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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園 下田

65件の記事があります。

2021年03月31日伊豆半島のジオサイトを紹介します! 第3弾

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。お花見の席ではやたらとシャッターを頼まれる齋田です。

最近はお子さんを笑顔にさせる技術とペットをカメラ目線にさせる技術だけが向上しています。

さて、少々日が空いてしまいましたが、これまでの日記に引き続き、富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイトをご紹介します!

■伊豆の秘境「入間千畳敷」(静岡県南伊豆町)

伊豆半島のほぼ先端部「入間(いるま)」に位置する入間千畳敷へは、入間海岸から「南伊豆歩道(吉田~入間コース)」を50分程歩くと辿り着くことが出来ます。

ちなみに、コースの入口となる入間海岸へは、最寄り駅となる伊豆急下田駅からバスに揺られること45分。バス停「入間」にて下車後、入間集落へ通じる山道を40分程歩くと到着します。

そのアクセスの困難さが物語るように、入間はまさに伊豆の秘境。大自然に囲まれた海岸からトレッキングスタートです!

コース前半には薄暗い照葉樹の森を通過しますが、遊歩道には案内標識が設置されているため、道に迷う心配はありません。林内の一本道をひたすらにもくもくと進みます。

うっそうとした森を抜けると、しだいに視界が開けていき、崖沿いを這うように整備された道が現れます。

ここまで来ると千畳敷はもう目前です。眼下に広がる海の碧を楽しみながら複雑な海岸線を進みましょう。

道中では海底火山の噴出物によって形成された火山灰の地層を見ることが出来ます。

【海岸沿いの遊歩道】

海岸線の斜面をどんどん下り、波打ち際を抜けると、いよいよ千畳敷に到着です。

なんというスケールでしょう!海岸にせり出した広い台地は畳が千畳以上も敷ける程の広さがあります。

(例によって写真からサイズ感が伝わりづらくすみません...)

海底火山時代の後に隆起と浸食を繰り返し、長い年月を経てこのような平らな岩のテラスとなりました。

【入間千畳敷】

さて、千畳敷を観察すると、古代遺跡のように規則的な凸凹がいたるところに見受けられます。

これらは全て採石の跡です。海岸沿いに「石切場跡」が多く残る伊豆半島ですが、こちらの入間千畳敷も例に漏れず、やわらかく加工しやすい「伊豆石」が盛んに切り出されました。

採石された伊豆石は、城を築城する際の石垣や倉庫、建物の基礎として昭和の初め頃まで出荷され、入間地区の小学校の通学路を作るためにも使用されました。

【石切場跡】

足元に向けていた視線を東に見上げると、薄い層が幾重にも連なった大きな山のようなものがそびえ立ちます。

こちらは三ツ石岬です。断崖の中央部に走る白い地層と緑色の植生とのコントラストが印象的ですね。

写真をよく見ると、白い縞模様の地層を断ち切るように上下にのびる黒い箇所が確認できるかと思います。

これらは「岩脈」と呼ばれ、火山灰の地層をマグマが貫入して固まったものです。

【三ツ石岬】

富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト「入間千畳敷」では、伊豆半島南部を代表する様々な地層や地形を見ることが出来ます。

こちらの日記では紹介しきれない魅力もたくさんありますので、是非一度現地に足を運んでみて下さい。

大潮の干潮時にはタイドプールで磯の生物観察も楽しめますよ!生き物好きにはこちらもおすすめです。

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、都道府県内の移動においても、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。

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2021年02月01日伊豆半島のジオサイトを紹介します! 第2弾

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。小さい頃はバウムクーヘンを一層ずつ剥がして食べていた齋田です。

大人になった今では生クリームをたっぷりかけて頬張っています。

さて、前回の日記に引き続き、富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイトをご紹介します。

第2回目となる今回の日記では、「しましま模様」と「ハートの地形」が特徴のジオサイトについて、その見どころを解説します。

■恵比須島 (静岡県下田市)

