富士箱根伊豆国立公園
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2019年08月22日下田の海を紹介します! ~若者向き編~
富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大
みなさん、こんにちは。
地元に帰るたびに、県民の証明として「なのはな体操」を踊らされる齋田です。
お盆休みから1週間が経過し、8月もいよいよ終盤に差し掛かりました。
地域によっては、夕暮れ時の虫の音や風の匂いに夏の終わりを感じている方も多いのではないでしょうか。
今年の夏は全国的に雨天が多く、あまり夏らしいことができなかったなと感じている方も少なくないかもしれません。
今回の日記はそんな方にピッタリの内容です。伊豆半島下田の夏は、お盆が過ぎても夏休みが終わってもまだまだ続きます!
前回の日記では、静かで落ち着いた雰囲気に包まれたファミリー向きのビーチをご紹介しました。
今回は一変、学生のみなさんお待ちかね、若者たちが集う活気溢れるビーチをご紹介します。
部活動やサークルの行事担当のみなさんは必見です!
■白浜大浜海水浴場
浜の長さ:770m、水質:AA(静岡県が実施した海水浴場水質調査結果による最高評価区分)
アクセス:伊豆急下田駅よりバス15分、レスポ白浜下車すぐ
初めにご紹介するのは、伊豆半島を代表する海水浴場「白浜大浜海水浴場」です。
全国的にも有名で、毎年多くのサーファーや真っ黒に日焼けした若者たちで賑わいます。
白い砂浜と青く輝く海とが織りなすコントラストはSNS映え間違いなしです!
■吉佐美大浜海水浴場
浜の長さ:770m、水質:AA(静岡県が実施した海水浴場水質調査結果による最高評価区分)
アクセス:伊豆急下田駅よりバス10分、吉佐美下車徒歩8分
続いてご紹介するのは、外国人の多い南国リゾート風の海水浴場「吉佐美大浜海水浴場」です。
近隣にはお洒落なカフェレストランが建ち並び、心地よい潮風に吹かれながら優雅な時間が過ごせます。
この海水浴場では、9月7日(土)と9月8日(日)の2日間、海洋浴の祭典「Big Shower 2019」が開催されます。
当日はビーチアクティビティを満喫できるイベントが盛りだくさん行われる他、海岸の清掃活動「ビーチクリーン」も行われるようです!みんなで楽しくゴミを拾って綺麗な海を守りましょう。
プラスチックゴミ防止のための、マイ箸・マイ皿・マイカップのご準備もお忘れなく!
伊豆半島南部では、海流の影響からクラゲが発生しにくく、海水温が比較的高いため、9月下旬頃まではウェットスーツなしでも海水浴が楽しめます。
部活動の練習やサークルの活動に忙しく、仲間と海に行けていない学生さんも間に合いますよ!
下田の夏はまだまだ終わりません!令和の夏後半戦を下田の海で存分に楽しみましょう!
□お知らせ
当日記にて告知させて頂きました「令和元年度 山の日環境教育プログラム」は、応募が定員に達したため募集を締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。
当日はみなさんに山や自然の素晴らしさをお伝えできることをスタッフ一同楽しみにしております。
2019年08月20日富士山週末パトロール@吉田ルート
富士箱根伊豆国立公園 箱根 池田興平
先週末の3連休の初日(8月10日)に吉田口登山道の週末パトロールを行いました。この三日間は山の日も含まれるため開山期の中で最も混雑が予想される期間になります。混雑状況を把握するため、出発時間を早めに設定をして朝6時には吉田口六合目に到着し、そこで利用状況の確認を行いました。富士山六合目安全指導センターでは富士山保全協力金の呼びかけに応じ多くの登山者が協力していました。
▲富士山六合目安全指導センターの様子
ちなみに当日の天気ですが、登り始めは上空には雲一つ無い快晴に恵まれて六合目付近からは見事な雲海が広がっていました!
