小笠原国立公園 小笠原
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2008年03月05日お引っ越し
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
小笠原の冬はいろんな渡り鳥が来るので、鳥好きの方は冬に来るのがお勧めですよ。
北太平洋最大の海鳥であるアホウドリ。
最近よくテレビや新聞に載っているので、よく耳にすることが多いかと思います。
絶滅の危機に瀕しているアホウドリ。
19世紀前半までは500万羽いたけど、19世紀後半には乱獲によって500羽あまりまで減ってしまいました。
一時は絶滅したかと思われましたが、今繁殖が確認されているのが伊豆鳥島と尖閣諸島のみ、その数は2000羽と300羽ぐらい。
保護活動のおかげて着々と増えてきていますがひとつ問題があります。
伊豆鳥島は火山島。
いつ噴火するか分らない島。
噴火してしまったら、せっかく増えたアホウドリも一気に絶滅してしまいます。
尖閣諸島もいろいろな問題があり保護増殖事業を行えません。
そこで第3の繁殖地を!ということで、昔アホウドリが住んでいた小笠原諸島の聟島(むこじま)が選ばれました。
伊豆鳥島から雛10羽を聟島に運んできて、巣立つまで人間が親代わりになり子育てをします。
去年は試しにクロアシアホウドリの雛を育てて、無事巣立ちました。
巣立って戻ってくるのは5年後…
無事繁殖に戻ってくることを祈りつつ、そして聟島がアホウドリの楽園に戻ることを祈りつつ、アホウドリの成長を見守っていきたいと思います。
アホウドリの雛たち
2008年02月27日見ましたっ!
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
約3日間朝から夜まで、各専門家・各行政機関・地域住民みんなで熱い議論を交わし、アカガシラカラスバト(通称”あかぽっぽ”に決定!)の保全のためにできることを取り決めました。
詳細は下記のホームページにありますので、ご覧下さい。
http://ogasawara.or.jp/karasubato/index.htm
そして今、あかぽっぽの保全の為、取り決めた目標にむけ、行動を起こしています。
その一環として先日、山に調査に入ったら、何とっ!初めてあかぽっぽとご対面しましたっ!!
光沢がかってとてもキレイな鳥でした。
見たらなんだかとても幸せな気分になりました。
やはり実物を見ると、よりあかぽっぽに親近感がわきますね。
そしてより守ろうという気持ちが沸いてきました。
イルカ・クジラも魅力的ですが、この世界で4,50羽しかいなく、かつこの島にしかいないあかぽっぽもよろしくお願いします!
餌をついばんでいるあかっぽっぽ。
首の動きが速いのでなかなかピントがあった写真を撮るのは難しいです。
2008年01月09日明けましておめでとうございます。
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
2007年12月26日カラス?ハト?
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
アカガシラカラスバト
小笠原固有種であり、天然記念物であり、環境省レットデータブックでは絶滅危惧ⅠA類に分類されます。
小笠原群島と火山列島にしか生息せず、生息数は40羽ほどしかいない非常に珍しい鳥です。島民ですら見たことない人が多数います!
そんなアカガシラカラスバトの保全を目的とした「アカガシラカラスバト保全計画づくり国際ワークショップ」が平成20年1月10日~13日の日程で、父島で開催されることとなりました。
このワークショップでは、海外から招聘した専門家、地域住民、様々な分野の関係者等が一堂に会し、本種に関して明らかとなっている情報を整理・共有して、保全のための目標を定めるとともに、その達成のために必要かつ実行可能な行動計画が作成される予定です。
詳細は以下のホームページをご覧下さい。
アカガシラカラスバト保全計画づくり国際ワークショップHP
http://ogasawara.or.jp/karasubato/index.htm
環境省報道発表
http://www.env.go.jp/press/9203.html
このワークショップは一般公開する部分も多数ありますので、ぜひ足を運んでみて下さい。
またイベント(アカガシラカラスバトの愛称も募集、解説パネル展、エコグッズの販売など)も盛りだくさんですので、皆様の参加をお待ちしております。
Merry Christmas & Happy New Year!!!
