ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年7月

18件の記事があります。

2020年07月08日箱根地域のシカ調査 後編

富士箱根伊豆国立公園 高木俊哉

AR日記をご覧の皆様、こんにちは。

箱根事務所の高木です。

前回の記事では、センサーカメラの設置等を紹介しました。

今回も、後編として引き続きシカ調査について紹介します。

さて、前回までは藪の中をがさがさと入り道なき道を進み、クモの巣や泥を浴びながらデータ回収したところまでをお伝えしたと思います。

まさしく野生動物の気持ちになったつもりで、急斜面のけもの道をじっくりと歩きました。

そんな苦労を乗り越え、実際に撮影できた画像がこちらです。

シカカメラ目線

カメラ目線ですね。。。

シカ若め

こちらは角が生えています。

やや小さく見えるので、少し若いオス個体でしょうか。

シカ以外にも様々な動物が撮影されていました。

イノシシ

イノシシです。

ずんぐりとしていて迫力があります。

キジつがい

キジのつがいです。

私はペアでいるところをあまり見たことがありませんでした。

このように様々な動物が撮影できていましたが、実は全てがうまく記録できているわけではありません。

霧や風で動く植物に反応して撮影してしまうこともしばしば...

シカだけが写っているようなことは自然ではありそうもないですね。。。

これらの得られた情報を基に箱根地域でシカの害が減り、より良い共生が出来る未来があることを望むばかりです。

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2020年07月07日黄色い絨毯と天の川「南伊豆町 ユウスゲ公園」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。

地元のこどもたちが書いた短冊に、「みんなの願いが叶いますように」、「織姫と彦星が会えますように」といった素敵な願い事を見つけた齋田です。

ちなみに、私の幼少時代はというと、「七夕ゼリーのじゃんけんにぜったい勝つ!」でした。

さて、こどもたちの願いによって織姫と彦星が夜空で再会を果たすころ、伊豆半島の奥石廊では早くもあの花が咲き始めました。

【ユウスゲ(2020.06.29撮影)】

みなさんご存じ、昨年の日記にて「真夏の日差しが大嫌いな変わった花」としてご紹介したユウスゲです。

この可憐な花に出会えるのは、石廊崎周辺の海岸線を一望できる小高い丘に位置するユウスゲ公園。

ユウスゲは、太陽が傾くころに開花し翌朝にはつぼんでしまうワスレグサ属の一日花で、富士箱根伊豆国立公園の指定植物の一つに指定されています。

【奥石廊の池の原一帯に群生するユウスゲ(2019.07.23撮影)】

こちらの写真は、昨年の最盛期、7月下旬に撮影したユウスゲ群落。

西日に煌めく太平洋の碧を背に、草木の緑に包まれた可愛らしい黄色い花弁が磯風に揺れ動く様子は、言葉ではとても言い表すことの出来ない程に情緒的でした。

さてさて、ここまでは昨年の日記でもご紹介した内容ですが、こちらはユウスゲ公園の昼の姿。

今回の日記では、夕方から深夜にかけて楽しめるユウスゲ公園の見どころをいくつかご紹介します!

ユウスゲの花を存分に堪能した後には、崖を打つ波の音や磯風のやわらかさを感じながら、沈みゆく夕陽をのんびりと眺めるのがおすすめです。

【ユウスゲ公園から眺める夕陽(2019.11.29撮影)】

こちらの写真は、昨年の11月下旬に、ユウスゲ群落の写真とは違った画角で撮影した夕陽。

ユウスゲの最盛期である7月下旬から8月中旬には、ユウスゲが群生する斜面と太陽が地平線に沈む方角が重なり合い、辺り一面に幻想的な雰囲気を醸し出します。

なかでも、黄昏時に見られる、黄色と緑の絨毯が燃えるような夕映えにゆっくりと包まれていく光景は、この世の終わりを思わせる程の美しさです。是非ご自身の目でご観賞いただければと思います。

夜のお楽しみは天体観測です。実はユウスゲ公園は伊豆半島有数の星空スポットとしても知られています。

小高い丘の周囲には光害が一切なく、太陽が完全に寝静まった新月の夜には、まるで宝石箱をひっくり返したような満点の星空が楽しめます。

一番の見どころは、白く流れる天の川。ユウスゲの季節には一年で最もはっきりと観察することができます。

天の川が見えてくれば、織り姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)もきっとすぐに見つかることでしょう。この二つの星のすぐ近くに光るカササギの橋(はくちょう座のデネブ)をつなげば夏の大三角のできあがり。