▲吉田口六合目からの雲海と朝日
昼頃になると雲が増え太陽が隠れることもあり、夕刻に近づくと霧も出てくるようになりました。このように富士登山をしていると一日を通してコロコロと天候が変わるので、天気予報で晴れ予報であっても充分な準備をして、気温や天候に合わせて服装を変えられるようにしておきましょう。
週末パトロールでは巡視しつつ登山道に落ちているゴミを見つけ次第拾っていきます。
吉田口五合目から吉田口六合目にかけては比較的ゴミは少なく、吉田口七合目より上からゴミが増えてきた印象です。
ゴミを拾っている最中には登山客の方から「ありがとう」と感謝の言葉を頂けることがあります、富士山の清掃をしていてやり甲斐を感じる瞬間でもあります。
▲ゴミ拾いの様子(吉田ルート七合目付近)
山小屋の方に登山者の利用状況についてお話を伺ったところ、「今年は雨が続いていたので例年より登山客が少ない印象」とおっしゃっていました。実際に登山道から周りを見渡したところ朝から昼にかけては混雑というほどではなかったように感じました。しかし山頂には人の数が格段に増え大賑わいでした、晴れている時間帯の山頂に限っては肌寒くなく快適な気温で過ごすことができました。下山時にはまた長時間歩く労力と技術がいるのでしっかりと英気を養って出発してください。
▲富士山頂付近の登山者の様子
そして、今回の週末パトロール中に拾い集めたゴミは、事務所に持ち帰り分別を行いました。
赤い線で囲ってあるゴミが可燃ゴミ、青い枠で囲ってあるゴミが不燃ゴミです。
▲8月10日に拾ったゴミ (計3.8㎏)
可燃ゴミは、カッパや手袋、帽子などがありました。不燃ゴミはトレッキングポールの部品、傘の骨組み、鉄板などがありました。
登山者が富士山を登り終えて楽しい思い出を持って帰ると共に、自ら出したゴミも持ち帰ることが出来れば、多くの方がより快適に富士山を楽しめると感じました。
2019年08月14日現場のアクティブ・レンジャーが教える快適登山の極意④富士山いつ登る?
富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒
-
こんにちは。
- 今日は環境省、山梨県、静岡県で運営している「富士登山オフィシャルサイト」内の「富士山日記」に掲載した内容をお届けしようと思います。
梅雨明けからは少し時間が経ってしまいましたが、これから富士登山を計画される方にも役立つ部分もあるかと思います。
今年は例年以上に毎日毎日雨ばかりの梅雨だった気がします。
これから富士登山を計画されている方も多いかと思います。
2016年に掲載していた「極意」シリーズ復活ということで、シーズン中何度も登るアクティブ・レンジャーの私がもしプライベートで登る場合に、どんなところを考慮にいれてプランニングするかご紹介したいと思います。
結論としては!
●日帰りではなく1泊2日
●7月下旬~8月初旬(梅雨明け直後)
●平日
●早めに出発して山小屋でゆっくり
●御来光も山小屋で
ポイントとしては安全でかつ快適な登山のために、好天の確率が高く、混雑を極力避ける、というところです。
時期は??
一般的に梅雨明け直後は「梅雨明け10日」と言われ、太平洋高気圧の勢力が持続しやすく、安定した夏の暑い晴天が十日間程度続くことが多いです。
東海/関東甲信地方の平年の梅雨明け時期は7月21日頃ですので、まずは7月下旬~8月初旬頃を第一候補に計画を立てると思います。
その他の理由としては
●日の入りが遅い
→夜間の歩行は落石・転倒・道迷いなどのリスクが高くなるので、万が一のことがあった時の日中
の行動時間が長くとれることは安全につながるポイントだと思います
●台風が少ない
→標高が高く、独立峰であり風の強い富士山では「気温」「風」「濡れ」による低体温症の危険性がありますので、台風や荒天の時には絶対に登りません
●リスケジュールがしやすい
→まだ登山期間があるため、荒天の際にリスケジュールがしやすく、無理な登山をしないで済むことにつながります
なお、山小屋さんに聞いたところ、
「台風が来なければ8月後半・9月初旬が人も少なくなってきて、空気も澄んでいる日が増えてオススメ」
とのことでした。
曜日は??
実はオススメした海の日~お盆の間は登山者の多い期間です。(以前の日記でこの時期を避けましょう、とお伝えしたこともあります)登山者が多ければ、それだけ落石や転倒に巻き込まれる危険も高くなります。
ですので、この時期に行くのなら・・・・・
断然平日です!
実際に混雑の中を歩くのと、周りに人が少ないのとでは全然違います!周りのペースを気にせず、立ち止まって景色や花の写真を撮ったりと、自然をより満喫できます。
下記グラフを見ると曜日によっては、週末の半分くらいとかなり違います。
水曜日、木曜日あたりの出発がよさそうですね。
私だったら「木曜日出発の1泊2日で登山をして、週末はゆっくり休む!」というプランにします。
何時に出発する??
