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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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小笠原国立公園 小笠原

257件の記事があります。

2009年10月21日世界自然遺産候補地ツアー

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

小笠原諸島は世界自然遺産の登録候補地です。
平成22年2月に推薦書を提出し、平成22年度中にIUCNが小笠原諸島に視察に来て、平成23年度に開催される世界遺産委員会によって審査され、登録か否か決定します。
詳しくは、http://ogasawara-info.jp/index.htmlをご覧下さい。

先日、小笠原住人向けに小笠原の世界自然遺産の価値を知ってもらうために、スペシャリストをお呼びしてイベントを開催しました。
今回は『ボニナイト(※)を見に行こう!』です。

小笠原諸島は海洋性島弧の誕生から成熟した段階に至るまでの一連の成長過程を記録した地層が陸上に大規模に露出しており、これらを詳細に観察することができる世界で唯一の場所です。
小笠原諸島の地質は、大陸地殻がどのようにして形成され成長してきたかを示す地球の進化過程の記録にほからならないのです。

…と難しい説明・資料等は聞いたり読んだりしたことがあるけど理解しがたい分野なので、実際に現場に行き専門家による解説を聴こう!というイベントです。
小笠原諸島の地質に詳しい金沢大学の海野教授を講師に、船に乗って父島をぐるっと回りいろんな所の地層を見ながら説明して頂きました。

普段私は船に乗ると海ばっかり見てイルカやクジラを探していますが、今回は海に背を向けひたすら岩肌を眺めてました。
海野教授の説明を聞いていたら、何気なく眺めていた岩肌それぞれに個性・歴史があるんだなぁと感じました。
いろんな岩の見分け方なども聞いたので、今後も海に出た時は海だけでなく地層も眺めてみようと思います。


※ボニナイト
ボニナイトとは、海洋プレートの沈み込みが始まって間もない時期(島弧の誕生期)にのみ発生する特殊な安山岩の一種です。
このボニナイトには、『単斜エンスタタイト』という輝石類が含まれます。
他にこの鉱物がよく含まれているのは隕石です。地球上の岩石ではボニナイトだけ含まれているとっても珍しいものなのです!
小笠原諸島は、海底火山の衝突による隆起・陸化によりこのボニナイトが世界で最も大規模に露出し、良い保存状態で残され観察できる地球上で唯一の場所なのです。

普段何となく眺めていたものが、何気に貴重なものなのです。

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2009年10月14日アホウドリになり隊!

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

もう日没は5時頃と秋の夜長が感じられるこの頃。
昼間はまだまだ暖かいですが、もう夜は涼しく感じます。

先日、地元の子供たちを対象に自然ふれあい活動を行いました。
今回は、アホウドリを知り隊!アホウドリになり隊!

北太平洋にアホウドリ類は、ガラパゴスアホウドリ・アホウドリ・クロアシアホウドリ・コアホウドリの4種います。
そして、ここ小笠原ではアホウドリ・クロアシアホウドリ・コアホウドリの3種見ることができるのです!
…と言ってもアホウドリを見るのはかなり稀ですが。
また、主に見られる場所は聟島列島と、なかなか父島母島に住んでいる子供たちは実物を見る機会がありません。
そして今、アホウドリ保護増殖事業として聟島への営巣地誘致事業を行っています。

なぜ、小笠原へアホウドリを誘致しなくてはならないのか?
アホウドリはどんな鳥なのかを勉強する為に、今回島の子供たちが集まりました。

まずは、ビジターセンターに展示してあるアホウドリ展を使って説明。
アホウドリの大きさは?何を食べているのか?など生態についてや、生息地である鳥島の現状やアホウドリの引っ越しについて学びました。

アホウドリのことを一通り学んだら、次は実際にアホウドリになってもらいましょう!
実物大の翼をみんなで作り、腕にはめ羽ばたいてもらい、風の抵抗などを感じてもらいました。
最後に2チームに分けアホウドリリレー
これは大いに盛り上がりました。

これをきっかけにアホウドリのことを好きになってもらえればいいですね。
この子供たちが大人になったら、きっと聟島はアホウドリでいっぱいになっていることでしょう。
島のみんなでアホウドリたちを見守っていこうね。