あまりの星の多さになかなか見つけることのできない方は、7月であれば23時頃、8月であれば21時頃に真上に見える一番明るい星が織り姫星(こと座のベガ)と覚えておくとよいかと思います。

伊豆半島の奥石廊でみられるユウスゲの見頃は、7月下旬から8月中旬です。

ユウスゲが開花を始める16時頃には例年多くの見物客で賑わいますが、夏のユウスゲ公園では1日を通して素晴らしい景色が楽しめます。少しでも混みあう場合は時間をずらしての散策がおすすめですよ。

咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めながら、伊豆半島の豊かな自然を存分に満喫しましょう!

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2020年07月07日北岳へ防鹿柵の設置確認に行ってきました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月下旬に北岳に設置されている防鹿柵の現場確認に行ってきました。

北岳では草すべりや右俣にて、ニホンジカの採食圧の影響が見られ、早急に保全を図らなければ植生が衰退する恐れがあるとされています。その中でも草すべりや二俣登山道沿いの斜面に広がるお花畑は北岳の重要な景観を構成している場所です。お花畑の保護を図るため、平成23年度より防鹿柵を設置しています。¨この防鹿柵、見たことがある!¨という方も多いのではないでしょうか。

△草すべりにある防鹿柵

防鹿柵の中ではシナノキンバイやキバナノコマノツメなどが咲き、つぼみの株もありました。私はニホンジカの被害を受けている北岳のお花畑しか知らず、それでも¨お花がたくさんある¨という印象ですが、昔から登られている方の多くが「ここにはもっとお花があったんだよ」と教えてくださいます。柵を設置すればすぐにお花が戻るというわけではないですが、私も当時の素晴らしいお花畑を見てみたいです。

写真の通り、今回の行程では青空は一度も出ることはなく、雨が降りずっとガスで真っ白でした。足元や目先を見てみると、ミネザクラが咲いていたり、初夏を漂わせるタカネグンナイフウロが咲いていました。

△ミネザクラ

△タカネグンナイフウロ

他にもゴゼンタチバナやショウジョウバカマなど、この時期らしい高山植物が元気に咲いていました。

例年ですとこの時期はたくさんの登山者で賑わいますが、今年は山小屋休業や公共交通機関の運休によって登山者がいない静かな北岳でした。その一方で、樹皮剥ぎや登山道脇の斜面や雪渓にはニホンジカの足跡があったりと、ニホンジカの動きは活発なようです。南アルプスが誇る高山植物を守るため、防鹿柵の設置などの対策に今年も積極的に取り組みたいと思います。南アルプスへの入山ができるようになりましたら、皆さんにも南アルプスの高山植物を楽しんでいただきたいと思います。

なお、令和2年度は、北岳は閉山状態となることが決まりましたので、ご注意ください。先日、山梨県および南アルプス市、早川町から登山道の利用禁止やマイカー規制を行わず通行止めとすること等関する情報が発表されました。詳しくは下記URLをご覧ください。

山梨県HPhttps://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/50915161945.html

南アルプス市HPhttps://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/docs/8468.html

早川町HPhttps://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/tour/traffic-info/regulation.html

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2020年07月03日こんなところにトキが!?

佐渡 菅野萌

皆さんこんにちは。

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

つい先日、今年初めての野生下のトキのヒナ誕生に喜んでいたような気がしますが、あっという間にヒナたちは巣立ちを迎え、飛び回りながら少しずつ行動範囲を広げています。

▲餌をねだる幼鳥(左)と親鳥(右)

巣立ったばかりの幼鳥は目が黒っぽく、オレンジ色の顔をしています。巣立ちから一ヶ月程度は親鳥と共に営巣林の近くで過ごします。

幼鳥が親鳥の後ろについて田んぼで餌を採っている姿や、木にとまろうとして「おっとっと」とバランスを崩している姿は微笑ましいです。

モニタリング中にふと顔をあげると、あんなところに幼鳥が・・・!


つぶらな瞳が何とも可愛らしい・・・・

でも何か違和感があるような・・・

トキらしくないような・・・

皆さん、お気づきでしょうか?

なんと、この幼鳥は神社の屋根にとまっているのです!

