南アルプス国立公園 南アルプス
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2020年02月25日冬芽を観察してみよう!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
山や森の中を歩いているといろんな種類の樹木が生えていますよね。樹木の枝の先端を気にしたことはありますか?この時期は落葉し、枝の先が丸見え!今回は、枝の先にある¨冬芽¨に注目してみようと思います!
冬芽と新芽、どう違うんだろうと思って調べたところ、新芽は新しく生えてきた芽・・・そのままですね。冬芽は夏の終わりから秋にかけてできるもので、休眠・越冬して春に伸びて葉や花になる芽のことをいいます。「冬」という文字が入りますが、夏頃から見られることに驚きです!観察した冬芽を紹介したいと思います。
【アズキナシ】
アズキナシは葉の上に小さな白い花を咲かせます。葉の上に咲くので、残念ながらあまり目立ちません。冬芽は長卵形で赤っぽく先が尖っています。
【イタヤカエデ】
雨宿りできるくらいに葉が繁り、板でふいた屋根のように見えることからイタヤカエデと名付けられました。冬芽には毛がなく、褐色です。形は小さく豆のように見えます。
【カジカエデ】
カジノキに似ていることが由来になっています。卵のような形をしていて先が少し尖っています。下から包まれている感じもしますが、それと同時にごつごつ感もありますね。
【ブナ】
漢字で書くと「橅」。役に立たないことから、きへんの横に無という字がきています。なんとも失礼な!冬芽は細長く赤っぽいです。今回観察した冬芽の中で1番ユニークな形でした。
【リョウブ】
リョウブは毎年5月に開催されるやまぶき祭りの焼き印コースターの木材として使われています。断面がツヤツヤしていて個人的に大好きな樹木です。他の冬芽のように包まれている感じがなく、むき出し感満載です!
木によってこんなに形が違うことに驚きです。似ているように見えますが、よ~く観察してみると面白いですね!冬芽の他にも葉痕(ようこん)と呼ばれる、葉が落ちた後の模様もいろんな形があって面白そうです。
夜叉神峠の登山道には名称が書いているプレートがつけられている樹木があります。
そのため、樹木を学びながら歩くことができます。夜叉神峠は1年を通して登ることができるので、冬芽だけでなく新芽の観察や若葉も楽しむことができますよ♪身近すぎて観察する機会がなかなかないと思いますが、これを機にまったり冬芽観察をしてみてはいかがでしょうか?
2020年02月17日シカ!シカ!!シカ!!!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
先日の夜叉神峠巡視のときの出来事です。登山道入ってすぐの場所から積雪があり、「滑るかな~」と思いながら、足元に注意しながら登っていたそのときです。
「ピィィーー!!ピィ!」
上のほうで鳴き声がしました。よーく目を凝らしてみると・・・
・・・ニホンジカです。鳴き声が聞こえた方向には2頭のオスジカがいました。1頭は1本角なので1才、もう1頭は4つに分かれているので4才以上です。先輩後輩コンビで歩いていました。
周囲を見渡してみると・・・
子鹿がこちらを見ていました。子鹿の先にはお母さんと見られるメスとお姉さんらしき個体も見つけました。夜叉神峠登山口は標高約1,400m。登山道を入って5分くらいの場所で5頭のニホンジカに出会いました。
また5分ほど歩いた先の登山道で、もさもさ動く塊が。しずか~に歩いて近寄ってみると。
これまたニホンジカ。親子です。お母さんと子鹿と目が合い、「わっ!」と大きな声を出しましたが逃げることなく、『なんかあの人騒いでいるよ』くらいの顔をしてこちらを見ていました。人間を恐れていない証拠です。
この親子のシカを見ているとまた上の方から鳴き声が。
2頭のニホンジカが木の間からひょっこり。2頭ともメスです。ニホンジカは生まれた次の年から妊娠できる体になります。大きさからして今年度生まれたようには見えなかったので、もしかしたらお母さんになる予定の個体かもしれません。この2個体は大声を出したら少し逃げていたので、多少、人間への警戒心はあるようですが、どこかへ去ることなく木の間からずっとこちらのようすを伺っていました。
