ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

南アルプス国立公園

230件の記事があります。

2018年12月11日ライチョウを見かけたらいきものログへ!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

みなさんは南アルプス山域を歩いていてライチョウを見たことはありますか?南アルプス山域では北部の甲斐駒ヶ岳から南部のイザルガ岳の間で生息しています。

荒川岳 中岳避難小屋付近にて

△荒川岳 中岳避難小屋付近にて

仙丈ヶ岳 仙丈小屋付近にて

△仙丈ヶ岳 仙丈小屋付近にて

赤石岳にて

△赤石岳にて

これまでの調査で北部エリアでの減少傾向が強いとされ、中でも白峰三山の個体が少なくなってきています。

南アルプス山域のライチョウだけではなく、日本各地で自然環境が変わりつつあり、身近にいる生きものたちから高山帯に生息・生育する生きものたちが数を減らしています。その生きものたちを守るために環境省が行っている取り組みの一つがインターネットを通して生きものの情報を集める「いきものログ」です!誰でも報告することができ、日本中のみなさんと情報共有することができます。「いきものログ」がどのような仕組みなのか、みなさんにご紹介します!

1.登録しよう

パソコンやスマートフォンから誰でも登録することができます。(15才以下の方は保護者の同意が必要です)生きものの情報報告、閲覧、調査への参加などさまざまな機能を無料で利用することができます。アプリでの利用もできるので、スマートフォンでの利用ができるほかGPS機能で写真位置情報を自動で記録したり、オフラインでも地図などの一部の機能を利用することができます。

2.報告しよう

生きものを見つけたら場所、日付、写真などをウェブサイトから報告することができます。日本各地で見られた生きもののデータが一目で分かります。よく見られる生きものや報告件数の多いユーザーのランキングがウェブに掲載されます。

3.検索しよう

生きものの名前や場所を検索すると自分や他のユーザーの報告の中からいつ、どこで、どんな生きものが観察されたのかを調べることができます。検索結果は地図で見たり、データをダウンロードして活用させることもできます。

いきものログのホームページはこちらです。

→ https://ikilog.biodic.go.jp/

ライチョウを見かけたら登山道から外れずに、ライチョウへは触れず、近づかず、遠くから観察してください。高山植物の観察や撮影の際も登山道から外れたり、ロープより先へ踏み込まないようにしてください。

みなさんから報告された情報の集積で新たな生息状況が判明し、生きものの保護・保全に繋がります。植物、動物、菌類、藻類等、さまざまなジャンルで報告・検索できます。あなたの発見を日本中の人と共有してみませんか?

ページ先頭へ↑

2018年12月04日南アルプスの山々にまつわる歴史や信仰

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

突然ですが、みなさんは南アルプス登山の歴史がいつ頃から始まっているかご存じでしょうか?南アルプス登山の歴史は平安時代、鳳凰三山へ修験者が登山したことが始まりと言われています。南アルプスの山々は人里離れた奥深い自然地域ですが、古くから信仰の対象となっており、人々との関わりがありました。今回はその歴史・信仰をみなさんにお伝えしたいと思います。

■夜叉神峠(やしゃじんとうげ)

夜叉神峠にある祠

△夜叉神峠にある祠

昔、甲斐の国の水出川(みでいがわ)といえば山崩れや大洪水を起こす、国一番の暴れ川でした。芦安村の人々は常にこの川に悩まされていて、その源には凶暴な夜叉神が棲んでいるといわれるようになりました。度重なる災害を朝廷に奏上したところ、天皇は勅使を出し、夜叉神を鎮めるため村が一望できる現在の夜叉神峠に村人とともに祠を建ててお祈りしました。以来、この川は静まり、人々は安心して暮らせるようになり、水出川も「御勅使川(みだいがわ)」と呼ばれるようになりました。

引用:「南アルプス 歩きながら覚える 夜叉神峠・鳳凰三山の高山植物 コラム:夜叉神峠の由来」より

編集:特定非営利活動法人 芦安ファンクラブ

神様の名前がそのまま峠の名前になっているということが驚きですよね。この祠は夜叉神峠を少し鳳凰三山方面へ進むと右手に見えてきます。白峰三山を楽しみながら、祠にもお祈りしてみてはいかがでしょうか。

