ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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南アルプス国立公園

223件の記事があります。

2021年05月27日南アルプスを上から見ると・・・?④

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

長らくお休みしておりました、「南アルプスを上から見ると・・・?」シリーズ、前回の聖岳に続き、今回は赤石岳です。


赤石岳は長野県、静岡県にまたがり、国内で最高地点の一等三角点(*)が設置されている山です。日本で1番高い山は富士山ですが、1番高い場所にある一等三角点は南アルプスの赤石岳ということに誇らしさを感じます。標高は3,121メートル、日本で7番目に高い山です。山の南側にある沢から赤色のチャート(堆積物)があることから、「赤石沢」と呼ばれ、山の由来の1つになっています。

(*)一等三角点について

https://www.gsi.go.jp/MUSEUM/TOKUBE/KIKA5-smain.htm

赤石岳へ登る主なルートの起点は椹島(静岡県静岡市)です。椹島の標高が約1,100メートルに対して、赤石岳の標高は約3,100メートル。なんと、2,000メートルも標高差があるのです!2,000メートルの標高差と聞いてクラっとしてしまうそうですが、この2,000メートルの長い長いルートでは、植生の変化が一目瞭然!

登山口である椹島周辺ではブナやヒノキ、標高をあげるとツガ・モミ、ダケカンバ・シラビソ、そして、高山植物群落やハイマツ群落に変わっていきます。植生の変化は長いルートや天候が悪いときでも楽しむことができます♪

わたしが赤石岳の魅力としてお伝えしたいことは、『どの角度から見てもステキ!』ということです。

◇ 荒川岳・中岳下から

こちらから見ると、V字谷がよく見えます。南アルプスは降雨が多く、地形が流水によって削られやすく、その結果出来る特徴的な地形が、このV字谷です。雑誌などでは花の時期が取り上げられていますが、紅葉の時期は山そのものがより大きく見えるので、個人的に大好きな構図です。

◇ 百間平から

百間平は聖岳から赤石岳へ向かう途中の真っ平らで歩きやすい場所です。後ろを向くと聖岳、前を見ると赤石岳、名峰に囲まれながら歩くことができます。中岳下から見る赤石岳と違って、なだらかでなんだか、やさしさを感じるような・・。写真は夜明け前に撮影し、逆光になっていて斜面の様子がはっきり見えないので、よりいっそう感じます。ただ、実際のところは大きな岩や石がゴロゴロしている斜面を歩き、その後、ザレ場を歩いて、山頂に辿り着きます。見た目に反したギャップがまたいいです!

赤石岳を堪能するおすすめルートは赤石岳+荒川岳、赤石岳+聖岳の縦走コースです。時間と相応の体力を要するため、なかなかハードなコースですが、その先で待っている感動はきっと素晴らしいものだと思います。昨年度に引き続き、南アルプス南部の山小屋は休業しているため、食事提供等が無く、ハードルが上がっています。計画をされる方はエスケープルートなども考えるようにしてください。

次回は荒川岳について、お伝えします。

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2021年05月19日南アルプス国立公園写真展@長野県伊那市

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

◆ ◇ 長野県伊那市で南アルプス国立公園写真展始まりました ◇ ◆

5月11日(火)より、長野県伊那市の南アルプス長谷ビジターセンターにて南アルプス国立公園写真展を開催しています。

場所:南アルプス長谷ビジターセンター 長野県伊那市長谷非持1400

期間:2021年5月11日(火)~5月30日(日)

時間:午前10時 ~ 午後3時まで

南アルプス長谷ビジターセンターは道の駅南アルプスむらに隣接している施設です。

南アルプス国立公園の長野県側は南アルプスユネスコエコパークのほか、南アルプスジオパークに認定されているエリアが多く、施設内にも岩石や地質などの展示や解説があります。パンフレットも多く配布されているので、地質や地形に興味がある方におすすめのスポットです♪

わたしの勝手なイメージですが、長野県伊那市といえば、『仙丈ヶ岳』!高遠の桜と白く輝く仙丈ヶ岳が印象的です。写真展では、仙丈ヶ岳を代表するカール地形(圏谷)や塩見岳に続く「仙塩尾根」などを展示しています。

今回、アンケートにご協力いただいた方へのノベルティは南アルプス国立公園オリジナルコースターです。

ライチョウ、キタダケソウ、ヤマトイワナ、南アルプス国立公園シンボルマークの印が押されています。数に限りがありますので、立ち寄られた際はぜひアンケートにご協力いただき、コースターをゲットしてください!

