ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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小笠原国立公園 小笠原

257件の記事があります。

2020年04月24日【小笠原】未来に残していきたい植物

小笠原国立公園 小笠原 坂田彩

みなさん、こんにちは。

この4月から小笠原自然保護官事務所でアクティブ・レンジャーとして働いている坂田です。

働きはじめて3週間、まだまだわからないことも多いですが

大好きな自然の中で働きながら知っていく小笠原の素晴らしさや、

知らない一面をたくさんの方にお伝えしていければと思っています。

今回は最近巡視を行った『ウチダシクロキ』についてお話したいと思います。

ウチダシクロキは小笠原諸島の父島にのみに生息しているハイノキ科ハイノキ属の常緑低木です。

父島にしかないというだけでも貴重な植物ですが、

育っている場所の乾燥化が進み枯れてしまったり・・・

ノヤギ(人によって持ち込まれたヤギが野生化!!)に食べられてしまったり・・・・

ウチダシクロキを取り巻く環境の変化が原因で数が減り、

トキやライチョウと同じ国内希少野生動植物種の一つに指定されています。

小笠原ではウチダシクロキも含め、国内希少野生動植物種の植物のうち

12種を対象に保全対策を行っていて、巡視もその一環として行っています。

いざ、ウチダシクロキの生息地を訪れようとすると・・・

特別な許可を取って入林し、山の中をかき分けて道なき道を進み、山の稜線へ!!

太陽の日差しが降り注ぎ、海からの風が吹き付けるそんな場所に生育しています。

あえて過酷そうな場所に生育するウチダシクロキはすごいですね~

巡視では、実はできているかな、植物は元気かな、折れたり、枯れたりしていないかな、

1個体ずつ丁寧に調べて、記録に残していきます。

実際に見てみると、 "くるん"と丸まった、厚めの葉っぱが印象的で、

緑のつるんとした実がきれいだな~と感じました。

そんなウチダシクロキも現在は20株ほどが残されているのみ。

もっと増やしていきたい!!

しかし、種子から芽が出るのはなんと・・・・およそ2年後!!

また、芽も出にくいのがこのウチダシクロキ!!

今年は例年に比べ、実が少なめでした・・・・

ですが、少なくても実をつけ、新芽を伸ばして育っていく姿をみていると応援したくなります!!

 

【左:結実 右:新葉】             

          

この実が2年後に新たな芽を出し、育ってくれるのを願っています。

*国内希少野生動植物種とは

『種の保存法に基づき、国内に生息する絶滅のおそれのある野生生物のうち、人為の影響により、

存続に支障を来す事情が生じていると判断される種』のことをいいます。

<来島自粛のお知らせ>

現在小笠原では、新型コロナウィルス感染症の対策として島への来島の自粛をお願いしています。

詳細につきましては以下を参照ください。

小笠原村役場

https://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/panel-top_urgentnotice/jisyukuyousei.html/19474/

関東地方環境事務所

http://kanto.env.go.jp/emergency/2020/04/post-12.html

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2020年03月31日小笠原の鳥たち

小笠原国立公園 齋藤海穂

こんにちは。小笠原自然保護官事務所の齋藤です。

コロナウイルス拡散防止のため、事務所のある世界遺産センターもしばらく閉館としています。

まだまだ油断できないですね、皆様も体調管理にはお気をつけて下さい。

さて今回は、今月世界遺産センターにて開催していた「写真展-国指定鳥獣保護区管理員がみた鳥たち」から、小笠原の鳥たちを皆様へお届けいたします!

↑写真展示の様子(閉館中なのでお客様がいません。。。)

小笠原諸島は、アカガシラカラスバトやオガサワラオオコウモリなどの希少鳥獣の生息地として重要であることから、島のほぼ全域が「小笠原群島鳥獣保護区」に指定されており、また、大海原を渡ってくる旅鳥達の休息地としても重要な場所になっています。

私共も巡視や調査中に、オガサワラノスリやアカガシラカラスバト等に出会いますが、これらの巡視は鳥獣保護区管理員の方々にもお願いしています。

早速管理員の方が撮られた、美しい鳥たちの写真を紹介します。

まずは、身近な鳥シリーズ!

【オガサワラノスリ】

国の天然記念物であり、小笠原唯一の固有猛禽類。島では人と自然が共生しているため、生活圏内からでも確認できます。小笠原の空を悠々と飛ぶ姿はとても格好良いです!

