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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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南アルプス国立公園 南アルプス

189件の記事があります。

2019年07月18日梅雨空の北岳で見つけたもの

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

7月上旬に北岳に行ってきました。

6月下旬に開山した北岳ですが、1日中カラッと晴れている日は少なく、この日も小雨が降るなどでかなりじめっとしていました。通常は広河原から北岳の山頂を望むことができますが、今日は中腹から真っ白でした。その反面、天の恵みを受けて植物が咲き始めています。今回は見つけた植物をいくつか紹介したいと思います。

  

左はカラマツソウです。葉がカラマツの葉のような形をしていて、白い部分が雄しべの一部分になっています。1本1本が細かく、放射状になっているのが特徴的です。空がどんより曇っていても際立つ白さなのですぐに見るけることができると思います。右はクリンソウです。すっと伸びた茎の先に紅紫色の花を付け、日が当たる水辺に咲いていることが多いです。

ここでちょっと変わった形をしたお花を。白根御池小屋と大樺沢の分岐を進んだ場所に咲いていました。

なんの花かお分かりでしょうか。オドリコソウです。花の形が傘をかぶって可燐に踊る女の子のように見えることが由来だそうです。アップで見ると細かく毛が生えているのが分かりますね。登るたび、探していましたが毎回見つけられず...。アクティブ・レンジャー3年目でやっと見つけることができました!

今年は気温が低いため、昨年よりも咲いている期間が長いように感じます。これからの時期はたくさんの種類の花が咲き始めます。北岳に登らずとも、広河原や北沢峠でも高山植物を楽しむことができますよ♪

気温は低いものの、雪解けが少しずつ進んでいます。ですが、依然大樺沢の左俣ルートには雪が付いています。下りでは軽アイゼンが必須、登りでもあったほうが歩きやすいです。雨で石や木の根っこが滑りやすくなっています。下山時は特にお気を付けください。

綺麗な景色を楽しみに登られているが多いと思います。雨降りの中でも疲れを吹き飛ばしてくれるくらい綺麗な高山植物や晴れ間を楽しんでいただいて、「南アルプス良かったよ!」と多くの方に思っていただけると嬉しいです。みなさんに素敵な思い出が残りますように♪

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2019年07月09日第61回 長衛祭が行われました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月29日(土)に長野県伊那市と山梨県南アルプス市の県境にある北沢峠の近くにある長衛小屋で「長衛祭」が行われました。

長衛祭では南アルプスの開拓者「竹澤長衛」翁の遺徳を偲びます。竹澤長衛翁は案内人を行うとともに山岳救助や高山植物の保護に大きく携わり、南アルプスの山々を誰もが安全に登山を楽しめる山にしたい、と登山道や山小屋の開拓に力を注ぎました。南アルプスを代表する仙丈ヶ岳登山道¨藪沢新道¨(大滝頭から馬ノ背)や¨栗沢山新道¨(長衛小屋から栗沢山)など自らの手で切り開きました。

「死んだら仙丈の方へ向けて埋めてほしい」と遺言を残したそうですが、この日は仙丈ヶ岳の山頂は見えず。竹澤長衛翁が天国で悲しい思いをしていたのでしょうか。お祭りでは、芦安小学校児童と長谷小学校児童による「ふるさと」の合唱や南アルプスカルテットによる演奏の中、竹澤長衛翁レリーフへ献花をしました。中盤から雨が降り、時折寒さを感じるほどでしたが、多くの方が参加されていました。


△献花のようす

交流会では竹澤長衛翁の愛した山々を荒らす、イノシシやニホンジカの肉の入った成敗汁や鶏とニホンジカの肉が入った炊き込みご飯が振る舞われました。

成敗汁をいただくのは3回目になりますが、変わらずとてもおいしかったです!イノシシやニホンジカが入っていますが、ジビエ特有の臭みは全くありません。野菜がたっぷり入っていて、雨風で冷えた身体にとっても染みました!

