ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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南アルプス国立公園

230件の記事があります。

2021年04月12日南アルプス国立公園写真展始まりました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。今年度もどうぞ、よろしくお願いいたします。

事務所がある芦安は葉桜に変わりはじめ、ヤマブキの黄色が目立つようになりました。

ヤマブキは花そのものがとても大きいため、よく目立ちます。山々の樹木も徐々に葉を付け始めました。もう少しで、新緑鮮やかな芦安になりそうです♪

南アルプス自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーになって5年目。今年度、頑張りたいことの1つが普及啓発です。

南アルプス国立公園は日本高峰第2位・北岳、第3位・間ノ岳をはじめとする、3,000メートルの高峰を10座以上有する山岳公園です。国立公園として指定されている部分は標高の高いところであり、体力と日数を要するほか、登山口までも気軽に行ける場所が少ないです。当然、国立公園の利用者は登山者。登山に親しみがない方にはほぼ無縁の国立公園なのです。

南アルプス国立公園には南アルプス山域でしか見られない希少な動植物や、氷河地形など、南アルプス国立公園ならではの魅力がたくさんあります。また、その素晴らしい自然を後世に残すため、環境省が関係者と協力して自然保護活動を行っています。

登山をされない方や南アルプスの山々へ登ることが難しい方などに南アルプス国立公園の魅力や自然の素晴らしさや自然保護の活動を伝えるにはどのようにすればいいだろうか、考えたところ、¨写真展¨という形で取り組むことにしました。

毎年行っている「アクティブ・レンジャー写真展」と異なり、南アルプス国立公園に特化し

た内容になっていて、南アルプス国立公園を構成する10市町村やその周辺施設を1年間かけて巡回します。

記念すべき第1回目は山梨県南アルプス市の南アルプス市櫛形生涯学習センターです!

南アルプス市櫛形生涯学習センターホームページ

https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/sisetsu/shisetsu/syogaigakusyu-kushigata/



アクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)が日々の業務で撮影した写真の展示や、ニホンジカによる食害問題とその対策のほか、南アルプス自然保護官で働く職員の紹介やわたしの南アルプス国立公園おすすめスポットの紹介もあります。

南アルプス国立公園から南アルプスユネスコエコパークまで、さまざまな種類のパンフレットを設置しておりますので、気になるものがありましたらお手にとってみてください。また、アンケートも実施しており、ご協力いただいた方にはオリジナルノベルティをプレゼントしています。数に限りがありますが、多くの方にご協力いただけますと幸いです。

4月から9月の開催会場および時間のスケジュールはこちらです。

4~9月「南アルプス国立公園写真展」開催スケジュール.pdf

各会場で展示される写真や配布ノベルティを変えるなど、毎回お楽しみいただけるように工夫していこうと思っています。お近くへ来られた際には、ぜひお立ち寄りください!

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2021年03月25日センサーカメラメンテナンス@夜叉神峠西口登山道

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

3月中旬に夜叉神峠のセンサーカメラのメンテナンスを行いました。12月に設置した5基のうち、2月に3基、今回は残り2基のメンテナンスを行いました。

設置の様子、前回メンテナンスの様子はこちら! 12月設置2月メンテ①

2月に行った夜叉神峠登山口からのメンテナンスでは積雪も多く、シカの痕跡はあまり見られませんでしたが、西口登山道は日当たりがよく積雪も少ないせいか、あちこちにフンや足跡がありました。ひどいところではヒトが歩く登山道上にも!シカ道の利用頻度も多いせいか、乾いた地面がひづめでえぐられています。

足跡やフンだけでなく、樹皮剥ぎも目立ちました。


標高はさほど変わりませんが、積雪がある・ないでこんなにも状況が変わってしまうということに愕然としました。痕跡が見られただけでなく、2~3回ほど警戒音も聞こえ、私たちの近くにいたようでした。季節問わず入山者が少ない西口登山道は、冬の時期もニホンジカの楽園状態でした。

2基の撮影枚数の合計は506枚。一部、日光による誤作動も見られましたが、撮影された写真を確認すると、今回もメスジカが多く撮影され、右の写真では、ばっちり採食している様子が撮影されました。パッと見た感じでは緑色の植物は見当たらなかったので、もしかすると落ち葉を食べていたのかもしれません。

前回設置したカメラにはニホンジカ以外の動物は撮影されていませんでしたが、今回はイノシシが撮影されていました!

