ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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尾瀬国立公園

192件の記事があります。

2013年05月31日ニホンジカの捕獲

尾瀬国立公園 服部 恵子

現在尾瀬ではミズバショウシーズン真っ盛りです。
その他にも、イワナシやエンレイソウ、リュウキンカなども次々と咲き始めています。
どのような花が咲くかはフォトアルバム(http://www.env.go.jp/park/oze/photo/
をご覧ください。

尾瀬の豊かな草花に誘われて、草食動物ニホンジカも来訪しています。


かつては生息地の破壊や狩猟圧により個体数の減少が危惧され、
保護されていたニホンジカ。
それが功を奏して個体数が増加した結果、
現在は全国各地で農林業被害や生態系への影響が報告されています。

尾瀬では植物が被食されたり、

土が掘り起こされたりしています。


環境省によるニホンジカの移動経路調査では、
1つのルートとして、日光・足尾等から尾瀬に移動してきていることが判明しています。
日光・足尾から尾瀬までは直線距離でいうと約30㎞にもなります。
尾瀬はニホンジカにとって、生息地のほんの一部でしかないのです。

日光・足尾以外からもニホンジカが尾瀬に来ている可能性が考えられるため、
現在環境省では尾瀬ヶ原周囲の林内でくくり罠、麻酔銃等による調査のための捕獲を行っています。
捕獲した個体はGPS首輪を装着して放獣し、移動経路を追跡します。
なお、この捕獲作業による登山道への影響はありません。詳しくは、捕獲作業に関するお知らせをご確認ください。(http://www.env.go.jp/park/oze/topics/130522a.html

ニホンジカの移動ルートを明らかにすることで、
各関係機関が協力して効果的な対策を講ずることを目指しています。


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2013年05月29日残雪にお気をつけ下さい!

尾瀬国立公園 長峯 彩

ハルゼミが鳴き出して、すっかり初夏の檜枝岐から、檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

5月25~27日と、沼山峠~尾瀬沼~見晴~燧裏林道~御池の巡視に行って来ました。

27日は日本各地猛暑の日だったのですが、尾瀬にはまだまだ雪が・・・。

白砂田代付近

この時期に林内を歩いていると、各所でバサバサッ!という音が聞こえてきます。

初めは動物かと警戒したのですが、気温が暖かくなって来て雪が緩んできたので、雪に埋まっていた枝が持ち上がる時の音でした。
歩行している時に足下の枝が持ち上がってくる事もありますので、これからの時期の通行には充分お気をつけ下さい。

また、林内はシャーベット状になった雪で木道が大変滑ります。


特にこのようなところが危険!

足下をよく見て、通行をお願いします。

湿原では小さな植物が芽吹いてきました。
大江湿原、赤田代、御池田代ではミズバショウが見頃です!

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2013年05月23日山の季節ですね!

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

冬には寂しげだった事務所周辺も、だいぶ緑が濃くなってきました。
5月頭はまだ雪が降っていた檜枝岐も、ここ2週間であっという間に初夏の装いになり、山地の季節の移り変わりには驚くばかりです。

さて、先日21日に芝浦工業大学柏中学校の森林教室に、環境省として参加してきました。
私からは国立公園の話を少しさせて頂いた後、全員で芝浦創造の森で育てているスギの裾枝払いを行いました。



芝浦工業大学柏中学校では、年1回生徒達で管理を行い、スギの森を育てているということです。
なかなか都会ではできない経験ですよね。



現場の方の植物のお話に中学生達は興味津々で、私も大変勉強になりました。

さて、本日23日には、檜枝岐村御池で尾瀬の山開きが開催されました。



例年、尾瀬の山開きは天気に恵まれることが多いとのこと。
今年も快晴のうちに無事終了しました。

とはいえ、まだまだ尾瀬は雪が残っています。
入山の際は安全には充分気をつけて、尾瀬を楽しんで下さい!

2013年シーズン尾瀬へのアクセス情報[尾瀬保護財団]
http://www.oze-fnd.or.jp/main/access/access1/toukiheisa.html

山小屋、休憩所、キャンプ場の開始予定のお知らせ(4/19現在)[尾瀬保護財団]
http://ozenavi.blog85.fc2.com/blog-entry-3228.html

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2013年05月16日巡視に行って来ました

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

5月23日に向けて、尾瀬沼集団施設地区の開所が始まったため、登山道の巡視と施設チェックに行って来ました!

沼山峠登山口のようす


展望台付近のようす


大江湿原の三本カラマツ分岐の道標も、まだまだ雪に埋もれています

まだまだ残雪が多いですが、ここ3日間ほど暖かかったので雪も緩み始めています。
木道や川の踏み抜きにはご注意下さい!

標識や木道はまだ雪に埋もれていますので、地図とコンパス、またはGPSは必携です。

所々植物も出始めてきました。
まもなく開山です!