途中の山小屋で1泊をする場合でも早めに出発をします。
富士山は他の山と少し異なりツアーなどはお昼を過ぎてから出発ということも多いです。そのツアーの混雑に巻き込まれないためにも、午前中のうちには出発したいです。もし吉田ルートだったら9時頃にはスバルライン五合目出発を目指します。
吉田ルート六合目(11:42)まだ人は少ないです 吉田ルート六合目(12:59)混んできました
【吉田ルート6合目の時間帯別通過登山者数】
1位 | 13~14時台 |
2位 | 12~13時台 |
3位 | 14~15時台 |
4位 | 11~12時台 |
5位 | 10~11時台 |
(平成27年度 富士吉田市富士山課調べ)
山小屋に早く到着して、のんびり過ごす時間はすごく贅沢に感じます。
山小屋は夕方からはツアーの方が大勢到着したり、夕食、夜中の御来光のための出発とかなり慌ただしくなります。早めに到着して、山小屋が静かなうちにお昼寝してリチャージしておくことも次の日の成功ポイントです!
(山小屋によってチェックインできる時間が決まっている場合もありますので、事前にご確認ください)
御来光は山小屋で
刻々と色の変わる空と雲海を見ながら御来光を待つ人たち@吉田ルート七合目山小屋
昨年、初めて山小屋で御来光を見てから出発をしましたが、思っていた以上に快適でした。
●山頂御来光組が深夜に出発したあと、日の出までゆっくり眠れる
●御来光を寒い中待つ必要がない
●明るくなってから登るので安全。景色を楽しみながら登れる
●登山道が混雑していない
いいことずくめだと思いませんか?
山頂での御来光を目指して、真っ暗で混雑する中登山をすることは、落石、転倒などそれなりのリスクがあります。特にお子様連れの方は無理をしないで安全に楽しく登山をして欲しいです。
以上、参考になれば嬉しいです。
2019年08月09日下田の海を紹介します! ~ファミリー向き編~
富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大
みなさん、こんにちは。
海やプールには事前に水着を着て行く派の用意周到な齋田です。
いつも帰る頃に着替えの下着を忘れたことに気が付きます。
さて、お盆休みを直前に控え、いよいよ夏真っ盛りとなりましたね!
下田管理官事務所のある静岡県下田市では、今年も海岸線沿いを中心に多くの観光客が訪れ、ビーチや海水浴場は多くの海水浴客で賑わいをみせています。
今回はそんな海水浴場のなかでも特に落ち着いたファミリー向きのビーチをご紹介します。
小さいお子さんを連れて行く海水浴場を決めかねているそこのお父さん、必見ですよ!
■九十浜海水浴場
浜の長さ:50m、水質:AA(静岡県が実施した海水浴場水質調査結果による最高評価区分)
アクセス:伊豆急下田駅よりバス20分、グリーンエリア前下車徒歩3分
初めにご紹介するのは、下田市民のソウルビーチ「九十浜海水浴場」です。
豊かな緑に囲まれたプライベート感満載の穴場的ビーチで、波が穏やかで全体的にこじんまりとしているため、小さなお子さんがいるファミリーにおすすめです!
干潮時には両サイドの岩場で磯遊びも楽しめます。
■いけんだ浜(爪木崎海岸)
浜の長さ:120m、水質:調査未実施
アクセス:伊豆急下田駅よりバス22分、爪木崎下車徒歩2分
続いてご紹介するのは、白くそびえ立つ爪木崎灯台が望める「いけんだ浜(爪木崎海岸)」です。
青く澄んだ海に輝くような純白の灯台が美しいですね。
こちらもプライベート感たっぷりのビーチで、休日は多くのファミリーで賑わいます。
遠浅の砂地が広がるため、沖にある磯まで泳いで渡れますよ!こちらも磯遊びが楽しめます。
伊豆半島南部では、海流の影響からクラゲが発生しにくく、海水温が比較的高いため、9月下旬頃までは ウェットスーツなしでも海水浴が楽しめます。
仕事が忙しく家族サービスが疎かになっているあなたも、夏休みの宿題に追われているあなたも、8月の予定がすでに埋まっているあなたも、まだまだ間に合います。
くれぐれも着替えの下着をお忘れなく、下田の美しい海を訪れてみて下さい。
次回の更新では、元気いっぱい若者向きの海水浴場をご紹介します!お楽しみに!