平日だったということもあり、登山者は少ない日というのが分かっているのでしょうか。こんなに多くの個体を夜叉神峠で見たのは初めてです。
登山道を歩き続けると人間の足跡以上にニホンジカの足跡が目立ちました。
矢印の方向に足跡がついています。今回の巡視では登山道の脇にこのような足跡がたくさん見られました。下山時には人間の足跡の上にニホンジカの足跡がついていて、人間との生活の境界線がまるでない、なんだか、気味が悪い気持ちになりました。
多数の足跡だけでなく、樹皮剥ぎや冬芽の食痕も見受けられました。
樹皮を剥がされた樹木はやがて朽ちます。樹木が朽ちることで根に元気がなくなって保水力が保てなくなり、大規模な土壌流出の恐れがあります。冬芽はニホンジカがついばむことのできる高さのものが全部食べられていました。冬を越えるために付けた芽が春先、開くことなく生命を終えてしまうのは非常に悲しいことです。
南アルプス山域での防鹿柵や捕獲の対策は環境省だけでなく、各県、各市町村で行っていますが、なかなか被害は減っていません。絶対的にニホンジカが悪いというわけではなく、彼らも生きるために必死です。ただ、自然界へのダメージはかなり大きいです。生態系のバランスを維持し、共に暮らしていくために、今後もニホンジカ対策に取り組んでいこうと思います。
2020年02月13日夜叉神峠へ巡視に行ってきました
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
2月上旬、冬晴れの合間を狙って夜叉神峠の巡視に行ってきました。夜叉神峠は鳳凰三山縦走路の通過点になっており、夏は高山植物を、冬は美しい白峰三山を楽しむことができる登山初心者の方にもオススメのトレッキングコースです。
山頂には雪がこんもり!!そして、白峰三山も綺麗に見ることができました。
普段、笹が広がっている場所には亀の甲羅のような雪がもりもりと積もっていて、なんだか可愛らしかったです。白峰三山の景色を撮るための個人的な定点があるのですが、雪で埋まっていて全くわからない状況でした。白くなった白峰三山は相変わらず美しくてうっとりしてしまいます。
多くの方がご存じかと思いますが、白峰三山は北岳、間ノ岳、農鳥岳の総称を指します。夜叉神峠から見た白峰三山をアップにしてみると・・・
【北岳】
荒々しく見える岩壁は北岳バットレスです。そして、手前に伸びている尾根は池山吊尾根です。登山道への入り口は広河原ではなく、奈良田のあるき沢になります。広河原からの登山道に比べて登山者数がぐっと少なくなるので、同じ北岳でも違った雰囲気で山歩きができます。
【間ノ岳】
日本で2番目に高い北岳に次ぎ、3番目に高い山がこの間ノ岳です。北岳と農鳥岳の間にある山なので間ノ岳という名前になっています。雪で真っ白になっているくぼみは細沢カールです。南アルプスのカールといえば多くの方が仙丈ヶ岳を思い浮かべると思いますが、この間ノ岳にもカールがあるんですよ♪
【農鳥岳】
写真を見ると2つ頂上があるように見えますよね。その理由は、農鳥岳と西農鳥岳に分かれているからです。農鳥岳が主峰とされていますが、高さだと実は西農鳥岳のほうが高いです。
農鳥岳の名は、この山の東面の谷に現れる雪形に由来していると言われています。6月中旬に、白鳥の姿が甲府盆地から望見され、これを見て農家さんは田植えを始めたそうです。今年こそは農鳥を下界から眺めたいです。
雪不足と言われていましたが、寒さや高山の積雪量がようやく冬らしくなってきましたね。
夜叉神峠登山口から山頂までの登山道の様子をお伝えします。
登山口を入ってすぐの場所から積雪があります。
この場所は日陰になっていることが多く、融雪が進まず夕方には凍ってしまい積雪と凍結の恐れがあります。また水路パイプ部分が滑りやすいので、下山の際はお気をつけください。
山頂までずっと積雪があります。標高を上げるにつれて積雪量は増えていきます。高谷山、西口登山道、夜叉神峠山頂の分岐点の比較写真です。
撮影している角度が少し違いますが、無積雪期と比べて、看板が見えなくなりそうなくらい積もっています!!多くの方が登っていてトレースはついているので、道迷いなどの心配はありません。重みのある雪だったので、この日はアイゼンの出番はなし。ですが、早朝や気温が低い日は凍結していることがあるので軽アイゼンは必ず携帯してください。雪山デビューしてみたい方、軽アイゼンを使った登山をしてみたい方、白く輝く白峰三山を見てみたい方。ぜひ、お越しください!