紙芝居に夢中な子供たち

ぱたぱたぱた~
アホウドリリレー

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2009年10月06日自然ふれあい活動

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

みなさんこんにちは。
台風14号が過ぎ去った小笠原は景色がガラリと変わりました。
山の木々は枯れ、さながら冬のよう…
海の中はサンゴが崩れ折れ、海底の砂が大きく移動し、沈船の形が変わったのもありました。
改めて、台風の力を思い知らされました。

そして、台風18号が本州に近づいていますね。
この台風はかなり勢力が強いみたいなので、沿岸地域にお住まいの方はお気をつけ下さい。

先日、台風が過ぎ去った数日後に地元の子供たちを対象とした自然ふれあい活動を行いました。
今回は海であそび隊!
島の子供たちの夏の遊び場は毎日海!しかも港近くの浅くても水深5mもある所!
しかも、そこにある堤防から飛び込んだりして遊ぶのが普通です!
ですので、今回は普段はあまり行かないビーチで海中観察などを行いました。

ボードにつかまってそぉ~と魚たちを観察。
そして見た魚などをスケッチしたり、
遊歩道を少し歩いて海と山の関係について勉強したり、
磯の生物を観察したり
と盛り沢山の内容でした。

台風後でしたので、開催できるか私たちも子供たちも不安でしたが、
海水もそんなに冷たくなく、濁りも消えて無事に行うことが出来ました。

子供たちも普段泳がない所をじっくり見れたので大満足な1日でした

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2009年09月25日秋になりました

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

皆さんこんにちは

内地はすっかり秋模様みたいですが、
ここ小笠原も秋の感じになってきました


台風のせいで…


18日夜~19日にかけて大型の台風14号は小笠原に最接近しました
なぜシルバーウィークに来る…と恨みましたが、自然現象ですから仕方がありません
17日から島中みんな台風養生でばたばたでした
昔から住んでいる島の人の話を聞くと
「26年前と同じ感じだー」
と言っていたので、その当時の被害などを聞くと
軽トラックはひっくり返った、船は垂直になった、カヤックが屋根に刺さった、ある建物は基礎だけ残して無くなった、ヤギが飛んで行った…など相当すごかったそうです><

3年前にも今回と似たようなコースで似たような勢力の台風がきて
この時も壁や屋根が剥がれ、電話ボックスは壊れ、信号機があさって方向を向き、カーブミラーが飛んでいました

台風って本当に恐ろしいものです

さて、今回の状況は、
最初915hPaだったのが、最接近のときは965hPaになっていたのでそんなに被害は無かったです
まぁ、屋根が飛んだり、カーブミラーが無くなってたり、倒木がいっぱいあったり、砂が道路までうちあがっていましたが

山の方の様子は、ギンネムなど外来植物は潮に弱いので、みな葉は枯れ果て枝だけになり、落葉した秋の様子をかもしだしています
その点、固有の植物は潮に強いので平気でした
が、それでも枯れた外来植物はそのまま朽ちるくとなく、また一斉に生い茂るので困ります

海の中の様子は、30度前後あった水温が、一気に25度前後に下がり、サンゴにとっては良かったです
ただ、結構サンゴは折れて転がってました。また、海底の地形もかなり様子が変わってました

なにはともあれ、大きな被害がなくてよかったです



台風前

台風後

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2009年09月09日べんきょう☆島専科?

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

今回の台風12号は多大なる影響を受けました。
直撃コースではないので、各家や漁船などの養生はとくにしませんでしたが、
台風の進路が、おがさわら丸の進路とドンピシャにぶつかる予定でしたので、
通常ですと5日に入港して8日に出港予定が、6日出港に繰り上げになってしまったのです(><)
観光客の方は25時間半かけて来て、30時間ほど滞在して、また25時間半かけて帰りました…
これで小笠原を嫌いにならないでくださいね~

そんな中、”どうぶつ奇想天外!”や”飛び出せ!科学君”でおなじみの千石正一先生が講演をしに小笠原にやってきました!
タイトルに書かれているはその講演のタイトルです。
べんきょう☆島専科?~世界からみた小笠原の生きもの~
(べんきょう☆しませんか?~)

千石先生は船がとても苦手とらしく、スケジュールもゆったりとしたものでしたが、台風のせいで船移動→講演→船移動→講演とハードなものに変更…
でも何とか頑張ってもらって、父島母島両島で講演することが出来ました。

ガラパゴス・マダガスカル・沖縄と比べて、小笠原の生きものにはどんな特徴や不思議なところがあるか?小笠原の島の生きものの大切さ、そしてグリーンアノールなどの外来種の問題についてお話しされました。
有名人が来たということで、普段の数倍は人が集まった気がします。

千石先生、大荒れの中お疲れ様でした。
ぜひまた小笠原へいらして下さい!

