ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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南アルプス国立公園

230件の記事があります。

2016年09月20日実りの秋

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

先日、うちの近所にクマが出ました。姿は見ていませんが、近所のクルミの木へ
実を食べに来ていたようです。これから秋が深まるとクマも冬に備えて夢中で食料
を探すので、山に入られる皆さん、クマ鈴をつけるなど対策をなさってください。

さて、山ではあちこちで実を見かけます。
(左上:コケモモ      右上:ガンコウラン
 左下:オオヒョウタンボク 右下:ウラジロナナカマド)

コケモモやガンコウラン、ナナカマドは、ライチョウなどの野生生物にとって
貴重な食料です。みなさん、食べてしまわないでくださいね!
ちなみにオオヒョウタンボクには毒があるそうです。

さて、こちらはホシガラス。
(ハイマツの実を食べるホシガラス。ピンボケですみません...。)

日本では四国以北の亜高山帯から高山帯に生息し、南アルプスではよく出会います。
名前の通りカラスの仲間(カラス科)ですが、黒茶色の体に星をちりばめたような
白のまだら模様があります。頭には模様がなく黒茶一色、羽と尾は黒色です。
「ギャーギャーッ」としわがれ声で鳴くのも特徴で、姿が見えなくてもすぐわかります。
大きさは、街中で見るカラスよりもひとまわり小さく、ハトより少し大きいくらいです。
この写真からはわかりませんが、目がくりっと大きくてめっちゃかわいいんですよ。

好物はハイマツの実のようで、食べている姿をよく目にします。くちばしで器用にもぎ
取って食べやすい場所へ運んでから食べる習性があり、登山道周辺でもホシガラスが
食べた実の残骸を見かけることがあります。私はこれを「ホシガラスのお食事処」と
勝手に呼んでいます。
(ホシガラスのお食事処。手前は新鮮なもの、奥の茶色いものは古い食べかす。)


秋の山では紅葉・黄葉だけでなく、木の実から野生生物に思いを馳せたり、ホシガラス
のような生きものの行動を観察したりするのも楽しいですよ♪

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2016年09月14日開山二百年

南アルプス国立公園 大石佳織

こんにちは。

みなさん、こちらの山はご存知でしょうか?
綺麗な山だと思いませんか?こちらは『南アルプスの貴公子』なんて呼ばれること
もある山です。
(南アルプスの貴公子。9月2日小仙丈ヶ岳付近から撮影)

この山の名は『甲斐駒ヶ岳』。
南アルプス北部、長野県伊那市と山梨県北杜市にまたがる山で、標高は2,967mです。
長野県の伊那地方では『東駒ヶ岳』とも呼ばれています。

山頂を見ると真っ白ですね。この白い部分は何だと思いますか?
初めて見る人は「雪が積もっている!」と驚きます。
しかし、雪ではありません。

白色の正体は『花こう岩』。
南アルプスでは甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山などで見られる岩で、これらの山では白い岩と
青い空のコントラストを楽しむことができます。
(甲斐駒ヶ岳の白と青のコントラスト!)


さて、この甲斐駒ヶ岳は今年、開山200年を迎えています。
延命行者小尾権三郎が、文化13年(1816年)に現在の山梨県北杜市側から黒戸尾根を
登る道を開いたそうです。開山後は甲斐駒ヶ岳講が生まれて多くの人が登るようになり、
現在でも黒戸尾根の登山道では信仰にまつわる石碑や石仏などを見ることができます。
しかし、この黒戸尾根は標高差約2,200m(登り始めの場所によっては標高差2,500m!!)
のとても厳しいルートです。北岳に登るよりもキツイでしょう。

現在は北沢峠(長野県伊那市側)からの登山道もありますし、北沢峠から片道1時間半ほどの
仙水峠から甲斐駒ヶ岳を間近に眺めるだけにするという選択肢もあります。標高約3,000mの
高山なので、自分の体力や時間に合わせて計画を立て、安全に楽しく登山してくださいね。
ちなみに仙水峠では、大小の岩がゴロゴロと広がる『岩塊斜面』という面白い地形を見ることも
できますよ。
(仙水峠の岩塊斜面。2014年9月下旬撮影)


