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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園

353件の記事があります。

2021年01月22日伊豆半島のジオサイトを紹介します! 第1弾

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。外出自粛期間中は撮りためた生き物の写真や図鑑を眺めてやり過ごす齋田です。

特定の時期に特定の場所でしか出会うことができない種類の生き物が多くいますが、今はぐっと我慢です。

さて、みなさんがご自宅で過ごすことの多いこんな時こそ日記を読んで頂くチャンスだと思い、当面の間は「富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト(ジオスポット)」を特集します!

記念すべき第1回目は、前回の日記に取り上げた「環境配慮型ツアーの実証実験」にてコースの経由地点として立ち寄った「弓ヶ浜」と「中木の柱状節理」について、その見どころを解説します。

■弓ヶ浜 (静岡県南伊豆町)

その名の通り、美しい弧を描く弓ヶ浜。海岸線の長さはなんと1,000m!シロナガスクジラ約35頭分です。

この白砂の海岸は、河口から海へと流れ込んだ砂粒が海流によって押し戻され、帯状に堆積することで形成されたと言われています。

このような地形は砂嘴(さし)と呼ばれ、伊豆半島北西部の御浜岬や大瀬崎などでも見られます。

【静岡県南伊豆町 弓ヶ浜】

写真は昨年の6月上旬に撮影した弓ヶ浜。例年であれば、梅雨入り前最後の海を楽しもうと観光客がこぞって押し寄せる時期ですが、ご覧の通り人の気配はほとんどありませんでした。

そんなこともあってか、ここ弓ヶ浜では3年ぶりにアカウミガメの産卵が確認されました。生き物好きの私としては大変嬉しい出来事ではありましたが、豊かな自然の保護と利用はトレードオフであることを見せつけられたようで、複雑な心境でした。

■中木の柱状節理 (静岡県南伊豆町)

スノーケル・ダイビングスポットとして有名な「ヒリゾ浜」への渡し船の発着点として知られる中木海岸。

崖沿いを這うように整備された遊歩道を南へ進むと、なんとも不思議な光景を目にすることができます。

【静岡県南伊豆町 中木の柱状節理】

ハチの巣のように規則的に並ぶ5角形や6角形の奇妙な岩は「柱状節理」と呼ばれ、海底火山の噴出物を貫いて上昇した「火山の根」とマグマが冷えて固まる際に形成されたものと言われています。

写真で見るとサイズ感がややわかりづらいかと思いますが、この多角形の外接円の直径は大人の肩幅ほどもあり、その圧倒的なスケールに感動させられます。自然界で最も大きなハニカム構造なのではないでしょうか?

今回の日記では、富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト、「弓ヶ浜」と「中木の柱状節理」についてご紹介しました。

ジオサイトの多くは、見学者の知識量によって見え方や感じ方が大きく変化しますので、みなさんがいつか伊豆半島に訪れる際の一つの参考になれば嬉しいです。

次回は、「しましま模様」と「ハートの地形」が特徴のジオサイトを解説します。お楽しみに!

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、都道府県内の移動においても、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。

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2021年01月19日芦ノ湖水鳥調査(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

2021年が始まりました。仕事始めには、箱根周辺でフクロウに出会いました。

今年は福がありそうです。

観察されたフクロウ

 

そんな1月上旬、日本野鳥の会神奈川支部の芦ノ湖水鳥調査に同行してきました。

貸し切りボートに船頭さんを含めて4名での調査実施です(密は回避!)

この調査は、昭和45年から、50年以上継続されている「環境省全国ガンカモ一斉調査」の一環として、日本野鳥の会神奈川支部の皆さんが毎年1月に実施しています。

過去のAR日記での調査報告⇒アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]_芦ノ湖水鳥調査(箱根地域) (env.go.jp)

芦ノ湖での調査自体は約40年の蓄積データがありますが、残念なことに近年水鳥の数は減少しています。1980年代には1000羽を超えるマガモの群れが観察されたり、オシドリの繁殖も見られたことがある芦ノ湖ですが、今はこの時期200羽前後の水鳥しかカウントされません。再び水鳥の数が増えるために、何かできることはないか、考えてしまいます。

ガンカモ類の生息調査 | 生物多様性センター(環境省 自然環境局) (biodic.go.jp)

 40羽ほどのマガモの群れ

水面を走るように飛び立つカンムリカイツブリ

今いる水鳥たちが、より愛おしく感じられます。今年もよく来てくれました!!