4月25日より、南アルプス林道(戸台-歌宿-北沢峠)の運行が始まっています。例年、6月中旬より北沢峠まで全開通しますが、昨年の大雨により南アルプス林道が被災したため、歌宿から北沢峠の間は南アルプス林道バスの運行ができない状況となっています。計画を立てている方はご一読ください。

http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html

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2021年04月30日ぽかぽか陽気の広河原へ

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

4月22日に広河原へ巡視に行ってきました。昨年は広河原山荘のテント場が雪で覆われ、山々も白く¨まだまだ雪がたくさんある!!¨とはしゃぎましたが、今年は・・・

・・雪が少ない。写っている山は栗沢山とアサヨ峰方面です。同じ時期なのに、沢筋や稜線の雪の量が全く違います。今年の写真には広河原山荘のテント場のようすが含まれていませんが、ご察知の通り、全く雪はありませんでした。

広河原で私が楽しみにしているのが、北岳を眺望することです。まだ展葉していないため、もの寂しさを感じますが、もう少しすると木々が青々し始め、鮮やかな新緑が見られます♪

積雪が少ないといえど、日本第2位の高峰の北岳はまだまだ白いですね。左側にある一面真っ白のところは北岳のメジャールートになっている大樺沢です。北岳の中でも1番最後まで積雪が残る場所で、開山後しばらくは雪渓を楽しむことができます。

昨年はコロナウイルスの影響により、広河原までの交通機関が運休、山小屋が休業。北岳に関しては登山道が通行禁止になり、登ることすらできませんでしたが、今年は感染防止対策を行いながら、開山する予定です。また、南アルプス市営の山小屋である「北岳山荘」、「白根御池小屋」、「広河原山荘」、「長衛小屋」が完全予約制となり、ウェブ上で宿泊の予約システムを導入しました。上記4箇所の山小屋の利用を計画されている方はぜひご一読ください。

■「南アルプス市営の山小屋」完全予約制の導入について

https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/docs/9789.html

広河原巡視中、ステキな景色を見ることができました。

なんのへんてつもないただの飛行機雲、と言われるとそうなのですが・・・自然や山は全く同じ景色はないと思っています。昨年の新緑や紅葉、この前の虹、昨日の夕焼け、今日の空。自然との出会いはまさに一期一会です。新型コロナウイルスによる影響は落ち着つくようすがまだ見えず、これまでのように強く¨ぜひ来てください!¨とお伝えしづらいことが残念です。みなさんが気兼ねなく南アルプスに来られる日が早く来ますように!

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2021年04月12日南アルプス国立公園写真展始まりました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。今年度もどうぞ、よろしくお願いいたします。

事務所がある芦安は葉桜に変わりはじめ、ヤマブキの黄色が目立つようになりました。

ヤマブキは花そのものがとても大きいため、よく目立ちます。山々の樹木も徐々に葉を付け始めました。もう少しで、新緑鮮やかな芦安になりそうです♪

南アルプス自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーになって5年目。今年度、頑張りたいことの1つが普及啓発です。

南アルプス国立公園は日本高峰第2位・北岳、第3位・間ノ岳をはじめとする、3,000メートルの高峰を10座以上有する山岳公園です。国立公園として指定されている部分は標高の高いところであり、体力と日数を要するほか、登山口までも気軽に行ける場所が少ないです。当然、国立公園の利用者は登山者。登山に親しみがない方にはほぼ無縁の国立公園なのです。

南アルプス国立公園には南アルプス山域でしか見られない希少な動植物や、氷河地形など、南アルプス国立公園ならではの魅力がたくさんあります。また、その素晴らしい自然を後世に残すため、環境省が関係者と協力して自然保護活動を行っています。

登山をされない方や南アルプスの山々へ登ることが難しい方などに南アルプス国立公園の魅力や自然の素晴らしさや自然保護の活動を伝えるにはどのようにすればいいだろうか、考えたところ、¨写真展¨という形で取り組むことにしました。

毎年行っている「アクティブ・レンジャー写真展」と異なり、南アルプス国立公園に特化し

た内容になっていて、南アルプス国立公園を構成する10市町村やその周辺施設を1年間かけて巡回します。

記念すべき第1回目は山梨県南アルプス市の南アルプス市櫛形生涯学習センターです!