■子授け地蔵伝説【鳳凰三山・地蔵ヶ岳】

地蔵ヶ岳山頂直下にあるお地蔵さん

△地蔵ヶ岳山頂直下にあるお地蔵さん

赤抜沢の頭と地蔵ヶ岳間の「賽の河原」と呼ばれる開けたところにお地蔵さんがあることをご存知でしょうか?このお地蔵さんは子授けのために地蔵ヶ岳に登拝した夫婦が、奉られている地蔵を1体持ち帰り、お願いがかなうと2体にしてお礼の登拝をしていたということで知られています。山梨県韮崎市の山岳会「白鳳会」では、「子授け信仰」を後世に継承するため、地蔵を山頂に運び上げる活動を続けています。1980年代に始まり、これまでに約20体を安置しているそうです。

参考記事:http://sannichi.lekumo.biz/ashiyasu/2015/06/post-2c15.html

■駒ヶ岳信仰【甲斐駒ヶ岳】

山頂にある祠

△山頂にある祠

甲斐駒ヶ岳は、江戸時代に信州人、今右エ門の次男 小尾権三郎という人によって現在の北杜市側の黒戸尾根から開山されました。黒戸尾根の登山道上にはところどころに剣や記念碑があります。麓の駒ヶ岳神社を拠点に駒ヶ岳講が盛んに行われ、現在でも駒ヶ岳神社では白装束の講者たちが般若心経を唱えて参拝したあと山頂を目指すという、講中登山が引き継がれています。

景色や高山植物を楽しみながら登ることも楽しみ方の一つですが、歴史や信仰を学んで登るのもまた新たな楽しみ方の一つになるのではないでしょうか?同行者にハナタカな一面を披露できること間違いなしですね!

ページ先頭へ↑

2018年11月27日登山者カウンター、撤去へ

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

11月14日に小池自然保護官にお手伝いしていただきながら登山者カウンターの撤去作業を行いました。登山者カウンターの設置は平成22年から毎年設置しており、広河原から北岳山頂に続く、大樺沢ルート、白根御池小屋ルートにどれくらいの人が利用しているのかを調べています。登山者カウンター設置のようすは6月12日更新の「今年も登山者カウンター設置しました!」をご覧ください。

撤去を行う小池保護官

△撤去を行う小池保護官

今年は6月4日に設置してから164日もの間、雨にも負けず風にも負けず、週末の度訪れる台風にも負けず頑張って登山者のみなさんをカウントし続けてくれました!写真に写っている太陽光パネルと内蔵されているバッテリーを主な電源としているので日照時間が短いと電圧がどんどん下がってしまうのですが、確認したところ、電圧も問題なく頑張って稼働してくれました!これからデータを分析し、まとめて集計します。今年は台風により、大樺沢ルートが何度か通行止めになったため、例年に比べて大樺沢ルートのカウント数が少ないと予想しています。どのような結果になるのか楽しみです♪

広河原から見た北岳

△広河原から見た北岳

この日は撤去作業に向かう途中にほんの少し雨に降られたものの、作業中には晴れ間も見えました。写真では雲が広がっていますが、晴れ間からときどき顔を出してくれました。バットレスや北岳山頂は白く綺麗に輝いていました。

広河原から見たアサヨ峰方面(真ん中のとんがり)

△広河原から見たアサヨ峰方面(真ん中のとんがり)

北岳山頂は見ることができなかったですが、方向を変えてみるとアサヨ峰がよく見えました!アサヨ峰は甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山を結ぶ早川尾根上にある山です。北沢峠や白鳳峠から登ることもできます。標高は2,799mと決して低山と言える山ではないですが、この日は雪が積もっている様子はありませんでした。しかし、ここ数日間は気温が低かったこともあるので、きっとうっすら白くなっている景色を見ることができるでしょう。

広河原インフォメーションセンターのようす

△広河原インフォメーションセンターのようす

11月初旬までは広河原も紅葉を楽しむことができましたが、広河原周辺の木々も葉を落とし冬の準備を始めているようです。この写真は広河原インフォメーションセンターから北岳へ向かう途中にある橋、広河原橋から撮った写真です。落葉によって遮るものが何もなくなり、橋からでも広河原インフォメーションセンターが見えました。登山者カウンターの撤去も終わり、わたし自身も広河原インフォメーションセンターへ足を運ぶのはもうじき最後になります。下界から白くなっていく北岳を見てわくわくすることにします♪