【ハシナガウグイス】

ウグイスというと、声は聞くけれど姿を見ない鳥かと思いますが、固有亜種であるハシナガウグイスは違います。好奇心旺盛で、気が付くと隣の木の枝にいた、なんて事はよくあります。

さらに鳴き声の「ホーホケキョ」は一緒なのですが、「ホーホケケ、、、」「ホーホケキョ!!」といった具合で、ヘタクソです。笑

次は渡り鳥・迷鳥シリーズ!

【オシドリ】

内地ではお馴染みのオシドリ、実は小笠原では稀な渡り鳥です。鳥獣保護区管理員の方によると、オスしか確認されないとか。渡りのルートは不思議ですね。

【ツバメ】

こちらも内地ではお馴染み、ツバメです。ツバメは小笠原では迷鳥とされ、飛ぶルートを間違えたのか、通常では見ることができない鳥です。

今回紹介した鳥はほんの一部ですが、小笠原の鳥たちを見るだけで、内地との当たり前の違いに驚かされます!

皆様もご来島の際には、鳥にも注目してみてくださいね。

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2020年03月27日【小笠原】畜魂祭

小笠原国立公園 玉井徹

島の短い冬は終わり、紫外線も強くなってきました。

幸いにも新型コロナウイルスの影響は少なく清々しい毎日です。

〈おがさわら丸も毎便元気に運行中〉

こんにちは

小笠原・父島の玉井です。

先日、大神山神社にて畜魂祭が行われました。

〈大神山神社〉

"畜魂祭" あまり聞き慣れない言葉ですね。

小笠原は海洋島でありユニークな独自の生態系があります。

現在、生態系に悪影響を及ぼしているグリーンアノールや

クマネズミをはじめとした外来生物の駆除を行い

生態系の保全に取り組んでいます。

駆除によって、命を頂いた生物への感謝と慰霊

命の尊さを確認し、冥福を祈ります。

〈畜魂祭のようす〉

畜魂祭を通して

「生物への感謝を日々忘れないようにしよう....」

と再確認できました。

人によって持ち込まれる外来生物の駆除をこれ以上増やさない為にも

まずは、一人一人が外来生物を持ち込まない心構えが大切ではないでしょうか。

玉井

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2020年03月12日小笠原の魅力は「海」だけじゃない!?

小笠原国立公園 荻野裕太

春休みのせいか、毎便、定期船おがさわら丸で500名以上が来島し賑わっています。今の季節、ザトウクジラ等が小笠原近海で回遊しておりホエールウォッチングをされる方も多いのではないでしょうか。小笠原は「海」というイメージがありますが、「山で見られる固有動植物」も魅力のひとつです。今回、小笠原アクティブレンジャーが近々の巡視で目にした動植物をご紹介します。

=== 固有鳥類 ===

アカガシラカラスバト 絶滅危惧ⅠA類(環境省第4次レッドリスト)

小笠原村父島の山域でも見る機会は少なく、貴重な鳥類です。都内の動物園でも域外飼育されており、上野動物園、井の頭自然文化園で見ることができますので、機会がありましたら、動物園に足を運んでみてもいかがでしょうか。

=== 固有植物 ===

小笠原諸島の固有植物は、3W(風Wind,翼Wing,波Wave)という3つの要素で、奇跡的に島に渡ってきて、定着し進化した植物で根差し生態系を織りなしています。下の写真の植物以外にも、時折々の固有植物の花や姿を目にすることができます。ぜひ、小笠原村父島に来島された際は、固有種の花々を見てください。ツアーガイドを利用して見て触れて体感してみするのもオススメです。

ムニンヒメツバキ          コヘラナレン

ムニンシラガゴケ

最後に...

今年度3月を持って、環境省小笠原自然保護官事務所を退職することとなりました。

アクティブレンジャー日記(関東)を閲覧していただき、ありがとうございます。

今後も各自然保護官事務所に配属するアクティブレンジャー(自然保護官補佐)が

各国立公園の魅力を発信していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

環境省小笠原自然保護官事務所 荻野

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2020年02月10日【小笠原】近自然工法による遊歩道整備

小笠原国立公園 齋藤海穂

皆さん、こんにちは。

小笠原自然保護官事務所の齋藤です。

今回は「近自然工法による遊歩道整備」についてご紹介します。

【小笠原における近自然工法】

2014年より村が主体となり、北海道大雪山から「合同会社 北海道山岳整備」の皆様をお呼びし、千尋岩(ハートロック)の遊歩道整備や、桑の木山の遊歩道整備が行われています。

