南アルプス国立公園 南アルプス
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2017年09月27日北岳巡視に行ってきました!
南アルプス国立公園 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
先日、大樺沢ルートから右俣→草すべり→広河原のルートで北岳巡視に行ってきました!
もうじき10月。高山植物にはもう会えないんだろうな・・・と思いながら歩いていたところ、なんと!
いくつかの高山植物に出会うことができました。
(ハクサンフウロ) (ミヤマコウゾリナ)
ハクサンフウロ(8月)、ミヤマコウゾリナ(8月)、ヤマハハコ(8月)、ミヤマキンポウゲ(7月)など。また、前回の日記(9/5)でもご紹介しました、センジュガンピ(7月)やキツリフネ(8月)も見ることができました。冷え込みが厳しくなってきているにも関わらず、たくましく咲いている植物たちには強さを感じますね。【()内は花期を示します。】現在は、多くの高山植物が終わり秋らしい姿になってきていますが、高山植物のシーズンになるとこれまでご紹介した高山植物以外にもたくさんの種類の花が咲き誇り、みなさんをお出迎えしてくれます。綺麗なお花が登山の疲れを癒やしてくれますよ!
高山植物のシーズンは終わってしまいますが、これからは木々の紅葉を楽しむことができます。右俣登山道上ではわずかながらに木々や植物が色をつけ始めました。
北岳上部の紅葉の見頃は来週くらいではないでしょうか。
広河原の紅葉の見頃はもう少し遅くなるかと思います。北岳周辺では登山をしなくても、広河原園地や広河原から北沢峠の間の林道などで紅葉を楽しむことができます。もしかすると紅葉とともに北岳の冠雪を見ることができるかもしれません!秋深まる広河原へ足を運んでみてはいかがでしょうか?
2017年09月05日北岳で見ることができる変わった高山植物
南アルプス国立公園 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
先日、白根御池小屋から二俣分岐の周回ルートで北岳巡視に行ってきました!今回は、巡視中に見つけたユニークな植物たちをみなさんにご紹介したいと思います。
1つ目は『センジュガンピ』というお花です。
(北岳のあちこちで見ることができるセンジュガンピ)
花弁の先が浅く裂け、フリルのようになっているのが特徴です。花は白く、ちょこんと咲いていて可愛らしい姿です。独特な名前と形がとても印象的なこのセンジュガンピ、実は、私が初めて覚えた高山植物なのです!花期は7月中旬から8月上旬。盛りは過ぎてしまっていますが、もしかするとまだ見ることができるかもしれません。ぜひ、みなさんに見ていただきたい植物のひとつです。
2つ目は『タカネナデシコ』です。
(ピンク色が鮮やかなタカネナデシコ)
タカネナデシコは、センジュガンピと同じくナデシコ科の植物です。五弁花であるところは同じですが、花弁の先が細く、深く裂け、糸のような形をしています。このような形の花はなかなか見ることができないですよね。鮮やかで大きなピンクの花がよく目立つので、すぐに見つけることができると思います。より低い標高に生育するカワラナデシコを含め、このなかまは変異が大きいので、いろいろと見比べてみるのも面白いかもしれません。南アルプス国立公園においては、保護対象として指定植物に選ばれています。
3つ目は『キツリフネ』です。
(大樺沢ルート下部で見つけたキツリフネ) (夜叉神峠のツリフネソウ)
カラフルで唇のような形の大きな花がぶら下がり、モビールのようにも見えます。黄色いツリフネソウ、というのが名前の由来です。ツリフネソウの名は、キツリフネによく似た紅紫色の花(写真右)がぶら下がった様を、吊り下げた舟の姿に見立てたようです。後ろに突き出た『距』には蜜が入っており、虫たちに人気の花です。花に触れるとすぐに落ちてしまうので、見つけた際は、触らずに温かく見守ってください。
歩いていると珍しい光景を見ることができました!
