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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園

326件の記事があります。

2021年08月06日伊豆半島で出会える夏の昆虫たち -カミキリムシ科編-

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。仰向けに転がった蝉が突如として動き出すとびっくりする齋田です。

巷ではこの現象を「セミファイナル」と呼ぶそうですね。半ば/蝉「semi」と最後「final」を掛けた言葉遊びでしょうか。

さて、伊豆半島の夏も後半戦に差し掛かり、国立公園内では多くの動植物が観察できる季節となりました。

自然観察にはもってこいの季節ではありますが、コロナ禍が続くなか、外出を自粛している方も多いのではないでしょうか?

今回の日記では、みなさんに伊豆半島の夏を感じて頂ければと、巡視(国立公園を構成する施設の点検や利用状況の把握等を行う業務)の際に見かけた昆虫たちをご紹介します。

まずはこちら、バームクーヘンでおなじみの恵比須島にて出会った「ホシベニカミキリ」です。

【ホシベニカミキリ】

関東以西の温暖な地域で見られる南方系のカミキリムシ。どことなく南国チックな風貌をしていますね。

富士箱根伊豆国立公園では、海岸線付近の極相林やその周辺にて観察することができます。

真っ赤なボディにアシンメトリーの黒斑を持つオシャレさんですが、防潮林として植えられたタブノキを食べてしまうやっかいものとしても知られています。

続いて、河津七滝を通る踊子歩道にて出会った「シロスジカミキリ」です。

【シロスジカミキリ】

山間部で見られる大型のカミキリムシ。人差し指と比較すると大きさがイメージできるかと思います。

その圧倒的な体サイズからなる迫力もさることながら、筆で描いたような白い模様に目が引かれますね。

富士箱根伊豆国立公園では、クリやコナラの二次林を中心に多くのエリアで観察することができます。

「カブトムシを探しに行ったらでっかいカミキリムシを見かけた」という場合は本種であることが多いです。

今回の日記では、夏の季節に富士箱根伊豆国立公園にて観察できるカミキリムシ科の昆虫のうち、代表的な2種について紹介しました。

伊豆半島の豊かな自然の中では、このほかにもさまざまな生き物たちと出会うことができます。

「夏の生き物といえば昆虫でしょ!」という声が聞こえた気がするので、しばらくは伊豆半島で出会った昆虫たちにスポットを当てた内容をお届けします。

不要不急の外出自粛が呼びかけられているなか、みなさんにはこの日記を通じて少しでも富士箱根伊豆国立公園の夏を感じて頂ければうれしく思います。

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。

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2021年08月03日富士登山成功のカギは準備にあり!<体力編>

富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒

2年ぶりの開山!


富士山が2年ぶりに開山してから1ヶ月(静岡県側では3週間日ほど)ですね。例年梅雨明けまでは登山者も少なく比較的静かで、海の日くらいからいよいよ夏山シーズン本番となってきます。今年も4連休辺りから登山者が多くなってきた印象です。

これから富士登山を計画している方に、現地で働く環境省のアクティブ・レンジャーが安全・快適・楽しい登山にするためのポイントをお伝えしたいと思います。

富士登山成功のカギは・・・・


8シーズン富士山で働き、毎年多くの登山者を見て感じていますが、声を大にして言いたいです!

富士登山成功のカギは「準備」です!!


良い思い出になるかどうかは、かなりの部分を「準備」が占めていると思います。
特に今年は新型コロナウィルスへの対策や救助体制に影響を与えないためにも例年以上に確実な準備をすることが重要です。

自分の行動次第で「より楽しく安全な」登山になるなら、準備するに越したことはありませんよね?

  •  ●装備とルール
  •  ●体力強化
  •  ●プランニング・情報収集


日本一高い富士山は決して簡単ではありません。富士登山を成功に導くにはどの準備も非常に重要です。すでに「装備とルール」については7月14日に高木アクティブ・レンジャーが投稿済(「【富士山編】開山前から出来る装備の状態とルールの確認」ですので、今回は体力強化についてお伝えします。

富士山は楽じゃない!