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2009年08月26日暖かい

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

内地はもう秋模様みたいですけど、
ここ小笠原はまだまだ夏真っ盛り!
水温も暖かく透明度もよく泳ぎやすいくて気持ちいいです。

…が、水温が高いのも問題です。
今年は水温が30度付近の状態がずーと続いています。
水温が高いということは、みなさんテレビとかで聞いたことがあるかと思いますが、どういう現象が起こるでしょうか?





そうです。サンゴの白化現象です。
こんなに長い期間水温が30度超えているのは初めてだそうです。
去年も今年も台風が来ていないのもあるのでしょう。
台風が来ると被害はひどいですが、そのおかげで助かる生物もいるのですね。

あと、今年は海水温が高いせいで『暖水渦』が発生しています。
文字通り暖かい水の渦が発生するのです。
どういう現象かと言うと、水温が高いため密度が小さくなり、海面の高さが周囲に比べて高くなってしまいます。
ですから、最近の海を見ると、大潮でもないのに満潮時には岸壁すれすれまで海面があります。
単純に、『おぉ~潮が上がってるねぇ~』と感心しますが、

もし、今、台風が来たら
もし、今、津波が来たら

と考えますと、、、とても怖いです。

海水温の上昇はサンゴの白化だけでなく、こういう現象も起こるのかと改めて知りました。


この現状をこの子たちはどう感じているのでしょうね。

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2009年08月12日お知らせ

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

内地イベントのお知らせです。
下記日程にて、(社)東京都獣医師会主催による野生動物保護シンポジウム
『小笠原の希少動物保護と家庭動物の適正飼育』
が行われます。

人とペットと野生動物の共生するための取り組みや成果について聞くことができます。
参加は一般公開、無料となっておりますので、ぜひお立ち寄り下さい。



(社)東京都獣医師会・野生動物保護シンポジウム
『小笠原の希少動物保護と家庭動物の適正飼育』

主催: (社)東京都獣医師会
後援: 環境省関東地方環境事務所・東京都・小笠原村(予定)
協力: NPO法人小笠原自然文化研究所・NPO法人どうぶつたちの病院
日時: 2009年8月23日13:30〜16:30
会場: 東京大学弥生講堂
参加費: 無料(一般公開)


開催趣旨

東京都小笠原村は、アカガシラカラスバトやハハジマメグロなどの希少な野鳥が地球上でここにだけ棲む島で、2010年に世界自然遺産への登録を目指しています。世界自然遺産への登録には、人間が持ち込んだ多くの外来種、とくに、野生化したイエネコの問題を解決する必要があります。このため、東京都獣医師会では、長年にわたり小笠原でのネコ対策支援事業に取り組んでまいりました。これらの活動により、平成21年度「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰を受賞することができました。
本シンポジウムでは、これまでの東京都獣医師会のとりくみを御報告するとともに、希少動物対策の成果や小笠原村の家庭動物の適正飼育条例などに関する最新情報を御紹介したいと思います。


プログラム

司会:小松東京都獣医師会副会長
挨拶:村中志朗 東京都獣医師会会長

基調講演(30分)
「希少動物保護のための家庭動物適正飼育」 
安田直人 
環境省動物愛護管理室・室長、獣医師

活動報告(30分)
「東京都獣医師会による小笠原での取り組み」 
高橋恒彦 
東京都獣医師会野生動物対策委員会・委員、小笠原動物医療派遣団長

現地状況報告(30分)
「小笠原における希少動物の現状とネコ対策の成果」
堀越和夫
NPO法人小笠原自然文化研究所・理事長

現地状況報告(30分)
「小笠原村における世界自然遺産登録への取り組み」
岩本 誠 
小笠原村企画政策室世界遺産担当

パネル討論(30分)
コーディネータ:羽山伸一 東京都獣医師会野生動物対策委員会・委員長

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2009年08月03日西の孤島

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

皆既日食の興奮冷めやらぬまま、グリーンワーカー事業の業務で西之島へ行ってきました。

西之島とは、父島の西約130kmにある無人島。
1973年から1974年かけて西之島新島が噴火してまだ間もない島。
それゆえ植物相は貧弱でグンバイヒルガオやハマゴウなど海流散布を行う植物が存在しています。
外洋の真ん中にポツンとあるので、うねりや波があるとなかなか上陸することが難しい島です。
今回はわりと海が穏やかなこの時期に行きましたが、それでも上陸するときに波に巻かれそうになりました。