下田市の須崎に位置する恵比須島は、橋で渡ることのできるとても小さな島です。

島の外周に整備された遊歩道からは、海底火山の噴出物によって形成された地層を見ることが出来ます。

【静岡県下田市 恵比須島】

この洋菓子のようなしましま模様は、軽石や火山灰によって形成された地層です。

伊豆半島南部には、はるか昔の海底火山の噴出物が広く分布しています。海底火山時代の後に隆起と浸食を繰り返し、本来は海の下の深くに埋もれていたはずの地層が地上で見られるようになったと言われています。

地学は全くの専門外なのですが、このジオサイトのしましま模様からはなんとも不思議な魅力を感じます。

■龍宮窟 (静岡県下田市)

海底火山の噴火によって降り積もった軽石や火山灰の地層に波が打ち付けると、波の当たる方向にだんだんと削られていき、海食洞と呼ばれる洞窟が出来ることがあります。

下田市の田牛で見られる龍宮窟は、こうして生まれた海食洞の天井の一部が崩落し、直径40~50m程の巨大な天窓が出現したものと言われています。

【静岡県下田市 龍宮窟】

この海食洞を上から覗くと地面の形がハートに見えることから、若いカップルに人気のジオスポットです。

洞窟の内部から天窓を見上げると、水面によって照らされた黄褐色の火山礫がより神秘的に感じられます。

今回の日記では、富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト、「恵比須島」と「龍宮窟」についてご紹介しました。

ジオサイトの多くは、見学者の知識量によって見え方や感じ方が大きく変化しますので、みなさんがいつか伊豆半島に訪れる際の一つの参考になれば嬉しいです。

次回は、テレビCM等で一躍有名となった大人気ジオサイト「入間千畳敷」を解説します。お楽しみに!

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、都道府県内の移動においても、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。

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2021年01月22日伊豆半島のジオサイトを紹介します! 第1弾

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。外出自粛期間中は撮りためた生き物の写真や図鑑を眺めてやり過ごす齋田です。

特定の時期に特定の場所でしか出会うことができない種類の生き物が多くいますが、今はぐっと我慢です。

さて、みなさんがご自宅で過ごすことの多いこんな時こそ日記を読んで頂くチャンスだと思い、当面の間は「富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト(ジオスポット)」を特集します!

記念すべき第1回目は、前回の日記に取り上げた「環境配慮型ツアーの実証実験」にてコースの経由地点として立ち寄った「弓ヶ浜」と「中木の柱状節理」について、その見どころを解説します。

■弓ヶ浜 (静岡県南伊豆町)

その名の通り、美しい弧を描く弓ヶ浜。海岸線の長さはなんと1,000m!シロナガスクジラ約35頭分です。

この白砂の海岸は、河口から海へと流れ込んだ砂粒が海流によって押し戻され、帯状に堆積することで形成されたと言われています。

このような地形は砂嘴(さし)と呼ばれ、伊豆半島北西部の御浜岬や大瀬崎などでも見られます。

【静岡県南伊豆町 弓ヶ浜】

写真は昨年の6月上旬に撮影した弓ヶ浜。例年であれば、梅雨入り前最後の海を楽しもうと観光客がこぞって押し寄せる時期ですが、ご覧の通り人の気配はほとんどありませんでした。

そんなこともあってか、ここ弓ヶ浜では3年ぶりにアカウミガメの産卵が確認されました。生き物好きの私としては大変嬉しい出来事ではありましたが、豊かな自然の保護と利用はトレードオフであることを見せつけられたようで、複雑な心境でした。

■中木の柱状節理 (静岡県南伊豆町)

スノーケル・ダイビングスポットとして有名な「ヒリゾ浜」への渡し船の発着点として知られる中木海岸。

崖沿いを這うように整備された遊歩道を南へ進むと、なんとも不思議な光景を目にすることができます。

【静岡県南伊豆町 中木の柱状節理】

ハチの巣のように規則的に並ぶ5角形や6角形の奇妙な岩は「柱状節理」と呼ばれ、海底火山の噴出物を貫いて上昇した「火山の根」とマグマが冷えて固まる際に形成されたものと言われています。

写真で見るとサイズ感がややわかりづらいかと思いますが、この多角形の外接円の直径は大人の肩幅ほどもあり、その圧倒的なスケールに感動させられます。自然界で最も大きなハニカム構造なのではないでしょうか?