これまでに夜叉神峠の巡視は何度もしていますが、イノシシそのものや、ヌタ場(体表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすために泥を浴びる場所のこと)や掘り起こし跡を見たことがなかったので、このあたりに生息していることを知り驚きました。

メンテナンス日の前日、事務所がある芦安から見る夜叉神峠方面はうっすら雪化粧。¨寒いかな~¨と思い、暖かい格好をしましたが、とても天候が良く、暑くて汗ばんでしまう事態に。

終始、白峰三山を見ながらの作業となりました。青空に白い雪が映えますね。街では桜が咲く頃ですね。南アルプスの春はまだまだ先のようです・・・♪

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2021年03月04日夜叉神峠でバードウォッチング!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先日、夜叉神峠へ巡視に行ったときのことです。登山口に着くと、野鳥の鳴き声があちこちから。ふと、地面を見ると・・・

マヒワです。普段は本州中部以北に生息しており、この周辺へは冬鳥として渡来し、カバノキなどの種子を食べています。ピントがずれているのが残念ですが、マヒワを初めて見たとき、「こんな黄色い鳥がいるのか!」と驚いたこと、今でも忘れられません。

登山道を進むと、樹木を叩く音が聞こえ始めました。力強く叩く音、それよりも少し弱く叩く音。

カメラの先にいたのは、コゲラです。焦げ茶と白のまだら模様で、キツツキの仲間です。アカゲラなどに比べて小ぶりですが、尾で体を支えて木の幹に止まり、丈夫なくちばしでつつき、中の虫を食べます。この写真はちょうど木をつついたときです。コゲラは1年を通して日本に生息・繁殖する留鳥です。最近は山林だけでなく、街中でも見かけることが多くなったようです。

夜叉神峠に到着し、峠直下に設置しているセンサーカメラのメンテナンス中、ひっきりなしに「チリチリチリ」と鳴く声。声のするほうへ歩いて行くと。


鳴き声の主はキレンジャクでした。冬鳥として渡来し、木の実を食べています。キレンジャクと似ている野鳥として、「ヒレンジャク」がいますが、見分け方は尾の色です。キレンジャクの尾が黄色に対して、ヒレンジャクの尾は先端が赤色です。キレンジャク、ヒレンジャクは互いの群れに混じり合っていることがあるようです。このキレンジャクはシャキッとしている横顔がとてもハンサムでした。

近づいても逃げるそぶりを見せなかったため、モデルさんになってもらいました。

毛繕いする姿や舌が丸見えの姿などいろいろな姿を見せてくれました。

鳥類は季節によって行動が異なるため、この時期にしか見ることができない種類も多くいます。夏季は展葉しているので鳴き声が聞こえてもどこにいるのか分からないことが多いですが、冬季は多くの木々が落葉し、森の中の見通しが良くなり、動物を見つけるチャンスです!!時間や標高によって見ることができる種類が異なるので、どの子がお出迎えしてくれるかは行ってみてのお楽しみです。バードウォッチングは山に登らずとも、林道や里山でもできるので、暖かい格好をして楽しんでみてください♪

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2021年02月26日夜叉神峠へセンサーカメラのメンテナンスに行ってきました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

2月中旬、12月に設置した夜叉神峠のセンサーカメラのメンテナンスを行いました。(設置の様子はこちら!)

今回は5基中3基のセンサーカメラで12月22日の設置から約2ヶ月の間で撮影できたニホンジカたちを紹介します。

下見の段階で最も多くの痕跡が見られた場所に設置したカメラには4~5頭ほどのメスや今年度生まれたと思われる身体の小さな個体が写っていました。この群れは頻繁に撮影されており、人間で言う、通勤路状態でした。

ピントが合わないくらいの猛スピードで走り去る姿やカメラ目線でひょっこりしている姿。撮影された写真はニホンジカの「素」を見ることができて面白いです。

中でも我々が驚いた写真はこちらです。

雪の上を歩くニホンジカ。奥にはササを食べている?個体も写っています。一見、驚くような写真ではないですよね。この写真の何に驚いたかというと、撮影時刻が「2021/2/19 9:55」。このセンサーカメラのメンテナンスを行ったのが「2021/2/19 13:00」。 ・・・!約3時間前に撮影できていたことになります。この時期も夜叉神峠周辺でニホンジカが生息しているということを改めて、確認できました!撮影していた955、我々は深い雪に足をとられながらセンサーカメラを必死に探していました・・・

