小笠原国立公園 小笠原
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2015年05月13日平成27年度 国立公園・野生生物フォトコレクション開催のお知らせ
小笠原国立公園 沼田伸一
今年度も「国立公園・野生生物フォトコレクション-アクティブ・レンジャー写真展-」を開催します。
1年をかけて関東地方環境事務所の管内を巡って行きます。
まずは小笠原からスタートです。
日時:平成27年5月14日(木)-6月4日(木)
場所:小笠原ビジターセンター
※小笠原ビジターセンターはおがさわら丸が父島に入港している間だけ開館(8:30-17:00)し
ています。
2015年01月26日お知らせ
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
小笠原の講演会のお知らせです。
日時:1月31日(土)13:00-16:30(12:30開場)
場所:神奈川県立生命の星・地球博物館 ミュージアムセンター
(神奈川県小田原市入生田・箱根登山鉄道「入生田」徒歩3分)
料金:無料
主催:神奈川県立生命の星・地球博物館、独立行政法人森林総合研究所
プログラム
13:00-13:15 小笠原の歩き方:海洋島の生物の魅力
川上 和人(森林総合研究所)
13:15-13:45 小笠原の昆虫を食い尽くすグリーンアノール:兄島での戦い
戸田 光彦(自然環境研究センター)
13:45-14:15 新種も続々!どうやって守る?兄島固有昆虫保全大作戦
苅部 治紀(生命の星・地球博物館)
14:15-14:25 休憩
14:25-14:55 小笠原の固有植物において見られる珍しい♀と♂の進化
菅原 敬(首都大学東京)
14:55-15:25 消えゆく宝、亡びゆく王国:小笠原カタツムリ
千葉 聡(東北大学)
15:25-15:55 あらこんなところにオガサワラヒメミズナギドリ
川上 和人(森林総合研究所)
15:55-16:10 希少種との付き合い方、楽しみ方
大河内 勇(森林総合研究所)
進行:川上 和人(森林総合研究所)
小笠原諸島では、多くの固有生物が進化しており、2011年には世界自然遺産に登録されました。ここでは、現在も次々に新種の生物が見つかっており、その独特の生態系が注目されています。その一方で、ヤギやネズミ、アノールトカゲなどの外来生物の影響により、多くの種が絶滅の危機にあります。その中で、外来種から正しく島の生物を守るにはどうしたらよいのでしょうか?
この講演会では、私たちの最新の研究に基づき、今なお新種が見つかる小笠原の生物の魅力と、絶滅危惧種を守る最前線の取り組みを紹介します。
2014年10月10日サキシマオカヤドカリ
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
そんな中、鮮やかなゴミが落ちているなーと思ったら、何と!サキシマオカヤドカリでした!!
ムラサキオカヤドカリ・オカヤドカリ・ナキオカヤドカリは良く見かけるのですが、サキシマオカヤドカリは初めて見ました!
サキシマオカヤドカリは父島・母島・北硫黄島・南鳥島で生息確認されていますが、父島・母島では数は少ないようです。
最初見つけたときからしばらくずーと動かなかったので、死んでいるのか?オカヤドカリが茹で上がったのか??と思っていたら、
むくっと起き上がって歩いて行きました。
父島に住んで10年弱、初めて見たので大興奮!!!
イルカ・クジラを見るより興奮しました(笑)
※日本に生息するオカヤドカリ全種が国の天然記念物に指定されています。
許可を得た捕獲業者しか捕獲できないので、見かけても持ち帰らないで下さい。
2014年08月14日オニヒトデモニタリング
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
今回は海の巡視に行ってきました。
場所は小笠原国立公園の海域地区でもある製氷海岸。
漁港のすぐ裏にどこを見てもスギノキミドリイシ(通称:枝サンゴ)が広がっているエリアがあります。
スノーケルスポットのひとつでもあるので、ご来島の際にはぜひ行ってみて下さい。
実は3年前に島民の人から「製氷海岸にオニヒトデがいる」と連絡がありました。
見に行くと確かにオニヒトデがいました。
しかし、オニヒトデも海に生態系の一部。
いたからってすぐに駆除というわけではありません。
そこで私たちは定期的にモニタリングをし、急激に増えていないか観察しています。
今のところオニヒトデが大量発生しているということはありません。
これからもモニタリングを続け、もし大量発生した時にすぐ対応できるように備えようと思います。
今回はオニヒトデの他にアオウミガメが2頭昼寝をしていました。
他に色んな魚が見れるので、毎日この仕事でもいいかなーって思ってます(笑)
(一度、ハンマーヘッド2匹がそばを通り抜けたときはビビリましたが…)
調査中(サンゴが白くなっている所にオニヒトデがいます)
そこにいたオニヒトデ
痛そうな身体をしています
2014年08月14日シマホザキランと訪花昆虫
小笠原国立公園 小笠原 吉留光一
小笠原もとにかく暑いです。
皆様、くれぐれも夏バテには気をつけて下さい。
さて、こんな天気のいい日は林の中でピクニックですね。
AR2人もマットを敷いてくつろいでいます、
そんな風に見えますよね?