今回の日記では、富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト、「弓ヶ浜」と「中木の柱状節理」についてご紹介しました。

ジオサイトの多くは、見学者の知識量によって見え方や感じ方が大きく変化しますので、みなさんがいつか伊豆半島に訪れる際の一つの参考になれば嬉しいです。

次回は、「しましま模様」と「ハートの地形」が特徴のジオサイトを解説します。お楽しみに!

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、都道府県内の移動においても、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。

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2021年01月08日大自然の満喫にイイ バイク「環境配慮型ツアーの実証実験」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

明けましておめでとうございます。年越しの瞬間には地球から離れていた齋田です。

年越しジャンプは小学生の頃から続けているのですが、やめるタイミングがわかりません。

さて、みなさんは2021年のお正月をいかがお過ごしでしたか?

コロナ禍でのお正月ということもあり、身体が重たく感じてしまった方も多いのではないかと思います。

今回の日記では、そんな運動不足の解消におすすめしたい伊豆半島の新しい楽しみ方について、その実証実験の様子をご紹介します。

■電動アシスト付きスポーツ自転車E-BIKEを使ったガイドツアー

コロナ禍における環境省の支援事業の一つである「令和2年度 国立・国定公園への誘客・推進事業」に採択された『E-BIKEを活用した環境配慮型少人数ツアー(通称)』の実証実験が伊豆半島最南端の南伊豆町にて行われました。

◎支援事業の詳細はこちら:http://www.env.go.jp/nature/np/ryokakuzei00/index.html

こちらはツアー出発前の様子。自転車の専門的知識を有したガイドより、E-BIKEの特性や電動アシストの操作方法等、安全に走行するために必要な知識についてレクチャーを受けました。

自転車初心者の私を含め、観光関係者やジオガイドを中心としたモニター参加者の多くはE-BIKEに初めて乗車する方がほとんどで、みなさん緊張した面持ちでガイドの説明に耳を傾けます。

【出発前の様子 石廊崎オーシャンパークにて】

こちらの日記を見ているみなさんの中にも、E-BIKEを知らない・乗ったことがないという方が多いと思うので、この自転車について簡単にご説明します。

E-BIKEとは、スポーツバイク型の電動アシスト付き自転車の総称であり、一般的なシティサイクル(ママチャリ)型のそれよりもスポーティーにサイクリングを楽しむことができる自転車として注目されています。

実証実験にて使用したクロスバイク型の自転車では、一度の充電で最大100km程度の走行が可能であり、伊豆半島の海岸沿いを周遊するには十分なスペックでした。これならどこへだって行けそうですね!

一通りのレクチャーを受けた後は、石廊崎オーシャンパークを順調に出発し、海沿いを快走しながらジオスポットや観光名所として知られる弓ヶ浜海岸や中木海岸等を巡りました。

E-BIKEでゆっくりと走っていくと、普段は自動車で通過している見慣れた道も新鮮に感じられました。

そして、なんと言っても、ぽかぽかとした冬の柔らかい日差しの下でのサイクリングは最高でした!

