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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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小笠原国立公園 小笠原

257件の記事があります。

2010年10月08日【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで10日前】

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

小笠原のネコ

今年の夏ごろに新聞記事などで小笠原のネコについて記事が載っていたので知っている方もいらっしゃるかと思いますが、今小笠原では、希少な野生動物であるアカガシラカラスバトやオガサワラオオコウモリ、海鳥の繁殖地を守るために、山にいるノネコを捕獲して東京へ運んでいます。
いわゆる一つの外来種対策です。

最初、海鳥たちが急速にいなくなっていることに危機を感じセンサーカメラを仕掛けたところ、ノネコが自身より大きい海鳥を咥えている写真が写りました。
その後の調査で、そのネコの縄張りと思われる所に何十羽という鳥の死骸がみつかりました。
このままでは、海鳥たちが絶滅してしまう!何とかしなくてはっ!!
ということでネコを捕獲し始めました。

しかし、捕獲したネコをどうするか?飼うにも野性味あふれて慣れそうもないし、何より野生下にいたので、どんな病気などを持っているか分かりません。
そこで、思い切って東京都獣医師会に相談しました。
「ネコを安楽死させる方法を教えて下さい。」と
事情を聴いた獣医師は
「殺すのは待って。小笠原で幸せに暮らすことができないけど、内地なら幸せに暮らせることができるはず」
とおっしゃってくれて、動物病院で引き取って頂き、馴化して、新たな飼い主の元へ旅立っていくという、殺処分することがない外来種対策を行っています。

小笠原は、街中と山との距離が近くネコとノネコが接触を持ちやすい環境でもあるので、集落にいるネコ(飼いネコや地域ネコ)にマイクロチップを入れ避妊去勢をしています。
飼いネコについては、室内飼養を推奨して適正な飼養を呼び掛けています。

捕獲と適正飼養、この2つの対策でもって初めて島の生態系が守られます。
人間とペットと野生動物みんなが共生できる環境を目指して行きたいと思います。

まだまだ先の話ですが、この対策などが詳しく聞けるシンポジウム(主催:(社)東京都獣医師会)が、来年の2月20日に東京大学の一条ホールにて開催されます。
皆さまぜひご参加ください。
詳しい内容がまた分かりましたらこの日記にてお知られします。


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2010年09月14日希少植物調査

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

8月末~9月頭頃に、東京大学大学院理学系研究科附属植物園(通称:小石川植物園)の技術職員が来島し、地元NPO野生生物研究会のメンバーと共に希少植物の調査に行ってきました。

生育状況調査等を行う為に、道なき道を歩いたり、とても急な崖を登ったりといつも以上に汗が噴き出てた日々でした。
でも汗だくになって山を登った先に素晴らしい景色が現れると、疲れも吹き飛んで気分爽快になりますね。




ちょうどこの時期はアサヒエビネ(絶滅危惧ⅠA類)の開花シーズンです




またとある場所ではムニンノボタン(絶滅危惧ⅠA類)がまだ咲いていて、珍しい5弁の花を咲かせていました。




父島はノヤギの食害やグリーンアノールの影響(花粉を運んでくれる虫を食べてしまう)でなかなか順調に生育している状況ではありませんが、ノヤギの駆除が終わった兄島(グリーンアノールはもともと侵入していない)ではノヤギの食害がなくなったので、希少植物の数も着々と増えてきています。
希少植物が希少でなくなるぐらい増える日が楽しみです。

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2010年08月26日【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで50日前】

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

~ 小笠原の昆虫を守るために ~

みなさんこんにちは。
8月ももう終わりですね。
宿題は終わりましたか?

ここ小笠原では、ぼちぼちオガサワラゼミがいっぱい鳴き始めます。
この鳴き声を聞くと秋が来たなーと感じます。
(オガサワラゼミは夏~秋にかけて見られ、その鳴き声は秋によく聞くことができます)

けど、年々セミの鳴き声があまり聞こえなくなってきています。
それはなぜか?