2007年12月12日パンフレット
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
そして新たに環境省作成による”小笠原の自然のために私たちが取り組むこと”というパンフレットが完成しました。
小笠原のみんなで取り組んでいる自然環境保全について分かりやすく書いてあるので、来島の際には各行政機関や観光協会等に立ち寄ってぜひ一読してみて下さい。
また、小笠原の世界自然遺産登録、自然再生に関する総合的なホームページ『小笠原自然情報センター(http://ogasawara-info.jp)』を開設しました。
こちらのホームページからも各パンフレットのPDFデータをダウンロードできるので是非ご覧下さい。
2007年12月05日南硫黄島
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
この島は日本初の原生自然環境保全地域に指定され、人間の立ち入りを禁止した島です。
原生自然環境保全地域とは、人の活動の影響を受けることなく原生の状態を維持している地域のことです。
南硫黄島はどんな島かというと、面積は3.54km2。周囲は約7.5km。直径はわずか2km。標高は916m(伊豆諸島・小笠原諸島の中では最高峰)。そして、平均斜度45度!の火山島です。
だいたい皇居に東京タワーの3倍の高さの山があると思っていただければわかりやすいと思います。
位置は東京とグァムのほぼ中間です。(東京から1300km)
小笠原諸島最南端の島です。
この島は日本では数少ない手つかずの自然の姿が残っています。
この島だけにしか生息しない貴重な動植物。
父島・母島では絶滅の危機に瀕している動植物。
中でも、クロウミツバメは全世界で南硫黄島と北硫黄島のみで繁殖が確認されており、ネズミの繁殖等で北硫黄島での繁殖が危ぶまれている現状から、南硫黄島の繁殖地は大変に貴重な存在であります。
またこの島は、現在に至るまでほとんど人為が加わることなく自然の状態が保たれてきたので、海洋島における自然状態での生物相、あるいは生物群集の成立や発展を実際に調べることができる貴重な島です。
このような島は日本では他にないでしょう。
今までなかなか南硫黄島のことについて知る機会もありませんでしたが、1936年、1982年に続き2007年6月に25年ぶり3回目の学術調査に入りました。
その調査の詳細は先日テレビにて放映されましたが、見逃した方に朗報です!
神奈川県にある、神奈川県立生命の星・地球博物館にてこの調査の様子と成果を展示しています。
温泉に行くついでに足を運んでみて下さい。
詳しくはこちら、
http://nh.kanagawa-museum.jp/event/tokubetu/index.html
2007年11月22日珍しいカタツムリ
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
小笠原には100種ちかい陸産貝類(カタツムリ、マイマイ)が生息しています。しかも9割以上が世界で小笠原しか生息しない固有種といわれています!
しかし、ここ最近ではかなりの数が激減しています。特に父島では固有種のマイマイ(だいたい数mm~数cmぐらい)をあまり見ることはありません。
それは何故?
父島に生息するマイマイは陸棲プラナリア類のニューギニアヤリガタリクウズムシにより食べられてしまっているからです。
もともとこのプラナリアは農作物を荒らす外来のアフリカマイマイの駆除のために持ち込まれたらしいのですが、それにより父島に棲むマイマイは絶滅の危機に瀕しています。
母島にはこのプラナリアはいないので、固有のマイマイはわりと身近に見られます(もちろんアフリカマイマイも)。
だけど、プラナリア類の除去はほとんど不可能とされ、またニューギニアヤリガタリクウズムシのような強力な種類は、いったん侵入をを許したが最後、もはや手の打ちようのない事態になってしまいます。
従って、まだプラナリア類の侵入していない地域を厳重に保護するとともに、プラナリア類の新たな侵入を防ぎ、またすでにプラナリア類の捕食にさらされている個体群は安全な生息地に移して隔離するという方法をとる以外に、小笠原のマイマイの絶滅を回避する方法はないのです。
小笠原では島から島への移動の際には靴に付着している泥を洗い流し、靴底を海水に浸すことを徹底しています。
プラナリア類は海水に弱いのです。
世にも貴重な、そして脆弱でもある固有のマイマイを守るために、小笠原へお越しの際には、特に母島や南島へ行く際には靴底を海水に浸すということをお忘れなく!