富士山の五合目から山頂まではルートによって異なりますが、距離は片道4.5km~10.5km、標高差は片道で1,400m~1,800m。登山時間は標準で往復10~13時間。日常生活にはない運動強度です。

五合目
の標高
距離
(往復)
標高差
(五合目〜山頂)
コースタイム*
吉田ルート 2,305m 17.4km 1,471m 登り:6.5時間
下り:4.0時間
合計:10.5時間
須走ルート 1,970m 16.1km 1,806m 登り:7.0時間
下り:4.0時間
合計:11.0時間
御殿場ルート 1,440m 20.8km 2,336m 登り:8.5時間
下り:4.5時間
合計:13.0時間
富士宮ルート 2,380m 12.2km 1,386m 登り:6.0時間
下り:4.0時間
合計:10.0時間

 *コースタイムは個人差が大きいのであくまで目安です



それも行きは登りっぱなし、帰りは下りっぱなしと同じ筋肉を酷使します。さらに登るほど酸素は薄くなり、行動すること自体が大変になります。

みなさん、平地で10km歩いたことあるでしょうか??1日に6時間以上歩いたことありますか?それよりも山は何倍も大変です!

何故、体力強化が必要?


体力・筋力がないことで、起こり得るリスクはなんでしょうか?かなり沢山あります。

 ●ふんばりが効かなくなり身体のバランスが保てない
  ⇒転倒や落石を起こすなどの危険性が高くなる
  ⇒自らが怪我をしたり、他の登山者に怪我を負わせてしまうリスク
 ●予定より大幅に時間がかかってしまう
  ⇒日没による道迷いや公共交通機関に間に合わなくなる危険性
 ●バテてしまう
  ⇒集中力がなくなり道間違いをしたり、危険物に気付かない危険性
  ⇒景色を楽しむ余裕がない
  ⇒単純にしんどくてつらい。楽しくない

パトロールをしていると特に下山時にゾンビのように足を引きずって歩いている登山者をよく見かけます。見る度に「もっと準備しておけば、きっと違っただろうに、、、」と残念に思います。


皆さんだいぶお疲れです・・・・

体力は一日にしてならず!


体力強化には時間がかかります。日々の生活にちょっとした運動を取り入れてじっくり「登れる身体」を作っていくことが重要かつ効果的です。まだ身体ができていないと思う方は登山日を遅らせてでも、まずは身体を作る方を優先した方が結果的に安全で楽しい登山をすることができると思います。

今日から行動に移しましょう!

何をすればいい?


まず鍛える必要があるのは、

 ●長時間バテない持久力

 ●下半身や体幹

できれば1か月前くらいからこの2つを意識し準備したいところです。

<持久力>

①いつもより沢山歩く習慣を(毎日)

⇒1駅手前で下りて1~2キロ長く歩いてみたり、エスカレーターやエレベーターを使わずに階段を使ったり、急に負荷の高いことをするのではなく、まずは日々の生活に上手に取り入れていくことがポイントです。


②登山を想定して少し負荷をかけてみる(週1~2回)

⇒日々歩くことに慣れてきたら、登山を想定して、坂道を登ったり、ジョギングをしたりと長めの運動を週に1~2回やってみましょう。息が上がってしまうほどの運動ではなく、長時間続けられるペースを意識してみましょう。少し重い荷物を持って歩いてみるのも良いと思います。水泳や自転車こぎなども持久力アップには有効ですね。


③プレ登山で実際に登山をしてみる(月1~2回)

⇒富士登山の前に山に登ってみましょう。舗装路とはまた違いますし、自分がどんな所が苦手なのか(登り、下り、岩場、ザレ場など)というのを事前に知っておくのも重要です。5~6時間の山に登れば、富士山を1日(1泊2日の場合)登った時の自分の体力の消耗度も想像しやすくなると思います。

持久力の強化は心肺機能の強化にもなるので、空気の薄い富士山では、その効果も期待できると思います。

<下半身や体幹>

①スクワット

⇒登りでも下りでも酷使する「大腿四頭筋」を鍛えましょう!毎日続けることで着実に筋肉はついていきます。


②腹筋・背筋・プランクなど

⇒体幹を鍛えることで体全体の安定性が高まります。体の動きのスムーズさ、重い荷物を長時間背負ったり、不安定な足場でバランスを取ったり、あらゆる状況で助けてくれます。

下半身や体幹のトレーニングの方法はインターネットで検索すると沢山出てくると思いますので、ご自身の体力にあったものを試してみましょう!