2019年08月08日夏は箱根で遊び倒そう!(箱根地域)
富士箱根伊豆国立公園 三瓶雄士郎
こんにちは。富士箱根伊豆国立公園管理事務所の三瓶です。
青空が眩しいですね!やはり夏はこうでなくちゃ!
さて、夏休みも折り返しに入り、世間ではこれからお盆休みですね。
まだ予定が立っていない方はぜひ箱根に遊びに来てみてはいかがですか?
連日の日記でもお知らせしておりますが、箱根ビジターセンターでは7月28日(日)~8月17日(土)までの期間で夏休み活動(姥子自然観察会、クラフト教室)を開催しています。
〈姥子自然観察会〉(午前の部10:00~、午後の部13:00~/所要時間1~2時間程度/参加費無料)
箱根ビジターセンターから姥子駅までの散策路を箱根地区パークボランティアが箱根の自然について解説しながら一緒に散策します。木陰に入ると気温がぐっと下がり、お昼寝が出来るくらいとても過ごしやすいです。
【観察会コース途中の様子(左:通過する木陰の散策路/右:足下に咲く「オトギリソウ」)】
【オススメの撮影ポイント(左:「舟見岩」からの眺望/右:金太郎岩展望台からの芦ノ湖眺望】
〈クラフト教室〉(受付:午前の部10:00~11:30/午後の部13:00~14:30/制作費:1つ200円)
箱根ビジターセンター多目的ホールで開催しています。内容は木の実などで作るキーホルダーやブローチ、星座を手軽に覚えられる缶ランタンなどが作れます。 お子様の夏休みの宿題(自由工作など)でもお役立てできます。
【左:クラフト教室の様子/右:缶ランタン作成中】
【左:クラフト作品集/右:完成した缶ランタン(中にミニランタンを入れて遊べます)】
朝から自然観察会で箱根を散策して、お昼を済ませてクラフトを体験し、日帰り温泉に入って帰路に着かれるプランはいかがでしょうか?また、夜には各地域で夏祭りが行われておりますので、夜まで楽しめます。
(直近では8/16(金)箱根強羅夏祭り 大文字焼き)
まだ予定がお空きでしたら、箱根の自然を堪能して、おもいっきり遊び倒しましょう!
〈イベント情報はコチラ〉
◆箱根ビジターセンター(http://hakonevc.sunnyday.jp/index.html)
◆オススメのハイキングコース(https://www.env.go.jp/park/guide/hakone/recommend/index.html)
◆箱根町観光協会(https://www.hakone.or.jp/)
〈今回のイチオシ写真〉
【8月5日に行われた鳥居焼まつりの花火大会】
箱根では毎年7月31日~8月5日の6日間「1262芦ノ湖夏まつりウィーク」が開催され、芦ノ湖各地で毎晩花火大会が行われます。
2019年08月07日梅雨明け初の『富士山』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは!! 沼津管理官事務所の山田です。
8月1日(木)に富士山富士宮・御殿場(プリンス)ルートの巡視に行ってきました。
早いもので開山からもうすぐ1ヶ月です。山肌には雪がなくなり、すっかり夏の富士山になりました。
巡視の朝は快晴で梅雨明けを感じていましたが、標高が上がるにつれて薄曇りの中の登山になりました。
しかし、登山道脇の植物はここ1ヶ月で随分大きくなったのを感じました。
【6月26日:富士宮五合目から富士山様子】 【8月1日:富士宮口五合目から富士山様子】
※山頂付近にまだ雪が残っています ※緑が山頂付近まで増えました
気温も高く薄着で登山されている方も多くみられました。
登りはじめは薄着でも大丈夫ですが、標高が高くなると気温が下がり(標高差100m毎に-0.6℃)山頂では真夏でも真冬並みの気温になることもあります。休憩中などに、汗で体が冷えてしまうので防寒着は必ずお持ち下さい。
登山道はこの時期にしては比較的空いていました。
子供達の夏休みが始まり、小さなお子さんや、小学生・中学生をたくさん見かけ、すれ違う子供達の「こんにちは!!」にはたくさん元気をもらいました。
巡視の際、どこにいっても挨拶を交わしますが、国や年齢を越えて心が通い合えていいなと思います。
長い登山で下を向きがちですが、顔を上げて挨拶すると「がんばろう!」という気持ちになります。
また、小さな子供の下山の様子を見ていると、両親より先に元気よく降りてきていました。富士山のルートは迷いにくいですが、保護者の方は下山の際疲れていても足場は細かい溶岩や岩が多いので、小さなお子さんから目を離さないようにして下さい。