コースの経由地点に設定されているジオスポットでは、現地の自然に精通したガイドによる解説が行われ、地形の成り立ちや人々の暮らしとの関わりについて学ぶことができます。

写真は弓ヶ浜にて海岸線の変遷について解説している様子です。図や写真、実際の景色を用いた説明はとても分かりやすく、伊豆半島の自然の素晴らしさについて再認識することができました。

【ガイドによる解説 弓ヶ浜海岸駐車場にて】

さて、気になるジオスポットの景色ですが、こちらはまた後日に写真を交えてご紹介できればと思います。

伊豆半島ジオパークや富士箱根伊豆国立公園の伊豆半島地域には素晴らしいスポットがたくさんありますので、どうぞご期待下さい。

今回の実証実験では、伊豆半島の豊かな自然を満喫しながら安全にコースをまわることができました。

坂道の多い伊豆半島においては、電動アシスト付きのE-BIKEが大活躍。自転車初心者の私でも景色や磯風を楽しみながら難なく走行することができ、とても良い勉強になりました。

近い将来には、E-BIKE等の自転車を活用したツアーが国立公園利用の新しい形態の一つとなることでしょう。

外出や旅行に大きな制限が生じている時期ではありますが、これを機に、環境配慮型少人数ツアーによってサステナイブルツーリズムが普及することを願っています。

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、旅行を計画されている方は、各自治体のガイドライン等によく目を通し、最新の情報についてこまめに確認を行いましょう。

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2020年12月16日「アクティブ・レンジャー写真展」開催中です!

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。証明写真を撮るときは目が半開きになりがちな齋田です。

昆虫や動物の写真を撮ることは好きなのですが、自分自身が被写体となるのは少し苦手です。

さて、伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」にて開催中の写真展「環境省 アクティブ・レンジャー写真展 - 国立公園・野生生物の姿 -」について、多くの反響を頂きありがとうございます!

この日記を見ているみなさんの中には会場までお越し頂いた方も多いのではないでしょうか?

会場に設置した写真やポスター、パンフレット等を通じて、一人でも多くの方に自然の素晴らしさや国立公園の魅力について知って頂けると大変嬉しく思います。

今回の日記では、会場の展示物だけではお伝えしきれなかった撮影場所の様子について詳しくご紹介します。

写真展の開催内容や展示状況等については、環境省 関東地方環境事務所のHP山田アクティブ・レンジャーの日記をご覧ください。

下田管理官事務所からは、海岸沿いの景色を切り取った2点の写真を出展させて頂きました。

まずはこちらの写真から。トロピカルな花々に包まれる真冬の爪木崎海岸です。

【楽園の冬 爪木崎海岸】

夏場は人気の海水浴スポットとして賑わう爪木崎海岸。冬場は紅白の花々が海岸沿いを彩ります。

海辺一帯に広がる白い花はニホンズイセン。周辺には甘くやわらかい香りが広がり、思わずうっとりとした気分にさせられました。

左端に見える紅い花はキダチアロエ。鮮やかな暖色がほどよいアクセントととなり景観を引き締めますね。

ニホンズイセンとキダチアロエはこれからの季節に見頃となります。近隣にお住まいの方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

■楽園の冬 爪木崎海岸

撮影場所:爪木崎海岸 静岡県下田市

撮影時期:2020年1月上旬

アクセス:伊豆急下田駅よりバスで15分

続いての写真はこちら。可愛らしい黄色い花が揺らめく真夏のユウスゲ公園です。

【煌めく ユウスゲ公園】

石廊崎周辺の海岸線を一望できる小高い丘に位置するユウスゲ公園。

西日に煌めく太平洋の碧や草木の緑を背に、黄色い花弁が磯風に揺れ動く様子は、言葉ではとても言い表すことの出来ない程に情緒的でした。

この可愛らしい花の正体は、公園名の由来となったユウスゲです。彼らは夏の夕方頃に開花し翌朝にはつぼんでしまうワスレグサ属の一日花。7月下旬から8月中旬の16時以降が見頃となります。

■煌めく ユウスゲ公園

撮影場所:ユウスゲ公園 静岡県南伊豆町

撮影時期:2019年7月下旬

アクセス:伊豆急下田駅よりタクシーで30分

以上が下田管理官事務所より出展した写真です。温暖な伊豆半島の雰囲気が伝わったでしょうか?

伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」を会場とした写真展は1月26()まで開催中です。

2月から3月にかけての期間には、富士五湖・奥多摩・伊豆諸島・那須の4地域にて開催されます。

詳細な開催情報については、該当地域の「アクティブ・レンジャー日記」にて随時公開予定です。

※新型コロナウイルス感染拡大防止対策については、各施設の指示に従って頂きますようお願いします

▼伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」

https://georia.izugeopark.org/

▼写真展 開催案内「環境省 アクティブ・レンジャー写真展 - 国立公園・野生生物の姿 -

http://kanto.env.go.jp/to_2020/2020_6.html

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2020年12月09日富士山がある風景100選 in伊豆半島

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

一富士二鷹三茄子。元日の夜には枕の下に富士山の写真を忍ばせる齋田です。

今年は一富士から六座頭まで全ての写真を保存したスマートフォンを用意しましたが、掠りもしませんでした。

さて、初夢に現れると縁起が良いとされる富士山ですが、みなさんは「富士山がある風景100選」をご存じでしょうか?

「富士山がある風景100選」とは、日本のシンボルでもある富士山の魅力をみなさんにお伝えするため、環境省と周辺の都県・市町村が中心となり、富士箱根伊豆国立公園と周辺地域の代表的な富士山の展望地をと定めたものです。

富士山から遠く離れた下田管理官事務所が管轄する伊豆半島南部のエリアにも、なんと8地点の展望地が選定されています!

今回の日記では、そのうちの2地点の展望地から望むことができる美しい富士山をご紹介したいと思います。

この日記を読んで頂ければ、みなさんの初夢に富士山が現れること請け合いですね。

一つ目にご紹介するのは、静岡県松崎町の雲見海岸から望む富士山です。

【静岡県松崎町 雲見海岸から望む富士山】

夏には多くの海水浴客で賑わう雲見海岸ですが、冬のあいだは波の音だけが響く静かな浜辺です。

海に浮かぶ二つの大岩は雲見海岸を象徴する「牛着岩」。雲見地区に大きな被害をもたらしたとされる文化13年の大洪水の際に、家畜の牛が漂着して生きながらえたことが名前の由来と言われています(諸説あります)

牛着岩との共演は、構図として絵になるばかりか、その由縁を知ると大変縁起の良い一枚だと感じられます。

二つ目にご紹介するのは、静岡県西伊豆町の仁科峠から望む富士山です。

【静岡県西伊豆町 仁科峠から望む富士山】

黄金崎や駿河湾が一望できる、「伊豆で最も美しい峠」と呼び声が高い仁科峠。

展望所のすぐ隣には駐車場があり、アクセスが容易であるため、休日には多くのカメラマンで賑わいます。

また、全長約43kmからなる伊豆山稜線歩道のルート上に位置するため、多くのハイカーがその素晴らしい眺望に足を止めます。

天気の良い日には富士山を眺めながら遊歩道を歩いてみてはいかがでしょうか。

仁科峠を経由する伊豆山稜線歩道の紹介はこちら

伊豆半島の南部から望む富士山はいかがでしたか?

富士箱根伊豆国立公園の富士山地域や箱根地域から見られる雄大な富士山の美しさもさることながら、伊豆半島地域から海越しに眺める富士山もなかなかに趣がありますね。

さて、これで来年こそは富士山の初夢が見られることでしょう。夕飯には高菜と茄子を食べようと思います。

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2020年10月29日ALWAYS「伊豆半島の夕日」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。葉の裏にとまるカメムシを数えるのが日課の齋田です。