(クガイソウの蜜を吸う?ベニヒカゲ)
クガイソウにベニヒカゲがちょうど止まっているところを写真に収めようと粘りました。シャッターを押そうと構えると飛んで行ってしまうので、やっと撮れた1枚です。手前の植物が写ってしまったのはご愛敬ということで・・・・・・。
ベニヒカゲは年に1回、8月頃発生します。橙に黒の斑点が特徴です。登山者の汗を吸いにくることもあるようです。
今年の春はとても寒く、遅くまで雪が残っていたために花の時期がずれこみ、この時期まで高山植物を楽しむことができています。ですが、9月になれば夏とは打って変わり、気温がぐっと下がります。標高が高いところでは、街と比べて朝晩はかなり冷え込みます。ふつう、標高が100m上がると気温は0.6度下がるといわれています。事務所がある芦安の標高は670mほど、広河原インフォメーションセンターの標高は1520m、北沢峠は2030m。単純に計算しても、芦安に比べて広河原インフォメーションセンターでは約5℃気温が下がり、北沢峠でも約8℃気温が下がります。北岳山頂ではなんと15℃も違うことになります!雨はもちろん、たとえ晴れていても風が吹けばかなり寒さを感じます。これから登山される場合には、寒さ対策を十分に行った上で安全に登山を行ってください。みなさんにとって楽しい登山になりますように。
2017年08月15日野呂川広河原インフォメーションセンターの展示を新しくしました!
南アルプス国立公園 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、先日、野呂川広河原インフォメーションセンター2階の展示を新しくしました!
(以前の展示。南アルプスとニホンジカ) |
(現在の展示。左:ライチョウ保護の話、 右:南アルプスの変化(ニホンジカ)) |
バス・タクシー乗り場やトイレのある1階を利用される方が多いのですが、実は2階には展示・休憩スペースがあります。ご存じでしたでしょうか。
これまでの展示をまとめ、ライチョウ保護とニホンジカ問題という、南アルプスの2大トピックが一目でわかるポスターを掲示しています。かわいいライチョウの写真も増えたので、ぜひご覧ください!
そして今回、新しく作った展示がこちら!
(新展示「クマについて知ろう!」)
現在、インフォメーションセンターでのアンケートをもとに、展示の更新を進めています。第1弾として、クマについての壁面展示をつくりました。今回は、そもそもクマとはどんな動物なのか、その特徴やくらしぶりをはじめ、南アルプスのクマの状況や、クマと出会わないためにはどうすれよいかといった情報をまとめました。南アルプスはクマの生息地であり、今年、野呂川広河原周辺でも数回目撃されています。南アルプスにお越しになる際には、クマの生態や目撃情報、いざというときの対処方法など、クマについての情報を集めてみることをおすすめします。
南アルプス市観光協会のホームページでは、クマの目撃情報が随時更新されています。
→ http://www.minami-alpskankou.jp/
また、野呂川広河原インフォメーションセンターの2階出入り口にクマの目撃情報を掲示していますので、山行前にご覧ください。
展示の下にはアンケートを設置しています。展示に関するご感想やリクエスト、インフォメーションセンターについてのご要望等がございましたら、アンケートにぜひご協力ください。
本格的に夏山シーズンが始まりましたね!夏休みの時期、平日も多くの登山者で賑わっています。山の深い南アルプスでは、大自然を存分に感じることができます。そんな南アルプスですが、ちょっと休憩したくなったとき、雨が降ってきたとき、自然についてもっと知りたいと思ったときには、ぜひ、野呂川広河原インフォメーションセンターに足を運んでみてください!きっと、今までとは少し違った角度から南アルプスを知る楽しみを見つけていただけると思います。
2017年07月24日北岳で見ることができる高山植物を紹介します!
南アルプス国立公園 本堂舞華
みなさん、こんにちは。南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
7月も半ばを過ぎ、北岳ではキタダケソウの花が終わりを迎えています。キタダケソウは、世界中で北岳でしか見ることができない貴重な高山植物(固有種)です。例年は北岳の開山前に盛りを過ぎてしまうのですが、今年は雪が多く、キタダケソウの開花期が遅くなったので、たくさんの方がキタダケソウを見ることができたのではないでしょうか。キタダケソウの花は終わりましたが、北岳のお花畑はこれから見頃を迎えます。
そこで、今回は北岳で見られる高山植物をいくつかみなさんにご紹介します。
1つ目は大樺沢ルートで見つけた『ミヤマカラマツ』です。
ミヤマは深山に生える、という意味で、高山植物によく見られます。カラマツの名は、花の形がカラマツの葉に似ていることから付けられたそうです。葉はのこぎりの歯のようにぎざぎざ(鋸歯状)になっています。モミジカラマツというよく似た植物もありますが、その名の通り、葉がモミジの葉のよう(掌状)になっています。どちらか分からなくなってしまったときは、葉の形をよく見て見極めてください!