長衛祭を通して、山や自然を大切に、愛する気持ちを忘れずに安全で楽しい登山を心がけようと思いました。ここ数日は悪天候が続いております。登山道がぬかるんでいたり、石の表面が滑ることもあります。登られる際は足元に気をつけて登るようにしてください。

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2019年07月02日2019 南アルプス開山祭が行われました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月22日(土)に山梨県南アルプス市にある広河原インフォメーションセンターにて「2019 南アルプス開山祭」が行われました。この日はどんよりとした天気で広河原から北岳の全貌を望むことはできませんでしたが、関係者以外にも北岳から下山された方、これから登られる方などで大変賑わいました!

△石碑と蔓払いと北岳(6/17撮影)

石碑に刻まれているのは南アルプス林道開通に努力した天野久元知事、旧芦安村長名取運一、外国人として初めて北岳に登頂したイギリス人宣教師のウォルター・ウェストンです。

開山祭では地元芦安中学校生徒による「北岳の歌」、「雪山賛歌」の合唱や、夜叉神太鼓の力強い演奏が披露されました。

「北岳の歌」は終戦後の昭和21年に明峰山岳会の金山敏雄氏が一人旅の山小屋の中で新雪の北岳バットレスに挑む仲間を思いながら作詞し、下山後、1週間で作曲されたと言われています。歌詞は、第1章 夜叉神峠からの北岳、第2章 早川渓谷と夏のバットレス、第3章 冬季バットレス登頂の感激で構成されています。現在は金山氏の母校である専修大学の山岳部歌になっており、今でも歌われ続けているそうです。

最後に「蔓払い(つるはらい)」の儀式が行われました。



「蔓払い」は、かつて未開だった登山道の蔓を払いながら切り拓くこと、切った蔓の飛び跳ねる動きにより悪霊への威嚇、排除、山の清めを意味し、明治時代の「山の案内人」をイメージした格好で登場する案内人が蔓の門を斧で切ります。切り開かれた蔓を従者が整え、道ができます。参加者はこの1年の安全登山を祈りながらこの道を抜け、「開山式」が終了しました。

マイカー規制が始まってから1週間が過ぎました。すでに多くの方が広河原や北沢峠に入られていることでしょう。みなさんにとって事故や怪我もなく、安全で素敵な思い出が残るシーズンになりますように♪

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2019年06月25日キタダケソウ開花!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月17日から19日にかけてキタダケソウの開花状況確認へ行ってきました。

キタダケソウは、世界中どこを探しても北岳の山頂付近でしか見ることのできない希少な固有種です。例年6月中旬にかけて白い花を咲かせます。

△6/18撮影

今年は開花直後の寒暖差が激しく、花の先が茶色くしおれている株がいくつか見られました。ですが、つぼみになっている株もありましたので、もうしばらくは楽しむことができそうです。

キタダケソウをはじめ、南アルプス山域には南アルプスにしか生育していない固有種や数多くの高山植物が生育しています。撮影に夢中になってしまったせいか、ロープを超え、踏み込んだであろう形跡が残っていました。

この時期に花がついていなくてもこれから咲こうと芽をだしている植物もたくさんあります。登山道を外れるとそれらの花を踏んでしまいますので、くれぐれも登山道から外れずに、撮影をするようにしてください。大切な高山植物を後世へ残すためには、皆様のご理解とご協力が必要です。どうぞよろしくお願いします。

★そのほかの開花状況

 

△オヤマノエンドウ              △コミヤマカタバミ

稜線ではオヤマノエンドウ、チョウノスケソウが咲いています。ハクサンイチゲ、キバナシャクナゲはまだつぼみの株が多いです。広河原から小太郎尾根分岐まではキバナノコマノツメやヒメイチゲ、ショウジョウバカマ、コミヤマカタバミ、ズダヤクシュが咲いています。

21日に始まったマイカー規制ですが、奈良田(早川町)-広河原線が落石のため通行止めとなっています。山梨県側から広河原へ入るためには、今のところ芦安からのアクセスしかありません。例年よりも混雑することが予想されますので、広河原へお越しの際は余裕をもって計画を立てるようにしてください。

★お知らせ

今週末、6月29日(土)に長衛小屋 長衛翁碑前にて「第61回 長衛祭」が行われます。

日 時:令和元年6月29日(土)午前10時30分から

場 所:長衛小屋 長衛翁碑前

地元の長谷小学校および芦安小学校生徒による合唱や仙水峠トレッキングが行われます。長野県側からも山梨県側からも比較的、アクセスがしやすいです。ぜひ、長衛祭に訪れてみてはいかがでしょうか。