また、団体の登山者も多く見られましたが、これから登山道が混み合ってきますので、基本登り優先ですが、登山道が狭いところもありますので、譲り合って楽しい登山にして下さい。
【混み合った登山道の様子】
登山道のゴミは少なかったですが、無意識に落としてしまった飴の袋や、休憩中に置き忘れた帽子・手袋、ペットボトル、飲料缶などが見られました。休憩後、出発する時は振り返り自分の居た場所に忘れ物がないか確認して下さい。
引き続きゴミの持ち帰りにご協力お願いいたします。
【山頂から見た剣ヶ峰の様子】 【宝永山山頂にいたツノアオカメムシ】
2019年08月01日【報告】子どもパークレンジャー第1弾!「サマースクール」(箱根地域)
富士箱根伊豆国立公園 三瓶雄士郎
こんにちは。富士箱根伊豆国立公園管理事務所の三瓶です。
最近、生きもの系のガチャポンにハマり、事務所の机にダンゴムシやらイモムシやらのフィギュアがラインナップし始めてきました。
さて、今年も夏がやってきました!毎年7~8月にかけて、当事務所では「子どもパークレンジャー」のイベントの季節です。全3回を予定しており、先日7月23日(火)に第1回目の地元小学校との共催行事が無事終了いたしましたのでご報告いたします。
このイベントは地元小学校が夏休み企画として同校の小学生を対象に「サマースクール」として企画し、環境省のほかにも箱根ビジターセンター、箱根地区パークボランティア(箱根ボランティア解説員連絡会)が協力して、開催しています。
それぞれで企画内容が異なり、環境省は「子どもパークレンジャー体験」「溶岩染め」の2つ。箱根ビジターセンターは「自然観察会(クイズラリー)」、箱根地区パークボランティア「クラフト教室」の4つに分かれており、事前にどれを体験したいか選択してもらい、体験する午前中のみのイベントです。
【子どもパークレンジャー体験】(運営:NPO法人ホールアース研究所)----------------
箱根火山の歴史や火山の噴火について、地域の動植物など箱根特有の自然環境を学ぶとともに、国立公園の歴史や保護されている理由などを実験などでわかりやすく学ぶプログラムです。
【アイスブレイク:葉っぱじゃんけん】
参加者で3チームに分け、園地より葉っぱ3枚(樹木の葉、落ちている葉)を採集後に集まり、出されたお題に沿って採集した葉っぱを出して競います(例:大きな葉っぱ、ギザギザが細かい葉っぱなど)。参加者の緊張ほぐしや箱根の植物紹介をねらいとして実施しました。
【コーラで噴火実験】
コーラをマグマに見立て、振る(地震が起きる)とどんなふうに中身が噴出するのか実験して、噴火のメカニズムを学びました。手前の子どもはとても上手に噴出していますね!
【溶岩染め】(運営:NPO法人ホールアース研究所)-------------------------
粉末状の富士山の溶岩を水で溶かして染液を作り、刷毛や筆を使って白い布に絵を描く染物体験です。今回は雨天が予測できたため、箱根ビジターセンター内をお借りして実施しました。
【染色の様子】
今年は箱根登山電車や鳥居、アイドルのシンボルマークなど多種多様なイラストが多かったです。
【自然観察会】(運営:箱根ビジターセンター((一財)自然公園財団箱根支部))------------
【クイズラリーの様子】
箱根ビジターセンターの職員の指導の下、箱根ビジターセンター周辺の散策路や園地でクイズラリーを実施しました。箱根ジオパーク関連や周辺で観察できる動植物の3択クイズになっています。
【クラフト教室】(運営:箱根ボランティア解説員連絡会(箱根地区パークボランティア))-------
木の輪切りや木の実などを使ったキーホルダーを作りです。
【全体の様子(左)と作成の様子(右)】
今回も素敵な作品がたくさん出来ました。細かい作業もなんなく熟していて驚きました。
短い時間の中ですが、かなり盛りだくさんのプログラムで子どもたち、先生方にも楽しんでいただきました。
箱根地域での子どもパークレンジャー体験は残り2回を予定しております。
次回は箱根火山を中心に学ぶ「箱根ジオパークサマースクール」を開催します!
午前中は学芸員による噴火実験、午後はフィールドを歩きながら箱根の自然についてビンゴゲームで探検!
8月20日(火)に開催致します!まだまだ募集を受け付けております!ぜひご参加を!