同じ日の午後、芦ノ湖から少し離れた「イタリ池」でも水鳥調査を実施しました。この調査は池を所有するゴルフ場「箱根カントリー倶楽部」様にご協力頂いています。

調査風景

※「イタリ池」は普段は会員以外入ることができない、ゴルフ場敷地内の池です。

過去のイタリ池観察会実施風景⇒アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]_冬鳥観察会inイタリ池(箱根地域) (env.go.jp)

現時点では、水鳥たちの生息数変移の要因は、はっきりと分かっていません。この調査を長く続けていくことで、後々わかってくることがたくさんあると考えており、調査の継続が重要です。毎年調査を実施されている日本野鳥の会神奈川支部の皆様、ありがとうございました。

今年の調査では、水鳥以外にもハヤブサに出会いました。

水鳥にアタックする姿が見られました。

水鳥は減少傾向にあるものの、箱根の野鳥は想像以上に豊富なようです。

箱根のある神奈川県には、現在新型コロナウイルス拡散防止の為に緊急事態宣言が発令されています。不要不急の外出を自粛して頂く時期ですが、幸い冬はバードウォッチングに最適な季節です。ご自宅の窓の外や近所の公園で、鳥たちを探してみてはいかがでしょうか。思いがけない出会いがあるかもしれません。再び安心して箱根を訪問できる日が来るまで、ご自宅にてAR日記で国立公園の一部風景をお楽しみください。本年も富士箱根伊豆国立公園をよろしくお願いします。

※現在箱根ビジターセンターは臨時休館中です。詳細についてはHPをご確認下さい。

http://hakonevc.sunnyday.jp/index.html

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2021年01月15日今年の『富士山』は白くない!?

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

2021年がスタートして半月が過ぎました。お正月太りが未だに解消されず何とかしなくてはと思っていますが、冬は新作スイーツの誘惑が多く困ります。おいしい物にはかないません。

さて、昨年末ニュースなどで何度か取り上げられていましたが、年明けも引き続き富士山の積雪が少なく、今年は静岡県側から雪化粧の富士山がなかなか見られません。今週は最強寒波が猛威を振るい各地で大雪を降らせました。沼津管内では富士宮の田貫湖が結氷したり、裾野市の十里木や伊豆の天城山では積雪がありました。そんな翌日伊豆半島西側の海岸線から今日こそ真っ白な富士山を見られるか!?と巡視に出掛けましたが、白くない?かすかに雪は積もっていますが、あきらかに少ないです。昨年末から朝早い時間は少し積もっていても日中には山肌が見えるくらい雪は溶けてしまい、夕方には夏の富士山かと思うほどです。

2020.1.9(恋人岬にて撮影) 】


2021.1.13(恋人岬にて撮影) 】

同じ時期の2枚目の写真を比べると、今年の写真は山頂の辺りも山肌が見えるのが分かります。気象データで過去の気温を調べると昨年は暖冬でしたが、今年は例年並みです。暖冬の昨年でも雪化粧しているので原因は気温ではなさそうです。静岡県の富士山周辺(御殿場、富士、富士宮市(白糸))の12月の降水量を見ると記録的に少なく中でも富士宮(白糸)観測地点では平年比8%とほとんど雨が降っていないことになります。富士山での観測はされていないので麓の降水量ですが、雪のない富士山を見ると昨年末からの雨量が少なく冠雪に影響していそうです。


2021.1.14 (沼津合同庁舎より撮影) 】

巡視の翌日、沼津管理官事務所がある合同庁舎より富士山を見ると更に雪が溶けていました。手前の愛鷹山で麓の辺りは見えませんが山頂辺りに雪は肉眼で確認出来ません。帰宅時に別の場所から見ると麓の雪もほとんど確認出来ませんでした。富士山に降った雨や雪は、どのくらいで湧き水になるのでしょうか?諸説ありますが数年~15年くらいと言われています。いつかの湧き水が気になります。今年の富士山が真っ白に雪化粧する日がいつになるのか見守りたいと思います。

おまけ

恋人岬では土肥桜が咲き始めています。現在三分咲きくらいです。

菜の花に混じってひまわりも咲いていました。

しばらく自粛生活が続きなかなか出掛けられませんが、日記を見て季節や自然を感じてもらえるよう今年も沼津管理官事務所管内の情報を発信していきますのでよろしくお願いいたします。

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2021年01月08日アクティブレンジャー写真展、3国立公園合同で開催中です!