2つ目は白根御池小屋から二股分岐に向かって進んだルートで見つけた『ミヤマキンポウゲ』です。
花は小さめですが、金色で光沢があり可愛らしい花です。漢字だと「深山金鳳花」と書かれます。
なんだか、かっこいいですよね。このミヤマキンポウゲは白根御池小屋から北岳へ向かう草すべりルートでも見ることができます。花期が7月中なのであと少ししか見ることはできませんが、ぜひ探してみてください。
見たことがある!という方もいらっしゃるかと思いますが、3つ目に紹介するのは『シナノキンバイ』です。
ミヤマキンポウゲと同じくキンポウゲ科の植物なので、姿がよく似ていますね。
花そのものが大きく、鮮やかな黄色が綺麗ですよね。黄色い花はほかにもいくつかありますが、シナノキンバイの鮮やかな黄色は一際目立ちます。花期も8月中旬までと長く、二股分岐で群生を見ることができるので、二股経由で登られる方はぜひ見つけてください。
ほかにも北岳ではたくさんの高山植物がみなさんを出迎えてくれます。
北岳には、世界中で北岳にしかない固有種がいくつもあります。高山植物は、短い生育期間や、強風・低温といった厳しい環境条件に耐えながら、非常に長い時間をかけて成長し、花を咲かせます。そのようなぎりぎりの環境で育つ植物は、踏みつけなどの攪乱に非常に弱く、ダメージから回復するにはとても長い時間がかかります。そこでみなさんにお願いです!!登山道から離れた場所に綺麗な花が咲いているのを見つけたときには、登山道から外れずに楽しむようにしてください。お花畑へ踏み込むと、植物が踏みつぶされ、貴重なお花畑が失われてしまいます。踏みつけが続くとやがて植物は枯れ、むき出しになった地面から土壌が流れ出し、その場所にはもう植物が生えなくなってしまいます。そのようなことにならないためにも、登山者ひとりひとりの自然を思うやさしい心で、これからも北岳の自然を、南アルプスの山々の自然を守っていきましょう!
2017年06月27日南アルプス開山式と長衛祭
南アルプス国立公園 本堂舞華
みなさん、こんにちは。南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
6月24日に山梨県南アルプス市の広河原で「南アルプス開山祭」が、
長野県伊那市と山梨県南アルプス市の県境にある北沢峠では「長衛祭」が行われました。
南アルプス開山祭は南アルプスの先駆者の偉業への感謝の意と登山者の安全を記念し、毎年6月最終週に行われています。
約200人が参加した祭では、地元芦安中学校生徒による「北岳の歌」などの合唱や、夜叉神太鼓の力強い演奏が披露されました。最後には蔓払い(つるはらい)の儀式が行われ、明治時代の山の案内役の姿をした参加者によって払われた蔓の間をくぐり、参列者は安全を祈願しました。
わたしも安全登山を祈願し、払われた蔓の間をくぐり抜けてきました!
(蔓払いの儀式によって開かれ蔓の門のようす)
長衛祭は『南アルプス開拓の父』と呼ばれ、現在の'藪沢新道'や'栗沢山ルート'の開拓を行ったほか、
長衛小屋や藪沢小屋を建設し、南アルプスの山々を愛した竹沢長衛の尽力を偲んでこの開山の時期に行われており、今年でなんと59回目になるそうです!
(多くの方が参加した長衛祭)
芦安小学校児童と長谷小学校児童による「ふるさと」の合唱や森の音楽会が行われ、祭後には農業・林業被害の深刻化をもたらしているイノシシやシカの肉を使った成敗汁が振る舞われました。
(広河原から見た雲がかかった北岳 撮影日:2017.6.24)
夏山シーズンが到来したものの、山によってはまだ冬装備が必要な場所もあります。
登山される方は装備や今の自分の体力と相談しながら安全に登山を楽しんでください!
