小笠原国立公園 小笠原
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2017年12月15日教育関係者向け兄島視察会
小笠原国立公園 小笠原 古田貴士
こんにちは。小笠原の古田です。
兄島では固有の陸産貝類や昆虫類等を保護するため、外来種のグリーンアノール、ネズミ、モクマオウ
(樹木)等の駆除作業が行われています。そうした取組を地元の方に知って頂くため、11月23日に父島の教育関係者を対象とした兄島視察会を行いました。地元の小、中、高校等から12名の先生方等に参加頂きました。
対策箇所までは険しい道を注意しながら登っていきます。
兄島では、関係機関による様々な対策が実施されています。
対策の現場がよく見える台地上の高台に移動した後、環境省によるアノール駆除トラップ、アノール侵入防止柵(A,Bライン)、希少植物保護、固有陸産貝類保護などについて説明したほか、林野庁による外来植物
対策、東京都によるノヤギ駆除の歴史、アノール侵入防止柵(Cライン)の整備状況、小笠原村役場から、
世界から見た小笠原諸島について、クイズ等を交えて説明をしました。
昼休憩後は希少植物種を観察しました(写真はコヘラナレン)。
林内では固有陸産貝類の観察も行いました。カタマイマイ、カドオガサワラヤマキサゴ、
ヘタナリエンザガイ、ハハジマキセルガイモドキ等が見つかりました!
今回は地元の先生方に小笠原世界遺産の価値を知って頂くことができたのではと思います。
小笠原 古田
2017年11月09日10/29 マイマイイベントを開催!!
小笠原国立公園 荻野裕太
皆さん、こんにちは!小笠原ARの荻野です。
10月29日に小笠原世界遺産センターにてマイマイ(カタツムリ)イベントを開催いたしました。
写真 小笠原世界遺産センター正面玄関 welcomeボード
小学生以上を対象に小笠原固有のマイマイについて楽しく知ってもらおうと、
体験型の募集プログラムと誰でも参加できるセルフガイドコーナーを設置しました。
今回は20名弱の参加があった「募集型イベント」について紹介します!
最初に、参加者にマイマイワークブックをプレゼントしました。
ワークブックはイベントを体験しながら書き込めるシートになっており
生態クイズや生態観察などに役立つポイントもたくさん盛り込んであります。
写真 ワークブック
では、ここで募集型イベントの内容をより深くご紹介します。
まず、導入では「マイマイ」ってどのような生き物なのか?について、
私が実際に巨大マイマイになりきって、手足等が使えない状況はどのような感じなのか
巨大マイマイになって再現してみました。実際に体験するとなかなか殻が重たくゆっくりしか進めません。
なかなか進まない姿を参加者が見て、殻の重さや動きの難しさなどを感じてくれたのではないでしょうか。
写真 なりきり巨大マイマイ
次に生態観察とクイズを実施しました。
生態観察では地面に住むマイマイや木の上に住むマイマイが、それぞれ種ごとに殻の形や模様などが違うことをルーペや顕微鏡を使って観察しました。
また、クイズを通してマイマイが卵を産む部分はどこか?等々の普段あまり知られていないマイマイの生態の不思議に触れることができ、皆さん興味津々の様子でした。
写真 マイマイ生態観察
写真 マイマイクイズ
最後にマイマイが小笠原にたどり着いて現在に至るまでの様子をわかりやすく紙芝居の
読み聞かせで紹介しました。マイマイの飼育スタッフが作成した暖かみのある手作り紙芝居で、
プログラムで学んだことの振り返りを和やかに終えることができたと思います。
写真 紙芝居「父島のカタマイマイ」
今後も遺産センターならではのプログラムを開催していきたいと思います。
2017年10月20日オガサワラハンミョウのモニタリング調査
小笠原国立公園 古田貴士
こんにちは。小笠原の古田です。
先月に引き続きオガサワラハンミョウの話題です。
本日、再導入を行ったハンミョウの定着状況を確認するため、再導入地におけるハンミョウのモニタリングを行いました。
この裸地は数日前にハンミョウの再導入を行った裸地です。
ハンミョウの生息地をできるだけ荒らさないように、成虫個体・幼虫の巣穴を踏まないように慎重に歩きながら、目視でハンミョウ成虫を探します。
すると・・・
ハンミョウを発見!
羽と胸部には個体識別のためにマーカーで着色してあります。
今回調査した裸地では、再導入したハンミョウ成虫を5個体、幼虫の巣穴を5つ発見しました!
下の画像中心部の小さな穴は幼虫の巣穴です(1齢幼虫)。直径は約2mmと非常に小さいです。
これからどんどん幼虫の巣穴が出てくることを期待しています!