富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒

明けましておめでとうございます。富士五湖の小西です。
2020年は世界的に大変な1年でしたが、2021年は全ての人にとって明るい1年になりますように。

先月までの富士山は雪が少なく黒々としていて、あまり冬らしい姿ではありませんでしたが(気温は十分すぎるほど寒かったです!)、ようやく年末の雪でいつもの姿になりました。やはり雪のついた富士山は美しいですね。

黒々とした富士山(2020年12月27日)       ようやく冬らしい装いに(2020年12月31日)*

(*インターネット自然研究所(富士山北麓フラックス観測サイト)映像を使用)

さて、アクティブレンジャー写真展開催のお知らせです。

下記の通り絶賛開催中です。

<開催期間>2021年1月7日 ~ 1月28日 11:00~20:00/土・日・祝日~19:00(火曜 定休)
<場  所>OUTING PRODUCTS ELK(山梨県甲府市徳行4-13-9)
 写真展の詳細についてはこちら

ELKでの写真展の様子

通常、写真展は関東地方環境事務所管内の13事務所がそれぞれ主催して1年かけて巡回していますが、今回は奥多摩、南アルプス、富士五湖の3事務所合同での開催です!

共通点は何かわかりますか?

ヒントは、、、、、「桃」「ぶどう」「ワイン」

3国立公園の位置図(これもヒントです)

答えは「山梨県です」!

秩父多摩甲斐国立公園、南アルプス国立公園、富士箱根伊豆国立公園は国立公園の一部が山梨県内に位置しているんです。

3事務所合同開催のきっかけは、今回の開催会場である甲府市内のアウトドアショップ「OUTING PRODUCTS ELK」さんが、環境省の「国立・国定公園への誘客の推進事業費及び国立・国定公園、温泉地でのワーケーションの推進事業費補助金」を活用して3国立公園を拠点とした事業を実施されることになったことでした。

せっかく山梨県内の3国立公園をPRしてくださるのであれば、我々環境省も3事務所合同でやってみてはどうかということで、初の試みとして実施することとなりました!

通常の業務は、どうしても国立公園単位になってしまいがちなので、こうやって公園の垣根を越えた試みをできたことは大きな収穫です。

今回は写真にプラスして、3国立公園の特別展示も行っています。

奥多摩、南アルプス、富士五湖事務所の特別展示

2枚の写真だけでは伝えきれない現場アクティブレンジャーのお気に入りの場所や生きもの、文化、また抱える問題点など、それぞれ3名のアクティブレンジャーが普段「知ってもらいたい!」と思っていることを形にしてみました。

展示物作成中も他公園の知らなかった情報はワクワクしました

各アクティブレンジャーの「見て欲しい!伝えたい!」ポイントは、、、、、、

【奥多摩自然保護官事務所:小林アクティブレンジャー】



秩父多摩甲斐国立公園は東京都・埼玉県・山梨県・長野県で構成されている、全国で5番目に大きい国立公園です。稜線を歩くと県境で植生が明らかに違っていたり、公園の代名詞と言える渓谷も、地質の違いにより西側はなめらか、東側はごつごつ、と表情が全然違います。そんな"違い"を知って「行きたい!」と思っていただければ幸いです。

【南アルプス自然保護官事務所:本堂アクティブレンジャー】



南アルプス国立公園は3,000m級の山々が連なる山岳公園です。登山をしなければ足を運ぶことができない場所が多いですが、この写真展を通して、南アルプスの豊かな自然や希少な生きもの、地質や信仰文化を知っていただき、南アルプスに興味を持っていただけると嬉しいです。

【富士五湖管理官事務所:小西アクティブレンジャー】



富士山は素晴らしい山です。ただ、多くの人が訪れる富士山だからこそ抱える問題もあります。普段の写真展ではなかなか伝えられない負の部分もお伝えすることで、一人一人が「日本の宝」をどうしていきたいか、そして守っていくために「できること」を考えるきっかけになると嬉しいです。

*写真展のアンケートにご記入いただいた方にはノベルティをお渡ししています!(かなりレアなノベルティも!)