今回こちらの活動に参加しまして、近自然工法を学んできました。

北海道山岳整備では、近自然工法を、"自然界の構造を理解し、自然に近づける方法"と定義しています。

今回の作業では、小笠原特有の傾斜、滑りやすい赤土粘土に対して、重力のかかる方向を意識しながら、

つまり滑りにくい工夫をしながら、外来樹のモクマオウ、石を利用して整備を行いました。

【桑の木山 遊歩道整備】

整備箇所は二カ所。主に木材を利用する箇所と石材を利用する箇所です。

(ちなみに、木材は事前に別の場所にて、適したサイズの外来樹を見つけて切り倒し用意します 。石材は整備周辺箇所のものを活用します。)

▲木材利用の整備ポイント Before

 木を置いたものの、まだ歩き辛い道です。

 ここから手前の木材を安定させる為に、他木材と石を使い、ある仕上げを施します。

▲木材利用の整備ポイント After

 先程の木材(この写真の中央の木材)に、上部を木材で支え、下方を石で支えています。

支えている木材は自立する木の根に、石は下方の木にも支えられているため、丈夫です。

仕上げとして、隙間に小石や土を入れて完成!歩きやすそうです。

▲石材利用の整備ポイント Before

 通行箇所が小さくなだれてしまっています。ここに道を作ります。

▲石材利用の整備ポイント After

 石を大中小、重力がかかる方向が中央に集まるように噛み合わせます。

 こちらも仕上げに、小石と土を使いました。時間が経つほど隙間に小石や土が入り込み、

 丈夫になります。

【整備中のポイント】

少し離れて見て、自然の中の風景に馴染んでいるか、格好良いかをチェックします。

これが人工物に目が慣れている私達には難しく、どうしても綺麗に作ろうとしてしまいますが、

自然の中に整然とされた風景はなく、頭で考えるより感性を使って整備する方が良いようです。

活動を通して、目の前で自然物を利用して道ができあがる様は、

「道が出来た」ではなく「道が治った!」というような感動を覚えました。

皆様にもその感動を味わって頂きたく、山岳整備様より、

今回の活動をまとめた動画を頂戴しました。

是非それぞれのBefore、Afterと、作業風景をご覧下さい。

Youtube <https://www.youtube.com/watch?v=yTarnvAkgEs>

是非広がってほしい技術なので"近自然工法"、このような整備や補修方法があるということを、

皆様も是非ご記憶下さいね!

以上

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2020年01月23日【小笠原】 植物展開催中!

小笠原国立公園 齋藤海穂

こんにちは!

小笠原自然保護官事務所に1 月よりアクティブレンジャーとして着任しました、齋藤です。
新卒で入社した旅行会社の営業・添乗業務から一転、働き方改革と銘打って次の仕事探しをする最中に、

アクティブレンジャーに出会いました。
小笠原初上陸から約二週間、イルカやクジラはもちろん、調査の道中など美しい景色、険しい道等々、

小笠原の大自然に圧倒され続けております。


そんな小笠原初心者の私にもぴったりな企画が、現在世界遺産センターにて開催中です!

【THE 植物 in OGASAWARA】
期間:1 月8 日(水)~1 月31 日(金) 9:00~17:00 入館無料











←植物展ポスター

植物展の概要
・主に小笠原諸島の固有植物を実物展示
・解説ポスター、植物写真も展示
・東京大学附属植物園研究員による講演会(1 月10 日に実施済み)






←入り口で皆様をお迎えする、
「オガサワラグワ」「オオハマギキョウ」





←ポスターと固有植物展示
植物はNPO 法人小笠原野生生物研究会様の
ご協力によって展示しています。









←講演会ポスター
植物園技術専門職員 小牧様、東京大学教授 川北様に

ご講演頂きました。





←講演会には島民の方を中心に、
50 名程集まりました。

講演会内容は二つとも非常に興味深い内容で、島民の皆様も初めて知る!なんて情報もありました。
講演「小笠原の希少植物に未来はあるのか」では、各植物に沿った対策の必要性を強く感じ、小笠原固有の

植物ではありますが、今後維持していく為には島内外の協力が必要不可欠である事を学びました。
実際に私も、研究員の方々と植物調査へ向かいましたが、目的の植物はどれも険しい山奥や山頂付近など、

人の進入を拒んでいるような場所にありました。しかしノヤギやクマネズミなどの外来種や大型台風等の影響を受けている種もあり、このままの状態だといずれは無くなってしまうのではないかと言う状況を目の当たりにし、保全の取組みを続ける必要性を強く感じました。