何よりも続けることが大切です!そしてその努力が登山をより楽しく安全なものにしてくれます。


日本の宝である富士山を皆さんに思う存分楽しんでもらいたい!!と言うのが 私の願いです。
この日記が、準備不足によるリスクを知っていただき行動に移すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

次回は富士箱根伊豆国立公園内で富士登山本番の前の予行練習におすすめの山をご紹介したいと思います!

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2021年07月27日仙石原湿原「ヨシ刈り後の開花調査」とモウセンゴケの花 (箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

梅雨も明け、本格的な夏がやってきそうな箱根です。

夏の花たちが咲き始めるこの時期、箱根町では仙石原湿原で咲いている花数を数える「ヨシ刈り後の開花調査」が行われました。この調査は、先行して約1ヶ月前に今年で13回目となる「ヨシ刈り」が実施され、これによって適度な日照を得られた湿地性植物が、ヨシ刈りをしなかった場所と比較して勢力がどう変化するかを、花数によって確認する調査です。この結果は、ヨシ刈りを今後の仙石原湿原の保全にどう活用するべきか検討する材料にもなっていきます。

【今年のヨシ刈り風景  背景には天然記念物の石碑とススキ草原が見えます】

(ヨシ刈りについてはこちらを確認下さい⇒昨年の「ヨシ刈り」作業について

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]_「箱根仙石原湿原植物群落」保全活動(箱根地域) (env.go.jp)

開花調査当日は、コロナ禍、および神奈川県では蔓延防止重点等措置が発令されている中でしたので、マスク着用、そして対象地域外の少数人員で作業を実施し、この作業にアクティブ・レンジャーも同行しました。少人数での調査になったため、調査対象はこの時期開花を迎える3種「ノハナショウブ」「カキラン」「ミズチドリ」に絞り実施しています。

【開花調査前 草丈の短い部分がヨシ刈りをした場所です】

ヨシ刈り実施箇所の方形区ではヨシが育ち始めていましたが、方形区の4角形がはっきりと目視確認できます。この方形区の横に、ヨシ刈りをする前の状態と同じ環境、同じ広さの方形区(対照区)をそれぞれ新たに作り、この2か所内の花数を比較します。汗だくになって作業を実施した皆さんは、パークボランティア関係者や箱根湿生花園の方々です。この皆さんは植物調査の経験が豊富なので、少人数でしたが手早く調査が実施出来ました。蒸し暑い最中、本当に頭が下がります。

調査に参加した感想は、日当たりが良い場所ではしっかりと「ノハナショウブ」の開花数が増え、「カキラン」は日向でも日陰部でも咲いているといった印象でした。広くはない湿原の中で、植物たちは自らに適した環境を求めて生育している様子に驚きます。

【カキランとノハナショウブ(どちらも神奈川県絶滅危惧ⅠB類)】

「ミズチドリ」は至る所で咲いており、少しヨシが伸びている場所でも元気に咲くようでした。

【ミズチドリ(神奈川県絶滅危惧ⅠB類)】

更に今回は、調査対象種以外の植物ではありますが、ヨシ刈りの効果で元気に咲く湿地性植物を目にすることが出来ました。「モウセンゴケ」の花です!