この時期には海岸沿いの低木にたくさんのオオキンカメムシが集まるのですが、日を追う毎に数を増す彼らから深まる秋をしみじみと感じています。

さて、今回はそんなオオキンカメムシのような朱と黒の対比が美しい伊豆半島の景色をご紹介します。

遠出を控えているみなさんにも、日記の写真を通して伊豆半島の秋を感じて頂ければうれしく思います。

一つ目にご紹介するのは、南伊豆町の伊浜海岸から見える夕日です。

【南伊豆町 伊浜海岸より望む夕日】

マーガレットの生産地として有名な小さな集落に位置する伊浜海岸から望む夕日。

写真の右端に見える岬は、東日本最大級のニホンザルの生息地として知られる波勝崎です。海岸近くには私の他にも数頭の見学者がいたのですが、彼らに見守られながらの撮影はなんとも言えない緊張感がありました。

二つ目にご紹介するのは、西伊豆町の堂ヶ島海岸から見える夕日です。

【西伊豆町 堂ヶ島海岸より望む夕日】

伊豆半島の景勝地として有名な堂ヶ島海岸から望む夕日。

周辺には天窓洞や三四郎島等の観光スポットがあるため、休日には多くの観光客で賑わいます。

亀岩や蛇島等の多数の島々に囲まれているため、波が穏やかなことが多く、この日も鏡のような海面が夕焼け空をはっきりと映していました。

今回ご紹介する写真は以上です。伊豆半島の夕日はいかがでしたか?

夕日の写真は、昨年10月に掲載した日記「ノスタルジックな秋の日に」でもご紹介しています。

こちらではどこか懐かしい気持ちになるような写真を取り上げています。是非併せてご覧下さい。

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2020年07月07日黄色い絨毯と天の川「南伊豆町 ユウスゲ公園」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。

地元のこどもたちが書いた短冊に、「みんなの願いが叶いますように」、「織姫と彦星が会えますように」といった素敵な願い事を見つけた齋田です。

ちなみに、私の幼少時代はというと、「七夕ゼリーのじゃんけんにぜったい勝つ!」でした。

さて、こどもたちの願いによって織姫と彦星が夜空で再会を果たすころ、伊豆半島の奥石廊では早くもあの花が咲き始めました。

【ユウスゲ(2020.06.29撮影)】

みなさんご存じ、昨年の日記にて「真夏の日差しが大嫌いな変わった花」としてご紹介したユウスゲです。

この可憐な花に出会えるのは、石廊崎周辺の海岸線を一望できる小高い丘に位置するユウスゲ公園。

ユウスゲは、太陽が傾くころに開花し翌朝にはつぼんでしまうワスレグサ属の一日花で、富士箱根伊豆国立公園の指定植物の一つに指定されています。

【奥石廊の池の原一帯に群生するユウスゲ(2019.07.23撮影)】

こちらの写真は、昨年の最盛期、7月下旬に撮影したユウスゲ群落。

西日に煌めく太平洋の碧を背に、草木の緑に包まれた可愛らしい黄色い花弁が磯風に揺れ動く様子は、言葉ではとても言い表すことの出来ない程に情緒的でした。

さてさて、ここまでは昨年の日記でもご紹介した内容ですが、こちらはユウスゲ公園の昼の姿。

今回の日記では、夕方から深夜にかけて楽しめるユウスゲ公園の見どころをいくつかご紹介します!

ユウスゲの花を存分に堪能した後には、崖を打つ波の音や磯風のやわらかさを感じながら、沈みゆく夕陽をのんびりと眺めるのがおすすめです。

【ユウスゲ公園から眺める夕陽(2019.11.29撮影)】

こちらの写真は、昨年の11月下旬に、ユウスゲ群落の写真とは違った画角で撮影した夕陽。

ユウスゲの最盛期である7月下旬から8月中旬には、ユウスゲが群生する斜面と太陽が地平線に沈む方角が重なり合い、辺り一面に幻想的な雰囲気を醸し出します。

なかでも、黄昏時に見られる、黄色と緑の絨毯が燃えるような夕映えにゆっくりと包まれていく光景は、この世の終わりを思わせる程の美しさです。是非ご自身の目でご観賞いただければと思います。