この他にもエコバッグ、カレンダーもあります!(数に限りがあります)

そして今回はさらにELKさんからのお声がけでトークイベントを実施することとなりました。日本のトレイルランナーの第一人者である山本健一氏と環境省レンジャーが「山梨の国立公園」について語ります!

コロナ禍ですので、対策を万全にした上でごく少数にて開催します。(状況によっては中止する場合もございます)

日時 :1月28日(木)19~20時
場所 :OUTING PRODUCTS ELK(山梨県甲府市徳行4-13-9)
定員 :15名(山梨県在住者のみ)
申込 :ELK店頭、電話055-222-1991、 メール elk@elkinc.co.jp 
HP  :https://www.elkinc.co.jp/

詳細については、主催であるOUTING PRODUCTS ELKにお問合せください。

コロナ禍で外出も簡単ではない状況ではありますが、お近くにお越しの際はぜひELKに足をお運びください。
(緊急事態宣言対象地域の皆さまは、宣言に則ったご対応をお願いいたします)

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2021年01月08日大自然の満喫にイイ バイク「環境配慮型ツアーの実証実験」

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

明けましておめでとうございます。年越しの瞬間には地球から離れていた齋田です。

年越しジャンプは小学生の頃から続けているのですが、やめるタイミングがわかりません。

さて、みなさんは2021年のお正月をいかがお過ごしでしたか?

コロナ禍でのお正月ということもあり、身体が重たく感じてしまった方も多いのではないかと思います。

今回の日記では、そんな運動不足の解消におすすめしたい伊豆半島の新しい楽しみ方について、その実証実験の様子をご紹介します。

■電動アシスト付きスポーツ自転車E-BIKEを使ったガイドツアー

コロナ禍における環境省の支援事業の一つである「令和2年度 国立・国定公園への誘客・推進事業」に採択された『E-BIKEを活用した環境配慮型少人数ツアー(通称)』の実証実験が伊豆半島最南端の南伊豆町にて行われました。

◎支援事業の詳細はこちら:http://www.env.go.jp/nature/np/ryokakuzei00/index.html

こちらはツアー出発前の様子。自転車の専門的知識を有したガイドより、E-BIKEの特性や電動アシストの操作方法等、安全に走行するために必要な知識についてレクチャーを受けました。

自転車初心者の私を含め、観光関係者やジオガイドを中心としたモニター参加者の多くはE-BIKEに初めて乗車する方がほとんどで、みなさん緊張した面持ちでガイドの説明に耳を傾けます。

【出発前の様子 石廊崎オーシャンパークにて】

こちらの日記を見ているみなさんの中にも、E-BIKEを知らない・乗ったことがないという方が多いと思うので、この自転車について簡単にご説明します。

E-BIKEとは、スポーツバイク型の電動アシスト付き自転車の総称であり、一般的なシティサイクル(ママチャリ)型のそれよりもスポーティーにサイクリングを楽しむことができる自転車として注目されています。

実証実験にて使用したクロスバイク型の自転車では、一度の充電で最大100km程度の走行が可能であり、伊豆半島の海岸沿いを周遊するには十分なスペックでした。これならどこへだって行けそうですね!

一通りのレクチャーを受けた後は、石廊崎オーシャンパークを順調に出発し、海沿いを快走しながらジオスポットや観光名所として知られる弓ヶ浜海岸や中木海岸等を巡りました。

E-BIKEでゆっくりと走っていくと、普段は自動車で通過している見慣れた道も新鮮に感じられました。

そして、なんと言っても、ぽかぽかとした冬の柔らかい日差しの下でのサイクリングは最高でした!