【モウセンゴケ(神奈川県絶滅危惧ⅠB類)とその花 】

「モウセンゴケ」に、このように可愛らしい花が咲くのは意外でした。ヨシ刈り後の方形区内は一部ではありますがモウセンゴケのお花畑となっていました。太陽の光が好きな植物であり、ヨシ刈りによって好環境がそろった結果と思われます。

今回紹介した植物たちは、全国的には一般的に観察できる植物ですが、神奈川県では希少種のカテゴリー「絶滅危惧ⅠB類」に指定されています。

【希少種って何?と思われた方は以下サイトを確認下さい。希少種カテゴリーを調べるのにも便利です。】

★生物情報収集・提供システム・生きものログ⇒https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/

仙石原湿原は、「ヨシ刈り」という人の手による管理で、湿地性植物を維持していた歴史があります。その昔は、馬を放牧して下草を食べさせ、また民家の屋根の材料としてヨシが刈られることを繰り返して、仙石原湿原にはノハナショウブが咲き誇ったとも言われています。このサイクルが残念ながら失われている今、現存する生物多様性を守る為にも、「ヨシ刈り」が保全活動に有用であろうことは、今回の「開花調査」への同行で実感できました。「開花調査」の結果自体は、その年の天候によっても変化があるので、今後も継続して観察していくことが重要です。何もしなければ、乾燥が進んで湿地は消えてしまいますので、アクティブ・レンジャーとしては、仙石原湿原の保全活動3本柱「火入れ」「ヨシ刈り」「開花調査」の繰り返しを、今後も協力、応援できればと考えています。

【おまけ】

仙石原湿原では、湿地性植物以外にも、箱根の山で観察できるユニークな植物に出会えました。

「オオナンバンギセル」です。こちらは全国で、一般的に観察しやすい植物です。

【オオナンバンギセル】

ススキの根元に出る寄生植物ですので、ハイキング中にススキを見かけたときには、

是非探してみてください。

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2021年07月05日今年も『モリアオガエル』に会えました!

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

7月になりました。今年の半分が終わったなんて時間が経つのは本当に早いです。

さて、今回の日記では6月梅雨の晴れ間に昨年度も日記で紹介した猫越(ねっこ)岳山頂の池『モリアオガエル』の産卵を確認に行って来ましたので紹介したいと思います。

猫越岳山頂の池は伊豆山稜線歩道の仁科峠駐車場から天城峠方面に1時間程歩いたところにあります。モリアオガエルの産卵場所として有名で、普段は森に住むモリアオガエルも、産卵の時期はこの池へやってきます。森の中ではなかなか見る事が出来ませんが、梅雨のこの時期運が良ければ目の前で産卵の様子などが観察できるのです。木の下でしばらく目を凝らして眺めていると、今にもジャンプしそうなポーズのモリアオガエルを発見しました。


夜行性のモリアオガエルですが、昨年同様に日中も池の分岐に近づくと大合唱が聞こえてきました。今年も元気に活動しています。ふと、夜はもっと凄い大合唱のかな?と思ったのですが、夜中に何も知らずこの大合唱が聞こえたらちょっと怖いかもしれませんね。

多くの卵塊とモリアオガエルを確認しましたので、写真で紹介します。

【 中央:モリアオガエルの産卵 右側:卵塊 】(クリック拡大)

池の周りの木にはたくさんの卵塊を確認できました。人気のある木は枝が池にせり出している木です。卵塊の中で孵化したオタマジャクシが安全に池に落下できるように考えて選んでいるのでしょうか。

そして今年も「モリアオガエルを探せ!!」をお楽しみ下さい。

下の写真の中にモリアオガエルがいます。どこにいるでしょうか?(写真クリック拡大)

卵塊もいくつか写っていますので拡大して観察してみて下さい。

昨年より少し難易度を上げております。よく見て下さいね。

ヒント:カエルの目を探して下さい。目が慣れてくると見えてきます。何匹かいますよ。

さて見つかりましたか?難しかったでしょうか?

それでは、、、答えです 


4匹も隠れていました!実際にはもう少し隠れていますが、しっかり確認出来るモリアオガエルだけをカウントしています。見つからなかった人は、もう一度写真をクリック拡大して確認してみてくださいね。

毎年池に着いてしばらくの間、声は聞こえるのに姿はなかなか確認出来ません。不思議としばらく見ていると次々に発見できます。見ていた場所で発見出来たとき、ずっと見ていたのにこんなにいたの!?とビックリします。本当にかくれんぼが上手です。

たくさんのオタマジャクシも池の中で確認できました。水面に落下したオタマジャクシは1ヶ月程でカエルの姿に成長し森へ帰っていきます。

【 オタマジャクシ(クリック拡大) 】

最後に昨年目の前でたまたま見つけたモリアオガエルが同じ木にいるか確認にいくと、、、

 