(参考:https://www.env.go.jp/kids/gokan/jpr/area/kanto-area/fujihakone.html#schedulePost)
2019年07月30日富士山の植物『須走ルート編』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは!!沼津管理官事務所の山田です。
やっと梅雨が明けました。いよいよ夏本番です。
今回は、富士山の植物を登山ルート別に紹介したいと思います。まずは須走ルート編です。
富士山はどんなイメージですか?
以前、富士山のルールについて書いた時に少し触れましたが、五合目から七合目くらいまでルートによってばらつきはありますが、皆さんが思っている以上に高山植物が生息しています。
富士山は標高が高く気温が低いので、平地では見頃の過ぎた植物もこれから見頃を迎えたりします。
今年は梅雨が長かったこともあり、山小屋さんの話では高山植物の開花が遅れているそうです。
梅雨が明け、これからたくさんの高山植物が次々と咲き始め登山道を華やかにしてくれることでしょう。
日本一の山「富士山」ですから、どのルートも登頂に多くの時間を要します。
その登山の疲れを一瞬でも癒やしてくれる高山植物を紹介したいと思いますので、これから登山を計画している方は、お目当ての高山植物を決めて探してみたり、ルートによって見られる植物が違うので、ルート決めの参考にするのもいいかもしれません。
~須走ルート~
須走ルートは標高1,970mから登りはじめ、本八合目で吉田ルートと合流します。
五合目から六合目付近まで樹林帯の中を緩やかに登り、八合目から岩場になります。
富士宮ルートに比べて距離も基準登山時間も長いですが、少しずつ標高を上げていけるので、高所順応しやすいと思います。
五合目のスタートから樹林帯の中を登りますので、緑が多く他のルートとは一味違う楽しみ方が出来るルートです。
【ベニバナイチヤクソウ】
山地帯から亜高山帯の明るいところに群生し、茎は赤みを帯び蛇行して曲がっています。花は淡いピンク色で下向きに咲きます。開花時期は6月~8月上旬頃。
須走ルート五合目から六合目付近で見ることが出来ます。一面に広がって咲いている場所があるので、見つけやすいと思います。小さくて可愛らしい花で登山道の脇にあるので近くで観察してみて下さい。
【ツマトリソウ】
亜高山帯の草地に生える多年草で、葉は茎の上部に5枚以上輪生状につき細い楕円形で先端が尖っています。花は白く上向きに咲きます。開花時期は6月~7月。
須走ルート五合目から六合目の間で見ることが出来ます。白い花を1つ咲かせるだけなので見つけにくいかもしれませんが、とても美しい花なのでぜひ見つけてみて下さい。花びらは7枚ですが、時々8枚の花があるようなので花びらを数えてみるのも楽しいですよ。
【クルマユリ】
ダケカンバ林や草原に生える多年草で、花は赤橙色で花びらの内側に濃い赤褐色の斑点があり斜め下向きに咲きます。開花時期は7月~8月。葉が放射状についている姿を車輪にたとえて「クルマユリ」と名付けられたそうです。
須走ルート六合目から本六合目の間で見ることが出来ます。7月15日の巡視の際はまだ蕾で、7月24日には開花していました。つぼみは目立ちませんが咲き始めると鮮やかな赤橙色で存在感がありますので見つけやすいと思います。
【シロバナノヘビイチゴ】
山地帯から亜高山帯の林縁に生息します。つる性の茎を地面に伸ばして生えるので一面に白い花を咲かせます。葉は三枚ではっきりとした葉脈が見えます。実は食べることが出来ます。開花時期は5月~8月で長い間楽しむことが出来ます。
須走ルート五合目から本六合目付近でよく見られます。登山道で一番多く見られる花です。一面がシロバナノヘビイチゴの花畑になっている所がいくつもあるので、小さな白い花を見て疲れを癒やして下さい。
【イワヒゲ】
標高2,800~3,000m付近の風当たりが強い溶岩の割れ目を這うように密生する小型の低木です。高山の特殊な環境に生える植物群で、鱗片状の葉で下に向かって伸びます。花は鐘形のすずらんのような白い花で下向きに咲きます。開花時期は7月頃。
須走ルート七合目から本七合目の間で見ることが出来ますので、岩の間を探してみて下さい。岩を這って伸びる姿には生命力を感じます。
【ハクサンシャクナゲ】
高さ1~3mの常緑低木で、枝先に白色から紅色を帯びた花を咲かせ、花びらの内側に淡緑の斑点があります。
須走ルート五合目から七合目の間で見ることが出来ます。須走口六合目山小屋付近に多く生息していて、開花時期は7月~8月。今年は花芽が少ないようですが、7月15日の巡視中に花芽のついた木も見られました。
▼富士登山オフィシャルサイト
http://www.fujisan-climb.jp/
2019年07月30日火山の生み出した景色 三宅島(伊豆諸島地域)
富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 竹下実生
こんにちは。伊豆諸島ARの竹下です。
ようやく梅雨が明けて、夏らしい青空がのぞくようになってきましたね!