トキは人の暮らしに近いところで生活していますが、普段は人工物にはとまらず、休息する時も塒をとる時も、木にとまります。

▲木にとまる成鳥

しかし、巣立ったばかりの幼鳥は屋根や電柱など「なぜそこに!?」と思わされるようなところにとまることがあるのです。

まだ十分な運動能力がない幼鳥にとっては、細い枯れ木や葉が生い茂る木よりも、屋根のような安定した場所にとまる方が楽なのかもしれません。

場合によっては、来る日も来る日も同じ場所にとまり続け、地元の方々から心配されてしまうことも・・・

もし佐渡で屋根などにとまっている幼鳥をみかけても、怪我をしているようでなければ問題ないので、そっと見守ってもらえると嬉しいです。

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2020年07月03日森に住む『モリアオガエル』の産卵

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

最近、近所の田んぼの周辺では小さな二ホンアマガエルをよく見かけます。小さな体で元気よく跳ねています。7月に入りそろそろ梅雨明けでしょうか。暑い夏が始まりますね。

今回は、ニホンアマガエルではなく、猫越(ねっこ)岳山頂の池で見つけた『モリアオガエル』の産卵を紹介したいと思います。

猫越岳山頂の池は、伊豆山稜線歩道沿いの仁科峠から天城峠へ向かった途中にある池です。

池の近くまで行くと、聞きなれない音(声)が聞こえてきました。

猫が喉を鳴らす音のような、、、さまざまな音階のコロコロコロ、、、コロコロコロ、、、普段聞いたことのない音、モリアオガエルの鳴き声です。一般的なカエルの合唱とは違い何とも不思議な大合唱です。

しばらく聞いていると、急に静まり返り、指揮者が指揮棒を振ったかのように再び大合唱が始まります。どんなタイミングで鳴いているのでしょうか。しばらく聞き入ってしまいました。

おもに森林に生息するモリアオガエルですが、産卵の時期(4月~7月)は水辺に集まってきます。成体の体長はオスが4㎝~6㎝、メスは6㎝~8㎝で、メスはとても大きいです。夜行性なので、昼間はあまり活動していませんが、鳴き声の先にオスのモリアオガエルの姿を確認出来るかもしれません。

【 モリアオガエル 】

皆さんはカエルの卵というと、田んぼの水の中にあるカエルの卵を想像するのではないでしょうか。ほとんどのカエルが水中で産卵しますが、モリアオガエルは水面の上にせり出した木の枝や、草の上などで産卵します。写真の樹上にある白い繭のようなものが卵塊です。

【 樹上のモリアオガエルの卵 】

樹上の卵はオタマジャクシを狙う鳥や動物から身を守るためと言われています。また産卵の時期は梅雨で雨が多いため、水のない樹上でも卵塊の乾燥を防ぐことが出来ます。卵塊の中で孵化したオタマジャクシは、水面に落下し1ヶ月程でカエルの姿に成長し森へ帰っていきます。

卵塊の位置を見て分かる通り、何メートルも木登りをして産卵しています。1枚目のモリアオガエル写真の長い脚と大きな手の吸盤を見るとなんだか納得出来ます。


【 モリアオガエルの卵 】

上の卵塊の写真は、伊豆半島の別の場所で撮影したものですが、水辺のない場所に産卵していて近くで撮影することが出来ました。もしかすると、産卵時は卵塊の下に水たまりがあったのかもしれません。触ってみると粘着質で弾力のあるメレンゲのような泡でした。

モリアオガエルはどうやって水辺の上にある枝を選んでいるのでしょうか?カエルは動くものを捕らえる能力が高いので、風に波立つ水面の動きを見て、水辺の上だと判断していたとしたら面白いですね。想像が膨らみます。

突然ですがここで、『モリアオガエルを探せ!!』です。下の写真の中にモリアオガエルがいます。どこにいるでしょうか?

【 モリアオガエルを探せ!! 】※クリックすると写真が大きくなります。

ヒント、真ん中の辺り、、、目を凝らしてよく見て下さい!!

見つけられましたか?