残念ながら同じ木にはいませんでした。今年も多くのモリアオガエルが無事に森に帰り元気に成長してまた来年会えるといいなと思います。

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2021年06月30日今年も満開でした!「梅雨の下田公園」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。折りたたみ傘の骨組みに髪をひっぱられがちな齋田です。

ここしばらくはどんよりと灰色の雲に覆われた空模様が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、伊豆半島南部では、そんな憂鬱な天気を忘れさせるかのような色鮮やかなあじさいが咲き誇りました。

アクティブ・レンジャー日記をご覧のみなさんは、不要不急の外出を自粛している方がほとんどかと思いますので、写真から梅雨の季節の楽しい側面を感じて頂ければ嬉しいです。

こちらの写真は、伊豆半島では定番のあじさいスポット「下田公園」の6月上旬の様子です。

下田公園は、北条氏が水軍の拠点とした下田城の障子掘を間近にみることができる数少ない城址として日本史好きには堪らない閑静な公園ですが、梅雨の時期には雰囲気が一変します。今年も敷地全体が鮮やかなあじさいに包まれました。

  

【下田公園のあじさい】

下田公園内のフォトスポットやあじさいの開花時期等については、昨年の日記『自然の万華鏡?「梅雨の下田公園」』をご覧下さい。

富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域に安心してお越し頂ける日常が戻ることを、心より願っています。

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、都道府県内の移動においても各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。

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2021年06月29日芦ノ湖水門を訪ねて2021(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

5月に予定していたパークボランティア主催の行事「芦ノ湖水門と歴史を訪ねて」は、まん延防止措置対策のため中止されましたが、今回も次年度に向けての研修が実施され、アクティブレンジャーが同行しています。

このコースは、箱根の「歴史」と「ジオ(大地のパワー)」に触れられるコースです。

【 箱根ビジターセンターで配布しているコースマップです 】

【湖尻水門】

このコースでは「湖尻水門」「深良水門」2つの水門を通ります。

上部写真の「湖尻水門」は、大雨等で芦ノ湖の水が増えすぎた際に解放される水門です。今の姿は平成2年に立て替えられた新しいものです。それ以前は手動の水門だったそうです。パークボランティアさんの中には、以前の古い湖尻水門を実際に手動で締めて、芦ノ湖の水量を管理した経験者がいます。経験者が語る、リアルな水門管理のお話は、聞き応えがあることでしょう。

【移築され残されている古い湖尻水門】

「深良水門」周辺からは、登りのコースです。芦ノ湖周辺の標高700m前後から、1000m前後まで1時間程度かけて登っていきます。一部古い石畳が残されていますが、滑りやすいため注意して歩く必要があります。

【深良水門 (2020年3月撮影)】

途中に現れる、箱根スカイライン(車道)を歩いて渡ると、ここから景観が変わります。富士山から吹く風が、冷たく強く吹くことで、育つ植物が限られてくる地帯「風衝地」です。箱根外輪山らしい景色が広がります。

【 箱根の風衝地はササの草原です 】

 そして振り返ると、そこには絶景が。

【 芦ノ湖と箱根内輪山 】

 箱根の名所を一度に見渡せる景観が広がります。箱根には火山活動と人の暮らしが両立してきた歴史が有り、「ジオサイト」と呼ばれる、大地が動いている軌跡が各所にあります。この風景を眺めながらパークボランティアさんのガイドを聞くことで、「ジオサイト」の点と点をつないだ線が見え、箱根ジオパークの全体像が感じられました。スタート地点の箱根ビジターセンターも見えて、歩いた距離の実感も湧きますよ。

 また、それ以外にも、駿河湾や富士山が見える展望があり、実際にその目で見て欲しい!と感じる景観抜群のハイキングコースでした。写真撮影のベストスポットは、パークボランティアさんが知っています!是非、教えてもらいましょう。

季節の植物としては、「ツチアケビ」を目にすることが出来ました。5月下旬の姿はアスパラガスのようです。夏の姿はまた激変しますので、夏期以降でこのコースを歩くときには楽しみに探してみて下さい。