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2019年06月21日北岳登山道情報(6/19現在)

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

本日より、マイカー規制が始まります!北岳の登山口になっている広河原には多くの方が足を運ばれていることでしょう。今回は6月19日時点の北岳登山道情報をお伝えします。

■広河原-白根御池小屋-小太郎尾根分岐

白根御池小屋先で雪渓があります。気温が上がると雪がぐずるのでアイゼンがなくても通行できますが、朝晩は冷え込むため固くなり、滑りやすくなります。

△白根御池小屋先の雪渓

不安な方は軽アイゼンやチェーンスパイクがあると歩きやすいと思います。小太郎尾根分岐にも積雪がありますが、斜面に正対してつま先やかかとを蹴り込んで登り下りする「キックステップ」で歩けば問題ありません。

■広河原-二俣-右俣-小太郎尾根分岐

橋はすでに架かっています。広河原-二俣は大雨直後、増水するため、状況に応じてルート変更をお勧めします。第2仮設橋から二俣までの登山道は雪崩れて木々が倒れており、赤テープはところどころにありますが、登山道が非常に分かりづらくなっています。

△第2仮設橋上部のようす

なお、二俣分岐の仮設トイレはまだ設置されておりませんので、大樺沢経由で登られる方は携帯トイレ、または、白根御池小屋のトイレを使用してください。

■二俣-右俣-小太郎尾根分岐

右俣へ向かってすぐの登山道が積雪で埋まっています。途中まで雪渓を歩くことになります。雪渓をずっと登ってしまうと正規ルートに合流できなくなりますので、右俣ルートを一度も歩いたことがない方はお勧めしません。他にも、夏期に防鹿柵が設置される雪田や登山道上にも数カ所雪が残っています。通過の際、登山道が分かりにくいので道迷いに気を付けてください。

■二俣-白根御池小屋トラバース道

二俣側から入ってすぐの登山道が雪崩れており、登山道が不明瞭になっています。

赤テープはありますが、少し分かりづらいです。この写真のように、角度によっては赤テープが見えません。どこに向かって歩けばいいのかすら分からない状態です。周辺に青いテープもありますが、そのテープは登山道を示すテープではないので、青テープを目指して歩かないようにしてください。

■左俣

二俣から見た左俣です。


雪が多く、落石箇所も目立ちます。登り降りともに、12本アイゼン、ピッケル、ヘルメットを必ず携帯してください。昨年の同時期には下山中に事故が発生しています。この雪渓は二俣分岐より下まで続いていますが、雪渓の下には川が流れています。いつまでも雪渓を歩いていると川に落下する可能性もありますので、注意してください。

■山頂直下

北岳山頂から吊尾根分岐に向かう途中の斜面に積雪があります。

登りはキックステップで歩行できますが、下りの際は少し高度感があります。不安な方はアイゼンの着用をお勧めします。歩行の際はストックよりもピッケルのほうが好ましいと思います。

上記の通り、登山道が不明瞭になっている箇所が複数あります。初めて北岳に登る計画をされている方は白根御池小屋経由ルートを強くお勧めします。マークが不足している登山道もあるので、何度か登っている方でも迷う可能性もあります。ご自身の技量や体力に見合ったルートを選択してください。

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2019年06月18日登山者カウンター設置しました!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月13日に北岳登山道上の2か所に登山者カウンターを設置してきました。

△登山者カウンターの設置を行う小池自然保護官

登山者カウンターの設置は平成22年から毎年設置しており、広河原から北岳山頂に続く、大樺沢ルート、白根御池小屋ルートのそれぞれでどんな時間にどれくらいの人が利用しているのかを調べています。

昨年度は度重なる台風の影響で大樺沢ルートの登山道に架かる橋が崩壊し、通行止めになったこともあり、大樺沢ルートの通過人数は入山・下山ともに少なかったです。大樺沢ルートは地形の関係上、雨の影響を受けやすく、大雨の直後は落石・土砂崩れの可能性が高くなります。開山後も登山道には雪が残り、雪渓を登ることになるため、アイゼンとピッケルが必須となります。融雪による落石もあるため、ヘルメットの携帯もおすすめします。