コースの経由地点に設定されているジオスポットでは、現地の自然に精通したガイドによる解説が行われ、地形の成り立ちや人々の暮らしとの関わりについて学ぶことができます。

写真は弓ヶ浜にて海岸線の変遷について解説している様子です。図や写真、実際の景色を用いた説明はとても分かりやすく、伊豆半島の自然の素晴らしさについて再認識することができました。

【ガイドによる解説 弓ヶ浜海岸駐車場にて】

さて、気になるジオスポットの景色ですが、こちらはまた後日に写真を交えてご紹介できればと思います。

伊豆半島ジオパークや富士箱根伊豆国立公園の伊豆半島地域には素晴らしいスポットがたくさんありますので、どうぞご期待下さい。

今回の実証実験では、伊豆半島の豊かな自然を満喫しながら安全にコースをまわることができました。

坂道の多い伊豆半島においては、電動アシスト付きのE-BIKEが大活躍。自転車初心者の私でも景色や磯風を楽しみながら難なく走行することができ、とても良い勉強になりました。

近い将来には、E-BIKE等の自転車を活用したツアーが国立公園利用の新しい形態の一つとなることでしょう。

外出や旅行に大きな制限が生じている時期ではありますが、これを機に、環境配慮型少人数ツアーによってサステナイブルツーリズムが普及することを願っています。

※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、旅行を計画されている方は、各自治体のガイドライン等によく目を通し、最新の情報についてこまめに確認を行いましょう。

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2020年12月28日師走のクリーン月間(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

12月に入り、年越しに向けて大掃除の季節がやってきました。箱根ビジターセンターがある湖尻周辺では、日頃自然散策でお世話になっている芦ノ湖や周辺の自然に感謝の気持ちを込めて、大きく3つのクリーン活動が実施されています。

1.12月6日(日)「パークボランティア・クリーンデー」活動実施

箱根パークボランティアの皆さんが、4チームに分かれて湖尻地域周辺のゴミ拾いを行いました。密にならないように気をつけながらの作業です。アクティブレンジャーもご一緒しました。

植え込みの中も丁寧に確認します。

今年はコロナ禍で、観光客が減少したせいか、前年に比べてゴミは少なめでした。

芦ノ湖の中までゴミを拾いに行きました。

足元に小魚が泳ぐ、きれいな湖にゴミは似合いませんね。

分別もしっかりと行い、ゴミ拾い終了です。

今年は活動が少なかったパークボランティアの皆さんも、清掃活動であればと当日は可能な範囲で多数ご参加頂くことができました(密を避け、活動後は速やかに解散しています)。天候も良く、気持ちの良い清掃日和でした。パークボランティアの皆さん、さわやかな活動実施をありがとうございました。

2.12月10日「ハイク&クリーン」活動実施

これは、湖尻地域の飲食店や観光業者の皆さんと箱根ビジターセンターが中心となって始められた今年で6年目の清掃活動です。新型コロナ感染症対策として、今年はビジターの参加はありませんでしたが、湖尻周辺の皆さん方や箱根町役場の皆さん方と一緒になって、当所のレンジャー及びアクティブレンジャーもゴミ拾いを行いました。

芦ノ湖湖畔をゴミ拾い中。

地元観光業のガイドさんがゴミの多い場所を下調べし、当日はその場所へ案内頂きました。湖畔のゴミ拾いはロケーションが良く、気持ちよく活動出来ます。来年は、是非ビジターの皆さんも一緒にゴミを拾いながら歩けると嬉しいです。途中で楽しいガイドも聞ける、素晴らしいハイク&クリーン活動になること間違いなしです。

いつ捨てられたゴミでしょうか。

プルタブの輪の中から、植物が大きく成長していました。かなり古いゴミと思われます。こういったゴミが有り続けないように、利用者の皆さんには日頃から「捨てない」心がけをお願いしたいです。

ハイク&クリーンの活動の様子は、箱根町のFacebookページ「箱根町景観だより」もご覧下さい。

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2787338598199234&id=1753557758243995&__tn__=%2As%2As-R