3基の合計撮影枚数は1227枚!ただ、センサーカメラはニホンジカだけでなく、雪の粒や風で揺れた草木にも反応してしまいます。データを確認したところ、ニホンジカを撮影できていたのは半分ほどでした。上記にもありますが、撮影されていた個体の多くはメスで、設置後は頻繁に撮影されていましたが、1月中旬にまとまった降雪があり、それ以降ぱったり撮影されなくなりました。積雪がある場所は生活しづらいためか、足跡やフンの痕跡も確認できませんでした。雪深い場所はヒトが歩いても股下まで埋まってしまうほどの積雪量でした。3月には残りの2基のメンテナンスを行う予定です。2基の状況も追ってお伝えしたいと思います。

メンテナンスを行ったこの日は、この時期にしては暖かく、風もなく、巡視日和でした。

白峰三山も真っ白になり、ようやく冬らしくなってきました。真っ白な白峰三山は雄大で美しく、見ていてうっとりします。冬の標高約1,800メートルは下界に比べて寒いですが、澄んだ空気の中で、美しい景色を堪能することができます。

◆ ◇ 夜叉神峠・鳳凰三山の登山を計画されている方へ ◇ ◆

2月に入ってからまとまった降雪が何度かありました。また、気温が低い日、高い日が繰り返しており、登山道の一部は分厚く凍結しています。今後もまとまった降雪や凍結が予想されるため、状況に応じてわかんじきやスノーシュー、アイゼン等の足回り装備を携帯してください。

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2021年02月16日南アルプスを上から見ると・・・?③

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

これまでに引き続き、『南アルプスを上から見ると・・・?』シリーズ、今回は聖岳です。

聖岳は南アルプス山域の中で最も南に位置する3,000メートル峰です。登りながら見る聖岳もかっこいいですが、空から見る聖岳はかっこよさ増し増しです!どっしりとした山体に荒々しさが感じられる聖岳、わたしは大好きです。初めて小聖岳から聖岳を目にしたときは、¨頂上までどこを歩くの?¨と思うほど、ザレザレの斜面を歩きました。

上河内岳から聖岳へ向かう途中に薊畑(あざみばた)という場所があります。訪れたことがある方はご存知かと思いますが、この場所では防鹿柵や伏工などのニホンジカ対策が行われています。

薊畑は南アルプス山域の中で1番最初に防鹿柵が設置されたところです。昔、この場所にはニッコウキスゲの大群落がありましたが、ニホンジカの食外により消滅。防鹿柵を設置し、今では株数が徐々に増えています。

設置した柵の効果は一目瞭然!!

柵の外側では花がほとんどなく草丈も低い状態ですが、柵の内側では高山植物が花をつけ、草丈も高くなっています。植生調査では、柵の内側と外側で、植物の種類や量が異なることが明らかになっています。防鹿柵設置などの作業は南アルプスで活動するボランティアの方々が主体となっています。たくさんの方のおかげで南アルプスの豊かな自然が守られていると思うと、嬉しくなりますし、感謝の気持ちでいっぱいです。

わたしが聖岳周辺の魅力としてお伝えしたいのが、赤石岳に続く縦走路です。聖岳から兎岳、中盛丸山と続きます。兎岳も中盛丸山もあまり大きく目立ちませんが、アップダウンがあり、南アルプスの山深さ、雄大さが感じられます。


ライチョウの生息地になっており、運が良いと見られるかもしれません。また、たくさんの高山植物が咲くほか、登山道脇の岩場に赤色チャートの岩盤露出地があります。聖岳から赤石岳の縦走路へはピンポイントに登山道がないので、長時間の歩行が必須になります。宿泊を伴う山行になりますが、その山行で得られる感動は大きいと思います。時間を作ってぜひ、登ってみてください。

次回は赤石岳についてお伝えします。

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2021年02月05日南アルプスを上から見てみると・・・?②