そして講演「小笠原の固有植物の花はどのような動物に適応したのか?」では、小笠原の植物への理解を深める新しい観点を学びました。

訪花昆虫(ハチや蛾、蝶など)と小笠原の植物の花の形から見る本土との進化の違いは驚くべきもので、花の色、管の形、更には花粉を運んでもらう対象昆虫まで変化している植物もありました。
花や虫については島の皆様もご存じでしたが、その関係性には皆様驚いておりました。
私も小笠原の固有種の多さを再度確認出来ました。


小笠原の自然は、研究者や専門家だけでなく、島民の皆様にも大事にされています。
おがさわら丸は現在ドッグ点検中にて運航はしていませんが、
小笠原に来る機会がある時は、イルカやクジラだけで無く、小笠原の植物たちにも是非目を向けてみては
いかがでしょうか。

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2019年11月08日子どもパークレンジャー『母島の夜の世界を覗くんジャー!!』開催

小笠原国立公園 和田慎一郎

内地はすっかり寒くなってきた頃でしょうか?

小笠原もだいぶ涼しくなってきましたが、島っ子たちはまだまだ元気に海で泳いでいます。

そんな暑さの残る1019日、母島でこどもパークレンジャーを開催しました。

昨年度の「こどもパークレンジャーin母島」は日中に活動しましたが、タイトルどおり今回は夜に開催し、

夜行性の昆虫など、普段あまり目にすることのない生き物を観察してもらいました。

かつて小笠原には多くの固有昆虫がいましたが、様々な原因により数を減らしています。

考えられる原因の中には、昆虫を食べてしまう外来トカゲのグリーンアノールの影響も少なくないと考えられています。しかし、グリーンアノールは主に昼間に活動するので、夜の虫たちはそれほど影響を受けていないはずです。そこで、外来種の影響で固有種が見られないと思っている子どもたちを夜の世界に誘おう!というのがこの企画。虫以外にも、涼しい夜に活発に動くカタツムリや寝ている鳥なんかも見られるかも?!そんな期待を胸に、29人のこどもパークレンジャーが集結してくれました!

場所は、母島の集落から都道を3kmほど南下したところに位置する「南崎」。

島の南端まで歩くことができ、観光だけでなく島民も釣りなどで利用する人気スポットです。

しかし遊歩道はもちろん、駐車場にすら街灯がない真っ暗闇。

そんな中で懐中電灯だけを頼りに生きものを見つけ出すのは至難の業でしょう。

そこで、光や匂いに集まる習性を利用したトラップを仕掛け、引き寄せられた虫たちを観察しました。

 光で虫たちを誘い込むライトトラップ。どんな虫が寄ってきたかな?(虫の先生が解説:左)

寄ってきた虫のほとんどは蛾の仲間でしたが、蛾だからといって侮るなかれ!小笠原で記録されている

約200種の蛾のうち、およそ20%は固有種とされています。今回観察できた蛾の中にもたくさんの

固有種がいました。他にもウスバカゲロウの仲間やカミキリの仲間、ゾウムシの仲間もやってきました。

それらをちょっとだけ捕まえて、ケースに入れてよく観察。

 クロシオノメイガ。地味だけど固有種です

 よーく観察して特徴をメモしよう!

 班で選んだイチオシの虫をみんなに紹介

蛾の仲間でも種類によって翅の形や模様が様々だったり、同じ種類でもオスとメスで触覚の形が違ったりと、子どもたちの鋭い観察眼に虫の先生も驚きを隠せないようでした。

他にも、探検中に懐中電灯を消して耳を澄ませてみたり、葉っぱの下から出てきたカタツムリを見つけたりと、夜の森の雰囲気を存分に味わいました。

 最後にみんなで記念撮影

暗い中での活動ということで、安全対策などこれまで以上に準備や注意を要するイベントでしたが、

ケガや事故もなく終了。レアな体験に子どもたちも大興奮でした。

これからも、小笠原の貴重な自然をもっと身近に感じてもらえるようなイベントを企画していきたいですね。

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2019年10月11日【小笠原】オガサワラハンミョウ

小笠原国立公園 玉井徹

10月になり、小笠原にもようやくやや涼しい風が吹き始めました。

今年も、オガサワラハンミョウの季節が到来です。

オガサワラハンミョウは現在、

世界で兄島にのみ生息する希少な昆虫です。

野生絶滅を避けるため、

世界遺産センターで増殖し兄島へ移殖しています。

世界遺産センターでの飼育は順調に進んでおり、

成虫が続々と羽化しています!