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2013年05月08日尾瀬の利用と課題③ 尾瀬の観光資源

尾瀬国立公園 長峯 彩

春かと思えば雪を繰り返している檜枝岐村より、檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

なかなか進まないこのシリーズもようやく3回目。
そうこうしているうちに、尾瀬の開山が迫って来てしまいました・・・。

ひとまず開山時期はこのシリーズもお休みしますが、来シーズンに向けて沢山ネタを仕入れて来たいと思っていますので、引き続きよろしくおねがいします。

さて、尾瀬と言えば何を思い浮かべますか?

多くの人が、ミズバショウやニッコウキスゲを思い浮かべるのではないでしょうか?

確かに大きな観光資源ですが・・・

実際、6月のミズバショウのシーズンや、ニッコウキスゲの7月のシーズンは他の月よりも入山者数が多いことが、調査からも分かっています。
平成24年度 尾瀬国立公園入山者数について


しかし、ミズバショウやニッコウキスゲ以外にも、実は尾瀬にはにもとても貴重な植物があるんです。

例えば、ナガバノモウセンゴケ。
ナガバノモウセンゴケは食虫植物で、北海道と本州では尾瀬でしか見られません。

マルバ×ナガバの中間雑種でサジバモウセンゴケというのもあります。

そして私が驚いたのが・・・

チングルマです。
今まで高山帯でしか見たことが無かったので、まさか尾瀬にチングルマが咲くとは驚きました。

湿原~高山帯の植物まで見られるという尾瀬の良さは、尾瀬の大きな観光資源かもしれません。

自然は沢山の要因が重なって成り立っているもの。
色んな見方から観光を考えるのも面白いのかも知れませんよね。

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2013年04月19日尾瀬界隈の残雪状況

尾瀬国立公園 服部 恵子


尾瀬国立公園の群馬県側では、
本日4月19日(金)の午前10時を持ちまして
冬期閉鎖されていた戸倉交差点~大清水間の道路が開通されました。
尾瀬戸倉スキー場入口~鳩待峠間も4月26日(金)の午前10時より開通されます。

道路の開通に向けて、鳩待峠では目下除雪中です。



昨日は、開通後の登山者入山による植生破壊防止と
登山者の安全確保のために至仏山保全対策会議メンバーにより、
至仏山の残雪調査が行われました。

その結果、
毎年計測が行われている所では去年より30~70㎝も残雪が少ない状況でした。
至仏山頂でもご覧の通り。


2012/4/20撮影

2013/4/18撮影

近日入山予定の方は、
入山口等で配布予定のチラシをよくご覧いただき
植物を傷つけないようよろしくお願いいたします。

去年より残雪が少ないとはいえ、
登山道にはまだまだ雪が残っています。
万全な冬山装備でお出かけください。

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2013年04月12日尾瀬の利用と課題 ②尾瀬のクマから尾瀬の利用を考える

尾瀬国立公園 長峯 彩

新年度になりました。檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

檜枝岐村で春を迎えるのもとうとう2年目ということで、
1年目とはまた違った視点で、皆さんに尾瀬を伝えて行けたらと思っています!
今年度一年、またよろしくお願いします。


さて、突然ですがですが、みなさん。
「山でクマに会う」と聞くと、どう感じますか?

怖い!危ない!襲われる!殺される!
大抵の人はそう感じるのではないでしょうか?(クマ撃ちの人を除いて・・・。)

私もよく巡視をしていて、大きなガサガサ!という音がすると心臓が止まりそうになります。

そうなんです。尾瀬にもクマがいるんです。


クマの皮剥痕と爪痕

『尾瀬にもクマがいる。』
山によく行かれる方は当然と思うかも知れないこの事実、巡視をしていると意外と知られていないのではないかなあと思うことがあります。

早朝ブナ林の木道を歩いていて、クマがいつ出てきてもおかしくない中、鈴を鳴らしまくって歩いている私の前に、突然登山客が現れることもしばしば。
クマではなくても、こちらがビックリしてしまうことが何回もあります!


クマ鈴持ってる?

尾瀬は平坦で木道が整備されていて、都心から気軽に行けるからというイメージがありますが、逆にそのイメージが『クマも生息する立派な山』という感覚を忘れさせているのかも知れません。

沢山の人に楽しんでもらいながら、登山の危険性を認識してもらう。
これから目指していかなければいけない国立公園の姿が、この辺りにあるのかもしれません。

もうまもなく尾瀬のシーズンに入りますが、春先から夏にかけては動物たちが活発になります。

クマだって人間に会いたくありません。
お互い出会わないように私たちも気をつけましょう。


私はクマ鈴とクマスプレーを巡視の時に持ち歩いています

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2013年03月26日雪崩の爪痕

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

先日関東に帰省したら、桜が咲き始めていてビックリしました。

檜枝岐の桜はもう少し先になりそうですが、村の一番の桜の名所はやはり歌舞伎の舞台のところでしょうか。
歌舞伎の舞台と相まって、得も言われぬ雰囲気を醸し出します。

桜は例年、奉納歌舞伎よりも早く散ってしまうので、ご覧になりたい方は歌舞伎よりも一足先に見に来られる事をお勧めします。

さて、年度末になり事務所も慌ただしかったのですが、ようやく落ち着いてきたところで前回の続きを!


