ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2018年09月19日尾瀬沼から奥鬼怒へ(後編)

日光国立公園 太田祐司

みなさん、こんにちは!

日光国立公園の太田です。

尾瀬から奥鬼怒を目指した巡視の後編を報告させていただきます。

小松湿原の水場は、2043m2055m標高点の間のコルにあると思い込んでいましたが、渇水期になれば枯れそうな、とても水汲みができそうも無い細い流れで慌てました。疑問に思い偵察で少しコルから登ると、樹木に水場の標識があり細いパイプから流れている水場がありました。

【小松湿原水場の標識】

ここで翌日までの水を各自2L背負ってさらに進みます。携帯電話の受信可能地点のチェックなどしながら、樹林帯を進み、鬼怒沼山を回り込むと鬼怒沼山への分岐です。

【鬼怒沼山への道】

ここには、鬼怒沼山山頂への方向標識はありますが、我々がやってきた黒岩山の方向を示す標識は無く、地図を持たない登山者は戸惑う場所かもしれません。

尾瀬沼を出てから約9時間が経過し、若い他の3人のメンバーも往復約30分の山頂に、行こうという強者はおらず、奥鬼怒湿原を目指すことにしました。30分ほど進むと、樹林帯の先に明るく開けた湿原が登場しました。

【奥鬼怒湿原】

奥鬼怒湿原は尾瀬ヶ原より標高が約600m高い2000mを越える高所にあり、取り囲む山が無いので、天上の楽園という言葉がピッタリに感じられます。

この夜は、湿原のそばの樹林の中にある避難小屋に宿泊しました。この日に会った登山者は、尾瀬沼から黒岩山を往復してすれ違った単独行者のみでした。夜は霧雨の降る中、湿原の木道を歩きながら、シカのライトセンサスを行い5頭のシカを確認できました。

翌朝は、奥鬼怒湿原を巡視後、下山口の片品村大清水を目指します。湿原の北端にある標識は、今までのものとは違い木製支柱の立派なもので、我々がやってきた遙か先の尾瀬沼を示していました。

【奥鬼怒湿原北端の標識】

巡視の最終日は、物見山の標高2113mから湯沢の標高1320mまで約800mを、一気に下る厳しいコースが待っていました。

鎖場などはありませんが、露岩の多い歩きにくい急傾斜の道が続きます。

【岩場を下る】

この尾根には岩の多い土地に生育するアスナロやシャクナゲが多く見られました。

登山者の少ない道(この日は、物見山の山頂で1名だけ)のためか、登山道のすぐ側には、ツキノワグマの痕跡が!

【クマハギ】

クマハギです。クマが樹皮を剥いで内側の形成層を歯で削り取って採食した跡です。尾瀬沼からのこのコースでは、他にも3箇所ほど確認できました。

2時間ほど急な道を下ると、水の流れる沢音が聞こえてきました。

【湯沢の倒木橋】

湯沢です。増水時以外には使用しそうにない倒木を利用した橋が架かっています。ここを越えて、約1時間の林道歩きで大清水に到着し、巡視を終えることができました。

今回の巡視は、登山道の状況確認以外にも、シカのライトセンサス調査等盛りだくさんの内容で、フィールドワーカーとしてのアクティブレンジャーの基礎技術習得の場としては、良い場所だったと思います。これからも、フィールドでの活動を頑張って行こうという思いを強くした巡視でした。

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2018年09月18日アクティブ・レンジャー写真展開催【ジオリア 伊豆半島ジオパークミュージアム】

富士箱根伊豆国立公園 下田 吉川貴光

待望のアクティブ・レンジャー写真展が今、伊豆半島でもっとも熱い【ジオリア 伊豆半島ジオパークミュージアム】で開催いたしました!!!