【ツチアケビ 春の姿はアスパラガス?】

来年は、お客様をご案内できますように。コロナ禍の終息を、切に願います。

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2021年06月11日天城シャクナゲコース 

富士箱根伊豆国立公園 沼津 刑部美鈴

こんにちは!沼津管理官事務所の刑部です。

今回は沼津の管轄地域である伊豆半島の天城山についてご紹介しようと思います。

普段は富士山エリアの担当ですが、今回は伊豆半島エリア担当の山田ARと一緒に天城シャクナゲコースにいってきました。

伊豆半島というと海のイメージが強いかもしれませんが、実は山地が大半を占めており、海だけではなく山も楽しめる、静岡県が誇る素晴らしい場所の一つです。

伊豆半島には地球の活動のわかる地形や地質のある場所 (ジオサイトと呼ばれています)が数多く有り、変わった自然の地形を楽しむこともできます。

▲山田AR撮影の滑沢渓谷 底の一枚板は溶岩

ジオサイトを訪れてみたい方は下田AR齋田さんの日記へ http://kanto.env.go.jp/blog/fujihakone/simoda/index.html

そんな伊豆半島にある天城山は伊豆の中央部にある山で日本百名山にも選ばれていますが、天城山という名前の山はなく万二郎岳、万三郎岳などを含む山の総称です。天城山は年間降水量が4000mmを超える非常に雨が多い国内有数の多雨地域ですし、ブナの原生林もあり、固有種であるアマギツツジ、アマギシャクナゲが咲きます。

今回の目当てはアマギシャクナゲでしたが、見頃の時期は過ぎており連日の雨などの影響もあったので、少しでも残っているものがあればよいなと思っていました。そんな中でも、遅咲きで残っているシャクナゲがいくつかありました!

▲淡いピンク色が素敵! シャクナゲはまた来年ですね

シャクナゲはもう終わりでしたが、ヤマツツジは今が見頃を迎えておりました。

▲ヤマツツジ

新緑の緑と色とりどりの花で山は歩くのにとても気持ちがよい季節です。特にブナの森は新緑がとてもきれいで、毎回はっとさせられます。

▲こんなにすてきなブナの森も!

ツツジが落ちて登山道が一面ピンクになっていました。トウゴクミツバツツジでしょうかね。

これから見頃を迎えるというアマギツツジも是非見てみたいですね。

四季折々で楽しめる魅力いっぱいの天城山でした。

来月はいよいよ富士山が開山します。次回の日記は富士山の開山についてご紹介しようと思います。

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2021年06月10日富士山の豊かな自然と火山を感じる【富士山自然休養林を歩く】

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

暑い日が続いています。毎年書いている気がしますが6月は紫陽花がキレイな季節ですね。今年は咲き始めが明るい緑で、開花ともに白に変化していく紫陽花を庭で育てています。毎日変化を見るのが楽しみです。

今回は、富士山自然休養林歩道の巡視に行って来ましたので、おすすめの場所をいくつか紹介したいと思います。

静岡県側の富士山開山日は7月10日ですが、現在、御殿場口・須走口・富士宮口の五合目まで車で行くことが出来ます。(開山後はマイカー規制が始まりますのでご注意下さい。詳しい情報は→富士登山オフィシャルサイト

富士山の五合目より山頂へ向かう全ての登山道は閉山期間中ですので入れませんが、開山前のこの時期におすすめのハイキングコースがあります。富士山を眺めながら山麓を歩く富士山自然休養林歩道です。コースによって富士山を感じるスコリアの歩道や、山麓ならではの自然豊かな森の中を歩く歩道、富士山の歴史を感じるスポットなどがあります。コースもご自身の興味がある場所や体力に合わせて考えられるので幅広く楽しめる場所になっています。

おすすめ①二ッ塚

まずは、御殿場口新五合目から1時間程で行ける二ッ塚(双子山)です。名前の通り二ッ塚上塚(上双子山)と、二ッ塚下塚(下双子山)を合わせて二ッ塚(双子山)と呼ばれています。御殿場口新五合目から二ッ塚までは、富士山を正面に眺めながら、これぞ富士山と思わせる砂礫(細かなスコリア)の上を登っていきます。所々砂礫に足を取られ、一歩登っては後ろに戻されるような場所があり、御殿場ルートで富士登山をしようと思っている方には登山道をイメージしやすい場所になっています。