7月上旬、三宅島へ行ってきました。
三宅島は、東京から南へ180kmの距離に位置する、伊豆諸島の中では大島・八丈島に次いで大きな島です。
島の中央には活火山である雄山がそびえ、約20~60年周期で噴火を繰り返しています。度重なる噴火活動によって生み出された力強い火山景観を、島の至る所で目にすることが出来ます。
「かつては海だった景色」
今から約80年前、左手に見える崖より右側は、海でした。
1940年(昭和15年)、海の中で噴火が起こり、右手に見える火山、「ひょうたん山」が現れたのです。
1940年、1962年と続いた噴火の溶岩流と噴出物は、海を埋め尽くし、左手の崖と「ひょうたん山」の間には、平らな溶岩台地、「赤場暁(あかばっきょう)」ができました。
「赤い断崖」
「赤場暁」バス停から徒歩10分ほどで、海岸へ出ると、赤場暁を流れた溶岩の先端を見ることができます。
波に削られて、迫力のある断崖になっています!!
「ひょうたん山」
「赤場暁」バス停から海岸へ至るコース上では、「ひょうたん山」の火口も間近に見ることが出来ます。
遠くから見ると大きな火口に見えますが、近づいてみると、意外と高低差が小さいので、すぐに火口の縁まで登っていけます。
ひょうたん山の上からは、植生の遷移によって緑に覆われつつある赤場暁の広がりを眺めることができます。
「ひょうたん山」と「赤場暁」の景色(「かつて海だった景色」)は、都道沿いの「三七山展望台」から眺めることが出来ます。
当時の風景を想像しながら地形を眺めてみると、火山の圧倒的なパワーを感じます...。
「野鳥の楽園 大路池」
三宅島は、バードアイランドとしても有名です。
国の天然記念物「アカコッコ」やイイジマムシクイ、カラスバトなど、限られた地域でしか見られない野鳥を観察できます。
特に、「大路池」の周囲を巡る道は「日本一のさえずりの小径」とも呼ばれていて、バードウォッチャーに人気のスポットです。スダジイの原生林に囲まれた静かな場所で、小径を歩くと、あちこちから溢れるように小鳥の声が聞こえます。
この「大路池」、伊豆諸島では最大級の淡水湖で、
紀元前2000年以前に水蒸気爆発によってできた火口湖ということです。
「迷子椎」
池の畔には、「迷子椎」と呼ばれるスダジイの巨木が立っています。
数百年前から、噴火を司る神様の宿るご神木とされてきました。
密林の中でも、この巨木を目印にすれば迷子にならないという言い伝えから、「迷子椎」と呼ばれるようになったそうです。
今回は陸を中心に紹介しましたが、三宅島は海のレジャーでも人気のある場所です。
周囲の海域には黒潮が流れていて、魚影が濃く、種類も豊富ということで、ダイビングや釣りのスポットにもなっているようです。
火山景観などの見所も、まだまだ沢山あります!
皆さんもぜひ一度、三宅島に遊びに行ってみてください!