南アルプス市櫛形生涯学習センターホームページ

https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/sisetsu/shisetsu/syogaigakusyu-kushigata/



アクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)が日々の業務で撮影した写真の展示や、ニホンジカによる食害問題とその対策のほか、南アルプス自然保護官で働く職員の紹介やわたしの南アルプス国立公園おすすめスポットの紹介もあります。

南アルプス国立公園から南アルプスユネスコエコパークまで、さまざまな種類のパンフレットを設置しておりますので、気になるものがありましたらお手にとってみてください。また、アンケートも実施しており、ご協力いただいた方にはオリジナルノベルティをプレゼントしています。数に限りがありますが、多くの方にご協力いただけますと幸いです。

4月から9月の開催会場および時間のスケジュールはこちらです。

4~9月「南アルプス国立公園写真展」開催スケジュール.pdf

各会場で展示される写真や配布ノベルティを変えるなど、毎回お楽しみいただけるように工夫していこうと思っています。お近くへ来られた際には、ぜひお立ち寄りください!

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2021年03月25日センサーカメラメンテナンス@夜叉神峠西口登山道

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

3月中旬に夜叉神峠のセンサーカメラのメンテナンスを行いました。12月に設置した5基のうち、2月に3基、今回は残り2基のメンテナンスを行いました。

設置の様子、前回メンテナンスの様子はこちら! 12月設置2月メンテ①

2月に行った夜叉神峠登山口からのメンテナンスでは積雪も多く、シカの痕跡はあまり見られませんでしたが、西口登山道は日当たりがよく積雪も少ないせいか、あちこちにフンや足跡がありました。ひどいところではヒトが歩く登山道上にも!シカ道の利用頻度も多いせいか、乾いた地面がひづめでえぐられています。

足跡やフンだけでなく、樹皮剥ぎも目立ちました。


標高はさほど変わりませんが、積雪がある・ないでこんなにも状況が変わってしまうということに愕然としました。痕跡が見られただけでなく、2~3回ほど警戒音も聞こえ、私たちの近くにいたようでした。季節問わず入山者が少ない西口登山道は、冬の時期もニホンジカの楽園状態でした。

2基の撮影枚数の合計は506枚。一部、日光による誤作動も見られましたが、撮影された写真を確認すると、今回もメスジカが多く撮影され、右の写真では、ばっちり採食している様子が撮影されました。パッと見た感じでは緑色の植物は見当たらなかったので、もしかすると落ち葉を食べていたのかもしれません。

前回設置したカメラにはニホンジカ以外の動物は撮影されていませんでしたが、今回はイノシシが撮影されていました!

これまでに夜叉神峠の巡視は何度もしていますが、イノシシそのものや、ヌタ場(体表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすために泥を浴びる場所のこと)や掘り起こし跡を見たことがなかったので、このあたりに生息していることを知り驚きました。

メンテナンス日の前日、事務所がある芦安から見る夜叉神峠方面はうっすら雪化粧。¨寒いかな~¨と思い、暖かい格好をしましたが、とても天候が良く、暑くて汗ばんでしまう事態に。

終始、白峰三山を見ながらの作業となりました。青空に白い雪が映えますね。街では桜が咲く頃ですね。南アルプスの春はまだまだ先のようです・・・♪

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2021年03月04日夜叉神峠でバードウォッチング!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先日、夜叉神峠へ巡視に行ったときのことです。登山口に着くと、野鳥の鳴き声があちこちから。ふと、地面を見ると・・・

マヒワです。普段は本州中部以北に生息しており、この周辺へは冬鳥として渡来し、カバノキなどの種子を食べています。ピントがずれているのが残念ですが、マヒワを初めて見たとき、「こんな黄色い鳥がいるのか!」と驚いたこと、今でも忘れられません。