夜のお楽しみは天体観測です。実はユウスゲ公園は伊豆半島有数の星空スポットとしても知られています。

小高い丘の周囲には光害が一切なく、太陽が完全に寝静まった新月の夜には、まるで宝石箱をひっくり返したような満点の星空が楽しめます。

一番の見どころは、白く流れる天の川。ユウスゲの季節には一年で最もはっきりと観察することができます。

天の川が見えてくれば、織り姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)もきっとすぐに見つかることでしょう。この二つの星のすぐ近くに光るカササギの橋(はくちょう座のデネブ)をつなげば夏の大三角のできあがり。

あまりの星の多さになかなか見つけることのできない方は、7月であれば23時頃、8月であれば21時頃に真上に見える一番明るい星が織り姫星(こと座のベガ)と覚えておくとよいかと思います。

伊豆半島の奥石廊でみられるユウスゲの見頃は、7月下旬から8月中旬です。

ユウスゲが開花を始める16時頃には例年多くの見物客で賑わいますが、夏のユウスゲ公園では1日を通して素晴らしい景色が楽しめます。少しでも混みあう場合は時間をずらしての散策がおすすめですよ。

咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めながら、伊豆半島の豊かな自然を存分に満喫しましょう!

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2020年06月19日自然の万華鏡?「梅雨の下田公園」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。海やプールには事前に水着を着ていく派の用意周到な齋田です。

いつも帰る頃に着替えの下着を忘れたことに気が付きます。と、昨年夏頃の日記にてご挨拶した齋田です。

今年の夏は「水陸両用サーフパンツ」なるものを購入しました。はたして出番はあるのでしょうか。

さて、そんな夏の盛りを目前に恵みの雨をもたらす季節に差し掛かりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

最近は街が寝静まる頃に散歩に出掛けることが多いせいか、梅雨の始まりにはうっとうしく思えた雨音もすっかり耳に馴染んでしまい、今では心地よささえ感じられます。

今回の日記では、この季節におすすめの散歩スポット「下田公園のあじさい」をご紹介します。

下田公園は、北条氏が水軍の拠点とした下田城の障子堀を間近にみることができる数少ない城址として日本史好きには堪らない閑静な公園ですが、梅雨の時期には雰囲気が一変し、敷地全体が鮮やかなあじさいに包まれます。

【下田公園のあじさい】

こちらの写真は、毎年多くの見物客やカメラマンが訪れる下田公園随一の群生地。

遊歩道は色彩豊かなあじさいに囲まれ、まるで万華鏡の中に迷い込んだような気分になります。

東向き斜面に位置するため、撮影の際には、朝のやわらかな日差しが降り注ぐ早朝から正午前までの時間帯がおすすめです。

【下田公園より下田市街を望む】

公園内には展望所が点在し、下田市街や須崎半島、太平洋の遙か彼方までをも見晴らすことができます。

写真の中央に広がる海面はペリー艦隊の入港で有名な下田港。下田市街をはさんで上方にそびえる可愛らしい三角帽子は下田のシンボル「下田富士」です。

伊豆半島南部のあじさいの見頃は6月中旬から下旬がピークと言われていますが、今回ご紹介した下田公園では開花時期が異なる100種以上のあじさいがみられるため、例年6月上旬から7月上旬頃までは満開のあじさいが楽しめます。

ちなみに、私のおすすめは見頃が過ぎ去った7月中旬です。かつては多くの見物客で賑わった公園内で、茶色がかったあじさいの萼片がひっそりと終わりを迎える様子は、なんともいえない情緒的な美しさを感じます。その光景の美しさはもとより、見物客はめったにいない時期なので、3密回避の観点からもおすすめです。