 

アクティブ・レンジャー写真展は、関東地方環境事務所管内の国立公園・国指定鳥獣保護区で活躍するアクティブ・レンジャーたちが現場で撮影した渾身の作品が展示されております。

 

展示スペースいっぱいに詰めこんだ写真や展示物をご覧いただき、少しでも国立公園・国指定鳥獣保護区や我々の活動などに関心を持っていただければ幸いです。

【伊豆半島ユネスコ世界ジオパーク 認定証】

世界的に貴重な地質遺産を通して、自然の保護や教育などを進めていく地域である伊豆半島ユネスコ世界ジオパークの拠点となっているところが、このジオリアです。ミニシアターや地質の観察コーナーなどがあり、楽しみながら学べるミュージアムとなっております。

伊豆半島にお越しの際は是非お立ち寄りください。

(※ジオリアは水曜日休館となっております。)

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2018年09月18日塩見岳での高山植物保護作業

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

915日から17日にかけて、環境省事業として塩見岳にて南アルプス高山植物保護ボランティアネットワークの方々と伏工作業を行いました。

塩見岳東峰山頂直下ではかつてシナノキンバイやハクサンイチゲなどが見られるお花畑が広がっていましたが、ニホンジカの採食圧や踏圧によって植生の変化が進み、やがてニホンジカが好まない植物すらなくなり、山肌がむき出しになってしまいました。氷河跡地の上部は土壌が薄く、一度表土が剥がれ落ち、土壌侵食が起きてしまうと、植生の自然回復は困難になってしまいます。そのため、2009年(平成21年)から毎年、塩見岳東峰山頂直下ではヤシマットの設置を行っています。

作業のようす その1

△作業のようす その1

作業のようす その2

△作業のようす その2

前日は雨に打たれましたが、伏工作業当日は時折晴れ間もあり、暑すぎず寒すぎず、作業を行いやすい天候でした。南アルプス高山植物保護ボランティアネットワークの方々にもご協力いただき、塩見小屋から一人ひとり歩荷したマットをお花畑の裸地部分に敷き、四隅や途中部分に張りピンを木槌で打ち、シュロ縄で固定します。最後に抑えの石を置いて完成です。マットで覆うことによって土壌が流れにくくなるほか、マットはヤシ繊維製マットを使用し、耐久性があるので、保温性を高めることができます。地面の温度変化が穏やかになると、飛んできた種から芽が出やすくなる効果もあります。昨年設置したマットには新しい命が宿っていました!

昨年設置したマットに定着した植生

△昨年設置したマットに定着した植生

すでに高山植物は枯れてしまっていましたが、マットにはオンダテなどが根をつけていました。わたしは昨年に引き続き、2回目の参加になりますが、伏工の効果をはっきりとみることができたのでこの作業にやりがいをとても感じました。元のお花畑に戻るまでかなりの年月がかかってしまうと思いますが、いつかこの場所に緑やお花畑が戻ってきてくれることを願います。

山を歩いていると木々がほんのり黄色や赤色に染まっていました。高山植物のシーズンが終わり、いよいよ紅葉シーズンの始まりですね!!コケモモやナナカマドの実も赤くなり、一足先に秋を感じてきました。

赤く色づいたナナカマドの実

△赤く色づいたナナカマドの実

広河原でも白鳳渓谷の紅葉を一目見ようと多くの方で賑わいます。野呂川の清流の音を聞きながら紅葉を楽しむのもいいですね♪朝晩問わず、日中も冷える日がありますのでお越しの際は防寒着を必ず持ってきてくださいね。

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2018年09月17日9月9日(日)【初秋の湯坂路と石仏石塔群を訪ねて】行事報告(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 三瓶雄士郎

こんにちは!富士箱根伊豆国立公園管理事務所の三瓶です!