2020年02月03日自動撮影カメラに写った動物たち
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
南アルプス自然保護官事務所ではニホンジカから高山植物を守るための対策業務の中の1つに自動撮影カメラの設置を行っています。自動撮影カメラを設置することで、ニホンジカの生息状況や移動経路を把握ための参考にすることができます。撮影された写真を見ると、シカ、シカ、シカ・・・!3枚目の個体はカメラのすれすれを歩いていたのか、顔面ドアップです!
他にも親子シカや群れで下草を食べている様子などが何枚もありました。24時間体制で撮影を行っているので、生活のようすがよく分かります。
ニホンジカが大半を占めている中、他の動物も写っていました。みなさんにもご紹介したいと思います。
【イノシシ】
森林や農耕地に生息しています。体についたダニなどを泥を浴びて洗い落とす習性があり、泥浴びに使う場所のことを「ヌタ場」といいます。山歩きをされる方はぜひ、探してみてください。突然ですが、クイズです!馬肉を使った鍋を「桜鍋」、鹿肉を使った鍋を「もみじ鍋」、イノシシを使った鍋を「シシ鍋」または「○○○鍋」、なんでしょう?・・・正解は「ぼたん鍋」です。味噌や醤油ベースで食べます。さっぱりとした脂でとてもおいしいですよ♪
【ツキノワグマ】
日本には本州に生息する「ツキノワグマ」と北海道に生息する「ヒグマ」の2種類がいます。過去に環境省が行った調査によると、全国の54.8%のメッシュで捕獲や目撃等の生息分布情報が得られています。日本の国土のおよそ半分の面積にクマが生息していることになります。しかし、西日本では森林開発などが行われているせいで生息数が少なくなってきています。九州のクマは絶滅、四国では数十頭しか生息していません。地域によって個体数に大きな違いがあります。私はまだ山や森の中でクマに遭遇したことはありませんが、いざ、遭遇したら慌ててしまう気がします・・・
【ニホンカモシカ】
名前に¨シカ¨とついていますが、¨ウシ¨の仲間です。国の特別天然記念物です。ニホンジカと違ってオスとメスに角が生えており、里山から高山帯まで広域に生息しています。ニホンジカの個体数増加により、カモシカの個体数が減少したという報告もありますが、現在は戻りつつあるようです。カモシカは岩がゴツゴツしていて足場が悪い場所でも生活できます。私は足場があまり得意ではないので、岩場が得意なスキルを分けてほしいです。
【番外編】
・・・イヌです。よく見ると首輪をつけているので、猟犬でしょうか。まさかワンちゃんが写っているとは・・・。自動撮影カメラならでは動物ですね。
山や森を歩いていて野生の動物に遭遇できることは嬉しいですよね♪野生の動物に遭遇した時はエサを与える、挑発させるなどの行為はせず、なるべくそっとして遠くから見守るようにしてください。
2020年01月27日南アルプスライチョウサポーター、勉強会!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
みなさんは¨南アルプスライチョウサポーター制度¨をご存じですか?南アルプスユネスコエコパークを構成する3県10市町村が中心となり、平成28年度から実施している取組です。南アルプスやライチョウに関する講座を受講すると南アルプスライチョウサポーターに認定され、認定されたサポーターは南アルプス山域で目撃したライチョウ発見情報を事務局に報告し、集まった情報は生息状況の把握などに活用されます。現在、新規募集は行っていませんが、これまでに954名が南アルプスライチョウサポーターに認定されています。
1月25日にサポーター対象に勉強会が開催されました。
今回の勉強会では、東邦大学訪問研究員の小林さんと東京都恩賜上野動物園の高橋さんに講演いただきました。小林さんは北岳でケージ保護を行っていたこともあり、大変お世話になっています。小林さんからは急激に減少した白峰三山のライチョウが回復傾向になった大きな理由は、ケージ保護と捕食者対策の両立であり、白峰三山で行ったケージ保護や捕食者対策を平成30年11月に個体が確認された中央アルプスでも参考にし、定着させていきたいとのことでした。今後の取り組みによって中央アルプスでもライチョウが見られるかもしれません!高橋さんからは動物園でライチョウを飼育するまでのエピソードや飼育方法、また上野動物園での飼育のようすについてお話いただきました。貴重なお話を聞くことができ、とても充実した時間でした♪
会場は山梨県でしたが、静岡県や長野県から足を運んでいる方もいらっしゃいました。多くの方がライチョウに興味をお持ちで嬉しい気持ちになりました。
南アルプスライチョウサポーター制度では南アルプス山域でのライチョウ目撃情報の提供をお願いしていますが、南アルプスライチョウサポーターではない方からも情報提供を待っています!環境省『いきものログ:https://ikilog.biodic.go.jp/ 』の「ライチョウ目撃調査(環境省希少種保全推進室)」ページから受け付けています。投稿フォームに発見情報・写真データを入力してください。貴重な情報お待ちしています!