また、南アルプス北部・南部ともに7月中旬頃から始まる小屋や予約が必要な小屋もありますので、事前に情報収集を行った上で計画を立ててください。
2017年06月16日登山者カウンター設置しました
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
6月といえば梅雨ですが、雨が降らないのであまり梅雨らしくないですね。
さて、南アルプス自然保護官事務所では、6月12日に、北岳登山道上の2か所に登山者カウンターを設置してきました。
この登山者カウンターは、登山道の利用状況を調査するために平成22年から毎年設置をしているものです。
広河原から北岳山頂に続く大樺沢ルート、白根御池ルートのそれぞれについて、どのような時間に、どのくらいの人がどの季節に利用しているのかを調べています。
(取り付けの様子)
わたしも保護官も登山者カウンター設置は初めてだったので、いろいろと試行錯誤を重ね、なんとか完成させることができました。
今後は定期的に通ってメンテナンスを続け、雨にも、風にも負けず、夏の暑さにも負けずにカウントしてくれることを期待したいと思います。
今年はどのくらいの人が登られるのか、結果が楽しみです。
このようにして設置したカウンターですが、カウンターの正面で立ち止まったり、複数人が同時に通過してしまったりするとうまくカウントできないことがあります。
カウンターを見かけた際には、1人ずつ、立ち止まらずに通過するようご配慮いただけるとありがたいです。
みなさまのご協力、よろしくお願いします。
来週23日から冬季閉鎖が終わり、バスや乗合タクシーで広河原や北沢峠に入れるようになります。
いよいよ南アルプス全体の山開きですね!
12日の北岳の様子です。広河原から見てもこれほどの雪の量です。
(まだ雪が残る北岳)
(大樺沢に残るたくさんの雪)
さらにズームアップしてみると、大樺沢にはびっしりと雪がついています。
開山まであと1週間ほどですが、果たしてこの雪はどのくらい溶けるのでしょうか...?
2017年05月31日芦安 大石山の神で安全祈願
南アルプス国立公園 本堂舞華
みなさん、こんにちは。南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
もうすぐ6月になりますが、すでに夏を感じさせるような日が続いていますね。
日本各地で真夏日になるという予報が出ていますが、芦安は少し標高が高いせいか、
それほど暑さを感じることはありません。
5月27日に芦安の大石山の神にて、安全祈願祭が行われました。
(大石山の神)
この大石山の神は、山に入る人の安全を守護する神として、また、芦安の山の平安を守り続けてほしいという願いで祀られています。あわせて、山仕事をする方々の苦しみを救う「大石の車地蔵」、五穀豊穣、無病息災、雨乞いを守る神として「白根大龍権現」も祀られています。
(大石山の神に参拝する尾崎自然保護官)
この大石山の神ですが、南アルプス市営芦安駐車場そば、山の神ゲートの脇道を進んだところにあります。
この脇道、実は林道ができるまでは夜叉神へ通じるメインルートとして利用されていた旧道なのです。
大石山の神は旧道と車道の分岐にほど近く、分かりやすい場所にあるのですが、
旧道を歩く人が少ないため立ち寄る人がかなり少なくなってしまったそうです。
通常、夜叉神峠登山口まではマイカーやバスなど公共交通機関を利用して行かれる方が多いと思いますが、
旧道を使えば、登山口まで歩いて行くことができます!
旧道は、林道と所々交差しながら進んでいきます。昨年の秋に広河原への乗り合いバスの中から
登山標識を見つけ、地図にも載っていないこの道はどんな道だろうと思っていました。
今回、この大石山の神安全祈願祭に参加したことをきっかけに、この道を利用して山へ登った人々が
道行きに神仏に祈りを捧げてきた歴史があることを知り、ぜひ自分の足で歩いてみたい、
植物や樹木を観察し、いろいろと思いを巡らせてみたいと思いました。
大石山の神から夜叉神峠登山口までは1時間ほどで登ることができるそうです。
たくさんの緑を感じながら登山道、時には車道を歩きながらのハイキングはいかがでしょうか。
芦安に来られた方やこの旧道を歩いてみようという方は、ぜひ山の神にもお立ち寄りください。
地図によっては記載がないものもありますので、通過の際は慎重に!