ページ先頭へ↑

2018年11月20日アクティブ・レンジャー写真展が静岡市で開催されています

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

11月13日(火)から12月9日(日)まで静岡市立南部図書館にて「アクティブ・レンジャー写真展 -国立公園・野生生物フォトコレクション-」が開催されます。関東地方環境事務所管内で活動するアクティブ・レンジャー達が、国立公園や国指定鳥獣保護区で昨年度撮影した写真の数々を展示しています。

★ アクティブ・レンジャー写真展 -国立公園・野生生物フォトコレクション-

 開催場所  静岡市立南部図書館 玄関ホール

 開催期間  平成30年11月13日(火)から12月9日(日)

 開館時間  9:00から21:00

 入 館 料  無料

 静岡市立南部図書館HPhttp://www.toshokan.city.shizuoka.jp/?page_id=91

静岡市立南部図書館の玄関ホールが会場となっていますので、図書館利用前後に見ることもできます。静岡市立南部図書館は閉館していますが、玄関ホールは21時まで開放しているので仕事終わりに見ることもできます。

展示のようす その1

△展示のようす その1

展示のようす その2

△展示のようす その2

美しい景色や動物、植物や昆虫まで!写真をご覧になって「行ってみたい!」と思う場所がありましたら、各国立公園のパンフレットの配布も行っておりますので、お手にとってみてください。

玄関ホールから入って右側の特集コーナーでは、「知ってほしい! 南アルプス国立公園について」と題して南アルプス国立公園の基本情報、ライチョウ、ニホンジカ問題について展示しています。

展示のようす その3

△展示のようす その3

「知ってほしい! 南アルプス国立公園について」の展示の前にはライチョウや国立公園についての本も展示されています。展示されている本は貸し出しが可能だそうです。その場で読むも良し、借りてじっくり読むも良しです。多くのみなさんに南アルプス国立公園について知っていただけたら幸いです。

静岡県にお住まいの方、静岡市立南部図書館に用事がある方、近くまで遊びに行かれる方、ぜひ足を運んでみてください!みなさんのお越しをお待ちしています!!

ページ先頭へ↑

2018年11月13日今シーズン最後の北岳巡視

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

111日に今シーズン最後の北岳巡視に行ってきました。この日は1日中天気が良く、今シーズン最後の巡視を気持ちよく締めくくることができました。

北岳の登山口の橋を渡ってすぐ、赤や黄色のじゅうたんが出迎えてくれました。落葉しても綺麗さは健在です。

赤や黄色の葉っぱじゅうたん

△赤や黄色の葉っぱじゅうたん

台風が来る週末が何度も続いて色づきが心配されましたが、そんな心配もご無用!さまざまな樹木が広河原を色鮮やかに染め、広河原の紅葉を目的に多くの方が足を運んでくださいました。10月後半には冠雪した北岳と広河原の紅葉を見ることもできました。(冠雪した北岳と広河原の紅葉については「1023日更新 南アルプス、雪の便り」をご覧ください)

白根御池小屋・大樺沢分岐から白根御池小屋ルートを2時間ほど歩くと見えてくるのが白根御池小屋です。この小屋の前には大きな池があり、この池こそが「白根御池」です。雨を降らせる雨乞いの池として知られています。これまでにこの池の前を何度も通過したことがありますが、この日はなんと池に氷が張っていました!

氷が張った白根御池

△氷が張った白根御池

日が差しているものの朝晩の気温が低いせいか脇にあった氷を投げても割れませんでした。標高2,400m付近でも気温がかなり低くなっていたようです。白根御池小屋から稜線に出るまでの間は登山道に影響はないものの、道脇にはちらほら雪が見られました。

稜線に出てからはところどころ雪や氷。降雪し、それらが踏み固められて表面はつるつるになっていました。そのため、小太郎尾根分岐辺りからアイゼンを着用!日影の部分はもちろん、日が差しているところでもかちこちに凍っていました!