【 登山道からの眺望 】

御殿場口新五合目から二ッ塚までの間に植物は少ないですが、フジハタザオがカラマツの下でひっそりと咲いているのを発見しました。その他にも数は少ないですが、シロバナヘビイチゴやオンタデ、ヤマシャクヤクの花が咲いていました。フジアザミも大きく葉を広げている最中でした。こちらも開花が楽しみです。

【 カラマツとフジハタザオ 】

二ッ塚下塚(下双子山)山頂に登るとご神体の名前が書かれた石碑と鳥居があります。植生がなく遮る物のないので眺めがよく周辺の街や山麓がよく見えます。

【 二ッ塚下塚(下双子山)からの富士山 】

おすすめ②幕岩

案内看板の奥に見えている岩の壁は全て溶岩で出来ています。最下部は約一万年前の噴火の時のもので、最上部は1707年に宝永山が噴火した時のスコリアだと言われています。この辺りは二ッ塚周辺とは違い植物が生い茂り美しい森ですが、足下はやはりスコリアで覆われています。足を止めて歩道脇に目を向けると細かい穴の空いたスコリアに植物が根を張っています。


【 幕岩(まくいわ)


【 歩道脇のスコリア 】

おまけ

おすすめ③須山御胎内(国立公園外)

紹介したコースから少し下った場所に須山御胎内があります。この場所は旧須山口登山道一合目の場所で、鳥居の先の風穴に富士山の神様とされている木花咲耶姫の石像があります。以前の大雨の影響で残念ながら現在は風穴に入ることは出来ませんが、不思議な雰囲気のある場所で、周辺は美しい原生林が広がっています。

【 須山御胎内 】

今回の日記では富士山御殿場口新五合目周辺を紹介しましたが、ハイキングマップの推奨13コースを参考に、初夏の富士山麓の森をご自身の体力、目的に合わせて散策してみてはいかがでしょうか。

*各自、新型コロナ感染症対策をお願いいたします。移動においても各自治体のガイドラインをご確認下さい。

【 ハイキングマップ:富士山自然休養林保護管理協議会HPより抜粋 】

▼富士山自然休養林ハイキングマップ(富士山自然休養保護管理協議会)

http://www.kyuyorin.jp/

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2021年06月02日富士山に見る自然の脅威【富士五湖地域】

富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒

こんにちは。富士五湖の小西です。

ここのところ半袖で過ごせるような日も増えてきて、富士山に春先に現れる雪形「農鳥」もだいぶ小さくなり「卵」のようになってきました。

かなり雪も少なくなりました
*インターネット自然研究所(富士山北麓フラックス観測サイト)映像を使用)

ここ富士五湖地域の富士吉田市や鳴沢村では、春先3月から5月頃になると、「なだれ注意報」が時々発令されます。この地域は冬場かなり寒くなりますが、積もるような雪はシーズンに数回しかないのに何故でしょう?

そう、富士山です!!!!

富士山では数年に1度、大規模な雪崩が発生し、山腹の自然や道路、登山道が大きな被害を受けてきました。


今年も3月21日の300mmを超す大雨で溶けた雪が土砂と一緒に流れ出す「スラッシュ雪崩(こちらでは「雪代」とも呼ばれています。)」が発生し、山梨県側の五合目までのアクセス路である富士スバルラインは一部の橋や洞門が20m~170mにわたって雪や土砂に覆われ、通行できなくなってしまいました。

また、五合目あたりの標高をほぼ一周している歩道「御中道」も被害にあいました。

環境省では御中道をより楽しんでいただけるよう、数年前より歩道上に地図や自然解説の看板を整備しており、昨年秋にようやく全ての設置が完了したところでした。

新たに設置した植物解説看板          古い土台を活かして盤面をリニューアル

それらの看板の被害状況を確認するため、スバルラインの全面通行再開を待って御中道に行ってきました。

看板を設置した場所によっては、雪崩により流されてしまう危険性もあるため、冬期の間、取り外しができる設計にはしていましたが、諸事情もありまず『ひと冬どんな状況か様子を見てみよう』ということで外さずにいましたが、、、、、