南アルプスへのアクセス情報についてお知らせします。
長野県伊那市から北沢峠へのアクセスについては、6月14日までは戸台口から歌宿区間で南アルプス林道バスが運行中です。6月15日からは戸台口から北沢峠までの運行となります。
【南アルプス林道バス】時刻表
⇒http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html
また、山梨県側からのアクセス、甲府駅・南アルプス市から芦安・広河原方面、奈良田から広河原へのバスも、6月23日から運行が始まります。
【甲府駅ー芦安駐車場ー夜叉神峠登山口ー広河原】【奈良田ー広河原】【広河原ー北沢峠】時刻表
⇒http://www.yamanashikotsu.co.jp/
道路状況によっては運休の場合もございますので、ご利用の前には各交通機関のHP等にてご確認を
お願いします。
今年は例年よりも雪が多く、未だに白峰三山の上部に雪が残っています。
(夜叉神峠から見た雪が残る白峰三山)
登山が大好きな私は開山がとても待ち遠しいです。
2017年05月18日焼印コースター、大人気でした!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
約600mと少し標高の高い芦安では、気温もちょうどよく、過ごしやすい毎日です。
事務所の周りでは、朝早くから様々な鳥の鳴き声が聞こえてきます。
ヤマブキの花も終わりに近づき、もうすっかり初夏の趣ですね。
さて、5月14日(日)に「第7回南アルプス芦安・新緑やまぶき祭」が開催されました。
私自身、はじめてのやまぶき祭り、はじめての焼印作りということで、どきどきしながらの参加でした。
前日の雨、当日のどんよりとした天気にもかかわらず、たくさんの方にお越しいただきました。
(たくさんの人で賑わう会場)
南アルプス自然保護官事務所では、昨年に引き続き、ニホンジカ対策やライチョウ保護増殖事業についての展示・解説、焼印コースターの配布を行いました。
焼き印コースターには、4種類の絵柄を準備していましたが、とりわけライチョウが人気でした。
(焼印コースター。
左上からヤマトイワナ、ライチョウ、キタダケソウ、南アルプス国立公園のシンボルマーク)
今年は、材料となる木を選んでいただきやすいように、9種(シラカバ、ハンノキ、リョウブ、フサザクラ、ヤマザクラ、カキノキ、コナラ、ウリハダカエデ、ニセアカシア)を樹種ごとに分けて並べました。同時に標本を展示し、説明を添えることで、それぞれの見た目の違いや生態にも興味を持っていただけるよう工夫しました。
(実際に展示したシラカバの樹木)
中でも男女問わず一番人気だった樹木が、シラカバです。多くの方が手に取り樹皮や断面を見て「きれい」とおっしゃってくださり、お祭りが終了する前になくなってしまうほどの人気でした。シラカバは別名シラカンバともいい、冷涼な山地に生育します。その名のとおり、白く、紙のように薄く剥がれる樹皮が特徴的です。
私は樹木について詳しくありませんが、今回のコースター作りを通じて、何種類もの樹木を見、触り、調べるなかで、それぞれが全く違った性質をもっていることを学びました。たとえば、樹木ごとに、生える場所、枝のつき方、樹皮や年輪の模様、材の色や質感、においが異なっていること、様々な利用方法があることなどを知り、今まで単なる「木」だったものが、少し違って見えるようになりました。今度山に登るときには、図鑑で調べた樹木がどのような花や葉、実をつけているのかに注目してみたいと思います。
また、今年はシール、バッジ、折り紙などの環境省グッズを配布し、子どもから大人までたくさんの方に喜んでいただくことができました。今回のイベントをきっかけに、一人でも多くの方に、自然環境について興味を持っていただければと思います。
私自身もめいっぱいお祭りを楽しむことができ、とてもよい1日になりました。
足を運んでくださったみなさま、ありがとうございました!
2017年05月09日南アルプス市「芦安新緑・やまぶき祭」が開催されます!