【 枝の上のモリアオガエル 】

正解は、写真中央の枝のくぼみにいました。かわいいです。

雨の多いこの時期に出会えるモリアオガエルは不思議がいっぱいでした。

この日は日中でしたが、池の上の枝で産卵を始めたペアがいて、近づく事は出来ないので遠くから少し観察させてもらいました。モリアオガエルは一度の産卵で300~600個ほどの卵を産むと言われています。たくさんのモリアオガエルが無事に森に帰れることを願いたいです。

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2020年07月02日初夏の箱根植物たち

山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

今回は箱根の初夏を彩る植物たちのご紹介です。

最近は、春の花が結実し、実がたくさん観察できます。

そして、これらを食べる鳥たちも元気です。

【箱根ビジターセンター周辺で観察された果実たち】

初夏の箱根で、ドライブ中に箱根の山々を見渡すと、緑の中に「白」がたくさん見えます。

これは大半がヤマボウシです。

【ヤマボウシ 箱根の地方名はコウサ】

学名はCornus Kousa 、この「Kousaコウサ」は箱根での地方名が学名につけられたものです。

箱根は、ヤマボウシの木がとても多いことでも有名です。

他にも、各種ウツギの花やホオの花、ヒメシャラの花と、樹上に咲く白い花は美しいです。

ですが散策路にある樹上の花は、花が落ちた時に初めて気が付く、そんなことがよくあります。

歩いていると、見えにくいのです。

移動ドライブ中の景色でも、是非花を探してみてください。

(事故には気を付けてくださいね。)

こんな花も。

【サルナシ】

白い花と赤い茎、緑の葉の3色があでやかで、夏っぽいですね。

箱根の散策ルート、各所で見られます。

この後に実る果実はキウイフルーツのようにおいしい、マタタビ科の植物です。

国立公園内での採取は禁止ですが、思わず食べたくなってしまいます。

そしてこちら。


【ハコネコメツツジ 環境省RDB:絶滅危惧Ⅱ類(VU)/箱根町天然記念物】

【こちらは環境省RDB検索サイト情報】

ハコネコメツツジの名前は、箱根で初めに見つかったことから名づけられたそうです。

岩肌にひっそりと咲いています。

小さな花で、かわいい!(私の指と比べてください)

葉もよく観察すると、毛がたくさん生えていて、おもしろい植物です。

時期的にはこれからが花のシーズンです。

もう少しすると、ヤマユリも美しく咲き、香りが漂うことでしょう。

あっという間に季節は変わっていきます。

これからやってくる盛夏の箱根も、楽しみにしていてください。

★最近、マスクのごみが山中に増えています★

【散策路のマスクゴミ】

そして、山頂付近の食事ごみ放置も増えています。

自身の持ち物、ごみ類は、必ず自宅まで持ち帰ってください。

絶対のマナーです。

落書きも増えています。なぜでしょう。悲しいです。

景観が台無しになるこれらのごみ。

動物たちが荒らすと、人との関係性が悪化することがあります。

更に山のごみは、川を流れて海までたどり着き、自然界に大きな影響を与えます。

自然環境を美しく平和に保つのは登山者1人1人の行動次第です。

ごみを山に置いていかないでくださいね。

もしくは見かけたら、1つでいいです。是非拾ってください。お願いします。

「箱根湿生花園」では、箱根仙石原湿原の植物たちやそこに暮らす生き物たちに出会え、学ぶことが出来ます。これからの季節は、蝶やトンボが乱舞しています。

箱根湿生花園HP ⇒ http://hakone-shisseikaen.com/

湖尻にある箱根ビジターセンターは、現在開館しています。駐車場も使えます。

ただし、状況が変わった際には変更があるので、箱根を訪れる際には情報を必ず確認下さい。

「湖尻」にある箱根ビジターセンターHP →http://hakonevc.sunnyday.jp/

今後の親しむ運動イベント情報 →http://hakonevc.sunnyday.jp/shitashimuundou.html

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2020年07月02日【那須】 雲上の桜庭園

日光国立公園 那須 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺です。

春先の那須の大風には驚かされましたが、割合に天気に恵まれて、ここまで巡視を数多くこなしてきました。今回は報告が少々遅れましたが、528日に巡視した日の出平について紹介します。

那須のシンボル「茶臼岳」(1915m)から南につながる頂上を日の出平(1786m)と言います。この日はミネザクラの開花にあわせて巡視しました。那須の山々の登りは、「つづら折り」と言うよりは直線的に登りあげる登山道が多く、意外にキツイところがあります。しかしキツイ坂の途中にも、癒やしはあります。

<癒やし①> 咲き始めたアズマシャクナゲ



 

        <癒やし②> クロサンショウウオの卵塊と成体

 