昨年12月の設置完了の検査時は立派に立っていましたが、、、

見事にやられてしまいました、、、、、、、

雪崩により根元から折れ曲がった看板

盤面は無傷でしたが、しゃがんで覗き込まないとみえません

スラッシュ雪崩でなぎ倒された樹々

自然の脅威を見せつけられました。

幸い被害にあった看板は1つだけでしたが、自然の力を知る例としてこのまま残すか撤去するか現在検討中です。

「富士山の変わらぬ美しさを後世に」

とよく言いますが、美しさは変わらずとも、山は天候や噴火など様々な自然の影響を受け変化をしていることを改めて実感しました。


何十年先の富士山はどうなっているのでしょうか?変化を見続けていきたいです。

*御中道はすでに開通しています。新型コロナ感染対策をした上で富士山の自然を楽しんでください。


富士山の開山まであと1か月です!今年こそは無事開山できるよう、関係者はそれぞれ準備を進めているところです。

(富士登山に関する情報は「富士登山オフィシャルサイト」に随時アップしていきます)

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2021年05月28日スミレを探して2021 (箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 箱根 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

令和3年度の箱根地域親しむ運動「スミレを探して春の仙石原を歩く」は、神奈川県の蔓延防止対策等措置の実施を受けて中止となりましたが、次年度に向けて対象地区外在住の少数精鋭のパークボランティアのみで研修を実施し、ARも同行しました。

当日のコース「仙石原探勝歩道」は、約8㎞の道のりを歩く長めのハイキングです。

【 仙石原自然探勝歩道 コースマップ 】

箱根ビジターセンターを出発し、箱根湿生花園まで昼休憩をはさんで、ゆっくりと約6時間を歩きます。高低差は少なめですので歩きやすいコースですが、体力はやや必要です。

今回はガイドマイク計5台を使用し、パークボランティアの皆さんに、解説時の使い心地を試してもらいました。もちろん、ソーシャルディスタンスを維持できることが最大のメリットですが、過去にお客様から「良い解説だが、声が聞き取りにくかった」という感想を頂いたことがあり、今回ガイドマイクを使用することによりそれが改善できることを実感しました。お客様とパークボランティアさん、それぞれの安全と安心の為にも、今後ガイドマイクは自然解説時の必須アイテムとなっていくでしょう。

【 ガイド中のパークボランティアさん 】

今回メインの観察対象「スミレ」は、なんと13種類を観察しました。1つの探勝歩道で見られるスミレの種類が、そんなにあることに驚きです。一人で歩いていたら、見分けがつきません。パークボランティアさんたちの解説の価値を強く感じました。観察できる植物はスミレ以外にもたくさんあり、それぞれに楽しい解説を聞くことが出来ました。

【ほんの一部のスミレたちです】

【スミレ以外の植物はもちろん、金時山と早川の美しい景観も臨めます】

また、仙石原探勝歩道には、今年ならではの話題の場所がありました。「耕牧舎」跡です。

【 耕牧舎跡の石碑 】

NHK大河ドラマで取り上げられている「渋沢栄一」は、箱根にも関わりが深い人物です。この「渋沢栄一」が箱根の人たちと共に、明治12年箱根仙石原に創設して沼津の御用邸に乳製品を納めていた牧場が「耕牧舎」です。この日は耕牧舎跡でランチ休憩を取りました。静かな木陰で、箱根の歴史を感じながら、ゆっくりと気持ちの良い時間が過ごせます。これからドラマに、箱根や耕牧舎の名が登場する日が楽しみになりました。

終日を通して、見どころ満載の仙石原探勝歩道でした。本当に良いコースです。次年度には、パークボランティアの皆さんと一緒に、お客様を案内できることを心待ちにしたいと心から感じる研修同行でした。そのためにも、コロナ禍が早く過ぎ去ることを祈るばかりです。

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