着々と準備は進み、個体を移殖するため、いざ兄島へ。

早朝、現場に到着。

オガサワラゼミの鳴き声が響きます。

ここはかつてオガサワラハンミョウが生息していた場所です。

オガサワラハンミョウは

林内にパッチ状に存在する裸地を好みます。

いよいよ、野生下へ。

まずはケースのまましばらく野外を観察させ

その後一斉に放虫します。

放虫後の行動は、すぐに飛び立ったり

様子を伺いながら歩行したり、ケースに留まったり様々です。

少し観察を続けてみます。

なにやら茶色い物体を咥えています。

オガサワラオオアリを捕食しているようです!

空腹だったのでしょうか。さっそく、大自然に馴染んでいますね。

〈モニタリング調査の際に個体を識別できるよう、体にピンクとグリーンのマーキングを施しています。〉

交尾を始める個体も確認。

オスは下顎でがっちりとメスにしがみついて離しません。

順調に産卵してくれることを願います。

しばらくすると、ほとんどの個体は

兄島の台地へ元気に飛び去っていきました。

今後は、定期的にモニタリングを行い

巣穴や成虫の様子を調査していきます。

なかなか立ち会えない貴重な現場で、いい経験になりました。

玉井

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2019年07月12日【小笠原】東島

小笠原国立公園 玉井徹


先日、東島に上陸しました。

東島はその名の通り、父島の東側に位置します。

小さな無人島ですが、

近年発見されたオガサワラヒメミズナギドリは

世界で唯一この島で繁殖が確認されています。

その他、希少な海鳥類の繁殖地になっています。

今回は、陸産貝類(マイマイ)の生息状況調査を行いました。

【父島が奥に見える】

海況が悪かったため、上陸時に、下半身はずぶ濡れ....

足下は崩れやすく、危険です。

崖を登り奥へ進み、

マイマイが生息していそうな林内へ。

どんなマイマイがいるのか楽しみです。

【調査地点周辺の林】

それっぽい雰囲気になってきました....

調査では、地面の落ち葉を1枚1枚めくってマイマイを探します。

1地点目から多くのマイマイを発見!

雨の影響もあり、マイマイはとても活発な様子でした。

【確認された種の一部 大きさはたったの2~5mm程度!】

オガサワラノミガイ ハハジマヒメベッコウマイマイ ヒトハノミガイ

これらの微少なマイマイは、

波や鳥の糞などに紛れて島に渡ってきたと考えられています。

たまたまたどり着いた場所で、今まで生きてきたのです。

【帰りも気が抜けません】

東島は私も初上陸だったので、未知への期待でいっぱいでした。

調査を通して、小笠原の小さな命が

まだまだたくさん生き残っていることを改めて感じました。

帰りは激しい雨に打たれ、

最初から最後までずぶ濡れで無事に終了しました....

玉井

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2019年07月01日【小笠原】自然をこよなく愛する世界中の皆さん,こんにちは。

小笠原国立公園 小笠原 畑村亨

小笠原自然保護官事務所の畑村(ジョニー)です。

小笠原にきてまもなく1ヶ月が過ぎようとしています。小笠原は梅雨も明けこれからが

夏本番らしいですが私にしてみれば来たときからすでに夏本番でした。

そんなこんなで早くも夏ばてぎみですが、6月25日(火)に私より

少しイケメンで少しスタイルのいい先輩ARと希少植物【コバトベラ】の点検に

に行ってきました。コバトベラは小笠原諸島の父島にのみ生育する木本植物です。

その生態については十分に把握されていませんが、台風等の自然災害による生育環境の

変化やクマネズミ等による食害により減少し、現在では個体数が限られている状況です。

【花を咲かせたコバトベラ】

今後も世界にここにしかないコバトベラを絶やすことのないように生育環境の維持管理、

ネズミの食害から守るため果実の袋掛け等継続して実施し見守って行かなければなりません。

そしてこの日は朝から気温が高くそこにたどり着いた時にはへとへとだったのですが

ふと海に目を向けるとなんとそこにはうう、う、うん、雲かあ~い(海)が広がっていました。

先輩のARも初めて見たそうです。LIVEで見せる事ができないのは非常に残念ですが、

その時の感動を少しでも早くお届けできれば。

まるで天空の島。兄島。ワンダフル!ビューティフル!ファンタスティック!ブラボ~!

【雲海に浮かぶ兄島】

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