設置した登山者カウンターですが、正面で立ち止まったり、複数人が同時に通行したり、何度も行ったり来たりを繰り返してしまうとうまくカウントができない場合があります。カウンター前を通過される方は立ち止まらずに1人ずつ通過していただきますよう、ご協力お願いします。センサーで通過人数をカウントする機械であって、通過者の顔写真を撮ることはありませんので、ご心配なく!今年も雨にも負けず、風にも負けず、暑さにも寒さにも負けず、通過される皆さんをカウントしてもらいたいと思います。

広河原で見つけたお花を紹介します。

   

左は細かい花糸が放射状に開くカラマツソウ。右は菜の花に似た白い花を咲かせるヒロハコンロンソウ。どちらもちょこんと咲いている姿がとてもかわいらしいですよね。他にもアオマムシグサやニリンソウも咲いていました♪

△広河原から見た北岳のようす(6/13撮影)

★お知らせ

今週末、6月22日(土)に広河原インフォメーションセンターにて「2019 南アルプス開山祭」が行われます。

日 時:令和元年6月22日(土)午前10時から

場 所:広河原インフォメーションセンター

※雨天決行(南アルプス林道が通行止めの場合は南アルプス芦安山岳館にて行われます。)

地元・芦安中学校生徒による合唱や夜叉神太鼓の演奏、百年前の衣装を身にまとった山案内人による「蔓払い」の儀式が行われます。ぜひ、開山祭でお待ちしております!

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2019年06月11日南アルプスユネスコエコパーク、5周年!!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

みなさんは「ユネスコエコパーク」をご存じでしょうか。

ユネスコは国際連合教育科学文化機構の頭文字からとった名前で、ユネスコは1976年に「生物圏保存地域(通称:BR、ユネスコエコパークと呼ぶのは日本だけ!)」の指定をはじめました。ユネスコエコパークの目的は「生態系の保全と持続可能な利活用の調和」であり、「保護・保全だけでなく自然と人間社会の共生」に重点が置かれています。現在、ユネスコエコパークの登録件数は122カ国686件(2018年7月現在)で、日本での登録数は9件です。

南アルプスユネスコエコパークは山梨県(北杜市、韮崎市、南アルプス市、早川町)、長野県(伊那市、富士見町、大鹿村、飯田市)、静岡県(静岡市、川根本町)の3県にまたがっています。2014年6月に制定され、今年で5年目を迎えました!南アルプスユネスコエコパークは日本国内で登録されているユネスコエコパークの中でも最大面積で、指定されている地域に12万人もの人が住んでいます。

南アルプスが抱える多様な問題を解決するために、構成市町村及び関係機関で8つのワーキンググループ(WG)を設立しています。主な取り組みを紹介したいと思います。

■ライチョウ保護WG

静岡市が中心となって、平成28年度から昨年度までライチョウサポーター制度を設けました。ライチョウサポーターの養成講座の開催、ライチョウサポーターの認定や認定されたサポーターを対象に、フォローアップ研修を行いました。認定されたサポーターは南アルプスに登った際に目撃したライチョウ発見情報を事務局に報告し、集まった情報を元に生息状況の把握などに活用しています。現在は954名の方がライチョウサポーターに任命され、発見情報は136件にものぼります。(昨年度、養成講座(山梨県会場)についてはコチラ!!)

■登山道誘導標識WG

伊那市が中心となって行っています。南アルプス登山道カラーをオレンジとし、南アルプスユネスコエコパーク地域の登山道を対象とし、統一を進めています。

  

△北岳・池山尾根分岐標識            △北沢峠標識

南アルプスへの登山経験がある方は見たことがあるかもしれません。南アルプスのカラーはオレンジ!と覚えていただけるような標識ですね!

■看板表示WG

北杜市が中心となって行っています。登山道誘導標識だけでなく、南アルプスユネスコエコパーク内の公共標識もオレンジになっています。車道や遊歩道散策などで目にしたことがある方も多いと思います。あちこちにあるので、ぜひ、探してみてください!