国内希少野生動植物種
http://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/index.html
保護増殖事業
2017年09月29日オガサワラハンミョウ「再導入」
小笠原国立公園 古田貴士
こんにちは。小笠原の古田です。
ハンミョウという昆虫をご存知でしょうか。ハンミョウは、空き地や未舗装路等に居る甲虫の仲間です。日本では26種程が確認されています。人が近づくと飛んで逃げて数m程先に着地し、更に近づくとまた飛んで逃げて数m程先に着地するといった行動を取ることがあります。道案内をしてくれているように見えることから「道しるべ・道教え」という愛称で呼ばれることもあります。
小笠原にもオガサワラハンミョウという固有のハンミョウがいます。成虫は体長約10-15mm。過去には父島にも生息していたそうですが、生息環境の悪化などにより、現在では兄島の限られた場所でしか見られなくなりました。数が非常に減ってしまったため、国内希少野生動植物種に指定され、保護増殖事業が実施されています。兄島では、過去の生息地において、外来植物の駆除や外来植物の落ち葉の除去などを行い、環境改善を進めています。
つい先日、保護増殖事業の一環として、人工飼育により生まれた成虫を、環境改善した兄島の裸地に放虫する事業を行いました。
以下は放虫時の様子です。
-
1. ハンミョウの入ったケースをハンミョウが産卵に好みそうな裸地に置きます。
2. ケースを開けます。
3. ハンミョウが出てきます。
4. しばらくするとハンミョウは飛び立ち、周辺に分散していきました。
今回は合計57匹の成虫を、かつての生息地2箇所に放しました。背中についているピンクや緑色は、放虫時期や場所、性別などを識別し、行動を観察するために付けたマーカーです。
無事に定着し、増えてくれることを願っています。
2017年07月21日外来アリ対策最前線in小笠原!
小笠原国立公園 古田貴士
こんにちは!小笠原の古田です!
最近、ヒアリが話題になっていますが、実は小笠原諸島にもヒアリではありませんが外来種のアリが侵入しています。
名前はツヤオオズアリ(Pheidole megacephala)です。
このアリの何が問題かというと・・・小笠原在来のアリの生息地に侵略的に増えていき、小笠原固有の微小な陸産貝類(大きさ数ミリのカタツムリ)を食べ絶滅に追いやってしまうことが、最近の研究で分かってきました。
そのため、現在環境省・林野庁・東京都・小笠原村などでツヤオオズアリの駆除を行っています。こちらは対策を行っている場所の1つ、父島の宮之浜です。
この浜は、兄島など周辺無人島へのカヤックツアーや、作業員の渡船の発着場となるので、浜に侵入しているツヤオオズアリを拡散させないために、駆除が必要となっています。
実際にはベイト剤(毒入りエサ)を設置し、ツヤオオズアリを駆除していきます(この辺りはヒアリと対策が似ています)。できるだけ他の生き物が食べないように、金属網でエサを包みます。以下は作業の様子です。
作業の様子(ベイト剤の交換をしています)
ベイト剤
設置トラップ
以下はツヤオオズアリ(働きアリ、体長は約2mm)です。
和名の通り、体にツヤ(光沢)があります。オオズ(大頭)アリですが、写真のものは働きアリなので頭部が大きくないです。兵隊アリは頭が大きいです。
ツヤオオズアリは多女王制(1つの巣に女王アリ(繁殖個体)が複数個体存在)なので繁殖力も強く、駆除には継続した努力が必要です。
貴重な陸産貝類を守るためにも、今後もツヤオオズアリ対策を継続していく予定です。
小笠原に来られる際には、外来生物を持ち込まない、拡げないようご協力をお願いします!
2017年06月30日小笠原に夏が来た!
小笠原国立公園 古田貴士
どうも、小笠原の古田です。
6月も終わりですが、ついに小笠原に本格的な夏が来た感じです!
気温も30℃を超えています。
暑いですが、小笠原のアウトドアを楽しむには素晴らしい時期ですね。
アウトドアといえば海水浴!シュノーケリング!港から徒歩5分で砂浜に行けます!
写真は港から徒歩5分の前之浜
是非是非小笠原にお越しください!海と空がとても碧いです!
また、遺産センターの展示もほんの一部ですが、7月から夏仕様に変更します!
変更後は来月にアップします!
変更前
2017年06月08日カタツムリ緊急救出プロジェクト
小笠原国立公園 荻野裕太
みなさん、こんにちは!小笠原ARの荻野裕太です。
6月8日(木)、父島の固有カタツムリを安全地帯に移送する救出作業(緊急捕獲)を行ってきました。
なぜ、カタツムリを緊急捕獲する必要があるのかというと...