登山道を進むと、樹木を叩く音が聞こえ始めました。力強く叩く音、それよりも少し弱く叩く音。

カメラの先にいたのは、コゲラです。焦げ茶と白のまだら模様で、キツツキの仲間です。アカゲラなどに比べて小ぶりですが、尾で体を支えて木の幹に止まり、丈夫なくちばしでつつき、中の虫を食べます。この写真はちょうど木をつついたときです。コゲラは1年を通して日本に生息・繁殖する留鳥です。最近は山林だけでなく、街中でも見かけることが多くなったようです。

夜叉神峠に到着し、峠直下に設置しているセンサーカメラのメンテナンス中、ひっきりなしに「チリチリチリ」と鳴く声。声のするほうへ歩いて行くと。


鳴き声の主はキレンジャクでした。冬鳥として渡来し、木の実を食べています。キレンジャクと似ている野鳥として、「ヒレンジャク」がいますが、見分け方は尾の色です。キレンジャクの尾が黄色に対して、ヒレンジャクの尾は先端が赤色です。キレンジャク、ヒレンジャクは互いの群れに混じり合っていることがあるようです。このキレンジャクはシャキッとしている横顔がとてもハンサムでした。

近づいても逃げるそぶりを見せなかったため、モデルさんになってもらいました。

毛繕いする姿や舌が丸見えの姿などいろいろな姿を見せてくれました。

鳥類は季節によって行動が異なるため、この時期にしか見ることができない種類も多くいます。夏季は展葉しているので鳴き声が聞こえてもどこにいるのか分からないことが多いですが、冬季は多くの木々が落葉し、森の中の見通しが良くなり、動物を見つけるチャンスです!!時間や標高によって見ることができる種類が異なるので、どの子がお出迎えしてくれるかは行ってみてのお楽しみです。バードウォッチングは山に登らずとも、林道や里山でもできるので、暖かい格好をして楽しんでみてください♪

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2021年02月26日夜叉神峠へセンサーカメラのメンテナンスに行ってきました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

2月中旬、12月に設置した夜叉神峠のセンサーカメラのメンテナンスを行いました。(設置の様子はこちら!)

今回は5基中3基のセンサーカメラで12月22日の設置から約2ヶ月の間で撮影できたニホンジカたちを紹介します。

下見の段階で最も多くの痕跡が見られた場所に設置したカメラには4~5頭ほどのメスや今年度生まれたと思われる身体の小さな個体が写っていました。この群れは頻繁に撮影されており、人間で言う、通勤路状態でした。

ピントが合わないくらいの猛スピードで走り去る姿やカメラ目線でひょっこりしている姿。撮影された写真はニホンジカの「素」を見ることができて面白いです。

中でも我々が驚いた写真はこちらです。

雪の上を歩くニホンジカ。奥にはササを食べている?個体も写っています。一見、驚くような写真ではないですよね。この写真の何に驚いたかというと、撮影時刻が「2021/2/19 9:55」。このセンサーカメラのメンテナンスを行ったのが「2021/2/19 13:00」。 ・・・!約3時間前に撮影できていたことになります。この時期も夜叉神峠周辺でニホンジカが生息しているということを改めて、確認できました!撮影していた955、我々は深い雪に足をとられながらセンサーカメラを必死に探していました・・・

3基の合計撮影枚数は1227枚!ただ、センサーカメラはニホンジカだけでなく、雪の粒や風で揺れた草木にも反応してしまいます。データを確認したところ、ニホンジカを撮影できていたのは半分ほどでした。上記にもありますが、撮影されていた個体の多くはメスで、設置後は頻繁に撮影されていましたが、1月中旬にまとまった降雪があり、それ以降ぱったり撮影されなくなりました。積雪がある場所は生活しづらいためか、足跡やフンの痕跡も確認できませんでした。雪深い場所はヒトが歩いても股下まで埋まってしまうほどの積雪量でした。3月には残りの2基のメンテナンスを行う予定です。2基の状況も追ってお伝えしたいと思います。