【 東駒ヶ岳について 】
長野県の伊那谷では西側に中央アルプス(木曽山脈)の木曽駒ヶ岳が、東側に南アルプス(赤石山脈)
の甲斐駒ヶ岳がそびえていることから、木曽駒ヶ岳を『西駒ヶ岳』、甲斐駒ヶ岳を『東駒ヶ岳』と呼ん
でいます。伊那市の情報などをチェックすると『東駒ヶ岳』と載っているのを発見できます♪

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2016年09月06日仙丈ヶ岳の楽しみ方♪

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。
自然保護官事務所のある芦安では、道路にイガ栗が転がり、ススキが風にゆれて
います。

仙丈ヶ岳でも秋の訪れを感じられるようになってきました。
(色づき始めたウラシマツツジ。仙丈ヶ岳山頂付近。9月2日撮影)


ウラシマツツジはツツジ科の植物で、地面を這うように生える植物です。仙丈ヶ岳では
稜線付近などで見ることができ、秋が深まると真紅に染まり、山を彩ります。
ダケカンバも多い山なので、これから秋が深まると黄葉も楽しめます♪

仙丈ヶ岳では、カール地形も楽しむことができます。カール地形とは、氷河時代に氷河に
よって山が削られてできたものです。見た感じは、アイスをスプーンですくった跡のよう
で面白いです。
(小仙丈沢カール。小仙丈ヶ岳~仙丈ヶ岳間の稜線から撮影。9月2日)


小仙丈ヶ岳あたりからは美しい小仙丈沢カールを眺めることができますし、仙丈小屋付近
からは藪沢カールを真下から見上げることができます。
カール地形を見られる山は限られているので、仙丈ヶ岳に登られたら是非チェックして
ください♪

また、最近は日本の高峰トップ3(富士山、北岳、間ノ岳)を楽しめる山としても認知度が
上がってきた(?)ようです!これも仙丈ヶ岳登山の楽しみのひとつですね♪
(朝の日本の高峰トップ3。左から富士山、北岳、間ノ岳。9月2日撮影)


ちなみに、仙丈ヶ岳は南アルプスの中では比較的登りやすい山と言われていますが、
標高は3,033m、登山口の北沢峠からは高低差約1,000m。日帰りの場合、コースタイムは
約7時間です。コースタイムには休憩時間は含まれていませんし、歩く速さは人それぞれ
なのであくまで参考です!

【 登山者の皆さまへ 】
山では朝晩の冷え込みが厳しくなり、日没も早くなっています。
下界では真夏日でも、山では冷たい風が吹いているということもあります。
防寒具をしっかり準備して行きましょう。
また、南アルプスでは遭難が相次いでいます。今の自分の体力にあった山を選び、余裕を
もった計画を立て、無理のない登山をお願いします。

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2016年08月23日南アルプス最古の防鹿柵

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

自然保護官事務所のある芦安は、朝晩爽やかな風が吹くようになってきました。
しかし、日中はまだまだ天井(屋上)からジワジワ攻めてくる熱気が(私には)
脅威となっています。みなさん、引き続き熱中症には気をつけましょう。

さて、7月の3連休の話になりますが、南アルプス聖岳の南側に広がる「聖平
(ひじりだいら)」で行われた植生復元活動に行ってきました。
(聖平。小聖岳付近から2014年8月22日に撮影したもの。)

聖平は標高2,300m付近にあり、「平」という名の通りなだらかな場所が広がって
います。この場所では、かつてニッコウキスゲが多く見られたそうです。

しかし、1990年頃から南アルプス稜線部にニホンジカが現れるようになると
採食などの影響でニッコウキスゲが姿を消し、ニホンジカが好まないキオンや
ノガリヤスの仲間などの植物が増加し、景観が変化しました。
(かつてお花畑だった聖平。今は... 7月16日撮影)