3.12月17日「箱根地域国立公園内ゴミ不法投棄防止一斉パトロール」活動実施

大涌谷や駒ヶ岳を見ながらゴミ回収

この活動は、当所の呼びかけで実施した、2020年を締めくくる国立公園内の大掃除です。活動の様子は、また1月のAR日記で報告いたします。

箱根の美しい景観は地域皆さんの協力の下に保たれていますが、一番はゴミを捨てないことです。引き続き観光客の皆さまにもご協力をよろしくお願いいたします。

国立公園にふさわしくない光景を少しでも減らせるように、3つの清掃活動が無事実施された12月でした。これで気持ちよく2020年を締めくくることが出来そうです。個人的には、アクティブレンジャーとなってようやく1年が経ち、様々な皆さんにご指導頂きながら業務にあたった2020年がもうすぐ終わります。この経験を活かし、2021年も箱根地域に貢献できるよう楽しく努めて行きたいと思います。また来年もアクティブレンジャー一同をぜひ、よろしくお願いいたします!

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2020年12月28日色んな角度から

富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉

AR日記をご覧の皆様、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の高木です。

最近はぐっと冷え込んで、箱根地域では気温が氷点下を下回ることが珍しくなくなりました。

非常に寒いですが、この時期に富士山がほとんど雪化粧になっていないのもまた、珍しいことと感じています。

三国山付近からの富士山眺望

▲三国山付近からの富士山眺望(撮影日:12月23日)

さて、箱根のARの業務の中には「仙石原湿原の景観モニタリング」というものがあります。ご存じの方も多いかと思いますが、ススキ草原で有名なあの仙石原湿原です。

神奈川県唯一の湿原を保全するべく様々な保全活動及び調査が行われていますが、本業務ではその名の通り、仙石原湿原の景観(見た目)の変化をモニタリングしています。具体的には、定期的(2・5・8・11月)に以下の3地点の同じ場所から撮影し、記録を行っています。

・ススキ遊歩道(仙石原湿原内)

・長尾峠(仙石原湿原外)

・金時山中腹(仙石原湿原外)

今回はそんな仙石原湿原を、外から見た様子を紹介します。

まずは、箱根外輪山の北に位置する金時山の中腹から。

金時山中腹からの仙石原湿原眺望

▲金時山中腹からの仙石原湿原眺望(撮影日:←12月 8月→)

こちらの撮影地点は大岩がどっしりと構えておりそれだけで圧巻なのですが、その上から見た仙石原湿原はとても見やすく、意外な広さ(約25ヘクタール)を感じさせてくれます。

そしてこちらは、箱根外輪山の北西にある長尾峠付近の長尾隧道から。

長尾隧道からの仙石原湿原眺望

▲長尾隧道からの仙石原湿原眺望(撮影日:←12月 8月→)

湿原の中を一本道が通っているのがお分かりでしょうか?

こちらが観光として有名なススキ遊歩道です。意外と傾斜のある道であることが分かると思います。

また、こちらの撮影地点は箱根地域の中でも絶景ポイントのひとつで、芦ノ湖・大涌谷などもまとめて見ることが出来ます。

長尾隧道からの箱根地域の眺望

▲長尾隧道からの箱根地域の眺望(撮影日:8月)

見切れてしまっていますが、画像右が芦ノ湖、左が仙石原湿原、そして中央が大涌谷です。大涌谷を擁する箱根山を中心とした、カルデラの地形が確認できます。

如何でしょうか。箱根は観光スポットが多い地域ですが、スポットからだけでなくひとつ大きな視点で違う角度から見てみると、また新たな発見が生まれるような気がします。

それではまた、次回に新しい年の箱根の様子をお送りできればと思います。

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2020年12月18日三原山火口に現れた小鳥の群れ 大島 三原山 (伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 竹下実生

こんにちは。

伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

11月下旬頃から、三原山中央火口の周りで小鳥の大群を見かけるようになりました。

50羽くらいの群れで、火口やその周りの荒原を飛び回っているのです。

三原山中央火口(2020年12月3日)

▲三原山中央火口(2020123日)

荒涼とした静かな景色の中に、ときどき、チュチュチュ・・・というにぎやかな声が聞こえてきます。

昨年も同じくらいの時期に見かけていて、どこから来たのか、どんな鳥なのか、気になっていました。

いつも距離が遠くて、じっくり観察できずにいたのですが、ついに先日写真を撮ることができました!