でも実はこの写真、「シマホザキラン」の人工授粉中なのです。
2人とも細かい作業に神経を磨り減らしている最中です。
そしてこれがシマホザキランです
シマホザキランは小笠原固有種で、絶滅危惧IA類に指定されています。
そしてこの小さなランですが、
父島ではここに6株残るだけの大変貴重な植物なのです。
しかも父島にはグリーンアノールによる捕食で、
花粉を運ぶ「訪花昆虫」がほとんどいません。
そのため今年もARが「訪花昆虫」になっております。
努力の甲斐あって昨年度は見事、結実をしました。
今年もシマホザキランが結実するかどうかは、
小笠原自然保護官事務所の「訪花昆虫」達の腕次第です。
2014年06月25日国立公園・野生生物フォトコレクション、母島にて開催中
小笠原国立公園 小笠原 吉留光一
2014年05月22日国立公園・野生生物フォトコレクション開催のお知らせ
小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一
2013年12月18日カタツムリを守る意味
小笠原国立公園 小笠原 吉留光一
もう街は冬一色ではないでしょうか?
僕は最近、カタマイマイの調査に同行させて頂いています。
そこで今回は、小笠原諸島「父島」の現状について少し触れてみたいと思います。
さて、突然ですが「カタツムリを守る」と聞いて皆さんはどう思われますか?
カタツムリと聞いてもあまりピンと来ないのではないでしょうか。
ましてや「守る」と言われても不思議に思われるかもしれません。
しかし、小笠原の世界遺産にとってカタツムリは無くてはならない存在なのです。
「現在進行形の生物進化」-大陸から遠く離れた小笠原諸島では、
そこにたどり着いた生物たちが独自の進化を遂げてきました。
中でも陸産貝類は100種以上が存在し、その内90%を固有種が占めます。
特にカタマイマイはその象徴とも言える種で、木の上から落ち葉の下まで、様々な場所に適応して進化をしてきました。
そしてその進化は現在でも続いていると言われています。
生物進化の過程を示し、現在も進化しているカタツムリ
小笠原の世界遺産にとってカタツムリは重要な価値を持っているのです!
父島の固有種であるチチジマカタマイマイ
しかし、実はもう父島にカタマイマイはほとんど残っていません。
かろうじて残っている数カ所も、数年後にはいなくなるだろうと考えられます。
その一番の原因は外来種のニューギニアヤリガタリクウズムシです。
これは陸棲のプラナリアで、主に陸貝を捕食します。
しかも一度侵入を許すとそこにいる陸産貝類を食べ尽くし、
繁殖力の弱い固有種はこのプラナリアに対抗できません。
陸産貝類を食べ尽くすニューギニアヤリガタリクウズムシ
現在のところ、ニューギニアヤリガタリクウズムシの駆除に有効な手段はありません。
父島のカタマイマイに纏わり付く「絶滅」の二文字は非常に現実味を帯びてきているのです。
環境省ではカタマイマイの残る地域で、柵による防衛を検討していますが、
今はただ侵入を防ぐことしか出来ません。
父島のカタマイマイは今、「絶滅」との戦いの最前線にいるのです。
飼育下のチチジマカタマイマイ
絶滅した生物はもう元には戻りません。
そして私たちは今預かっている「世界遺産小笠原」は、
未来の世代に引き継がなければなりません。
だから僕らは「カタツムリを守る」のです。
いつか父島でカタマイマイが普通に見られる日が来ることを信じて
2013年12月03日小笠原の黄色い花
小笠原国立公園 小笠原 吉留光一
このところ天気の悪かった小笠原ですが、
今日は久しぶりに青空が覗いています。
それにしても近頃は肌寒くなってきましたね。
各地の皆さまはもう冬本番と言ったところでしょうか?
さて今回は、小笠原に咲く黄色い花をご紹介したいと思います。
写真はコヘラナレンと言うキク科の花です。
実はこの可愛らしい花も大変貴重な植物なのです。
兄島と父島だけに分布するコヘラナレンは、
主にノヤギによる食害で激減してしまいました。
今は限られた場所に咲くのみです。
前回、菅生ARの日記にもありましたが、
コヘラナレンも人工授粉による増加を試みています。
この花が当たり前に咲く島、そんな日が来る事を期待したいです。
最後にこちらの花はムニンタイトゴメ。
岩場にポツポツと咲いていました。
名前の由来は葉がお米に似ているからだそうです。
小さな花ですが、何も無い岩場で力強く咲いています。
こちらも小笠原の固有種で、絶滅危惧種に指定されています。
小笠原を歩く際は是非、足下の黄色い花にもご注目下さい!