それはグリーンアノールというトカゲが、セミや島中の昆虫を食べつくしているからです。
彼らは口に入るものは何でも食べます。
それゆえ、グリーンアノールがいる父島・母島では希少な昆虫たちの数が減ってきています。
しかし一方、その他の無人島ではまだまだ多くの昆虫が見られます。

環境省では2006年からグリーンアノールが他の島に侵入しないように、港周辺に粘着トラップを使った駆除を行っております。
その結果、港周辺のグリーンアノールは低密度に抑えられ、船やカヤックなどに隠れた侵入の危険性は低くなっています。

また2008年からは、母島の希少な昆虫類が生息する所に保護区を設け、そこではグリーンアノールの侵入を防ぐフェンスを設置しました。
そして、その保護区内のグリーンアノールを排除し、母島本来の生態系を取り戻す対策に取り組んでいます。

皆様も小笠原に来られた際には、父島・母島から他の島に外来種を広げないよう注意して下さい。
ツアーなどでツアー船やカヤックに乗る時は、かばんの中などにグリーンアノールがいないかどうかチェックして下さい。
小笠原にいる昆虫を守るためにご協力をお願い致します。


オガサワラシジミ

オガサワラゼミ

グリーンアノール

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2010年08月02日ムニンノ・・・?

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

問題です。
これは何でしょうか?




昆虫?

動物?

植物?


答えはこれ





ムニンノボタン
ムニンノ”ボタン”でなく、ムニン”ノボタン”です。
ノボタン科の一種で、小笠原固有種です。

独特なおしべの形ですね。
ちょうど今が花の最盛期です。

ちなみに母島にあるのは"ハハジマノボタン”
北硫黄島にあるのは”イオウノボタン”です。

見比べてみるはいかがでしょうか?

あ、北硫黄島には行けないので、
ムニンノボタンとハハジマノボタンの違いを見てみて下さい。
この夏の自由研究に最適ですよ。

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2010年07月21日世界自然遺産登録に向けて

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

新聞やTVなどでご覧になった方もいるかと思いますが、
7月上旬に世界自然遺産登録の審査の一環として、IUCN(国際自然保護連合)の専門家による現地調査が行われました。




10日間に渡り小笠原諸島を隅々まで調査しました。




また、地元の方々と意見交換会を行ったりしました。




希少種の保護状況や外来種対策などの進捗状況を実際に見てもらい、地元の生の意見を聞いてもらうことができ、地元の生活なども触れることができてとても有意義な現地視察でした。

また視察中の10日間は雨が降ることもなく天気が良くて、小笠原の海や山や空をたっぷり感じて頂くことができました。
もちろん、皆さんがっつり日焼けしていました。
視察者の1人は「今度は遊びに来るっ!」と言っていたとか^^
(過密スケジュールお疲れ様でした)

今後はIUCNが来年5月頃に報告書をユネスコ(国連教育科学文化機関)に提出し、7月頃の世界遺産委員会で登録の可否が決まる予定です。

来年が待ち遠しいですね


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2010年07月02日部分月食

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

梅雨の明けた小笠原です。
(そもそも、小笠原には梅雨はないという話もありますが…)
ここ最近は猛烈な日差しが続いていて、かなり真っ黒になってしまいました。
夜に私を発見するのは困難なことでしょう。

さて先日の26日は部分月食の日でした。
またその日は小笠原返還記念日です。
小笠原がアメリカから日本に返還されて42年が経ちました。

毎年この6月26日に返還祭を行っています。
各種伝統芸能披露など、毎年大いに盛り上がっています。

そして今年は部分月食も起きました。
イベントも見たいけど月食も見たい…
首を振りすぎたらしく、翌日は首が痛かったです。。。



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2010年06月01日小笠原もツツジ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

ツツジの記事が続いているので便乗して(笑)
小笠原にもツツジがあります。
その名も、ムニンツツジ。
その名の通り、小笠原固有のツツジです。
生息場所もその名の通り、躑躅山(つつじやま)にあります。
(この場所はガイド同行でないと行くことができません)