また、今回、講演いただいた東京都恩賜上野動物園ではライチョウの飼育のようすを一般公開しています。他にも富山市ファミリーパーク(富山県)、大町山岳博物館(長野県)、那須どうぶつ王国(栃木県)、いしかわ動物園(石川県)でも行っています。今後、ライチョウの飼育環境が整った動物園が増えると、見られる場所が増えるかもしれません・・!
ライチョウ公開展示について:http://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2019/post_68.html
中央アルプスでの取り組みや動物園での取り組みなど、今後もライチョウ保護から目が離せません!
2020年01月21日バードウォッチングを楽しもう!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
登山道を歩いていて動物の鳴き声が響き渡ることってありますよね。夏季は展葉しているのでどこにいるのか分からないことが多いですが、冬は多くの木々が落葉し、森の中の見通しが良くなり、動物を見つけるチャンスの時期になります!!鳥類は季節に応じて行動の習性が異なります。次のように分けられています。
●留鳥
1年中国内に生息する鳥。例えば、ヤマドリ、カルガモ、スズメなどです。留鳥の中でも国内で季節移動する鳥を「漂鳥」と分けることもあります。
●渡り鳥
渡り鳥の中にも大きく3つに分けられています。
冬鳥:冬季に国内に渡来する種。例えば、ミヤマガラス、カシラダカ、ツグミなど。
夏鳥:夏季に国内に渡来する種。例えば、ササゴイ、ヒクイナなど。
旅鳥:春季および秋季に国内を通過する種。シギ類やチドリ類に多く見られます。
(北海道および沖縄地方では違う場合もあります)
【カシラダカ】
緊張すると頭が三角に高くなることからこの名前がつきました。普段はユーラシア大陸北部の森林帯に生息しており、冬になると日本にやってきます。中部で越冬し、東北や北海道の地域ではユーラシア大陸へ戻るときに見ることができるようです。一見、スズメのようにも見えますが、スズメに比べて頬部分が白くなく、顔立ちがしっかりしていますね。個人的にイケメンな鳥だと思っています。
【エナガ】
尾が長いことからエナガという名前です。見たまんまですね。エナガはコケを集めて木の枝に球形の巣を作ります。目のラインが黒く、頭は頭頂部分だけきれいに剃った武士のように見えるのが特徴で、北海道~九州の平地、低山の林に生息しています。この1羽の周りに複数羽いて、日が当たる枝に止まって、みんなで日向ぼっこしているようでした。
【マヒワ】
オスは頭が黒色で顔から腹にかけて黄色メスは緑灰色、オスは、メスは白っぽい色をしています。普段は本州中部以北に生息しています。この周辺へは冬鳥として渡来し、カバノキなどの種子を食べています。野生の鳥でこのような色をした鳥をみたことがなかったので、初めてマヒワを見たときは衝撃を受けました。
【シジュウカラ・ヤマガラ】
白黒の鳥がシジュウカラ(左)。喉・頭の周囲は黒く、白い頬をしています。胸から腹にかけて通る黒く、太い、¨黒いネクタイ¨が特徴的です。冬場は天敵から身を守るために他の「カラ類」と集団行動することが多いです。屋久島以北の山地の針葉樹林に生息し、留鳥および漂鳥です。
白黒にオレンジ色が混ざっている鳥がヤマガラ(右)。堅い木の実を両足で挟み、くちばしで割って食べるという器用な技を身に付けています。日本では小笠原諸島を除き、ほぼ全域で生息しています。
この2羽は水場にいるところを見つけました。ただ、シジュウカラよりもヤマガラのほうが権力が強い(?)らしく、ヤマガラが独り占め。シジュウカラは控えめに堪能していました。
水浴びをしているとき、木を叩いてえさを探しているとき。鳥たちのいろんな生活を覗くことができます。また、時間や標高によって見ることができる種類が異なるので、どの種類がお出迎えしてくれるかは行ってみてのお楽しみです。バードウォッチングは山に登らずとも、林道や里山でもできるので、暖かい格好をして楽しんでみてください♪
2020年01月16日芦安地域でアクティブ・レンジャー写真展、初開催!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
夏に野呂川広河原インフォメーションセンターでアクティブ・レンジャー写真展を開催したところ、おとなりさんの芦安地域おこし協力隊の方と集落支援員の方が「ぜひ、芦安地域でも開催してほしい!」とお声をいただき、今回、芦安地域で開催させていただけることになりました。芦安地域での開催は今回が初めてです!!!