雪化粧した富士山

△雪化粧した富士山

稜線からは仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山の南アルプス主峰はもちろんのこと、富士山も見ることができました!夏の真っ青な富士山もいいですが、雪化粧した富士山もきれいですね。

下山は右俣から大樺沢ルートを使いました。大樺沢ルートは沢沿いのため、橋が凍っている可能性があります。広河原目指して歩いていると凍っている橋に直面!橋がつるつるになっていました!どのくらいつるつるなのか写真がないのが残念。。。わたしは靴を脱ぎ、渡渉することに。沢の水は思っているよりはるかに冷たかったですが、なんだかスッキリした感覚でした♪

静寂に包まれた北岳

△静寂に包まれた北岳

無事、広河原に下山。歩いてきた道を振り返ると、雲がかかって暗くなった北岳が。なんだか、物寂しさを感じます。南アルプスは着々と冬支度を進めています。広河原や北沢峠へ向かう道路は冬季閉鎖になり、来年の6月下旬まで野呂川広河原インフォメーションセンターは冬眠に入ります。

戸台から北沢峠へのバスは15日まで運行しています。来シーズンのバス運行情報等は、来年度以降、各機関から発表される情報をご確認ください。

ページ先頭へ↑

2018年11月06日鳳凰三山巡視(後編)

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先週の「鳳凰三山巡視(前編)」の続きになります。先週の記事はこちらから。

23日は夜叉神峠登山口から薬師岳小屋まで、24日は鳳凰三山を往復で歩き、夜叉神峠登山口まで歩くというロングコースです。23日の夜は雨が降ったので、朝方の冷え込みにより登山道が凍っていないか心配でしたが、歩いてみると凍っているところはなく、今回はアイゼンの出番はありませんでした。

砂払岳と富士山(薬師岳付近から撮影)

△砂払岳と富士山(薬師岳付近から撮影)

標高2,780mの薬師岳は薬師岳小屋から歩いて10分ほど。薬師岳付近からは富士山が見えました。雨上がりだったせいか、空にはどんよりとした雲がかかっていました。砂払岳は鳳凰三山には含まれていませんが、薬師岳小屋から10分くらいの場所にあります。山のてっぺんにあるごつごつとしている岩は鳳凰三山と同様、花崗岩でできており、地面も土から花崗岩の砂に変わります。普段の鳳凰三山の稜線部は花崗岩の砂でさらさらしていますが、雨が降ったことにより砂がぎゅっと締まり、歩きやすさを感じました。

薬師岳から鳳凰三山の最高峰観音岳(標高2,840m)を通過し、1時間ほど歩くと赤抜沢の頭に着きます。ここは、高嶺や早川尾根方面へ抜ける登山道と地蔵ヶ岳(標高2,764m)へ向かう分かれ道になっています。私が個人的にオススメしたいオベリスク絶景スポットはこの赤抜沢の頭から見るオベリスクです!地蔵ヶ岳をまるっと見ることができる場所なのです!!

赤抜沢の頭から見たオベリスク

△赤抜沢の頭から見たオベリスク

どうでしょう!このダイナミックなオベリスク!ほんの少しですが、紅葉している木があり、この時期ならではの光景です。赤抜沢の頭に着く頃には、どんよりしている雲は無くなり甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳、八ヶ岳連峰もよく見えました。

薬師岳から見る白峰三山

△薬師岳から見る白峰三山

観音岳から薬師岳の稜線では北岳、間ノ岳、農鳥岳から成る白峰三山を横目に歩くことができます。なぜか北岳山頂部分の雲は1日中取れず、お目にかかることはできませんでしたが、間ノ岳や農鳥岳はちらちらっと顔を出してくれました。夜叉神峠から見る白峰三山もいいですが、鳳凰三山から見る白峰三山はより雄大さを感じることができます。白峰三山にも雪が定着してきました。真っ白になった白峰三山になるのが楽しみです♪2日間とも雨に降られることなく歩くことができ、素晴らしい景色を見ることができたので大満足でした!