このように各関係者が主体的に課題の進捗状況などを把握し、適切な見直しを行いながら取り組んでいます。WGの他にもユネスコスクールへの登録や櫛形山や甘利山などのモニタリング調査や自然保護活動など、地元の小中高学生や各団体がそれぞれに頑張っています。

6月23日(日)には静岡市にて「登録5周年記念イベント 南アルプスうまいものフェア」が開催されます。


イベントでは南アルプスユネスコエコパークに登録されている10市町村が集結し、地元ならではのグルメを楽しめるほか、ワークショップの開催や抽選会が行われます。イベントや各団体の取り組み、このアクティブ・レンジャー日記などを通じて、南アルプスユネスコエコパークを多くのみなさんに知っていただければ幸いです。静岡市にお住まいの方、お出かけ予定の方!ぜひ、足を運んでみてください!!

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2019年06月04日一足早く広河原へ

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

5月下旬に一足早く、広河原の巡視へ行ってきました。今シーズン初の広河原なので、私自身、どんな景色が見られるのかわくわくでした!!この日はとても天気が良く、芦安では30度近くまで気温が上がっていたようですが、広河原は20度!涼しくて、芦安に戻るのが嫌に思ってしまうほど居心地が良かったです!

広河原からみた北岳です。白い筋は大樺沢の左俣ルートと呼ばれる主要ルートの1つです。まだまだしっかりと雪がついていますね!開山後もこのあたりでは残雪を楽しむことができます。あまり雪がなく、黒っぽい斜面は北岳山頂へ続く、高さ約600mの「バットレス」と呼ばれている岩登りの対象の大岩壁です。左俣ルートを歩いているとクライマーが登っているときもあります!開山後、左俣ルートでの登頂を目指す方は、12本アイゼンとピッケル等の冬山装備が必要です!

広河原の標高は約1500m。夏期は北岳などの標高が高い山に登らずとも、さまざまな種類のお花を楽しむことができます。北岳の登山道へつながるつり橋を渡った先でいくつかのお花が咲いていたので、紹介します♪

  

左はオオカメノキ。容姿がアジサイに見えませんか?葉が大きく亀の甲羅によく似ており、夏には赤い果実をつけます。虫が好んで葉を食べることから「ムシカリ」とも呼ばれています。右はニリンソウ。この時期を代表する植物というイメージがあります。広河原山荘周辺や北沢峠に続く林道の脇に群落を作っていました。今年は春先に雪が降って寒かったせいか、まだつぼみのニリンソウもありました。

広河原から奈良田(早川町方面)に抜ける橋の上から野呂川の上流部を撮影しました。奥に見える山は栗沢山です。頂上付近がほんの少しだけ白くなっていますね。(栗沢山についてはコチラ)川を流れる水の音、鮮やかな新緑に心が癒やされました♪

今月末には山梨県側の交通機関の運行が始まり、このあたりも多くの登山者で賑やかになることでしょう!

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2019年05月31日新緑鮮やかな夜叉神峠へ!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先日、夜叉神峠へ行ってきました。夜叉神峠は標高1,770m、夜叉神峠登山口から1時間ほどの場所にあり、南アルプス国立公園の中でも1年を通して登山口へのアクセスが楽にできる場所です。鳳凰三山に続く縦走路になっているほか、白峰三山の展望や季節の花を楽しむことができるトレッキングコースとして多くの方に親しまれています。

どんなお花に出会えるかな?とわくわくしながら歩いていると...登山道にちょこんと、綺麗な花が咲いていました!!

  

左は山地の草地に生えるシロバナノヘビイチゴです。写真は少し暗くなってしまっていますが、花びらは白く、ラズベリーのような実を付けます。右はツルキンバイです。花びらがハート型のようになっていて、中心部はかなり濃い黄色をしています。登山道沿いに群落を作ることもあります。これからの時期は、色鮮やかな新緑とともにさまざまな種類の植物を楽しむことができます。

ジグザグの登山道をしばらく進むと、「五本松」と呼ばれる大きな木があります。冬は落葉して物寂しげなようすがありましたが、春になって葉が輝いていました。

夜叉神峠までの道は昔、林業に使われており、芦安の村人が行き来する途中で炭を焼いていたそうです。五本松付近には、炭を焼くための炭釜跡が残されています。芦安や夜叉神峠にまつわる歴史や文化を探しながら登山をするのも楽しみ方の1つですね♪

夜叉神峠山頂に着くと、最高の絶景が待っていました!!!