上陸するとアオツラカツオドリ、オオアジサシ、カツオドリ、オナガミズナギドリ、セグロアジサシ、クロアジサシなどいっぱいお出迎え。
ヒッチコックの映画を思い浮かべるぐらいいました。

今回は、鳥獣保護区に指定されたこの島の海岸清掃です。
小笠原諸島は太平洋ゴミベルトの中にあり、ゴミが多く漂流しています。
ですので、小笠原諸島にはゴミがよく漂着します。
今回のゴミ拾いの目的は、鳥に危害を加えるゴミ(網や誤飲しやすい発泡スチロールやプラスチックなど)をメインに拾いました。
これで少しは鳥さんにとって過ごしやすい環境になったことでしょう。

これからの季節、海などに出かけることが増えてきますが、ゴミは必ず持ち帰って捨てて下さい。
地球の環境を汚さなくて済みますし、鳥や亀などが誤飲することもなくなりますので。

左上:西之島 右上:島の内部
左下:サンダルをリサイクルしたもの? 右下:集めたゴミの数々

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2009年07月23日皆既日食~海上編~

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

2009年7月22日、これほど天気予報が外れたことに感謝したことはありません。
前日の天気予報は曇雨…
しかし、朝起きると外は青空が広がっていてすがすがしい天気。
いいぞっ!このままこの天気を保ってくれっ!!と祈りつつ皆既日食が見られる海域まで移動。

少しでも長く見られる位置まで(小型船舶で行ったので沿岸区域:陸地から20海里ギリギリまで)行きました。
海もベタ凪でそんなに揺れずに観測できました。

日食が始まったらみんなで日食グラスをして太陽を見たり、テレフォンカードや麦わら帽子などでピンホールを利用して欠けていく様子を観察したりして、皆既を待ちました。

そして11:26ごろ、いよいよ皆既が始まり。
だんだん日差しも弱くなり、気温も下がっているのを感じることができました。
そして周りを見渡せば水平線は赤く、夕暮れのような景色。
ただ違うのが、360°そのような状態なのですっ!
また金星、水星などの明るい星も見えました。

そして皆既日食。
太陽が月に隠れた瞬間には、一瞬の静寂の後、みんなの歓声が上がりました。
何人も作りだすことができないこの自然の芸術。
自然の素晴らしさを感じました。

そしてダイアモンドリング。
その輝きは、この地球にはない美しさ。
これに魅了されて日食を追いかける人の気持ちがよく分かりました。

そしてまた太陽が現れて、束の間の夜が終わりを告げました。
だんだん気温も上がり、だんだん肌もジリジリして、改めて太陽のエネルギーの凄さを感じることができました。

次に日本で見れる皆既日食は2035年9月2日
早くも次回が待ち遠しいです

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2009年07月17日希少な生物を守るために…

小笠原国立公園 小笠原 沼田伸一

みなさん、こんにちは。
もうすぐ皆既日食ですね。
ここ小笠原では陸域では皆既日食を見ることはできませんが、母島からちょっと沖へ行くと皆既帯に入るので、皆既日食を見ることができます。

ちょうど皆既日食にかかるおがさわら丸は満員御礼で、さらにチャーターしたフェリーも来るということなので皆既日食が終わったら、父島はものすごい人口密度になる模様です。

以前にいくつかお話しましたが、小笠原は人が住んでいる所のすぐそばに希少な動植物が生息しています。
その希少な動植物を守るために、環境省や林野庁などの各行政機関や地元の自然保護団体と協力して、希少な動植物を守る為にある装置を作りました。
(以前かあるものですが、少しマイナーチェンジしました)

ちょっと手間ではありますが、希少な動植物を守るために皆様のご協力をお願い致します。



まずは、カーペットクリーナーでズボンに付着している種子などを除去します



そしてこのマットで靴の裏についている種子を除去します



最後に、該当する石を入れてサンクチュアリーへ~

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