽のトキが佐渡の大空を飛んでいるのでしょうか。
引き続き、見守っていきたいと思います。
<トキのヒナ>