この変化に危機感を抱いた南アルプスの自然保護に関わる人たち(後の南アルプス
高山植物保護ボランティアネットワーク)や自治体(静岡県)が、高山植物の分布や
ニホンジカの影響を調査し、2002(平成14)年に南アルプスで最初の防鹿柵を設置
しました。

設置から15年が経過した今、ニッコウキスゲをはじめ、さまざまな植物が防鹿柵 の
中で花をつけています!
(南アルプス最古の防鹿柵内の様子。黄色い花がニッコウキスゲ。
 奥に見えるのは防鹿柵修繕作業中の皆さん。 7月16日撮影)

現在、聖平には通年設置の防鹿柵が5基、小型の防鹿柵(植物を株単位で守るもの)が
20基設置されており、毎年実施されている植生復元活動では、防鹿柵の修繕や裸地化
した斜面への伏工(土壌流出防止用)などが実施されています。

*資材の工夫
現地での作業を担っている南アルプス高山植物保護ボランティアネットワークは、資材を
通じて南アルプスに他地域の生物を持ち込んでしまうことを予防するため、使用する資材
に工夫を凝らしています。
土壌流出防止に使用する繊維マットは高温滅菌処理をし、細菌や種子を除去したものを使用
しています。また、土留め工などで使う木材は南アルプス山麓域(井川)産を使用しています。

山岳で使用する資材には様々な制約がかかるため、全ての現場、全ての資材について、滅菌
処理したものや地元産のもので賄うのは困難です。しかし、南アルプスの自然のために
「目に見えない部分の努力や工夫」を追求する姿勢には頭が下がります。
山への深い理解と行動力のある多くの方によって南アルプスは支えられています。

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2016年08月09日混雑した山小屋はお好きですか?

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

関東甲信地方の梅雨明け最初の週末となった7月最後の週末は続々と登山者が
芦安に到着し、金曜日から駐車場がいっぱいになっていました。

さらに、ここ数日はお天気に恵まれていることから、平日でもたくさんの登山者
が南アルプスを訪れています。すっかり夏山シーズンですね!
(ああ、夏山。キンロバイと間ノ岳 7月19日撮影)














ところで、皆さんは、混雑した山小屋はお好きですか?
おそらく布団1枚に3人で寝るのが好きな方はいないでしょう。
私もできればそんな経験はしたくないです...。
(「混雑していない」北岳山荘のテント場。7月20日)














しかし、8月11日(木・祝)の「山の日」は、駐車場も山小屋も『大・大・大混雑!!』
が予想されています。北岳山荘のスタッフの方に聞いたところ「布団1枚に3人」は、現実
のものになるようです。

(芦安に続々と到着する車。7月30日撮影)

「どうしても山の日しか行けないのよ!!」という方は別ですが、そうでない方は予定の
変更をおススメします。(お仕事があると1日ずらすのも大変なのはよくわかりますが...。)

ちなみに、お盆期間中の山小屋混雑状況は、場所によって異なるようです。
(悪沢岳と富士山。7月10日撮影)














北沢峠周辺(仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳の登山口)の小屋で聞いたところ、お盆期間はそれほど
混雑しないだろうとのことでしたが、北岳周辺は混雑しそうです!

情報を集めて、日にちと行き先を少しずらして
混雑狙い撃ち登山から、空いていそうなところを狙い撃ちする登山へ
できるだけ快適な登山をしませんか♪

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2016年07月21日ライチョウ親子、無事放鳥!