・・・と思いましたが、先に、この間檜枝岐で起きたちょっとした事件を取り上げたいと思います。





村中心部から七入に向かうと、途中広範囲に木がなぎ倒されていました。

『雪崩』です。
国内数本の指に入る規模だとか・・・。




私も、かねてから雪崩の危険性は認識していましたが、実際の雪崩の爪痕を見たのは初めてです。
ガードレールや鉄のポールはひしゃげ、恐ろしい程の破壊力を目の当たりにしました。

春先は特に雪が緩み、雪崩が起きやすくなっています。
残雪登山は天候と状況を判断して、安全な登山を心がけて頂くようお願いします。

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2013年03月21日見えないところで

尾瀬国立公園 服部 恵子

春分の日も過ぎ、
片品ではようやく雪が融けてなくなりつつある今日この頃、
中断していたセンサーカメラの設置を再開しました。

以前、カモシカ、ツキノワグマ、ニホンジカの写真を掲載したので、
http://c-kanto.env.go.jp/blog/2012/11/1866.html
今回はその他の動物をご紹介したいと思います。

撮影日時:2011年5月26日 19:21:52
少し分かりづらいですが、真ん中に写っているのはコウモリです。
こんな一瞬の動きですら撮影されてしまうのがすごいですね。




撮影日時:2011年6月24日 3:50:20
黄色い鮮やかな毛色をしたテンが撮影されました。




撮影日時:2011年12月18日 13:55:31
キツネが撮影されました。私は片品に来て、生まれて初めて野生のキツネを見ました。
昔話でおなじみのキツネですが、近年個体数が減っていると言われています。



夜行性かつ人を警戒して活動しているため、
普段はなかなか出会うことができませんが、
彼らは確かに身近に存在しています。

出会わないからこそ、減っても増えても気づきにくいのですが・・。

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2013年02月26日尾瀬の利用と課題 ①尾瀬のシカ対策の取り組み

尾瀬国立公園 長峯 彩

檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

前回『現在の尾瀬の問題点と課題』という内容で日記を書くとお伝えしたものの、何を書こうかと考えていたらあっという間に3週間経ってしまいました・・・。

尾瀬の問題は、過去を遡るとオーバーユース、ゴミ、車両規制の問題がありましたが、現地に滞在するアクティブレンジャーとしてまた違った視点から、現在進行中の問題について、数回にわたってお伝えできたらと思います。

さて、記念すべき?一回目は"尾瀬のシカ対策の取り組み"についてお話したいと思います。

シカも生きるのに一生懸命だということは分かるのですが・・・


先日、檜枝岐村側で行っている尾瀬ニホンジカ対策の会議に出席してきました。

檜枝岐村猟友会、檜枝岐村役場、福島県、林野庁、環境省でそれぞれが尾瀬のシカに対してどのような取り組みをしているかを情報共有しました。
また、これからそれぞれの機関でどういう取り組みをしていくかの意見交換も行いました。

シカのような山の動物を捕る為には、その山の地理や捕獲対象の生態などを知っていなければならず、地元の狩猟者の協力が不可欠です。
しかし、近年狩猟者の減少が著しく、狩猟者も高齢化していると言われます。尾瀬に係わる村々も例外ではありません。

今までの調査から、尾瀬のシカは冬は越冬のために群馬県を通り栃木県へ渡っていくことが分かっていますが、シカの移動経路にあたる各市町村どこもが、狩猟者の減少と高齢化に悩まされているのです。

ここ檜枝岐も昔から狩猟を行っていた地域ですが、その大変さを知っている住民は子供達に狩猟を勧めないといいます。


同行したときの様子。ナイフで突いて駆除しました。
真ん中辺りにに罠にかかった鹿が見えます。狩猟も体力が必要です。



特に檜枝岐村は600人程度の村なので、民宿の経営やいくつかの仕事を兼任しながら行っている人も多く、狩猟だけに専念するというのは大変厳しいのです。

農業も林業も無く観光で収入を得ている村としては、尾瀬の観光のシンボルと利用している植物へのシカ食害は、村の存続にも係わる問題です。
しかし、シカの増殖が大変問題になっている地域(南アルプスや知床など)と比べると、シカの頭数も影響もまだまだ少ないのが現状です。

そんな中で、今後の尾瀬のシカ対策をどうやっていったらよいか。
尾瀬に係わる行政機関や猟友会等と協力しながら、現在も検討が続いています。

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