メンテナンスを行ったこの日は、この時期にしては暖かく、風もなく、巡視日和でした。

白峰三山も真っ白になり、ようやく冬らしくなってきました。真っ白な白峰三山は雄大で美しく、見ていてうっとりします。冬の標高約1,800メートルは下界に比べて寒いですが、澄んだ空気の中で、美しい景色を堪能することができます。

◆ ◇ 夜叉神峠・鳳凰三山の登山を計画されている方へ ◇ ◆

2月に入ってからまとまった降雪が何度かありました。また、気温が低い日、高い日が繰り返しており、登山道の一部は分厚く凍結しています。今後もまとまった降雪や凍結が予想されるため、状況に応じてわかんじきやスノーシュー、アイゼン等の足回り装備を携帯してください。

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2021年02月16日南アルプスを上から見ると・・・?③

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

これまでに引き続き、『南アルプスを上から見ると・・・?』シリーズ、今回は聖岳です。

聖岳は南アルプス山域の中で最も南に位置する3,000メートル峰です。登りながら見る聖岳もかっこいいですが、空から見る聖岳はかっこよさ増し増しです!どっしりとした山体に荒々しさが感じられる聖岳、わたしは大好きです。初めて小聖岳から聖岳を目にしたときは、¨頂上までどこを歩くの?¨と思うほど、ザレザレの斜面を歩きました。

上河内岳から聖岳へ向かう途中に薊畑(あざみばた)という場所があります。訪れたことがある方はご存知かと思いますが、この場所では防鹿柵や伏工などのニホンジカ対策が行われています。

薊畑は南アルプス山域の中で1番最初に防鹿柵が設置されたところです。昔、この場所にはニッコウキスゲの大群落がありましたが、ニホンジカの食外により消滅。防鹿柵を設置し、今では株数が徐々に増えています。

設置した柵の効果は一目瞭然!!

柵の外側では花がほとんどなく草丈も低い状態ですが、柵の内側では高山植物が花をつけ、草丈も高くなっています。植生調査では、柵の内側と外側で、植物の種類や量が異なることが明らかになっています。防鹿柵設置などの作業は南アルプスで活動するボランティアの方々が主体となっています。たくさんの方のおかげで南アルプスの豊かな自然が守られていると思うと、嬉しくなりますし、感謝の気持ちでいっぱいです。

わたしが聖岳周辺の魅力としてお伝えしたいのが、赤石岳に続く縦走路です。聖岳から兎岳、中盛丸山と続きます。兎岳も中盛丸山もあまり大きく目立ちませんが、アップダウンがあり、南アルプスの山深さ、雄大さが感じられます。


ライチョウの生息地になっており、運が良いと見られるかもしれません。また、たくさんの高山植物が咲くほか、登山道脇の岩場に赤色チャートの岩盤露出地があります。聖岳から赤石岳の縦走路へはピンポイントに登山道がないので、長時間の歩行が必須になります。宿泊を伴う山行になりますが、その山行で得られる感動は大きいと思います。時間を作ってぜひ、登ってみてください。

次回は赤石岳についてお伝えします。

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2021年02月05日南アルプスを上から見てみると・・・?②

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

前回の『南アルプスを上から見てみると・・・?①』に続いて、今回は茶臼岳、上河内岳についてお伝えします。

と、その前に!イザルガ岳から茶臼岳に飛んでいることに違和感がある方もいらっしゃるかと思います。残念ながら上空からの写真はありませんが、見どころはしっかりあります。

イザルガ岳を北上し、三吉平、三吉ガレを経由すると易老岳に着きます。山頂には展望がありませんが、シラビソやシダ類に囲まれています。シダ類がお好きな方にはたまらない場所です。

さらに北上すると、希望峰、仁田岳、仁田池が見えてきます。

△仁田岳               △仁田池

仁田岳は希望峰から分岐するため道線上から外れますが、360度の展望がとても良いので時間と体力に余裕があるようでしたら往復をおすすめします。希望峰を北に進むと、仁田池が現れます。6月頃、タカネザクラの花びらが池に落ちている様子はとても美しく感じられます。この周辺はライチョウの生息地で、運が良いと「ゲロゲロ」を耳にできるかもしれません・・・!