右から北岳、間ノ岳、農鳥岳です。ここ数日、天候も良かったせいか、白峰三山の残雪が少なくなった気がします。といえども、まだ白さは残っていますね。間ノ岳の真ん中に白いくぼみがあるのがお分かりでしょうか。このくぼみは「カール(圏谷)」といいます。氷河によってえぐり取られたカールには遅くまで雪が残ります。間ノ岳にあるカールは「細沢カール」といい、カールを下に辿って見ていくと川が流れています。この川が細沢です。確かに、細いですね。カール地形は間ノ岳の他に南アルプスでは、仙丈ヶ岳や荒川三山などでみられます。

写真の通り、この日はとても天気が良く、多くの方が鳳凰三山方面へ向かわれていました。鳳凰三山から見る白峰三山は夜叉神峠から見る白峰三山とは角度が変わり、北岳を真正面に望むことができます。(鳳凰三山から見た白峰三山はコチラ!)夜叉神峠から薬師岳までは6時間ほどかかりますので、時間に余裕を持って登るようにしてくださいね。

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2019年05月28日芦安 大石山の神で安全祈願祭

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

芦安周辺では新緑が色鮮やかになっています。深い緑、少し薄い緑など、同じ緑でさまざまな色を楽しむことができますよ♪

5月26日に芦安の大石山の神にて、安全祈願祭が行われました。大石山の神には「大石の車地蔵」と「白根御池大龍王天女」が祀られています。どのような信仰があるのか、みなさんに紹介したいと思います。

■ 大石の車地蔵


毎日、峠超えをして働かなければならない芦安の人々の足腰が丈夫であることを願って、山で働く芦安村の村民が箱根の底倉から歓請した地蔵。この地蔵は足腰の強化はもちろんのこと、雨乞いの地蔵としてもしられています。

■ 白根御池大龍王天女


白根山は昔から信仰の山として、北岳山頂には大日如来が安置され、白根御池には大龍王天女(権現)が奉祀され、霊験あらたかであるとして信仰者の登山参詣が多かったそうです。しかし、その登山道が大変険しい道であったため、芦安村の熱心な信仰者が、白根御池の大龍王天女(権現)までの登山参詣祈念して、その分霊を奉持して帰り、大石山の神が乗ってきたという大石の上に大龍王天女(権現)の分霊を安置したといわれています。

参考:南アルプスの里山「芦安」 南アルプス市郷土研究部、南アルプス市生涯学習課

「大石の車地蔵」と「白根御池大龍王天女」は芦安の文化財としても知られています。

大石山の神は南アルプス市営芦安駐車場のそばにある、山の神ゲートの脇道を進んだところにあります。先には林道ができる前まで、夜叉神峠までのメインルートとして利用されていた旧道があります。現在は、多くの方がマイカーや交通機関を利用されているので、利用者は少なくなっていますが、地元の方によって整備が行われています。旧道のため、地図によっては記載がないものもありますので、利用する際は時間に余裕を持つようにしてくださいね!

あと少しで広河原までの交通機関の運行が始まります。広河原、北沢峠へのアクセス情報をお知らせします。

山梨県側【甲府駅-芦安駐車場-夜叉神峠登山口-広河原】【奈良田-広河原】【広河原-北沢峠】

通行期間:6月21日(金)から11月4日(月・祝)(期間・曜日により運行ダイヤが異なりますのでご注意ください) 

→ http://yamanashikotsu.co.jp/route_bus/route_sp_info/hirogawara/

長野県側【戸台-歌宿-北沢峠】

4月25日(木)から6月14日(金)までは戸台-歌宿までの運行となります。6月15日(土)から北沢峠までの運行が始まります。(期間・曜日により運行ダイヤが異なりますのでご注意ください) 

→ http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html

今年は開山してからもルートによっては残雪を楽しむことができそうです。開山が待ち遠しいですね!!

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