△集落支援員の方が似顔絵付きの手書きチラシを作ってくださいました♪
ところ:南アルプス市芦安窓口サービスセンター
(山梨県南アルプス市芦安芦倉518)
と き:1月16日(木)~1月31日(金)9:00~17:00 土・日休館
※最終日31日は15時までの開催
詳 細:http://kanto.env.go.jp/to_2020/2019_14.html
アクティブ・レンジャー写真展では、関東地方環境事務所管内で活動するアクティブ・レンジャーが国立公園や国指定鳥獣保護区で日々の業務で現地に足を運ぶなかで見つけた、イチオシの瞬間を展示しています。野呂川広河原インフォメーションセンターで開催されたときは南アルプスの写真は4枚でしたが、今回は10枚に増えています!アクティブ・レンジャーになって3年目。この3年間で南アルプス山域を駆け回って撮影した自信作を展示しています。また、南アルプス国立公園が抱えるニホンジカ問題についての展示を行っています。
また、地域おこし協力隊の方がライチョウ、キタダケソウの紹介や国立公園概要図を用いた、写真の撮影場所情報や南アルプス国立公園の特徴を小さくなったわたしの写真付き解説ポスターを展示しています。
写真をご覧になって行ってみたいと思う場所があれば撮影場所詳細情報がまとまっている冊子を参考にしていただくほか、各国立公園のパンフレットを配布しておりますので、ぜひお手にとってみてください。
配布しているパンフレットの中に『冒険手帳』というオレンジ色の冊子があります。南アルプス国立公園の豊かな自然や特徴をイラストでわかりやすく説明している冊子です。
冊子内には男の子と女の子が登場しているのですが、実はこの女の子のモデル!わたしになっています!パンフレットのモデルになることは人生でなかなかないので、とても嬉しいです。家族で見てもよし、夏の自由研究の題材にしてもよし!水に濡れても破けない紙を使っているので、野外で使っても安心です。多くの方に見ていただきたいです。
会場内には地域おこし協力隊の方と集落支援員の方が作成したスタンプが設置してあります。芦安地域の言い伝えや郷土料理などを楽しみながらわかってもらえればいいな、とい思いから作成に至ったそうです。
どのスタンプがどのエピソードなのか、クイズ感覚で楽しむことができます。どのスタンプもとても可愛いです。自分のお気に入りスタンプを見つけるのもいいですね。
野呂川広河原インフォメーションセンターでは開催していたときに行けなかった方、ちょっと芦安に遊びにきたよ!という方、ぜひお越しください。質問やアクティブ・レンジャーやレンジャーとお話してみたいという方は2階事務所まで!たくさんの方のお越しをお待ちしています♪
2020年01月06日南アルプスの山から初日の出
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
明けましておめでとうございます。南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
本年もアクティブ・レンジャー日記、よろしくお願いいたします。
さて、みなさんは年末年始どのように過ごされましたでしょうか?今年は晴天が続き、お出かけ日和でしたね。わたしは年末年始に鳳凰三山の薬師岳で初日の出を拝んできました。1日目は夜叉神峠登山口では晴天かつ無風でしたが、夜叉神峠に着くと風が強く吹いており、薬師岳小屋手前の砂払岳では雪が降り始め、相変わらず風も強く吹いていました。2日目の朝も風が止まず強く吹いていたため、三山縦走は諦め、薬師岳直下で初日の出を見ました。今回の景色をみなさんにお伝えしたいと思います。
6:30、薬師岳小屋を出発し薬師岳直下にて初日の出を待ちます。薬師岳小屋から薬師岳までは約10分。夜叉神峠登山口からの距離はありますが、1日目で薬師岳小屋まで登れば、お手軽に日の出を拝むことができます。
朝日が昇る前の白峰三山です。グラデーションがとても美しいです。ここ数年、鳳凰三山で初日の出を拝み、白峰三山を見ていますが、雪を被った白峰三山は雄大でいつ見ても圧倒されます。