小笠原諸島はほかの陸地と一度も繋がったことがない「海洋島」です。
海洋島では偶然にたどり着いたわずかな生き物や植物が独自の進化を遂げて、
現在の小笠原諸島に暮らす生き物達が暮らしています。
その小笠原諸島に暮らす代表的な生き物が「カタツムリ」です。
写真 チチジマカタマイマイ
しかし、残念ながら外来種のプラナリア(ニューギニアヤリガタリクウズムシなど)
によって固有種のカタツムリが激減しています。
どうにかして、外来種の脅威に負けないよう、
プラナリアの侵入を防ぐ柵内に引っ越しをさせています。
今回、どのようにカタツムリを引っ越しさせているのかご紹介します。
先程のチチジマカタマイマイはどんな場所に暮らしていると思いますか?
実は大きな落ち葉が積もって水分が豊富な腐葉土がある場所にいます。
実際に探してみるとなかなか見つからずに一苦労です。
写真 カタツムリ捜索風景
見つけたカタツムリ達は、殻に番号タグを付着して柵内に移します。
写真 左 番号付け作業 / 右 番号付け後のカタツムリ
定期的にモニタリングをして、柵内で元気に暮らしているか、確認しています。
父島固有のカタツムリをいつまでも残していきたいと思います。
2017年05月29日「小笠原の自然」の将来ビジョン
小笠原国立公園 古田貴士
小笠原自然保護官事務所の古田です。
最近、地域の方々と「小笠原の自然」について話をした際、環境省職員の私がイメージするものと地域の方々や観光客の方々がイメージするものにギャップがあることを知りました。
アクティブレンジャーは、仕事として保護区域や希少種の生息域に立ち入る機会が多いため、貴重な固有動植物を目にする機会は多いです。一方で、これら動植物の多くは、そもそも数が少なかったり、サイズが小さかったり、色合いが地味だったりして気づきにくいものが多いです。さらに、地域の方々や観光客は、そういった生息域に立ち入る機会が少ない、あるいは難しいため、目にする機会が少なくなるため、このようなギャップが生まれるようです。身近な自然だけでなく、小さくて地味かもしれませんが小笠原諸島世界自然遺産を代表する生き物も、もっと身近なものにするために、生息環境の改善や野生復帰を進めていくことで数を増やし、観光地としての小笠原の価値を更に高めることができればと考えています。
小笠原自然保護官事務所 古田貴士
写真:父島 二見湾
2017年05月22日小笠原世界遺産センター OPEN
小笠原国立公園 小笠原 荻野裕太
5月16日に小笠原世界遺産センター(以下、センター)の開所記念式典を開催しました。式典では、森下村長からご祝辞をいただいたほか、センター入口にてテープカットを行い、晴れて一般公開を迎えることができました。その後、科学委員会の大河内委員長と東京都獣医師会の中川理事を講師に招き、センター内を大ホールに模様替えして、記念講演会を開催しました。講演会には80名近くの島民に参加いただき、盛況のうちに無事式典を終えることが出来ました。
(テープカット)
開所式式典後、開館特別記念講演会を開催いたしました。講演では小笠原諸島がなぜ世界遺産に選ばれ、小笠原諸島の価値や今現在取り組んでいるネコプロジェクトが発足することになった理由についてを島民の方々に講演会で再認識する貴重な時間になったのではないかと思います。
講演名:
「小笠原世界遺産の将来にむけて小笠原世界遺産センターに期待すること」
小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会委員長 大河内 勇 氏
「希少種を守る地域協同の取組小笠原ネコプロジェクト」
公益財団法人 東京都獣医師会理事 中川 清志 氏
(講演会風景)
センターの開館日は、基本的におがさわら丸の父島入港中の9:00から17:00となります。7月中旬から8月下旬にかけてのおがさわら丸着発期間中は、月曜日から金曜日の9:00から17:00を開館日とし、土曜日は休館日となります。開館日の詳細につきましては、「小笠原自然情報センター(http://ogasawara-info.jp)」に掲載いたします。
こんにちは。小笠原の古田です。
12月6日、地元の小学3年生に、固有種オガサワラハンミョウ(以下、ハンミョウ)について授業を
行いました。小笠原世界遺産センターに26名の子供達が参加してくれました。
最初に、なぜハンミョウを保護しているかを環境省から説明し、ハンミョウ飼育スタッフによる体の構造や
生活史についての話がありました。
その後、実際に飼育している保護増殖室に移動し、幼虫・蛹・成虫を観察したり、飼育スタッフの手ほどきを受けて幼虫のケア(試験管内の掃除等)を行いました。
・プラケース:1・2齢幼虫が集団飼育されています。(観察用)
・試験管:2・3齢幼虫が個別飼育されています。(観察、ケア体験用)
・シャーレ:死亡した成虫を入れています。(成虫観察用)
子供達はハンミョウの姿や行動に興味津々でした!
12月17日には、一般向けにオガサワラハンミョウのイベント
「ハンミョウの知られざる世界」も開催します!