鳳凰三山の登山口は主に夜叉神峠登山口、青木鉱泉、御座石温泉があります。季節的な道路規制もなく1年中アクセスできるのでアプローチは比較的簡単に行えます。ですが、夏期でもどのルートも歩行時間が長いです。積雪期になってきますと夏期よりもさらに時間がかかるのでしっかりと計画を立てて登るようにしてください。鳳凰三山にある山小屋も営業形態が夏期シーズンと変わっているので、事前に確認を取るようにしてください。また、アイゼンやピッケル等の冬山装備を携帯して入山するようにしてくださいね。

ページ先頭へ↑

2018年10月30日鳳凰三山巡視(前編)

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

1023日から24日にかけて、夜叉神峠ピストンで鳳凰三山の巡視に行ってきました。

夜叉神峠は標高1,770m、夜叉神峠登山口から約1時間。南アルプス山域の中でもアクセスが良く1年を通して登ることができます。日本第2位の高峰、北岳をはじめとする白峰三山の展望や季節の花を楽しむことができるトレッキングコースとして多くの方に親しまれています。これまでにも何度か夜叉神峠には登ったことはありますが、紅葉の時期に行くのは初めてなのでとてもわくわくでした!

登山道の脇にはミズナラ、ハンノキ、ミヤマザクラ、イタヤカエデなど数多くの樹木が生育しています。登山口からしばらく歩くと緑の中にほんのり色付く木々が現れました。

緑の中にほんのり色付く木々

△緑の中にほんのり色付く木々

ご覧の通り、登山道にはまだ雪はありません。凍っている箇所もないので、今現在は安全に歩くことがことできます。雪はありませんが、落ち葉がたくさんある場所で滑ってしまわないように、下りの際は気をつけてくださいね。

綺麗に色付く木々

△綺麗に色付く木々

先ほどの写真から20分ほど歩いた場所です。こちらは緑よりも黄色や赤がよく目立ちます。色付いている木々をよく見てみると、この付近はカエデが多く生育しているようです。紅葉した木々を下からのぞいてみるとこんな景色が。

下から紅葉した木々を見る

△下から紅葉した木々を見る

少し逆光で見えづらい感じもしますが、いろいろな形をした葉が赤や黄色に染まっていて綺麗です。空も青くて良く映えます。山を歩いているとつい下を見て歩いてしまう時間が多いですが、ふと足を止めて空を見上げてみてください。この時期にしか見ることができない景色を見ることができますよ♪

白峰三山

△白峰三山

この写真を撮った時には白峰三山が綺麗に見えましたが、数分すると北岳や農鳥岳にガスがかかりだしました。ナイスタイミングに撮影できました!白峰三山には、うっすらと雪が付いていました。先日更新した冠雪した北岳に比べると、かなり雪が減ってしまいました。冬になると白峰三山上部全体が雪で真っ白になります。今年も白銀の白峰三山の姿を見るのが楽しみです。同じ山、同じルートでも、季節が変われば全く違う景色や楽しみ方ができます。夜叉神峠付近にはキャンプ場もあるので夜には満点の星空を楽しむことだってできちゃいます!夜叉神峠付近の紅葉は終盤を迎えているように感じられましたが、少し標高を下げると綺麗な紅葉を見ることができます。高山はすでに雪山に変わりつつありますが、まだまだ秋の山を楽しみたいという方にオススメの場所です♪

夜叉神峠から6時間ほど歩くと鳳凰三山の1つ、薬師岳が現れます。この先は標高がぐんと上がり、積雪や凍結の可能性があるため、軽アイゼン等が必要になってくるエリアです。鳳凰三山編はまた次回更新します。お楽しみに!

ページ先頭へ↑

2018年10月23日南アルプス、雪の便り

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

日本のあちらこちらの山で初冠雪の便りを耳にします。南アルプスの山々にも冬の便りがぞくぞくと届いています!そこで今回は、南アルプス北部の冠雪の姿をみなさんにご紹介したいと思います。

例年、日本アルプスの中で1番最初に冠雪するのは北アルプスですが、今年は南アルプスのほうが早かったようです。

広河原から見た北岳

△広河原から見た北岳

左俣やバットレスなどの上部がうっすら白くなっているのが確認できます。今年も北岳の雪と広河原の紅葉コンビの写真を撮影できました!紅葉部分に山の陰が被ってしまっていますが、もう少し楽しむことができそうです。北岳の紅葉は終わりを迎えてきていますが、白鳳渓谷の紅葉も色づいています。この時期の広河原インフォメーションセンターには登山目的のみならず、紅葉狩りを目的として来られる方も多くいらっしゃいます。多くの方に白鳳渓谷の紅葉を楽しんでいただきたいです♪