標高が高い部分は雪で覆われているのが分かります。間ノ岳の細沢カールや北岳の左俣も真っ白。よく見ると北岳山荘や北岳肩ノ小屋、白根御池小屋が見えます。目をこらして探してみてください。
白峰三山から少し右へ視線をずらすと見えてくるのが仙丈ヶ岳です。こちらもグラデーションが美しいです。
仙丈ヶ岳といえばカール。カールは別名「圏谷(けんこく)」といい、氷河によって山頂付近が削られてできたもので、スプーンで削ったように丸みを帯びたゆるやかな谷地形が特徴的です。ここから見えるのは大仙丈カールと小仙丈カールでしょうか。どちらも真っ白になっていて綺麗です。朝日が昇る前は見るたび色が徐々に変わっていき、グラデーションの変化がとても美しく見えました。
朝日が昇り始めました。手前に見える山は砂払岳です。鳳凰三山と同様、山全体が花崗岩で覆われているため、夏場は砂浜のようになっています。中心に見えるのはご存じ、富士山です。
初日の出が昇ると、他の登山者からは「おぉー!」と歓声が挙がっていました。今年も無事、初日の出を山で拝むことができてよかったです。今年も健康で楽しく登山できるといいなと思っています。
■登山道状況(年末年始時)
夜叉神峠登山口を登り始めてすぐから積雪があります。夜叉神峠から火事場跡間で凍結箇所がありました。日が入りづらい場所で凍結していることが分かりづらい場所もありますので、通過される際はお気を付けください。
上の写真は1月1日の写真です。苺平や南御室小屋付近ではさらに積雪があります。年末年始でたくさんの登山者が通過したため、歩きやすかったですが、今後積雪が増えた場合はノートレースかつラッセルを強いられる可能性があります。アイゼンの携帯はもちろん、場合によってはワカンが必要になってくるかと思います。登山計画書をご提出の上、ご自身の体力に見合った冬山登山をするようにしてください。
2019年12月23日南アルプスの山々と富士山
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
前回の日記で「いろいろな場所から見る南アルプス」を取り上げました。どれがどの山か分かりづらいとは思いますが、富士山とあわせて見てみると親近感(?)が湧くかも!?ということで、今回は南アルプスの山々と富士山シリーズをお届けしたいと思います。
1.丸山・千枚岳と富士山
荒川三山の1つ、悪沢岳(東岳)を下ったところから撮影しました。丸山は名前の通り、山頂部がだっだっぴろく丸いです。登山中にこの丸山にて一面ガスが広がって右も左も分からない、という状況を想像したら少し怖いです。さて、小話はさておき。この場所からは丸山、千枚岳と富士山の間に山があり、奥行きが感じられます。秋に撮影したので、丸山周辺のウラシマツツジが赤くなっていて綺麗ですね。
2.北岳山頂部と富士山
北岳肩ノ小屋から撮影しました。北岳登山で多くの方が宿泊されたことがあるのではないでしょうか。北岳肩ノ小屋からは甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳、鳳凰三山が見られる上に、八ヶ岳や奥多摩の山々も一望できます。撮影時期が6月で残雪期だったので、小屋周辺にも雪が残っていました。北部から見る富士山は南部から見るよりも小さく見えますね。雲海の向こうに富士山、綺麗です。
3.蝙蝠岳と富士山
この写真は塩見岳東峰から撮影しました。蝙蝠岳と聞いて¨え、どこ!?¨と思う方もいらっしゃると思います。蝙蝠岳は南アルプス国立公園に含まれていない上に、○○名山にも選ばれていません。多くの方が塩見岳から仙丈ヶ岳へ続く「仙塩尾根」に行きがちですが、仙塩尾根には入らず、蝙蝠岳方面へ向うのもオススメのルートです。登山者があまりいないので、静かな山歩きを楽しめます。手前に富士山を邪魔する山もなく、真正面に見ることができて綺麗ですよ♪蝙蝠岳までは二軒小屋(シーズン中も営業休止中)もしくは三伏峠から塩見岳経由ルートしかなく、道のりが長いので体力がある方にオススメです。