「三宅島ジオマップ」発行:三宅村役場観光産業課 協力:三宅島観光協会
(★が今回紹介した場所です)
【三宅島へのアクセス】
○船の場合
・東京竹芝港22:30発→大型客船(約6時間半)→三宅島5:00着
・三宅島13:35発→大型客船(約6時間10分)→東京竹芝港19:45着
東海汽船ホームページ https://www.tokaikisen.co.jp/
○飛行機の場合
・調布飛行場⇔小型機(約50分)⇔三宅島空港 (1日3便就航)
新中央航空ホームページ https://www.central-air.co.jp/
【三宅島 島内の観光情報】
・三宅島観光協会 https://www.miyakejima.gr.jp/access/
みなさま、こんにちは!!沼津管理官事務所の山田です。
毎日暑い日が続いていますが8月も終わりに近づいています。
早いもので富士山も後20日で閉山です。
山では植物も夏から秋へと徐々に変化しています。日もだんだん短くなっていますので、これから富士登山を計画されている方は、日の入りの時間を確認して行程を立てられる事をお勧めします。
今回は、富士宮ルートの植物を紹介したいと思います。
前回の須走ルートとは違い登山道入口から視界が開けていて同じ富士山でもイメージがかなり違います。岩場やスコリアに植物が点々と群生していますので、疲れて下を向きながら歩いている時、ふと岩場から顔をのぞかせている高山植物に元気をもらえるかもしれません。
~富士宮ルート~
富士宮ルートは全ての登山道の中で一番高い標高2,380mから登りはじめます。
登山道入口で標高2,000mを越えていますので、準備をしながら30分以上の高所順応をお勧めします。
登山道は岩場が多く、登りはじめは緩やかに登っていきますが、段々と急になっていきます。登山道と下山道が同じなので、すれ違いに気をつけて下さい。また、下山で足が疲れてくると不安定な岩場から足を滑らせたり、つまづきやすいので最後まで注意しながら下山して下さい。
【イワツメクサ】
高山の砂れき地や岩場の隙間に群生し、葉が細く曲がり尖っていて鳥の爪に似ていることから名前が付けられました。花は1㎝くらいの小さな白い花が咲きます。深く切り込まれた花びらが10枚に見えますが実は5枚です。開花時期は7月~9月上旬頃。
富士宮ルートの五合目から七合目付近でたくさん見ることが出来ます。岩の間から小さな白い花が揺れているので見つけやすいと思います。開花時期が長いので、開山期間中は登山道の至る所で見られると思いますので探してみて下さい。
【オンタデ】
標高1,400m~3,300mと広範囲の砂れき地に生息する高山植物で富士山に最も多く見られます。花は黄白色の小さな花の集まりです。開花時期は6月~9月。富士宮ルート五合目から八合目で見ることが出来きます。
遠くから見ると花に見えませんが、とても可愛らしい小さな花です。オンタデは高所から雪崩などで低標高に運ばれたと言われていて、今では登山道入口より下でも見ることが出来ます。大きく目立つので、登山中に何度も見かけると思いますので覚えて行って下さい。
【コケモモ】
高山の日当たりのいい岩場や砂れき地に生息する樹木で、花は白や薄いピンク色の鐘形で下向きに咲きます。開花時期は6月~8月。花が終わると1㎝程の赤い果実をつけ、食べると酸味がありジャムなどに使われます。富士宮ルートの五合目から六合目の間で見ることが出来ます。夏から秋、花から実へと四季のうつろいを感じて下さい。
【ミヤマオトコヨモギ】
亜高山帯から高山帯の岩場や砂れき地に生息します。茎は斜めに伸びて、花は茎に対して少し大きめで下向きに咲きます。開花時期は7月~9月。
富士宮ルートの五合目から九合目まで見られます。登山道のたくさんの場所で見ることが出来ます。重たそうに花をぶら下げているので、観察してみて下さい。
【ムラサキモメンヅル】
亜高山帯の標高2,000~2,500m付近に地を這うように群生しています。薄紫色の花が咲きます。花が終わると上向きに袋状の実を付けます。開花時期は7月~8月。
富士宮ルート五合目から六合目で見ることが出来ます。春によく見かけるレンゲソウと似ているので、富士山で紫色のお花畑を楽しんで下さい。
【ヤマホタルブクロ】
山地から亜高山帯の砂れき地に群生する多年草です。大きな鐘形の白色やピンク色の花が下向きに咲きます。ガクが反り返っていないのが「ヤマホタルブクロ」で、ガクが反り返っているのが「ホタルブクロ」です。開花時期は7月~9月。
富士宮ルートの五合目から六合目付近で見ることが出来ます。名前の通り、昔この袋のような花の中に蛍を入れて遊んだと言われています。今が見頃でキレイに咲いています。
須走ルート、富士宮ルートと富士山の植物について書いてきましたが、どちらも下向きに咲く花が多いですね。この他にもたくさんの植物が富士山には群生しています。
富士登山は自然を楽しむ事より、御来光や登頂することを目的とされている方が多いと思いますが、足下には高山植物がたくさんあります。ぜひ高山植物を楽しむ余裕を持った行程で安全登山をお願いいたします。
▼富士登山オフィシャルサイト
http://www.fujisan-climb.jp/