うっすら白くなっている仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳

△うっすら白くなっている仙丈ヶ岳(写真左側)と甲斐駒ヶ岳(写真右側)

10月23日現在、登山道へ雪が見え始めるのは稜線部からとなっています。北岳のお隣の甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳、鳳凰三山もうっすらと冠雪していました。写真右側に写る甲斐駒ヶ岳は花崗岩によって年中白っぽく見えますが、雪を被るとその白さが際立ちますね!!

北岳肩ノ小屋から見た北岳方面

△北岳肩ノ小屋から見た北岳方面

北岳肩ノ小屋はおよそ標高3,000m。この日は日が射しているもののやはり寒かったです。これまで夏に見ていた北岳とは打って変わって、雪で白くなって、より山体の大きさを感じることができます。ここから先は雪が積もっているところや岩がむき出しになっているところがあります。アイゼン等の雪山装備を必ず準備して登るようにしてください。

間ノ岳方面

△間ノ岳方面

間ノ岳方面も真っ白になっています。この日は天気も良く、空気が澄んでいました。今年度、防鹿柵や伏工作業で登った塩見岳や荒川岳まで一望できました!高山植物が咲く夏の南アルプスも綺麗ですが、雪で白くなった南アルプスもとっても綺麗です!!

● 南アルプス登山を計画されている方へ

北岳各地の山小屋は11月初旬で有人から無人になりますので、ご注意ください。また、山梨県側のバスや乗り合いタクシーの運行は114日をもって終了します。長野県側のバスは1115日まで運行予定です。これからますます寒くなってきます。文中にも記述しましたが、アイゼンやピッケル等の冬山装備を携帯して登るようにしてください。北岳はすでに秋山ではなく、雪山です!!ご自身の体力・技術に応じた山を選んでください。閉山まで残りわずか!みなさんにとって安全で楽しい登山になりますように。

ページ先頭へ↑

2018年10月16日北岳の紅葉

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

1010日に北岳に行ってきました。ルートは大樺沢ルートを登り、白根御池小屋経由で下山しました。広河原から見た北岳のようすです。

広河原から見た北岳

△広河原から見た北岳

1週間前の記事(109日更新)の北岳は102日に撮影したもので、赤や黄色よりもまだ緑色が強いという印象でしたが、1週間ほどでずいぶん紅葉が進みました。広河原の紅葉は今週くらいが見頃になるかなと思います♪

大樺沢ルートから見た紅葉のようす

△大樺沢ルートから見た紅葉のようす

大樺沢ルートの2,200m付近のようすです。広河原から見る北岳とほぼ同じアングルですが、標高を上げて近くで見てみると色が濃く、綺麗に色付いていました。今年度、台風や大雨の影響で何度も通行止めになってしまっていた大樺沢ルート。「計画に入っていたけど、ルート変更した」という方も多いと思います。平成22年度から毎年、登山者カウンターを2基設置しています。(登山者カウンターについての記事はコチラ )そのうち1基は大樺沢ルート上に設置しており、入山・下山ともにほぼ毎年、大樺沢ルートを利用される方が多いです。ですが、現時点では白根御池小屋ルートでの入山・下山が圧倒的に多いです。現在、大樺沢ルートは多くの方のご支援により復旧しています。今回、歩いてみて登山道が不明瞭なところもなく安全に通行できます。大樺沢ルートから登られる方は山の斜面を見ながら大樺沢の川の音を楽しんでみてはいかがでしょうか。

白根御池小屋経由ルート・大樺沢ルート分岐から2時間ほど歩き、二俣に到着。登ってきた道を振り向くと、鳳凰三山の一部、観音岳、地蔵ヶ岳を見ることができます。

二俣からのようす

△二俣からのようす

薬師岳は観音岳の右側にあり、山に隠れてしまって見えません。代わりと言っては何ですが、左側に白鳳峠を見ることができます。白鳳峠は広河原インフォメーションセンターから10分ほどのところに登山道があり、早川尾根や鳳凰三山へ続く峠です。白鳳峠の上部は岩塊流(がんかいりゅう)と呼ばれる岩石がたくさんあり、北岳側からはそのようすがはっきりと見ることができます。