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

前回の『南アルプスを上から見てみると・・・?①』に続いて、今回は茶臼岳、上河内岳についてお伝えします。

と、その前に!イザルガ岳から茶臼岳に飛んでいることに違和感がある方もいらっしゃるかと思います。残念ながら上空からの写真はありませんが、見どころはしっかりあります。

イザルガ岳を北上し、三吉平、三吉ガレを経由すると易老岳に着きます。山頂には展望がありませんが、シラビソやシダ類に囲まれています。シダ類がお好きな方にはたまらない場所です。

さらに北上すると、希望峰、仁田岳、仁田池が見えてきます。

△仁田岳               △仁田池

仁田岳は希望峰から分岐するため道線上から外れますが、360度の展望がとても良いので時間と体力に余裕があるようでしたら往復をおすすめします。希望峰を北に進むと、仁田池が現れます。6月頃、タカネザクラの花びらが池に落ちている様子はとても美しく感じられます。この周辺はライチョウの生息地で、運が良いと「ゲロゲロ」を耳にできるかもしれません・・・!

さて、ここから【茶臼岳、上河内岳】です。

茶臼岳(標高2,604メートル)と上河内岳(標高2,803メートル)は静岡県静岡市と長野県飯田市にまたがっています。主な登山口は『畑薙大吊橋』(国立公園外)です。

高さ30メートル、長さ約182メートル!!初めて畑薙大吊橋を渡りきったとき、高所恐怖症の私は気分が悪くなりました。おすすめの時期は紅葉の秋です。登山者だけでなく、紅葉狩りを楽しまれる方も多いです。

茶臼岳まではいくつもの吊り橋を渡り、尾根に辿り着きます。茶臼小屋前にはお花畑が広がり、静岡県によって季節型の防鹿柵(立ち上げ・撤去要)が設置されています。

山頂部分は岩稜帯になっており、光岳、大無間山、上河内岳、聖岳などの展望が楽しめます。

東側に見える布引山からの日の出は圧巻です。茶臼小屋から山頂まではそう遠くないので、日の出の時間に合わせて登頂するのもいいですね♪

上河内岳は上空写真からも分かるように、標高約2,800メートルにも関わらず、緑緑していますね。山頂部は岩稜帯とハイマツ帯が入り交じっています。

山頂からの360度の展望は最高です!ご自身でぜひ、体感してみてください!

茶臼岳から上河内岳へ向かう登山道でも光岳・センジヶ原にある構造土が見られます。植生があるところ、ないところで亀の甲羅模様が見られるほか、大きな線状凹凸で二重稜線になっており、南アルプスに氷河地形が残っていることを改めて感じます。

茶臼岳、上河内岳は林道東俣線の沼田ゲートから登山道が最も近くにあるため、入山は比較的容易ですが、幾度も沢を渡り、斜度がきつい尾根を登るので、相応の体力・技術が必要になります。余裕をもった計画を心がけてください。

次回は聖岳について、お伝えします。

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2021年01月29日南アルプスを上から見ると・・・?①

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

今回は空から見た南アルプス山域の様子や見どころを紹介します。撮影時期が秋なので、樹木が紅葉している様子をお楽しみください。南アルプス国立公園の全体図とあわせてご覧ください。

【光岳・イザルガ岳】

静岡県川根本町、長野県飯田市にまたがり、南アルプス国立公園の最も南に位置する光岳(標高2,592メートル)。「ひかりだけ」と読みたくなりますが、読み方は「てかりだけ」です。日本百名山に選定されています。南アルプスの名だたる3000m級の高峰の山頂は、岩肌がむき出しで眺望が良いイメージがありますが、光岳の山頂はわずかに森林限界を超える程度で、ダケカンバなどに覆われています。

山頂を下った先にある『光岩』が太陽光で反射し、光って目立つことから光岳と呼ばれるようになったようです。その『光岩』がこちら!