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

テレビ等の報道でご存知の方も多いと思いますが、南アルプスの北岳では平成27年度から
ライチョウの保護増殖事業*の一環として「ケージ内保護法」という手法を使ってライチョウ
保護を行っています。

 *ライチョウや保護増殖事業について詳細はコチラ

ライチョウは孵化してから約1ヶ月間のヒナの死亡率が約8割と高いことが明らかになって
います。
「ケージ内保護法」は、孵化したばかりのヒナと母鳥をケージで約1ヶ月間保護し、天敵や
寒さから守ってヒナの生存率を上げるというもので、乗鞍岳で試験的に実施され有効性が
確認されている手法です。

南アルプスの白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)周辺で、ライチョウが減少しているという
調査結果を受けて、ライチョウの減少を食い止めようと北岳周辺でこの手法が実施されることに
なりました。

(ケージ内保護法で使用されたケージ。7月19日撮影)


保護されたライチョウ親子は、日中、ケージの外に出されて自由にエサを食べます。この間、
研究者の中村浩志氏をはじめとするスタッフが付きっきりで見守ります!!
しかし、人が見守っていようがいまいが、ヒナがエサを食べている間、母鳥は常に周囲に注意
を払い、誰よりも早く天敵の猛禽類に気が付いてヒナに注意を促すなど、自然界を生きる母鳥
の姿を見せてくれました。
(周囲を警戒する母鳥。7月18日撮影)


そして、ヒナが孵化して約1ヶ月を迎えた7月19日親子を放鳥することになり、私もその現場
に立ち会うことができました。
ただ「放鳥」と言っても、もとの縄張りまでライチョウ自身に歩いて行ってもらうんです。
もとの縄張りまでの道のりは、スタッフがライチョウ親子に付き添って、間違った方へ行かない
ように牧羊犬ならぬ牧雷鳥人(!?)となって誘導しました。

(もとの縄張りに向かう途中、親子で仲良く休憩する場面も...。かわいい。7月19日撮影)



(もとの縄張りに歩いて向かうライチョウ親子。後ろは北岳。7月19日撮影)


上手とは言えないながらも自力で飛べるようになったヒナたちに「天敵に捕まらない
ように元気に生き抜くんだよ!」と声を掛けながら見送りました。

【 開花情報 】
大樺沢二俣付近では、ミヤマハナシノブが満開です!
他にも... クガイソウ、タカネグンナイフウロ、イブキトラノオ、ミソガワソウなどが
咲き乱れています!

八本歯の分岐から北岳山荘への登山道沿い(トラバースルート)では...
タカネビランジ、キンロバイ、ミヤマムラサキ、タカネナデシコ、ミネウスユキソウ、
チシマギキョウ、タカネコウリンカ、イブキジャコウソウ、ヤツガタケタンポポ、
ミヤママンネングサ、ヒメコゴメグサ、タカネシュロソウ、ミヤマミミナグサなど
今回も載せきれないほどたくさんの種類が咲いています!

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2016年07月11日開けたら閉める。

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

暑い夏、節電のためにも食材を守るためにも、冷蔵庫の扉は「開けたら閉める」が
重要ですよね。

こちらの扉も「開けたら閉める」が重要です!
(標高2,900m付近にある「扉」。7月10日撮影)


実はこれ、荒川三山にある防鹿柵の扉です。(後ろに見えるのは赤石岳。)
荒川三山の中岳から荒川小屋へ向かう途中(前岳の直下付近)には、登山道が防鹿柵を横切る箇所が
あり、登山者の皆さんには この扉を開閉して防鹿柵を通過していただくようお願いしています。

 *荒川岳の防鹿柵については 昨年の記事 にも載っていますので、よければご覧ください。

もしも、扉を閉め忘れるとどうなるか?
答えは...ニホンジカが防鹿柵の中に入って高山植物を食べてしまう可能性があるんです。
7月8~10日に行った防鹿柵の立ち上げ作業中には、ガスの中からニホンジカの鳴き声が聞こえました。
また、前岳の山頂をはじめ、あちこちで足跡や食痕が確認されています。そこかしこにシカの気配。
開けっ放しはキケン!
ですので、皆さん「扉は開けたら必ず閉める」ようにご協力をお願いします。
ちなみに「自分が開けていなくても開いていたら閉める」にもご協力をお願いしますね。

(防鹿柵内のお花畑。柵立ち上げ前に撮影。7月8日)