二羽のハギマシコ

▲スズメ目アトリ科 ハギマシコ(Asian Rosy Finch) Leucosticte arctoa 

歩道の柵に同化して静かに待っていると、群れが近くまで来てくれました。

脇腹の薄紅色、黄色い嘴がかわいらしい、ハギマシコという鳥でした。

北方から越冬のために日本へ渡ってくる冬鳥です。

三原山の火口周辺は、越冬するのにちょうど良い環境なのでしょうか。

ハチジョウイタドリの種をついばむハギマシコ

▲ハチジョウイタドリの種子をついばむハギマシコ

主な食べ物は草の種です。この時も、斜面を移動しながら草の種をついばんでいました。

火口周辺にはハチジョウイタドリなどの草本類が多く生えているので、草の種はたくさん見つかりそうです。

火口周辺の低木に鈴なりになって一休み。表に見えているのは20羽ほどですが、木の中にもたくさんとまっています

▲火口周辺の低木に鈴なりになって一休み。(表に見えているのは20羽ほどですが、木の中にもたくさんとまっています)

ときどき、一斉に低い木に集まります。休息しているようです。

木にとまっている間も、チュチュチュ・・・と鳴きあって、にぎやかです。

地図も持っていないのに、どうやってこの場所を見つけたのか?

いつからここへ来ているのか?

噴火の時はどうしていたのか?

疑問は尽きません。

【伊豆大島】

・東京からの距離は約120km

・東京竹芝桟橋から大型客船で約8時間(夜行の場合)、高速船で約1時間45

・東京以外にも、横浜、久里浜、熱海などから船が就航

・調布飛行場から25

・面積 約90㎢(伊豆諸島最大)

伊豆諸島の図

【ご注意ください】

伊豆諸島では、自治体ごとに来島のガイドラインを掲げ、島内での感染拡大防止への協力を求めています(202012月現在)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体のホームページで来島のガイドラインをよく読み、最新の情報を必ず確認してください。

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2020年12月16日「アクティブ・レンジャー写真展」開催中です!

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。証明写真を撮るときは目が半開きになりがちな齋田です。

昆虫や動物の写真を撮ることは好きなのですが、自分自身が被写体となるのは少し苦手です。

さて、伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」にて開催中の写真展「環境省 アクティブ・レンジャー写真展 - 国立公園・野生生物の姿 -」について、多くの反響を頂きありがとうございます!

この日記を見ているみなさんの中には会場までお越し頂いた方も多いのではないでしょうか?

会場に設置した写真やポスター、パンフレット等を通じて、一人でも多くの方に自然の素晴らしさや国立公園の魅力について知って頂けると大変嬉しく思います。

今回の日記では、会場の展示物だけではお伝えしきれなかった撮影場所の様子について詳しくご紹介します。

写真展の開催内容や展示状況等については、環境省 関東地方環境事務所のHP山田アクティブ・レンジャーの日記をご覧ください。

下田管理官事務所からは、海岸沿いの景色を切り取った2点の写真を出展させて頂きました。

まずはこちらの写真から。トロピカルな花々に包まれる真冬の爪木崎海岸です。

【楽園の冬 爪木崎海岸】

夏場は人気の海水浴スポットとして賑わう爪木崎海岸。冬場は紅白の花々が海岸沿いを彩ります。

海辺一帯に広がる白い花はニホンズイセン。周辺には甘くやわらかい香りが広がり、思わずうっとりとした気分にさせられました。

左端に見える紅い花はキダチアロエ。鮮やかな暖色がほどよいアクセントととなり景観を引き締めますね。

ニホンズイセンとキダチアロエはこれからの季節に見頃となります。近隣にお住まいの方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