下田公園近隣にお住まいのみなさんは、梅雨の晴れ間に一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

じめじめと湿っぽく憂鬱な気持ちになりがちな季節ですが、きっと気分も晴れ渡るかと思います。

20206月19日現在においては、下田公園敷地内への立入制限はなく、最寄りのペリーロード駐車場も一般に開放されていますが、見物の際には、引き続き「3密の回避」、「マスクの着用」、「手指の消毒」等の基本的な感染症対策に努め、節度を持った行動を心掛けましょう。

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2020年05月19日「STAY HOME」伊豆半島のお家大好きな生き物たち 第4弾 #STAYHOME

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。

自宅にいる時間が長いせいか、すっかりネットショッピングにはまってしまった齋田です。

最近は気にいった雨具を手に入れたため、あれだけ嫌いだった梅雨の時期が少しだけ楽しみに思います。

さて、「伊豆半島のお家大好きな生き物たち」シリーズも、早いもので今回が4回目となりました。

次回の更新からは平常通りの内容をお送りできることを祈りつつ、今回の日記では、とっておきの生き物をご紹介したいと思います。

今回みなさんにご紹介するのはこの生き物!

植物の形態形成を巧みに操る引きこもり集団「モンゼンイスアブラムシ」です。

【イスノキ 静岡県下田市】

青々とした艶のある葉がなんとも美しい立派なイスノキですね!これぞ常緑高木といった様相です。

(どうして唐突に木本の写真?と感じた方が多いとは思いますが、この写真だけで理解してしまったマニアな方は暫しの間お付き合いください。)

アブラムシ(アリマキ)といえば、甘露をアリ等に提供することで外敵から身を守ってもらう「共生(複数種の生物が相互関係をもって生活すること)関係」が有名ですね。一般には、テントウムシからアリに守ってもらいながら植物の汁を吸う小さな虫というイメージが強いと思います。

実は、アブラムシの仲間には植物に寄生して虫こぶをつくる種も少なくなく、このモンゼンイスアブラムシもイスノキに虫こぶを形成することで外敵等から身を守って暮らしています。

さて、写真のどこにモンゼンイスアブラムシたち(の虫こぶ)がいる(ある)か、みなさんはもうお分かりですね?

虫こぶの中で究極の引きこもり生活を行うモンゼンイスアブラムシ。

単純に引きこもるだけならヒト科のみなさんや他の生き物たちと同様ですが、彼らの驚くべきところは、植物の形態等を操作して自分たちにとって都合の良い楽園に変えてしまう点にあります。

モンゼンイスアブラムシの寄生により植物細胞の成長や分化に異常が生じることで形成された虫こぶは、彼らを外的要因から守るだけでなく、同時に食物の供給源にもなるのです。さらに、彼らの排出物は虫こぶの内壁により吸収除去されることが最近の研究で明らかとなっています。

閉鎖された虫こぶの中でほぼ全ての生活を完結させてしまう姿は、これぞまさに引きこもりの究極系と言えますね。

今回は、外部環境と隔絶された虫こぶの中で「STAY HOME」を実施するアブラムシのご紹介でした。

本来であれば、いつもの通り『お家でじっとしている姿は私たちもぜひ見習いたいものですね』で締めくくるところではありますが、虫こぶ内で1,000匹を超える仲間たちと暮らすのは、「密閉」・「密集」・「密接」のいわゆる3密を満たしますので、みなさんは植物の性質を改変しての「STAY HOME」はお控えください。

■タイトル末尾のハッシュタグ #STAYHOME について

新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛を受けて、国立公園の魅力をインターネット上で広く情報発信することを目的とした『#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト』が令和2年4月23日(木)より始動しました。

当日記においても、かねてより「STAY HOME」を呼びかけてきましたが、新型コロナウイルス感染症の収束をより一層に願い、日記タイトルにはプロジェクトの象徴であるハッシュタグ"#STAYHOME"を追加してお送りしています。

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