石灰岩から成る光岩は高さ約50メートル。周辺では氷河時代の遺存種であるチョウノスケソウやミヤマアケボノソウ、高山チョウが生息・生育しています。

イザルガ岳はセンジヶ原(1枚目写真 イザルガ岳と光岳小屋の間付近)の分岐から往復15分ほど歩くと着きます。ロケーションが良く、ライチョウの生息地の世界的南限になっています。

センジヶ原には南アルプス国立公園でも珍しい木道が整備されています。

△センジヶ原            △構造土(アースハンモック)

この木道の両脇の草原は構造土(アースハンモック)と呼ばれ、植生に覆われていない部分が先に凍結し、植生がある部分を押し上げてできた地形です。周辺にはイネ科植物やコケ類が被覆し、上部が全く植生に覆われていない「冷凍ハゲ」が分布しています。

光岳をさらに南下すると、大無間山や十枚山などを含む奥大井県立自然公園や大井川源流部原生自然環境保全地域があります。原生自然環境保全地域は国内で5箇所しかなく、本州には大井川源流部原生自然環境保全地域のみです。

光岳やイザルガ岳は登山口および山頂までのアクセスが容易ではないため、他の山に比べ登山者は少ないです。静かな山歩きができる上に、希少な動植物や氷河地形を楽しむことができます。見どころがたくさんなのでじっくり時間をかけて歩きたいものです。

次回は茶臼岳・上河内岳について、お伝えします。

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2021年01月21日夜叉神峠、高谷山へ巡視に行ってきました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

1月中旬に夜叉神峠と高谷山へ巡視に行きましたので、その様子をお伝えします。夜叉神峠がゴールの巡視が多いですが、今回は足を伸ばして高谷山まで。この日は快晴!まさに巡視日和でした♪

夜叉神峠までの間、カラマツやヒノキ、ミズナラなど登山口から山頂までの約300メートルの標高差の中で数多くの種類の樹木を楽しむことができます。山頂まで15分ほどの登山道では櫛形山方面からひょっこり富士山が現れます。

夜叉神峠では¨白峰三山は見えるけど、富士山が見えない¨と思われがちですが、富士山の9、8合目あたりまで望むことができます。例年では、見えている部分は積雪で白くなりますが、青々していました。

夜叉神峠に着くと、白峰三山がお出迎え。いつ見てもやはりお美しいです・・!!

わたし独自の定点から撮影した1ヶ月前の白峰三山と比較してみました。右から北岳、間ノ岳、農鳥岳です。白さが一目瞭然!北岳山頂付近やところどころ沢筋がうっすら白くなっており、着実に積雪量は増えているようです。

夜叉神峠をあとにし、高谷山へ。登山道に1本線になっている足跡が。よく見ると、登山道についていた足跡はヒトではなく、キツネでした。


キツネの足跡の上をニホンジカが横切っていたり、テンのような小動物の足跡があったり。利用者が多く、賑やかな登山道でした。

南アルプス国立公園のエリアは高谷山までですが、南へ続く登山道の先は『南アルプス巨摩自然公園』という県立公園になります。(南アルプス巨摩自然公園を含む、山梨県の自然公園についてはこちら!)

夜叉神峠で下山される方が多いですが、高谷山方面では白峰三山に加え、栗沢山などの早川尾根方面や甲斐駒ヶ岳を望むことができます。夜叉神峠よりも登山者が少ない分、まったり存分に南アルプスを楽しめます。夜叉神峠から20分ほど歩いたところにあるので、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

この時期の夜叉神峠、高谷山までの登山道は凍結の可能性があるため、軽アイゼンの携帯をおすすめします。また、マスク着用、手指の消毒、ソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めるようお願いします。

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2021年01月14日令和2年度、アクティブ・レンジャー写真展の写真紹介!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

1月7日から28日まで、山梨県甲府市にあるアウトドアショップ、OUTING PRODUCTS ELKにて、奥多摩、富士五湖、南アルプスの3事務所合同アクティブ・レンジャー写真展が開催されています。詳しくは富士五湖 小西ARの「アクティブレンジャー写真展、3国立公園合同で開催中です!」をご覧ください。

今回は私が今年度のアクティブ・レンジャー写真展で展示している2枚の写真の紹介をしたいと思います。

◆ ハイ、チーズ!!