突然ですが、
どうでしょう??
実はこれ、父島で全戸配布されたチラシです。
世界自然遺産、小笠原。しかし、遺産に登録される際に大きなポイントになった固有種には、外来種の侵入による影響で絶滅の危機に瀕しているものが少なくありません。小笠原で独自の進化を遂げた約100種もの「マイマイ」達もそんな生物のひとつ。有人島である父島では、すでにある地域を除いて絶滅したと考えられています。そして「ある地域」は許可無く立入ることが出来ません。父島での普段の生活の中で固有種のマイマイを見る機会は実はほぼ100%無いのです。
そんなマイマイに興味を持ってもらうにはどうしたらいいだろう・・・
実際に見てもらえばいい!
というわけで関係行政機関・地元NPOの方々の協力の下、今月6日に兄島視察会に行ってきました。
(兄島は父島の北にある無人島。たくさんの外来種問題を抱えてはいますが、過去に人の手がほとんど入っていないため現在でも貴重な動植物が残されており、生態系保全上重要な地域です。)
当日は宮之浜に集合して、まずは外来種対策。
父島のマイマイに壊滅的なダメージを与えている外来種ニューギニアヤリガタリクウズムシを兄島に持ち込むことは許されません。靴の裏に付いた土や泥はすべて取り除き、お酢をかけることで確実に退治します。
実際にニューギニアヤリガタリクウズムシにお酢をかけてもらい、効果をみていただきました。
宮之浜から船に乗ること約10分。
兄島ではマイマイ以外にも父島ではなかなか見ることが出来ない生物を観察することが出来ます。
左)沢で水生生物を観察中
右)固有トンボの産卵用に設置したバケツの中を観察中
ほとんど未整備の急峻な道を登っていくと乾性低木林が広がっています。ここで、もう一度外来種対策。
滝之浦海岸にはニューギニアヤリガタリクウズムシとは別種の貝食性プラナリア(外来種)が生息しており
それらを兄島の台地上に持ち込まないためです。
左)良好な乾性低木林の残る兄島
右)台地を移動する前に二度目の外来種対策
道中、グリーンアノール対策で設置している柵や捕獲用トラップ、ノヤギの駆除で個体数が回復傾向にある希少植物などを見ていただき、いよいよマイマイ探し。
同行していただいた地元NPO職員の方からマイマイの生息地、探すに当たっての注意事項等を説明していただき、地面に落ちた葉の下、木の幹などいろいろな場所を探します。小さいものは数ミリ程度の大きさなので、探すのは一苦労ですが、一度見つけると目が慣れてくるのか時間が経つにつれ見つけることも容易になってきます。参加者の方は老若男女を問わず皆さん真剣で、マイマイの隠れ人気を肌で感じました。
左)マイマイについての説明中
右)こんなところにもマイマイが?
でも、「今回の視察会では生きたマイマイを見つけることも出来ました、よかったね~」
と素直には喜べません。実は兄島のマイマイもかなり厳しい状況にあるというのが現状です。兄島には外来種であるクマネズミが生息しており、ネズミによる食害で兄島のマイマイにも絶滅のおそれがあります。兄島で生息調査を行うとネズミ食害を受けたマイマイの死殻を見つけることは非常に簡単で、かつては兄島全島に生息していたマイマイも今では生息地・個体数ともに激減しています。
ネズミ食害を受けたマイマイの死殻
マイマイ探しの後には、クマネズミ捕獲用に設置しているカゴ罠も見ていただき、剣山山頂でお昼ごはん、最後に滝之浦海岸で意見交換を行いました。
兄島では様々な外来種対策が行われていますが、接する機会がない方々にとってその問題について考える事は難しいのではないでしょうか。ですが今回視察会に参加いただいた方々には実際に現場を見ていただくことでマイマイや世界遺産について、何故兄島での対策が必要なのかについて興味を持っていただけたのではないかと思います。また私自身も普段の業務では見ることがなかった兄島の一面を見たように感じます。
最後になりましたが、兄島視察会にご参加いただいた島民・小笠原諸島ネズミ対策検証委員の皆様、ご協力いただいた関係機関の皆様、本当にどうもありがとうございました。
*定員の都合で視察会にご参加いただけなかった方々へ
この度は大変申し訳ありませんでした。
今後、改めて視察会を行うことを考えておりますので、情報をお待ちください。