【 開花情報 】
イブキジャコウソウ、イワウメ、イワヒゲ、イワツメクサ、イワベンケイ、シコタンソウ、
チョウノスケソウ、ミヤマムラサキ、チングルマ、ムカゴトラノオ、ハクサンフウロ、
ミヤマクロユリ、ヨツバシオガマ、タカネヤハズハハコなど
千枚岳、荒川三山周辺では、他にもたくさんたくさん開花中です!
ハクサンイチゲは終わりかけ。シナノキンバイやミヤマダイコンソウは花びらの散った
ものを多く見かけました。

( 上:ミヤマムラサキ    7月9日撮影
  下:タカネヤハズハハコ  7月10日撮影)



なお、荒川三山周辺の山小屋は、7月16日(土)から夏季営業が始まります。
今年も、今の自分にあった山を選んで十分に計画を練って準備をし、安全で
最高の山旅を楽しみましょう!


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2016年07月06日小太郎山!

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

突然ですが、小太郎山ってご存知でしょうか?
こたろう。
名前の響きに何だか愛着を感じます。

小太郎山は標高2,725m、白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)の北の端にあり、
山梨百名山に選定されている山です。二重山稜という地形も観察できるんです!

(小太郎山。北岳を少し下った所から撮影。6月29日)


小太郎山は山頂はもちろん、山頂へ続く尾根上の登山道から仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、
そして振り返れば北岳...南アルプス北部の山々をぐるりと見渡しながら気持ちのよい尾根歩き
のできる最高の山です。
その小太郎山に6月30日に行ってきました!!

しかし...この日はあいにくの天気。
見えません。
本当に見えません。
「これでもか!」というくらいガス(霧)で何も見えません。残念。
(小太郎山山頂からアサヨ峰・甲斐駒ヶ岳...があると思われる方角。
                      真っ白。6月30日撮影)


小太郎山へのルートは北岳への登山道と異なり、やや不明瞭でした。
お天気のよいときは問題ないと思いますが、今回のようにすぐ先も見えないほど
ガスで視界が悪い時は慎重に進まないと登山道から外れてしまいそうになるので
小太郎山へ行くときはご注意ください。
でも、不明瞭な道より何より、景色を楽しむためにもお天気のいいときをおススメします!

【 二重山稜 】
2つの稜線がほぼ平行に並んだ地形のこと。
山稜の片側が谷側にずり落ちてでき、2つの稜線の間には凹地があります。
南アルプスでは多く見られる地形です。ぜひ探してみてください!
(小太郎尾根の二重稜線。小太郎尾根分岐より撮影。2014年9月)


【 開花情報 】
ツガザクラ、アオノツガザクラ、イワベンケイ、オヤマノエンドウ、チョウノスケソウ、
シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、ミヤマオダマキ、ミヤマクロユリ、ミヤマシオガマなど。
とても載せきれません。他にも北岳では多くの種類が咲き、見事なお花畑となっています。
(左上:ミヤマオダマキ  右上:ミヤマシオガマ
 左下:ミヤマクロユリ  右下:チョウノスケソウ 

                      6月29日撮影)


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2016年06月28日南アルプス 登山シーズン幕開け

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

6月25日(土)北岳の登山口である広河原で「2016南アルプス開山祭」が、
仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳の登山口である北沢峠で第58回「長衛祭」が執り行われ、
南アルプス北部の登山シーズンが本格的に始まりました!!

広河原では、地元芦安中学校生徒による「北岳の歌」などの合唱や、勇壮な夜叉神太鼓の
演奏が響き渡り、祭の最後は「蔓払い」の儀式で今年の安全登山を祈願しました。
(勇壮な夜叉神太鼓の演奏)














(蔓払い)


北沢峠で行われた長衛祭では、南アルプス北部を拓き、女性でも登れる山にしようと
尽力した竹沢長衛翁を偲ぶとともに、今年の山の安全を祈願しました。
今年も地元長野県伊那市特産のアルストロメリアが献花として使われていました。
(献花式)

山梨県南アルプス市の芦安小学校と長野県伊那市の長谷小学校の生徒による発表や合唱も
あり、子どもたちから元気もいただきました!