撮影場所:北岳 撮影日 :2019/8/4

北岳、間ノ岳、農鳥岳から成る白峰三山は南アルプス山域の中でも特に、ライチョウの個体数の減少が著しいため、個体数回復を目的に、平成27 年(2015 年)から令和元年(2019 年)までの5年間にわたり、孵化したライチョウの家族を高山帯に設置したケージを用いて、悪天候と捕食者から守るケージ保護法を用いた域内保全を実施しました。(令和2年以降は捕食者対策のみ実施)

このライチョウはケージ保護されていた母ライチョウです。海外ではライチョウが狩猟対象のため、人を見ると逃げてしまうようですが、日本では古くから神の鳥として崇められ、捕獲や触れることすら禁止されています。そのため、¨人間から攻撃されることはない¨と分かっているせいか、一定の距離を保てば逃げることはあまりないです。一定の距離を保ちながら、望遠レンズで連写しました。カメラ目線で首を傾けてポーズを取ってくれた(?)姿はまさにモデルのよう。私自身、何度見ても「かわいい~」と思ってしまいます。

◆ 南アルプスの隠れた魅力

撮影場所:荒川岳(前岳・中岳分岐より荒川小屋方面に40分ほど下った場所)

撮影日 :2019/10/5

日本列島ができる遙か昔、南アルプスの山々は海底にありました。約2千万年前に日本列島の原型となる島がユーラシア大陸から分裂。その後、フィリピン海プレートの運動、古伊豆小笠原諸島をはじめとする島々が激突。南アルプスの原型が隆起を始めました。南アルプスの山々に大きな変化を与えたのが、3百万年から10万年前に伊豆ヶ島が衝突したことで、隆起が急速に進み、その速さは1年間に約4mm!現在もそのスピードを維持しています。隆起のほかに氷河が現在のカール(圏谷)やモレーンなどが作られました。世界最速級で隆起し続けている南アルプスですが、山全体の崩壊スピードもかなり速いです。南アルプスは降雨が多く、地形が流水によって削られやすく、その結果出来る特徴的な地形が、この写真のV字谷です。希少な動植物や高山が連なる南アルプスですが、長い歴史があってつくられた山域で、知れば知るほど奥深く、「もっと知りたい!」と興味をそそられます。

参考:山と渓谷 特集「南アルプス」

被写体は小赤石岳と大聖寺平。黄色や白色のお花畑と違って地味な色が多いですが、山そのものが大きく見えます。雑誌などではお花畑と小赤石岳が取り上げられていますが、私は紅葉の時期のこの構図もお気に入りです。

アクティブ・レンジャー写真展では、文字の見やすさなどを考慮して30文字程度の説明文がありますが、写真への想いやエピソードを30文字に集約するのは難しいです。この日記を通して、想いやエピソードを知っていただけると嬉しいです。そして、ぜひ会場へ足を運んでいただけると嬉しいです♪みなさんのお越しをお待ちしています。

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2021年01月05日南アルプスで見られる「丑」さん

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、あけましておめでとうございます。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。本年もどうぞ、よろしくお願いします。

今年は丑年!!丑といえば・・・ニホンカモシカ(以下、カモシカ)!


¨え、カモシカはシカじゃないの?¨と思われた方もいらっしゃるかと思います。名前にシカとありますが、カモシカとニホンジカではなにが違うのでしょう。そこで!カモシカとニホンジカの違いをまとめてみました。

見比べてみると、違う部分がたくさんありますね。

カモシカは日本固有種としての学術的価値から、1934年(昭和9年)、天然記念物に、1955年(昭和30年)特別天然記念物に指定されました。山梨県、長野県、静岡県で成る南アルプス地域では1980年(昭和55年)にカモシカ保護地域に指定されており、希少な地域個体群として、生息状況と生息環境のモニタリングなどが行われています。

全国的にも、南アルプス地域でも大切にされているカモシカですが、農作物及び幼齢造林木への被害が目立つようになり、1979年(昭和54年)にカモシカ保護管理方針の大幅な改正により、長野県、静岡県など限られた地域での捕獲が認められるようになりました。捕獲するにあたり、長野県や静岡県では特定鳥獣管理計画が策定されています。自然の中で生きる動物とのバランスを保つのは簡単なことではありませんが、よい方向に、よりよい方法を見つけていきたいですね。

南アルプス自然保護官事務所ではニホンジカ動向調査のために自動撮影カメラを設置しています。ニホンジカ以外にもツキノワグマやノウサギなどが撮影され、カモシカも写っています。

どアップで写っている子もいれば、どこか遠くを見ている子。右下は事務所がある南アルプス市芦安地域で見られたカモシカです。

みなさんは今年の目標、決まっていますか?わたしの今年の密かな目標の1つとして、「カモシカをたくさん見つけること」です・・・♪

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