南アルプス国立公園 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
ゴールデンウィークはどのようにお過ごしになられましたでしょうか。
晴れている日が続き、まさにお出かけ日和でしたね。
私は櫛形山や金峰山、鳳凰三山に行ってきました。
芦安では木々が一気に若葉を広げ、さまざまな色の葉で山を彩っています。
さて、いよいよ今週の日曜日は「芦安新緑・やまぶき祭」が開催されます。
★ 「第7回 芦安新緑・やまぶき祭」
主催:南アルプス市芦安新緑やまぶき祭実行委員会
日時:2017年5月14日(日) 午前9時30分から午後1時30分
会場:南アルプス市立芦安小学校校庭(※雨天:芦安小学校体育館)
◎お問い合わせ 芦安窓口サービスセンター(TEL 055-282-5577)
入場料は無料です。
南アルプス自然保護官事務所も出店し、レンジャー(自然保護官)とアクティブレンジャーが 南アルプスの自然について解説します。
また、地元産木材を使った手作りのコースターを無料配布します。コースターには、「南アルプス国立公園シンボルマーク」、「キタダケソウ」、「ライチョウ」、「ヤマトイワナ」のいずれかの焼き印を押してお渡しします。いろいろな種類、形の木があるので、好きなマークとの組み合わせをお楽しみいただけます。
バッジやシールなど、環境省のグッズも配布しています!
この他にも、お祭りでは太巻きや味噌おでん、芦安名物しょうゆの実や手打ちそば、スイーツといった食べ物の販売、クライミング体験、芦安の史跡を巡るやまぶきツアーなどの楽しいコーナーもあります。ぜひ足を運んでいただければと思います。
(芦安に咲くヤマブキ 撮影日:2017年5月9日)
みなさまのお越しをお待ちしています!
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
少し前の話になってしまいますが、10月の初め頃に荒川岳防鹿柵(ぼうろくさく)の撤去作業を行いました。
初めて南アルプス南部へ足を運びましたが、一つ一つの山がとても大きく、圧倒されっぱなし。
(雲一つない快晴の悪沢岳(東岳))
すれ違う登山者数も少なく、静かな山歩きが楽しめました。
登山をするときにまわりをよく見てみると、あちらこちらにシカの痕跡があることをご存じでしょうか。シカそのものに出会うこともあれば、シカの通った痕、フン、樹皮はぎや植物を引きちぎって食べた痕が見られることもあります。荒川岳周辺ではシカの足跡や食痕が見られます。
(丸山(3,032m)付近で見られるシカの足跡)
矢印の箇所をさらにズームしてみると・・・
シカの足跡が・・・!
昔の南アルプスでは、ニホンジカは見られなかったのですが、平成10年ごろから急激に増加。そして、稜線や登山道付近にも現れるようになり、植生や景観に深刻な影響を及ぼしています。この問題に対応するために、国、県、市町村、NPOが協力し、北岳、仙丈ヶ岳、三伏峠、荒川岳、聖平、茶臼岳など南アルプス各地に防鹿柵を設置しています。防鹿柵のおかげで、少しずつ植生が回復してきている箇所もありますが、失われる前に比べるとまだまだ・・・。自然のバランスが1度崩れてしまうと、元の状態までに回復するのには長い時間が必要になります。じっくり時間をかけて、いつか素晴らしいお花畑が見ることができるようになることを願います。
今回作業をした柵はこちらです。真ん中にある扉は、防鹿柵のゲートです。
(荒川三山登山道上に設置されている防鹿柵及びゲート)
防鹿柵の範囲に登山道の一部が含まれているため、通行のためにゲートを設置しています。
この扉を閉め忘れてしまうと、柵の中にシカが入って植物を食べてしまう可能性があります。シカから高山植物を守るためにも、「開けたら閉める」の徹底にぜひご協力をお願いします。
【登山されるみなさんへ】
この時期の南アルプスは冷え込みが激しくなってきます。氷点下の朝もあるので、防寒対策をしっかりして登山してくださいね。また、日没も早くなっています。一例として、北岳の日の入りは7月17日には19:13ですが、10月17日には17:19と、ぐっと早くなります。暗くなってからの行動は多くの危険が伴いますので、必ずヘッドライトを持ってください(予備電池も忘れずに!)。遅くなってからの小屋やテントサイトへの到着は、すでに就寝している他の登山者や小屋の方にも迷惑をかけることになるので、早めの到着を心がけるようお願いします。登山口への到着が遅くなったときは、無理に登らず朝を待つなどして、計画を変更することも大切です。