4.薬師岳と富士山
わたしが南アルプス山域で1番大好きで、多くの方に見て欲しい!と思う○○○と富士山シリーズです。鳳凰三山の1つ、観音岳から撮影しています。この場所からは富士山を目の前にして薬師岳を望むことができる最高の場所です。今年度のアクティブ・レンジャー写真展にも出展した作品です。この場所から何枚も撮影していますが、こんなに躍動感溢れる写真を撮影できたのは初めてです。登るたびに違う景色を見せてくれる自然に感謝。自然との出会いはいつも一期一会です。
みなさんの中にも南アルプスのここから見る景色が好き!という場所があるかと思います。いろいろなルートを歩いて自分のお気に入りの場所を探しながら歩いてみるのもいいですね。
昨日未明から各地で降雪がありましたね。事務所がある芦安でも7センチほどの積雪がありました。午後になり、だいぶ雪は溶けました。明日、路面が凍りそうで怖いです。
標高が高い山々ではかなり積雪があることでしょう。足回りの装備をしっかりしなければならないですね。
早いもので、もうすぐ2019年が終わろうとしています。みなさんにとって2019年はどんな1年でしたか?私にとっての2019年は悪天候が続き、すっきり晴れている山行が少なく残念でしたが、その中でも美しい景色や高山植物に出逢うことができましたし、大きなケガなく登山できたのは本当によかったです。年末年始に雪山登山を計画されている方も多いかと思います。万全の装備で安全に雪山登山を楽しみましょう♪みなさんにとってステキな年末年始になりますように!!
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
1月末にお届けした『バードウォッチングを楽しもう!』の第2弾です!雪が地面を覆うと鳥たちは陸でのエサ探しをやめ、木の幹の中にいる虫や木の実を食べるようになるので、木の枝や幹に止まっていることが多くなり、見つけやすくなります。見つけることができた鳥たちをみなさんにも紹介したいと思います。
【オオアカゲラ(♀)】
登山道を歩いていると「トントン」と木を叩く音が聞こえました。でも、姿が全く見えない・・・方向を変えながら探してみると。いました、オオアカゲラのメスです。オオアカゲラはキツツキ科。キツツキと言えば、頭が赤いイメージが強いと思います。(私だけでしょうか?)赤い頭をしているのはオスでメスは赤くありません。身体の模様が分からないときは頭の色に注目です。
【エナガ】
この2羽は同じエナガ。でも、見た目がすこ~し違うように見えませんか?違うポイントは体の色です。左は真っ白ですが、右は頬のあたりがオレンジ色っぽくなり、全体的にグレーっぽく見えます。真っ白な個体は若鳥で、右は少し年上の個体です。オスとメスで体の色が違うことも多いですが、年齢によっても色が違うことがあります。鳥は奥が深いです・・・
【キバシリ】
さて、どこにいるでしょう。木にしか見えない!という方はよく目を凝らしてください。この子はキバシリです。くちばしが細く下に曲がっており、尾が細いです。キバシリはオスとメスどちらも同じ色をしており、冬期はカラ類やエナガなどと一緒に行動していることが多いです。キバシリの特徴は幹に縦に止まり、らせん上に登りながらエサを探します。まるで忍者!地元の方に¨キバシリは木を縦横無尽に走り回る¨と聞いていましたが、撮影した時も走り回っていて、見つけたときはすごく嬉しかったです!
季節や時間帯や標高によっても見ることができる種類が変わってきます。ただ、時間帯や標高の条件が揃っているにもかかわらず、見ることができないということもあります。自然の景色との出会いと同様、動物たちとの出会いも一期一会ですね。冬鳥を見ることができる時期もそう長くないので、時間を見つけてバードウォッチングを楽しみたいと思います。
最近は暖かい日もあれば肌寒い日があったりで、寒暖差がありますね。急に寒くなってもいいように、防寒着はしっかりお持ちの上、登山やバードウォッチングをお楽しみください♪