今回は山頂へ行かずに、白根御池小屋方面へ。15分ほど歩くと池が見えてきます。

白根御池

△白根御池

この池は白根御池といい、江戸時代の山梨の地誌「甲斐国志」でも紹介されている池です。大加牟婆(おおかんば)池として登場し、池に石を投げ入れて竜神を怒らせ、雨を降らせる雨乞いの池だったと言われています。この白根御池の看板は以前までかなりぼろぼろでしたが、つい最近、ようやく新しい看板に変わりました!白根御池小屋近辺に来られた際は、ぜひ、ご覧ください♪

この日はお昼頃までは日も差し、暖かく感じられました。これからの時期は朝晩だけでなく、日中も冷え込んできます。なお、大樺沢ルートは沢沿いのため、橋に氷が張ることもあります。通行には十分気をつけてください。また、日の入りも早くなってきているので、ヘッドライトおよび予備電池の携帯をおすすめします。みなさんにとってステキな紅葉シーズンになりますように!

● 南アルプス南部 茶臼岳、聖岳の登山を考えている方へ

先日の台風24号、25号の影響により、登山道の崩落や橋の全壊により通行することができません。なお、復旧については現在、未定とのことです。詳しくはこちら(オクシズ)をご覧ください。

ページ先頭へ↑

2018年10月09日南アルプス北部で秋を感じてみませんか?

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先日南アルプス南部の紅葉のようすをお伝えしましたが、北部でも紅葉が始まっています。

広河原から見た北岳

△広河原から見た北岳

広河原から見た北岳のようすです。写真では分かりづらいですが、北岳上部は紅葉がかなり進んでいます。広河原の紅葉真っ盛りまではもう少しのようです。まだ北岳は冠雪していませんが、運がいいと広河原の紅葉とともに北岳の冠雪を見ることができます!

広河原を散歩していると秋のお花見つけました!

ノコンギク

△ノコンギク

秋頃に花をつけるこのお花は【ノコンギク】です。高標高域に咲くのではなく、広河原や林道など比較的低標高域に咲きます。この可愛らしい紫色の花を見つけると秋を感じます。広河原では、あちらこちらで咲いているので探してみてください。

広河原よりも標高が500mほど高い北沢峠では木々の色づきがかなり進んでいます。

木々が紅葉・黄葉している北沢峠

△木々が紅葉・黄葉している北沢峠

北沢峠はシラビソやトウヒなど紅葉しない樹木が多いですが、ところどころで赤や黄色に樹木が染まっており、絵の具で塗ったような見事な色付きでした!空を見上げると太陽の日差しでより綺麗に見ることができますよ♪この日は1日中太陽が出ていましたが、標高2,000mほどの北沢峠ではフリースを着ていても少し肌寒く感じました。お越しの際は暖かい格好で来てくださいね。

 北沢峠に現れた沼  普段の光景

△北沢峠に現れた沼               △普段の光景

(撮影場所は若干異なります。)

北沢峠の長野県側、こもれび山荘の前に大きなくぼみがあるのをみなさん、ご存じでしょうか?夏はコバイケイソウなどがこのくぼみいっぱいに咲きます。このくぼみに先日の台風24号の影響によってなんと、大きな沼ができてしまったようです!!台風後は毎回北沢峠休憩所の現地確認に訪れます。その際、川の増水はよく見かけますが、北沢峠前のくぼみに沼ができているなんて事はありませんでした。継続的に大雨が降っていたものと考えられます。水位が高いので、水が完全に引くまで時間がかかりそうです。今なら水面に反射した紅葉した木々を見ることができますよ!

今回の台風24号は南アルプスに大きな爪痕を残しました。道路や登山道が通行止めになっている場所もあります。また、南アルプス南部では営業を終了した小屋が多くなり、南アルプス北部でも今週末で営業終了という小屋もあります。下調べを十分に行い、楽しく安全な登山を心がけてくださいね!

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