ちなみにアフリカマイマイには広東住血線虫という寄生虫がいて、その寄生虫が人間の口から入る最悪死んでしまうこともあります。
なので、決してアフリカマイマイには触らないで下さい(這った痕も)。もし触ってしまったならすぐに手を洗って下さい。
オガサワラオカモノアラガイ
2007年11月14日海の公園
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
ここ最近は動物調査やらサンゴ調査やらで月の半分ぐらい母島に行ってました。
母島は父島よりひっそりのんびりとした所でとてもいいですよ。
毎回母島から帰ってくると、父島は人が多く車が多くてなんて都会なんだろーって思います。
国立公園と聞くと山や高原の景色を思い浮かぶと思いますが、海の中にも国立公園があります。海中公園地区といって、海中の地形や生物の景観のすぐれた場所を保全するために設けられた地区のことです。
小笠原では各種規制・自主ルール等で、海中公園地区内での釣りや漁を禁止しております。ですからそこは魚たちのパラダイスです。
先日は母島の海中を潜って海中公園地区にも引けを取らない所を調査してきました。
数か所のポイントを3,40分潜っては写真を撮り潜っては写真をとり…の繰り返し。
ある意味この仕事は山をパトロールするより体力を消耗します。
辛かったですけど、きれいなサンゴの群生やきれいな熱帯魚もみれたのでよかったです。
ニモの映画でおなじみのドリーの元になった魚がいっぱい見れて幸せでした。
小笠原へお越しの際には、一度海中公園地区をシュノーケルすることをおススメします。
そこで海亀と会ったら竜宮城へ連れて行ってくれるかもしれませんよ。
2007年10月10日希少な植物
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
更新が滞ってしまいすいません。
先月は、小笠原の希少な野生植物の生育状況調査等を東京大学理学部付属植物園と東京都の方々としてきました。
10年程前から東京大学理学部付属植物園や中央学院高校の生物部、地元NPOと協力して絶滅に瀕した貴重な固有種を保護増殖育成活動をしております。
その成果として1個体までに減ってしまったムニンノボタンを保護したり、植栽したりして今では約300個体まで増殖しています。
ムニンノボタンの花の時期は過ぎてしまいましたが、ちょうどアサヒエビネが満開に咲いてとてもキレイでした。
いつまでも固有種が咲き乱れる島になってほしいですね。
アサヒエビネ
ムニンツツジ、ムニンツレサギソウ、ムニンタツナミソウ、デイゴ(島名:ビーデビーデ)、カエンボク、アマリリスなどなどが咲き始めています。
その中で珍しいものを一つ紹介します。
それは『シマウツボ』
魚ではありませんよ。(同名のウツボもいますが)
固有種であり、ハマウツボ科の寄生植物です。
草丈は10~15cmほど。
花の時期だけ地上に出てきます。秋にも咲きます。
見た目は黄金色した(黄色い)フキノトウって感じですかね。
和名のウツボの由来は、魚のウツボに似ているから…というわけではなく、花穂の形がうつぼ(靫)という矢を入れて背中に背負う武具に似ているからと言われています。
環境省のレッドデータブックではEN(絶滅危惧ⅠB類:ⅠA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種)に指定されています。
なぜ数が減ってきているのか?それはノヤギが好んで食べているから。
10cmそこそこじゃ、パクっと全部食べられちゃいますよねー。
周りの植物より先に食べられているので、きっとヤギ好みなのでしょう。
聞いた話によると、シマウツボにはどんな昆虫(送粉者)が訪れているのかまだ不明みたいです。
ひょっとしたら、あなたが第一発見者になれるかも・・・