                <癒やし③> 咲き始めたミネザクラと尾瀬の山々


頂上が近くなると坂は緩やかになるとともに、植生が変わります。樹木はなくなり、笹原となります。

冬場の雪と強風のため、また火山性ガスのため、森林が成り立たないのだと理解されます。

ところが、

いよいよ頂上に出ると、なんと樹林帯になっているのです。

           頂上が平らな日の出平は、まばらな森林が成立している。

冬は雪に覆われ、強風が吹き抜ける頂上になぜ樹林が成立するのか? 不思議です。

むしろ頂上の手前では森林が成立していないのに・・・

地形などからくるわずかな違いが、植物の生活に大きな影響を与えているのだろうと思います。

そして、この森の代表が、ミネザクラ。

なんとこの環境の中に桜の庭園があるのです。

             これがミネザクラです。

             桜?

             梅じゃないの?

             なにこの枝振り!!

過酷な環境に耐える桜の姿がここにありました。

あれ、でも・・・

大丈夫!    花も咲いています。

                     花つきが悪い?

                     そんなこと言わないでください。

                     この環境で頑張って咲いているのですから!

                     今年は花が少ないそうです。

                     また、木によって花つきが異なり、

                     今年はほとんど咲かないものがあるそうです。

                     花芽がほとんどない木もあります。

おわかりいただけますでしょうか? この枝振り



                風の吹き抜ける方向をしっかりと指し示しています。

こんな中、今年花をつける木と花をつけない木があるのです。

ふと、足下を見ると、

                  コミヤマカタバミ

頑張っているのは、桜だけではありませんでした。

最後に、ツーショット!

                 「ミネザクラ と 茶臼岳」

                 これぞ、那須のシンボル!!

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2020年07月02日仙丈ヶ岳 馬の背で防鹿柵立ち上げ作業

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月下旬に仙丈ヶ岳の馬の背周辺にて防鹿柵立ち上げ作業を行いました。南アルプス国立公園の中でも仙丈ヶ岳の馬の背はお花畑が広がる場所でしたが、ニホンジカによる植生の衰退や踏圧による裸地化が進んでしまいました。このことから、南アルプス自然保護官事務所では、平成20年度から防鹿柵を設置しています。

前日は大雨。作業ができるかどうか不安に駆られましたが、当日はどんより曇り空スタート。今回は同じ馬の背に防鹿柵を設置している南アルプス食害対策協議会のみなさんと一緒に登りました。馬の背までのルートは大平山荘より藪沢経由で登ります。どんどん標高をあげていくと、、、

雪!雪渓です。もう7月になるというのに雪に出会えました。下界ではもう夏のような暑さですが、時折風が吹き、雪渓の上は涼しさを感じました。

雪だー!と喜んでいるのもつかの間。雪渓のあちこちにニホンジカの足跡がしっかりありました。

6月上旬にこの藪沢を通過し、馬の背周辺を訪れているニホンジカの足跡でしょうか。今回の行程ではニホンジカの姿を見ることはできませんでしたが、雪が多く残るこの時期でも高標高まで登ってきているということを再認識しました。

防鹿柵の設置現場に到着し、作業開始。


仙丈ヶ岳に設置している防鹿柵は夏季(初夏から晩秋のみ)に設置する季節型の防鹿柵です。お馴染みの杭にポールを差し込み、ネットをくくりかける作業です。前回の三伏峠の作業時はポールの高い部分に手が届かず、作業への貢献ができずじまいだったわたしですが、今回は手が届いたので、一生懸命頑張りました!(おかげで腕が筋肉痛になりました)

△シナノキンバイ

△ヒメイチゲ

防鹿柵の中にはシナノキンバイやヒメイチゲ、キバナノコマノツメが咲いていました。一時は部分的に裸地化し、高山植物があまり咲いていない状態でしたが、防鹿柵設置後は種数が増え、現在は植物の高さが回復してきています。環境省が馬の背に防鹿柵を設置してから12年ほど経ちますが、驚くほどの変化は見られずとも、少しずつ変化を感じられるようになっています。「花の仙丈」の愛称で多くの方に親しまれている仙丈ヶ岳。いつの日かその愛称の通り、高山植物が咲き乱れる仙丈ヶ岳に戻るといいですね。

どんより雲り空で始まった今回の防鹿柵立ち上げ作業ですが、下山時には青空が広がり、栗沢山を見ることができました!

このあと、栗沢山にはガスがかかってしまいましたが、ほんの一瞬、山からご褒美をもらった気持ちになりました♪

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