 箱根はすっかり秋らしい、ひんやり冷たい風が吹くようになってきました。ススキが穂を出し始め、箱根地域で有名な「仙石原ススキ草原」も葉で緑一色だった草原が、先週から徐々に黄金色に染まり始めてきました。見頃まであともう少し・・・!その様子はまた後日アップ致しますのでご期待ください。

今回は9月9日(日)に箱根地域自然に親しむ運動の第6回目「初秋の湯坂路と石仏石塔群を訪ねて」を開催致しました。

=箱根地域自然に親しむ運動とは?=

箱根地域では一般の方により箱根の自然を知ってもらうべく【箱根地区 自然に親しむ運動委員会】(環境省・神奈川県・箱根町・(公財)神奈川県公園協会・(一財)自然公園財団箱根支部)が主催するイベントです。

今年度は9回の開催を予定しております。

内容は、鎌倉~室町時代にかけて造られた石仏や石塔が残る芦ノ湯付近を巡った後、古道「湯坂路」で自然散策をしながら小涌谷駅までトレッキングするイベントです。雨天が心配されましたが、無事開催することが出来ました。

↑今回のコース

 この回での魅力は「石仏石塔群」。この地域は昔「地獄」と呼ばれ天候が不安定になりやすく、強風や雨が多い地域だったことや火山活動による噴気や硫黄臭、山からの落石が絶えず発生していた場所だったからそう呼ばれていたそうです。いつぞや「地獄に落ちる」と恐れられていたため、地獄に落ちてもお地蔵様が救ってくださるよう願いを込めて、沢山の石仏石塔が造られたそうです。

↑出発の様子。先に見える御堂の中に石仏石塔群でシンボル的存在の「六道地蔵」が保管されています。

↑六道地蔵(約1300年に造立:国の重要文化財)

 高さは約7m以上もある輝石安山岩に丸彫りされた高さ約4mの磨崖仏(まがいぶつ)。

 磨崖仏とは自然の岩壁に彫られた仏像の事で、その時代から残る磨崖仏としては関東一の大きさを誇ります。

↑二十五菩薩像(約1293年から造立:国の重要文化財)

 国道1号線を挟み、岩に二十六躰半(阿弥陀如来像1躰、観音菩薩像1躰、地蔵菩薩像24躰半)が彫られています。幾年にも渡って彫られたと考えられたそうです。名の由来として「二十五菩薩像」の数に近いことからそうなぞられて呼ばれているそうです。着任してからこの場所に何回か訪れていますが、いつ訪れても言葉が出ないくらい圧巻の姿です。

石仏石塔群を巡った後は古道「湯坂路」で自然観察会です。

↑湯坂路の様子

秋の植物が花を咲かせ、とても良い雰囲気が漂っています。この道は、かの豊臣秀吉公が北条攻めの時の通った道でもあるそうです。

↑オミナエシ。秋の七草の一つ。黄色の花が特徴で、この時期は虫のレストランになります。

↑ヤマホトトギス。花の斑模様が野鳥の「ホトトギス」の腹の模様に似ていることからそう呼ばれています。

↑千条の滝(ちすじのたき)

 斜面から染み出た水が直接滝になっている地学的にとてもユニークな場所です。開催直前まで雨が降っていたため、水量はいつもより1.5割増し。普段は細い水筋がいくつも流れていますが、今日は滝らしい太い水筋がいくつも流れていました。

この後は小涌谷駅まで行き、解散しました。

参加者からは「身近にこんな石仏石塔群があったとは知らなかった」や「湯坂路の雰囲気がとても良かった」などのコメントをいただき、開催の成果は得られたかなと思います。

残る「箱根地域自然に親しむ運動」イベントは残り3回。

◆10月6日(土)「箱根火山を眺める、箱根外輪山ロングトレッキング」(主催:(一財)自然公園財団箱根支部)

◆11月6日(火)「紅葉の箱根路を訪ねて」(主催:環境省)

◆11月23日(金・祝)「箱根の冬鳥観察会」(主催:(公財)神奈川県公園協会)

他にもパークボランティアが主催する自然観察会もございます。

◆10月14日(日)「バリヤフリーで楽しむ秋の箱根」(環境省との共同開催)

◆10月27日(土)「芦ノ湖水門と歴史を訪ねて」

各イベントについてメールまたは往復はがきで申込を受け付けております。締切は各開催日より10日前ですので、ご注意ください。詳しくは下記のURL先をご覧ください。

http://hakonevc.sunnyday.jp/shitashimuundou.html#

ご参加お待ちしておりまーす!

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