さて、ここから【茶臼岳、上河内岳】です。

茶臼岳(標高2,604メートル)と上河内岳(標高2,803メートル)は静岡県静岡市と長野県飯田市にまたがっています。主な登山口は『畑薙大吊橋』(国立公園外)です。

高さ30メートル、長さ約182メートル!!初めて畑薙大吊橋を渡りきったとき、高所恐怖症の私は気分が悪くなりました。おすすめの時期は紅葉の秋です。登山者だけでなく、紅葉狩りを楽しまれる方も多いです。

茶臼岳まではいくつもの吊り橋を渡り、尾根に辿り着きます。茶臼小屋前にはお花畑が広がり、静岡県によって季節型の防鹿柵(立ち上げ・撤去要)が設置されています。

山頂部分は岩稜帯になっており、光岳、大無間山、上河内岳、聖岳などの展望が楽しめます。

東側に見える布引山からの日の出は圧巻です。茶臼小屋から山頂まではそう遠くないので、日の出の時間に合わせて登頂するのもいいですね♪

上河内岳は上空写真からも分かるように、標高約2,800メートルにも関わらず、緑緑していますね。山頂部は岩稜帯とハイマツ帯が入り交じっています。

山頂からの360度の展望は最高です!ご自身でぜひ、体感してみてください!

茶臼岳から上河内岳へ向かう登山道でも光岳・センジヶ原にある構造土が見られます。植生があるところ、ないところで亀の甲羅模様が見られるほか、大きな線状凹凸で二重稜線になっており、南アルプスに氷河地形が残っていることを改めて感じます。

茶臼岳、上河内岳は林道東俣線の沼田ゲートから登山道が最も近くにあるため、入山は比較的容易ですが、幾度も沢を渡り、斜度がきつい尾根を登るので、相応の体力・技術が必要になります。余裕をもった計画を心がけてください。

次回は聖岳について、お伝えします。

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2021年01月29日南アルプスを上から見ると・・・?①

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

今回は空から見た南アルプス山域の様子や見どころを紹介します。撮影時期が秋なので、樹木が紅葉している様子をお楽しみください。南アルプス国立公園の全体図とあわせてご覧ください。

【光岳・イザルガ岳】

静岡県川根本町、長野県飯田市にまたがり、南アルプス国立公園の最も南に位置する光岳(標高2,592メートル)。「ひかりだけ」と読みたくなりますが、読み方は「てかりだけ」です。日本百名山に選定されています。南アルプスの名だたる3000m級の高峰の山頂は、岩肌がむき出しで眺望が良いイメージがありますが、光岳の山頂はわずかに森林限界を超える程度で、ダケカンバなどに覆われています。

山頂を下った先にある『光岩』が太陽光で反射し、光って目立つことから光岳と呼ばれるようになったようです。その『光岩』がこちら!

石灰岩から成る光岩は高さ約50メートル。周辺では氷河時代の遺存種であるチョウノスケソウやミヤマアケボノソウ、高山チョウが生息・生育しています。

イザルガ岳はセンジヶ原(1枚目写真 イザルガ岳と光岳小屋の間付近)の分岐から往復15分ほど歩くと着きます。ロケーションが良く、ライチョウの生息地の世界的南限になっています。

センジヶ原には南アルプス国立公園でも珍しい木道が整備されています。

△センジヶ原            △構造土(アースハンモック)

この木道の両脇の草原は構造土(アースハンモック)と呼ばれ、植生に覆われていない部分が先に凍結し、植生がある部分を押し上げてできた地形です。周辺にはイネ科植物やコケ類が被覆し、上部が全く植生に覆われていない「冷凍ハゲ」が分布しています。

光岳をさらに南下すると、大無間山や十枚山などを含む奥大井県立自然公園や大井川源流部原生自然環境保全地域があります。原生自然環境保全地域は国内で5箇所しかなく、本州には大井川源流部原生自然環境保全地域のみです。

光岳やイザルガ岳は登山口および山頂までのアクセスが容易ではないため、他の山に比べ登山者は少ないです。静かな山歩きができる上に、希少な動植物や氷河地形を楽しむことができます。見どころがたくさんなのでじっくり時間をかけて歩きたいものです。

次回は茶臼岳・上河内岳について、お伝えします。

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