昔はたくさん自生していたのですが、干ばつや環境の悪化で激減し、とうとう1株しかないという状態になりました。
その後、東京大学小石川植物園で苗を育て躑躅山に植え戻しを行い、今では毎年たくさんの花を咲かせるようになりました。

花の時期は3月末~7月末ごろまでと比較的長いので、春の花?という感じでないですが、今が見ごろなので、是非ご覧下さい。

また数株は街中にある大神山公園にも植栽されています。
こちらは手軽に見ることができるので、散歩がてら見に行くことが出来ます。



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2010年05月27日無人島めぐり

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

先日、東京都、林野庁の方々と合同巡視に行ってきました。
場所は小笠原諸島聟島列島の媒島(なこうどじま)と聟島(むこじま)。
私の住む父島から5,60kmほど北にある島です。

行きは追い風だったので3時間ほどで着きました。
帰りはもちろん向かい風なので3時間半。。。
長い船旅ですが、道中、海を眺めて鯨類や海鳥の観察を行いました。
まだザトウクジラがいたらいいな~と希望を持って観察していましたが、どうやらザトウクジラは繁殖育児期間を終え、北に行った模様です。。
その他鯨類は見つかりませんでしたが、カツオドリなど海鳥はたくさんいました。

媒島・聟島では自然再生施設の確認、外来種駆除の確認など行いました。
聟島では鳥島から移送してきたアホウドリの雛もいて、もうすぐ巣立つように見えました。
その他クロアシアホウドリ、コアホウドリもいました!

聟島列島は父島列島や母島列島とはまた違う自然の様子を見ることができます。
ドルフィンスイムやダイビングでも聟島列島に行くので、一度足を運んで見てはいかがでしょうか?
なお、聟島列島は林野庁の森林生態系保護地域の保全地区に設定されているので、一般のツアーで島に上陸することはできません。
ですが、船から見た島の景観も良いですし、イルカや魚が多いですし、とっても楽しいですよ!
これから夏にかけて海も穏やかになるので、ゼヒ!!

アクティブレンジャーの私、都レンジャー、林野庁職員
3人そろってオガレンジャー!!

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2010年05月18日島じまん2010

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

みなさまGWはいかがお過ごしでしたか?
内地は毎日いい天気で行楽日和でしたね。
しかし、小笠原はほとんど雨雨雨…さむーいGWとなりました。


小笠原関連の内地イベントです。

島じまん2010

日時:5月22日(土)・23日(日)
時間:10:00~18:00
場所:竹芝桟橋・竹芝客船ターミナル

2年に一度行われる伊豆・小笠原諸島のPRイベントです。
小笠原からは、南洋踊り&KAKA、フラの披露
伊勢海老(とても大きいです!)、パッションフルーツや小笠原ならではの食べ物の販売
タコの葉細工の体験などがあります。
また、小笠原諸島世界自然遺産登録へ向け、遺産価値の証明とこれまでの取組や今後のスケジュール等の展示を行います。

その他、さくらまやライブや仮面ライダーWショーが行われます。
今度の週末はぜひ島を満喫しに竹芝へ行きましょう!!



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2010年04月15日イベントのお知らせ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

ここ数日の小笠原は気温も25前後と暖かい日が続いています。
水温の方も23度前後なり、ぼちぼち泳ぎ始めようかなと思っています。
(沖の方はもう少し低い水温だと思いますが)

そんな小笠原の魅力を内地でご紹介するイベントのお知らせです。

2010新宿御苑みどりフェスタ
みどりフェア&国立公園フェア

日時:4月29日(木・祝)9:00~16:00
場所:新宿御苑(当日は無料開園日です)

この会場で、世界自然遺産に推薦した小笠原諸島の価値と保全の取り組みについての紹介と小笠原諸島の魅力についてご紹介します。
また、アカギ材を活用したクラフト教室や小笠原特産品の試食・販売もあります。

その他、いろんな国立公園の紹介や特産品の試食・販売、各種体験プログラム、NPO・NGOの活動紹介などを行います。
さかなクンのトークショーやいろんなゆるキャラも来ますよ☆
(私が一番気になるのが、新宿エコレンジャーですね)

皆様のご来場お待ちしております。



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