広河原では、25日の林道バス開通を待ちわびていた大勢の登山者が北岳へ入りました。
(翌日も芦安にある市営駐車場にはたくさんの車が止まっていました。26日午後撮影)


しかし、25日は、風が強く、雨も降り、天候的には厳しかったようです。
山は逃げませんので、お天気と相談しながら安全に山を楽しむことをお勧めします。

南アルプス南部は、7月中旬頃から営業の始まる小屋が多いようです。
登山を計画される方は、事前に情報収集をして、しっかり計画を立ててお出かけください。

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2016年06月24日お花を撮影したい! そんなとき・・・

南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。

南アルプス北部では、6月25日の山梨県側の林道バス全線開通に向けて、
関係者が着々と準備を進めています。私も22日に展示物の掲示や登山者カウンター
のメンテナンスで広河原や北沢峠に行っていました。


大樺沢沿いなどでは、タカネグンナイフウロなどの花が咲いていましたよ。
(右上:ミヤマカラマツ、左上:タカネグンナイフウロ、
 右下:バイカウツギ、 左下:クルマバソウ )


広河原では、数日前に状況確認に行ったインフォメーションセンタースタッフや
下山してきた北岳山荘の方から、北岳周辺の最新の花の状況を聞くことができました。
それによると・・・
 ●草すべり上部ではシナノキンバイが既に満開(!!)
 ●北岳周辺ではミヤマダイコンソウやミヤマムラサキなど夏の花々が咲いている
 ●北岳のトラバースルート(八本歯のコルから北岳山荘へのルート)は来週半ば
  くらいが見頃
ということです。また、キタダケソウもまだ少し咲き残っているようです。
高山植物はますます開花が早まって、例年よりひと月ほど早いとか...。

さて、皆さんの中には、高山植物の写真を撮るのが好き!という方がいることでしょう。
そして、高山植物の麗しいお姿を見つけたら「ああ!美しく撮りたい!」という熱い想い
が生まれるのではないでしょうか。私はそうです。(なかなか美しく撮れませんが。)

(麗しのハクサンイチゲ 北岳山荘周辺にて。6月8日撮影)


ほとんどの方はマナーを守って撮影していますが、中にはこんな方もいるかもしれません。
『より美しく撮れるポイント、アングルを求めてうろうろ...』
でも、ちょっと待ってください。

ここは自然の中。撮影スタジオではありません。
皆さんの足やカメラの三脚の下には、厳しい自然環境の中で懸命に生きる植物がいっぱいです。

これから麗しい姿に育たんとする芽生えや、目立つ花はないけど自然の中で重要な役割
を果たしている植物があります。
(「よーし、育つぞ!」と聞こえてきそうな小さな芽。北岳にて。6月6日撮影)


美しく咲き誇る花を求めて登山道をはずれ、ガッチリした登山靴で斜面を踏みしめて
歩けば、植物は傷つき、土壌は削られます。削られた土壌が雨で流れてしまえば、植物
が育ちにくくなり、ますます土壌が流れ、さらに植物が育ちにくくなるという悪循環に
陥ります。

そんな場所が南アルプスには残念ながらあるんです。


(踏み込みが原因で土壌が流れ出てしまっている斜面)


山では登山道沿いに綺麗な花があるとは限りません。
でも、離れた場所の花をアップで撮りたいことってありますよね。
そんなとき、私は望遠レンズやズーム機能を使っています。ズームすれば登山道から
外れなくても、大きく写すことができます。
(ズーム機能を使って撮影した例。左:ズーム前、右:ズーム後)


もしかすると最高の写真は撮れないかもしれません。でも、南アルプスの自然を大切に
思うからこの写真なんだと思えば誇らしくなりませんか?
今シーズンも南アルプスの自然を一緒に守りながら、高山植物を楽しみましょう♪

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