■楽園の冬 爪木崎海岸

撮影場所:爪木崎海岸 静岡県下田市

撮影時期:2020年1月上旬

アクセス:伊豆急下田駅よりバスで15分

続いての写真はこちら。可愛らしい黄色い花が揺らめく真夏のユウスゲ公園です。

【煌めく ユウスゲ公園】

石廊崎周辺の海岸線を一望できる小高い丘に位置するユウスゲ公園。

西日に煌めく太平洋の碧や草木の緑を背に、黄色い花弁が磯風に揺れ動く様子は、言葉ではとても言い表すことの出来ない程に情緒的でした。

この可愛らしい花の正体は、公園名の由来となったユウスゲです。彼らは夏の夕方頃に開花し翌朝にはつぼんでしまうワスレグサ属の一日花。7月下旬から8月中旬の16時以降が見頃となります。

■煌めく ユウスゲ公園

撮影場所:ユウスゲ公園 静岡県南伊豆町

撮影時期:2019年7月下旬

アクセス:伊豆急下田駅よりタクシーで30分

以上が下田管理官事務所より出展した写真です。温暖な伊豆半島の雰囲気が伝わったでしょうか?

伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」を会場とした写真展は1月26()まで開催中です。

2月から3月にかけての期間には、富士五湖・奥多摩・伊豆諸島・那須の4地域にて開催されます。

詳細な開催情報については、該当地域の「アクティブ・レンジャー日記」にて随時公開予定です。

※新型コロナウイルス感染拡大防止対策については、各施設の指示に従って頂きますようお願いします

▼伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」

https://georia.izugeopark.org/

▼写真展 開催案内「環境省 アクティブ・レンジャー写真展 - 国立公園・野生生物の姿 -

http://kanto.env.go.jp/to_2020/2020_6.html

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2020年12月09日富士山がある風景100選 in伊豆半島

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

一富士二鷹三茄子。元日の夜には枕の下に富士山の写真を忍ばせる齋田です。

今年は一富士から六座頭まで全ての写真を保存したスマートフォンを用意しましたが、掠りもしませんでした。

さて、初夢に現れると縁起が良いとされる富士山ですが、みなさんは「富士山がある風景100選」をご存じでしょうか?

「富士山がある風景100選」とは、日本のシンボルでもある富士山の魅力をみなさんにお伝えするため、環境省と周辺の都県・市町村が中心となり、富士箱根伊豆国立公園と周辺地域の代表的な富士山の展望地をと定めたものです。

富士山から遠く離れた下田管理官事務所が管轄する伊豆半島南部のエリアにも、なんと8地点の展望地が選定されています!

今回の日記では、そのうちの2地点の展望地から望むことができる美しい富士山をご紹介したいと思います。

この日記を読んで頂ければ、みなさんの初夢に富士山が現れること請け合いですね。

一つ目にご紹介するのは、静岡県松崎町の雲見海岸から望む富士山です。

【静岡県松崎町 雲見海岸から望む富士山】

夏には多くの海水浴客で賑わう雲見海岸ですが、冬のあいだは波の音だけが響く静かな浜辺です。

海に浮かぶ二つの大岩は雲見海岸を象徴する「牛着岩」。雲見地区に大きな被害をもたらしたとされる文化13年の大洪水の際に、家畜の牛が漂着して生きながらえたことが名前の由来と言われています(諸説あります)

牛着岩との共演は、構図として絵になるばかりか、その由縁を知ると大変縁起の良い一枚だと感じられます。

二つ目にご紹介するのは、静岡県西伊豆町の仁科峠から望む富士山です。

【静岡県西伊豆町 仁科峠から望む富士山】

黄金崎や駿河湾が一望できる、「伊豆で最も美しい峠」と呼び声が高い仁科峠。

展望所のすぐ隣には駐車場があり、アクセスが容易であるため、休日には多くのカメラマンで賑わいます。

また、全長約43kmからなる伊豆山稜線歩道のルート上に位置するため、多くのハイカーがその素晴らしい眺望に足を止めます。

天気の良い日には富士山を眺めながら遊歩道を歩いてみてはいかがでしょうか。

仁科峠を経由する伊豆山稜線歩道の紹介はこちら

伊豆半島の南部から望む富士山はいかがでしたか?

富士箱根伊豆国立公園の富士山地域や箱根地域から見られる雄大な富士山の美しさもさることながら、伊豆半島地域から海越しに眺める富士山もなかなかに趣がありますね。

さて、これで来年こそは富士山の初夢が見られることでしょう。夕飯には高菜と茄子を食べようと思います。

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